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ローラ・フェイとの最後の会話
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ローラ・フェイとの最後の会話の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.50pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全14件 1~14 1/1ページ
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久しぶりに 最後の最後で、ジワリときてしまった。 クックの作品は これまでも、読後にいろいろ感じ思わされ思い出されてきた。 時にふと、どうしてこんなことまで書いてあるんだろう?どうしてこんなことまで読まなければならないんだろうと思ってしまうことがある。 しかしそれは全て最後のページのためにあった。 今回も それは同じだった。 読み手の経験や感性で、この物語への触れ方は大きく違うのかもしれない。 自分は 懐かしく悔しく悲しく嬉しく自分自身を時に振り替えるように、読ませてもらった。 クックファンの一人。 | ||||
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大きな野心から生まれ育った小さな町を憎み、故郷を捨てた青年ルーク。20年後、夢破れて二流の学者となり、講演でセントルイスを訪れた。会場で再会したのは……ローラ・フェイ。かつてあの町でルークの家族に起きた悲劇の引き金になった女性だった。彼は彼女に誘われ、昔を語り合う。「あなたも故郷を想い出すことがあるのかしら?」その会話は、ルークをゆっくり導いてゆく。知りえなかった女の過去と驚愕の真実に…… 。 | ||||
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トマス H.クックの本が大好きです。 この本も楽しめましたが、少しだけ薄っぺらく感じました。 | ||||
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どんどん読める、面白い、とはお世辞にもいえない。 でも、この作者だから読んでみる。 でもこの作者のものとしては抜きん出てはいないかも。 | ||||
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くすんだ片田舎、理解不能の父親、それらを嫌い野心を持って故郷を出た。けれども、今はぱっとしない。 この物語の主人公はそういった人物です。彼の上京の少し前、その家庭と田舎町でおこった殺人事件の真相を紐解いていくのがこの物語です。 事件に深く関わる謎の女ローラ・フェイとのたわいない会話、青春時代の回想などを交えながら展開していくのですが、たわいないのに、ものすごい緊迫感があり、ぐいぐいと引き込まれます。最近ミステリを読み始めたので、この作者の本は初めて読むのですが、巨匠と呼ばれるのもうなずけます。 親といまいち心が通じ合わない、地元が好きになれない、私にもそういう部分があるので、自然に共感し、読み進めることができました。 きちんとミステリの構成で、心の傷を埋めていくような、すばらしいエモーションを得られます。 普段、実家によりつかないタイプの方は、きっと楽しめると思いますよ。 | ||||
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冒頭から重苦しい雰囲気で始まるこのミステリーの結末について、その仕掛けや謎解きの肝を書くのではなく、ただ読後感を述べることで果たしてネタバレになるのでしょうか。ジャンルにこだわることなく普通に小説を楽しみたいという向きにはたとえ内容が明かされた後でも本書は楽しめると思います。 米国中西部のとある町に講演に来た大学教授のルークは、そこで思いがけない女性ローラ・フェイと出会う。20年以上前の故郷での忌まわしい事件。ルークにとって彼女はその原因ともいえる存在。父親の愛人で典型的な南部の田舎娘だったローラも中年となり、若さゆえの魅力が失われたのはもちろん、その後の人生も決して順調ではなかった様子。 ルークにしても念願の歴史学者となり、いくつかの著作をものにするも、かつて夢見たような「偉大な本」とは程遠い。彼は「死なせられない夢」を抱えたまま、別れた妻に「これまでも、これから先も永遠に」、「妙に干からびた人間でしかありえないだろうと」言われる。いったいなぜなのか?そもそもそういったすべてがどこからはじまったのか? 講演終了後、ルークとローラ・フェイ(「どこか話のできる場所がないかしら?」)は近くのホテルのラウンジに行く。そこで繰り広げられるの会話は、現在と過去を行き来しつつ、互いの記憶を巡ってともに近しい人を失くした故郷での一連の出来事へと収斂していく。 思わせぶりなセリフや小道具、片隅に配置された遺物、新たな侵入者?等々、ミステリ仕立ての伏線はもちろんありますが、あざとさはなく、作者であるクックの余裕すら感じられるストーリー展開に、いつの間にやら読者は、ルークやローラの感情の起伏にシンクロするという幸せな読書体験をすることになるでしょう。 | ||||
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大学教授とかつてのウェイトレス、雑貨屋の従業員の女性。過去の破滅的な事件をもたらしたすべての誤解と謎が、二十数年ぶりのバーでの会話の中で解かれ蘇っていく・・・。 それは嫌悪し忌避していた街、父との和解であり、また彼の人生そのものを根本的に変えてしまうことになる。 ぎょっとするような驚きが用意されている作品ではありませんが、とても単純な構成の中に愛も苦しみもぎゅっと押し込められている、クックならではの小説だと感じました。 クックの小説にしては珍しい?真のハッピーエンディングなのもさわやかな読後感を与えてくれます。 | ||||
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出版社が変わったが、現在からのカットバックを繰り返しながら、丹念に過去を掘り下げていく手法は本作でも健在。 ローラ・フェイとレストランにおける対話と折々に過去に立ち戻ることが全体の大半をしめる。 以前のようなまがまさしさは薄れているが、それでも一途な将来への希望と運命に翻弄されながら織りなす人間模様に心を揺さぶられた。 エンディングの明るさの兆しにこれまでになかった新たなクックの一面を見た感じがする。 | ||||
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もう十年以上前に「夏草の記憶」を読んだのだが、これが過去と現在をタラタラ行ったり来たりの グダグダ本と(当時の)私には感ぜられ、それ以降一切クックの本は敬遠の一手だったのだが、 最新作へのレビューの評価の高さに、<これが本当に最後>と本書を読了したのだが、 読んで良かった!読み逃さなくてラッキー!、というのが正直な感想。 クックの新作は「夏草の記憶」の頃より、遥かにシンプルでありながらエッヂの効いた作りに進化していた。 私が齢を重ね、人生の経験を重ね、この作家特有の<望まない過去との邂逅>物に心引かれる 様になったということも多少はあるのか...ただ物語りの最後だけが、どうにも納得できない... (納得できる境地に至っていないと言う事か...) | ||||
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日本では文春文庫で人気に火が点き今も多くの根強いファンを持つアメリカの犯罪小説の巨匠クックのポケミス初登場となる2010年発表の老巧な力作です。本書は著者が63歳の時に書かれた作品で、大胆にも非常にシンプルな限られた舞台設定の中で物語を展開し、回想場面を挿んで過去と現在を行き来しながら人間心理の綾を精緻に描き出す事で最大限の効果を上げるという老練な巨匠ならではの大技を披露しておりまして、この味はやはり若手には出し得ない老境の著者の到達点を示していると思います。 自らの新著を宣伝する講演会の為にセントルイスの西部博物館を訪れた歴史学者ルークは、そこで思いがけない女性ローラ・フェイ・ギルロイと20年振りに再会する。動機に不審を抱きながらも彼女とホテルのラウンジで話をする事にしたルークは、やがて自分の心の中にずっと封印して来た遠い故郷の町グレンヴィルで家族に起きた悲劇の忌まわしい記憶が甦るのを感じる。 私が最近の欧米ミステリーの注目作を読んでいて特に感じるのは、推理小説がどんどん普通小説に近づいているなあという感慨です。小説の中で起きる犯罪が大枠では不自然でなく実人生で起きてもおかしくないリアリティーと説得力を備えており、謎は小ぶりでも絵空事ではない本物の物語を読んだ感触に現代の読者は安心感を覚えて、そういった傾向を歓迎している様に私には思えます。そんな作品群が主流になって行く現状については昔から謎解きパズルの本格ミステリーを愛して来た者としては複雑な心境ですが、上辺だけでない真実の人間心理がきめ細かく描写され深い情感を湛えた物語にも大きな魅力が感じられ決して悪くないなとは思います。本書は少ない登場人物、語り手の主人公ルーク、謎めいた女ローラ・フェイ、大雑把な性格のルークの父ダグ、ルークに深い愛情を注いで来た優しい母エリー、ローラ・フェイを盲目的に愛する元夫ウディ、ルークと愛し合いながらも別れた前妻ジュリア、という人々それぞれの性格を二人の会話の中から断片的に少しずつ浮かび上がらせて行きます。そこで感じるのは開けっ広げで単純その物の理解し易い性格もあれば不器用なせいで相手に自分を上手く伝えられない性格もあるという事で、その誤解が積み重なり不運な状況と絡み合って生み出される残酷なドラマを著者は冷徹に描いてみせます。哀しい事に明るい晴天ではなく暗く不運な状況で示される愛情、悪の中にも人として理解出来る同情の余地を残した悲痛な人間ドラマといった著者の資質が遺憾なく発揮された本書は地味ながらも心震わせる感動と忘れ難い余韻を残す秀作だと思います。そして訳者あとがきでも触れられている様に、物語の行く末に希望の灯をともし大きな安らぎに満ち溢れたラストは著者の素晴らしい新境地だと言えましょう。 僅かに残された著者の未訳作品の全てが今後紹介されるかどうかはわかりませんが、これからも確実に刊行されて行くだろう新作は勿論の事としてこの機会に過去の作品群も探し出して読んで行きたいと思っています。 | ||||
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おもしろいにきまっているトマス・H・クックの最新刊! またしても、ハートを裏返して、その襞のひとつひとつ、シワの溝のひとつひとつを丹念に広げて見せるかのような、繊細かつ執拗な心理描写がたまりません。 「うわぁ〜」 「そんなトコまで・・・?」 というこまかいツボを突きまくり、読んでいて唸らされること数回。 「すごい、すごい・・・」 と没頭していて、降りる駅を乗り越しそうになりましたので、通勤時読書には要注意です。 こんな本を毎週一冊読めたら最高なんだけど。 (うんざりする人もいるかも) | ||||
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主人公は,自分の人生の先行きが見えてしまう煤けた小さな町から出て行く。 自分の能力を信じて。 だけど、時間がたち視点を変えると、なんて自分のあれほど信じていた 行動が我が儘で、多くの大切なものを失うことになったのか。 クックは私たちの心のひだに潜む、善意を装った「邪悪」に光をあてる。 決して声高ではなく、告発する。 読後、読者は自分の人生を想う。佳作である。 作品は素晴らしいが、本の値段が高い。文春文庫なら半値か? | ||||
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しがない歴史学者の主人公ルークは、20年前の事件によって両親を次々と失った。 事件の発端になったローラ・フェイという女性が、ルークのもとを訪ねてくる。 避けて通りたいと思いながら、ルークは彼女の言葉から逃げ出すことができない。 そして、会話はいつしか二人の共同作業となってゆく…事件の真実、そして何よりルーク自身の真実をたぐり寄せるために。 物語の中、ルークは歴史の持つリアリティに強い憧れを抱いている。 冒頭、開拓移民の毛布を見た時彼は、その手触りと温もりにまで想像を寄せる。彼にとってそれは資料以上の存在なのだ。 この高い想像力と皮膚感覚が仕事の上でどうしても発揮できず、出版物も講義も平凡なものに終わってしまうのは果たして何故なのか、考えようとしてもそれが果たせない。そういう人物としてルークは描かれる。 対して、教養はなくともローラ・フェイは応用力が高いようで、殆ど出来すきだと言いたくなる。 この事を含め、途中の設定にはやや無理がある(例・父親が店を任せられる人にみえないこと、ウディの存在感が弱すぎること)のだが、その欠点を補うのもまたローラ・フェイ自身なのだ。 恵まれない生活にくたびれた雰囲気の描写が、十分な説得力を与えてくれる。 (個人的には映画「フローズン・リバー」のメリッサ・レオを思い出した) もうひとつ避けて通れない金銭問題も、物語に揺さぶりをかけて、不安がだんだん増してゆく。 会話中心の前半はやや冗長だが、先ほどの皮膚感覚とこの問題とを編み込ませた上での加速は、近年の作品にない破壊力をぶつけてくる。 彼と同じ選択をせざるを得なかった人が本当に居そうな気がする、それが今の世の中なのかも知れない。 移籍でこれまでの倍額近い価格になってしまったので、食費を削って費用捻出したが買って良かった。 ※本の内容とは直接関係ないが、落ち着いた灰色混じりのピンクの背表紙もローラ・フェイという女性にマッチしている。 こういった配慮はやはりありがたい。 | ||||
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クックは初期から買って読んでいたけど最近の作品は買うだけでほったらかしてましたが、移籍に驚いて買ってすぐ読んでしまいました。 話は主人公が帰郷してかつての知り合いと昔のことを話している内に過去の出来事に意外な側面が見えてくるという展開でした。ここで出てくる登場人物たちの行動や思惑に対して私は誰が悪く誰が良いとはっきりいえない複雑な感慨を持ち、何度も出てくる作者の「人生の最終的で最大の希望は何なの?」という多分読者への問いかけにも明確な答えを持てませんでした。それはこの小説を読んだ他の人もそうであろうし、もしかしたら著者のクック自身もはっきりした読者を納得させうる答えを提示できないのでは、と思いました。そしてこの境地は初期のクックも書けなかったろうと思いました。初期から更に深化したクックの小説家としての技量に感銘をうけました。私の読んでない近作でも多分更なる高みに達していることと思います。内省的だけどあまり暗くならず、読みやすいけど通俗にならない文章も素晴らしいと思います。 前の版元の時、たまたまクック担当の編集者の方とメールをやり取りする機会があり、初期の数作で未訳になってるものはどうなっているか聞いてみたら試行錯誤の時期に書かれた感じで売れそうにないので出せないのと、毎年1作書く人なので出す隙間がない、とのことでした(実際、初期ので後から翻訳された「神の街の殺人」はクックの中で売り上げが1番良くなかったそうです)。移籍を機に(言葉は悪いが)在庫一掃の形で何とか翻訳してもらえんもんでしょうか。他のクックのファンも同じ気持ちだと思いたいです。 | ||||
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