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馬を売る女
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【この小説が収録されている参考書籍】
馬を売る女の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.92pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全3件 1~3 1/1ページ
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「駆ける男」は、かつてエラリー・クイーン編『日本傑作推理12選 第2集』 にも、陳舜臣「神獣の爪」や鮎川哲也「自負のアリバイ」などの傑作と並んで選ばれた、松本清張の短編の中でも最高レベルの傑作に属する作品だと思う。 私は上記のアンソロジーで読んだのだが、今回久々に読み返したくなった。 再読しても印象は変わらない。 松本清張はロイ・ヴィカーズの『迷宮課事件簿』シリーズを高く評価し、手本とした作品をいくつも書いているが、これもその1つ。 犯人側には防ぎようのない全くの偶然によって犯行が露見する運命の皮肉を、巧みに描いている。 その点では「山峡の湯村」も同様の秀作である。 しかし・・・ 表題作の「馬を売る女」は、失敗作としか言いようがない。 冒頭にフルネームで登場する画家が、後半に登場して需要な証言をするわけでもなく、そのまま消えてしまう。 また、主人公の女性が、社長あてにかかってくる電話を盗聴すれば競馬予想の副業に使えると、いつ気がついたのか、どうやって会員組織を作ったのかの説明がない。 元々の構想は違っていたとではなかろうか。 女性に競馬予想の副業を唆した蔭の人物が存在し、その人物と、冒頭に登場した画家とのつながりから意外な背景事情が浮かび上がり、より大きな事件が明るみに出る。 そのような展開を考えていたが、諸般の事情で連載を早めに終わらせることになったとしか思えない。 松本清張が日本経済新聞に連載した「黒の線刻画」シリーズは、視聴率調査を題材にした第2話『渦』が評判を呼び、連載終了後に日本経済新聞社から単行本化されて版を重ねた。 だが第1話『網』は主人公の軍隊生活の回想部分がダラダラと長く、全く評判にならないまま1976年3月に連載終了、「お蔵入り」となっていた。 1984年になってから、光文社文庫のフェアにあわせて「今まで単行本化されていない文庫オリジナル作」として刊行されたが、やはり評判にはならなかった。 ひょっとしたら、『渦』が好評で版を重ねているのだから『網』も出版してくれと作者が新聞社に持ちかけ、断られたために、編集者と作者が決裂し、第3話『利』は当初の構想を放擲して連載を切り上げることになったのでは・・・ 『利』を『馬を売る女』と改題され、文藝春秋から単行本化されたのも、そうしたことが原因では・・・ と、邪推したくなる。 そのくらい、「馬を売る女」は出来が悪い。 | ||||
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十年前に文春文庫で読んでいる。光文社プレミアムで出版されたので、再読した。 中編1篇と短編3篇という構成だ。 表題作の中編は、地味な独身OLが馬主である社長の電話を盗聴して情報を売る。せこい裏アルバイトが思わぬ波乱を呼び、殺人に発展する。OLと孫請け業者の人物像が脳裏に明確に立ち上がる。 市井の小人の欲望や愚かさを描かせては、右に出るものがいない。 『式場の微笑』文春文庫には未収録で、今回が初読みだ。着物の着付けに流派があるとは知らなかった。和装が日常だった頃の人が知ったら大笑いだな。 優雅なはずの仕事が、生臭い現実に突き当たる。清張らしい人の悪い掌編だ。 『駆ける男』老人が急こう配の渡り廊下を走りだし、心臓発作で死んだ。事故死と思われたが? 事実露見の理由がユニークだ。一番好きだ。 『山峡の湯村』昔の流行作家が温泉宿に居候している。 事件よりも、老作家の惨めさと痛さが印象に残る。 全部初読なら、星四個だったが、再読なので三個で。 | ||||
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『式場の微笑』の入った旧版が欲しくて購入しました。 満足です。 | ||||
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