獄門島

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評判

獄門島の評価:

4.02/5点 レビュー 99件。 S ランク

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平均点4.02pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全74件 41〜60 3/4ページ
No.34
(4pt)

意外性なきミステリーの意外な第一位

映画化もされ知名度も高いこの作品は、発表後60年以上が経過しているにもかかわらず、週刊文春臨時増刊「東西ミステリーベスト100」2013年度版の国内編第一位に選ばれ、またおよそ四半世紀前の1986年度版でもやはり第一位を記録している。不動の名作として君臨している本作が国内ミステリーに与えた影響は計り知れないだろうとは思うが、虚心坦懐にこの作品をミステリーとして評価した場合、果たして第一位に値するのかどうか、疑問の余地があると個人的には思う。少なくともこの作品を「日本一面白いミステリー」として薦める気にはなれない。
 獄門島。不吉な歴史に彩られたこの狭い島で、本鬼頭の跡取りである鬼頭千万太の復員船での病死が伝えられるやいなや、その三姉妹が俳句になぞらえて一人ずつ殺されてゆく。この状況設定にアガサ・クリスティー『そして誰もいなくなった』の影響をみるのはたやすいし、動機の弱さもしばしば指摘されるところであるが、それよりも何よりも「犯人の意外性」がほとんどないところが、この作品の最大の弱点ではないだろうか(『そして誰もいなくなった』にも同様のことが言える)。最初の殺人事件後にある人物がつぶやく一言がキーワードになっているのだが、だれもが怪しいと思う人物が結局犯人ではがっかりもする。さりとて殺害方法や動機に革新的な意外性があるわけでもない。
 むろん本作が駄作だとは言わない。面白いことは間違いないし、緻密な描写といい、入念なプロットといい、また映像化によってさらに引き立つ和風ホラーの雰囲気といい、典型的な横溝作品ではある(ちなみに1977年に公開された角川映画は犯人に若干の脚色があるもののほぼ原作に忠実な映像作品となっている)。圧倒的知名度を誇る本作を国内ミステリー第一位の座から引きずり下ろす作品が、今後登場することをひそかに期待したい。
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル) Amazon書評・レビュー: 獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304032
No.33
(5pt)

横溝正史を読むなら、テキスト改悪のない正しい校訂の本を買おう

横溝正史や探偵小説に詳しい人には周知の事実なのだが、角川文庫のテキストは長年にわたって改竄された代物である。
『獄門島』でいうと黒背(緑304)時代の昭和51年発行21版以降おかしな改変をやり始め、『金田一耕助ファイル』となってからは解説もなくなり、
章立てに「プロローグ」「エピローグ」なんて元々なかった見出しを付けたり、語句変更をやらかしている。
『獄門島』を現行本で読むなら、あとで後悔しないためにも本書もしくは創元推理文庫『横溝正史集』で読もう。
くれぐれも、ネット(twitter)の角川文庫ゴリ推しなどには踊らされないように。

本書には附録資料として「作者の言葉」「初刊本あとがき」「獄門島懐古」「特別座談会/父・横溝正史を語る その1」、加えて「獄門島要図」を収録。
「獄門島懐古」は絶版状態の『真説金田一耕助』収録のエッセイ。他の巻へも部分収録されているが、『真説』はこういう小出しではなく完全復刊するべきで、
巻末附録内容は単行本未収録エッセイや「特別座談会」のような新規の正史関係者インタビュー等で固めてほしかった。
ここがもっと強力な内容だったら『横溝正史自選集』はより注目されるのだが・・・。

『東西ベストミステリー100』(2012)で『獄門島』が国内一位になり、尻馬に乗って急遽角川文庫が大重版をかけるらしく、
カバーを「杉本一文」版と現行の「一文字」版のどちらがいいかとtwitterで角川の社長が言い出した。
それを見た人の多数が「杉本」版希望とリプライしたが、次の日には営業の人間が「一文字」版を強行したので結局「現行のままでいく」との社長の弁。
これじゃあ何のためにアンケートしたか意味ないよね。
社内のコンセンサスはとれていないし、ユーザーが何を望んでいるか全く理解できてないのだ。

カバーをコロコロ変えても肝心のテキストを正しく作れないようでは持っている価値はなし。
私はもう角川書店には何も期待していないし、これ以上横溝正史を汚さないでもらいたい。
横溝正史自選集〈2〉獄門島 Amazon書評・レビュー: 横溝正史自選集〈2〉獄門島より
4882933136
No.32
(5pt)

横溝正史を読むなら、テキスト改悪のない正しい校訂の本を買おう

横溝正史や探偵小説に詳しい人には周知の事実なのだが、角川文庫のテキストは長年にわたって改竄された代物である。
『獄門島』でいうと黒背(緑304)時代の昭和51年発行21版以降おかしな改変をやり始め、『金田一耕助ファイル』となってからは解説もなくなり、
章立てに「プロローグ」「エピローグ」なんて元々なかった見出しを付けたり、語句変更をやらかしている。
『獄門島』を現行本で読むなら、あとで後悔しないためにも本書もしくは創元推理文庫『横溝正史集』で読もう。
くれぐれも、ネット(twitter)の角川文庫ゴリ推しなどには踊らされないように。

本書には附録資料として「作者の言葉」「初刊本あとがき」「獄門島懐古」「特別座談会/父・横溝正史を語る その1」、加えて「獄門島要図」を収録。
「獄門島懐古」は絶版状態の『真説金田一耕助』収録のエッセイ。他の巻へも部分収録されているが、『真説』はこういう小出しではなく完全復刊するべきで、
巻末附録内容は単行本未収録エッセイや「特別座談会」のような新規の正史関係者インタビュー等で固めてほしかった。
ここがもっと強力な内容だったら『横溝正史自選集』はより注目されるのだが・・・。

『東西ベストミステリー100』(2012)で『獄門島』が国内一位になり、尻馬に乗って急遽角川文庫が大重版をかけるらしく、
カバーを「杉本一文」版と現行の「一文字」版のどちらがいいかとtwitterで角川の社長が言い出した。
それを見た人の多数が「杉本」版希望とリプライしたが、次の日には営業の人間が「一文字」版を強行したので結局「現行のままでいく」との社長の弁。
これじゃあ何のためにアンケートしたか意味ないよね。
社内のコンセンサスはとれていないし、ユーザーが何を望んでいるか全く理解できてないのだ。

カバーをコロコロ変えても肝心のテキストを正しく作れないようでは持っている価値はなし。
私はもう角川書店には何も期待していないし、これ以上横溝正史を汚さないでもらいたい。
横溝正史自選集〈2〉獄門島 Amazon書評・レビュー: 横溝正史自選集〈2〉獄門島より
4882933136
No.31
(5pt)

金田一さんに思う

戦前までの地域社会は非常に単純な構造であったことが良くわかる。
物語はもちろん探偵もの。犯人を探し出し、事件を解決すればそれで終わり。

しかし、横溝作品はその当時の社会の様子。現代、とりわけ都市生活者にとって
想像だに出来ない社会のつながりを示してくれる。

戦前、戦中を通して作者が東京から地方へ移り住んだときの
印象、地方のいわゆる村社会の構造が、都市都では考えにくい程、閉鎖的で
完結したものであった事がすでに作者の心に深い印象を刻んだことが良くわかる。

そういう日で再読するのもまた、おもしろいと思う。
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル) Amazon書評・レビュー: 獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304032
No.30
(5pt)

戦後ミステリー黎明期を代表する名作

巧妙な伏線、奇抜なトリック、そして意外な犯人。謎解きミステリーの面白さをたっぷりと備えながら、それが、独自の掟や習わしが国家の法よりも優先される特異な閉鎖社会と、そこでの人間関係の中で合理化され、豊かな物語性へと溶け込んでゆく。そこに繰り広げられるのは、あたかも錦絵を見るような絢爛華麗なミステリー絵巻である。これだけで充分秀作の栄誉を冠してもいいが、本作は、敗戦を背負った復員兵の金田一耕助に象徴される近代化と欧米化の波が、明治維新をも生き延びた日本独自の前近代的な村社会を解体してゆくという、終戦後の日本の社会変化を写した作品ともなっている。欧米ミステリーに肩を並べる水準の高さと、戦後の時代を作品の底に色濃く刻みこんでいるという二点において、横溝のこの『獄門島』は、坂口安吾の『不連続殺人事件』と双璧をなす、戦後の日本ミステリー黎明期にそびえ立つ巨峰であると考える。
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル) Amazon書評・レビュー: 獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304032
No.29
(5pt)

妖しくも儚い事件

横溝作品の中でも最高傑作とも呼ばれる本作品ですが、確かに巧みなプロットがなされています。

古い因習が残る島において次々と起こる殺人事件…とここまではよくある筋書きです。
しかし、随所に散りばめられるヒントや事件の起きた経緯、動機についてはかなり練りこまれています。
一般的な殺人の動機(金欲、怨恨等)による殺人か、狂気による殺人かということで揺れ動く犯人像ですが、最後にはあっと驚かされることとなるでしょう。

殺人手法は、少々無理があるのではないかと思われる部分もなくはないのが正直なところですが、あくまでもフィクションとして楽しめる作品だと思います。
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル) Amazon書評・レビュー: 獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304032
No.28
(5pt)

不朽の名作!

無理の多い話をいかにもっともらしく語るか、それが成功しているのが本作。
戦後の混乱、因縁めいた島、対立する二つの旧家等の舞台設定により、
かくも魅力的な物語を作り出している。
戦友から託された願いを懸命に果たそうとする(お約束どおりできないのだが)
金田一も、シリーズ中で最も魅力的に描かれていて、憎むべき犯人にさえ見せる
やさしさに彼らしさを感じる。
ストーリー、トリック、猟奇さ、巧みな人物描写、意外な犯人等々、何拍子も揃った
不朽の名作であり、特に殺人に必要な3つの条件が実は・・・・・というあの展開は、
実に見事だと感じた。 
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル) Amazon書評・レビュー: 獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304032
No.27
(5pt)

文芸作品として読んでも面白い!

着想といい舞台といい天才的です。
単に推理小説としてだけでなく、文芸作品としても価値がある気がします。
ここに描かれた人間関係図はリアリティーをもって迫ってきます。(もしかして、芥川賞もの?)
時代考証などもすぐれています。
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル) Amazon書評・レビュー: 獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304032
No.26
(5pt)

世界レベルで最高の傑作タンテイ小説

「ミステリ」でなく、懐かしい古典的探偵小説として、横溝の、日本の、否、世界のタンテイ小説史上最高の傑作。ネタバレになるので書けないがトリックの一つは日本の土俗的雰囲気の中できわどいミスディレクションが駆使されていて、何回読んでもため息が出るほど。この素晴らしさを評価できる方こそ本当の「探偵小説」ファンといえるでしょう。
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル) Amazon書評・レビュー: 獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304032
No.25
(5pt)

なんともいえぬ美しい殺しかた

横溝正史の魅力が凝結した一作である。横溝ほど万人に愛される推理作家も珍しいと思うが、
それにはやはり、トリックもふまえて革新的な開拓者の面を持ちながら、あくまで舞台背景に
強い拘りを持つ頑固職人的な二つの側面を合わせ持ち、尚且つそれが何の衒いもなく自然に
融和し、独自の世界観を築いているからだろう。
ここでのレビューでも、多くの名前が出ているが、まさに本作では英米の本格黄金時代に活躍
した作家達から多大なエッセンスを吸収しており、そのパズル要素を日本独自の因業が揺曳し
封建の極みともいうべき獄門島という舞台で、芭蕉の俳句など和の美で構築された見立て殺人
を用意した事により無類の一品になっており、まさに唯一無二の横溝の世界というものが最初
に確立した作品だろう。
そして、もう一つ重要な要素として人間の描写があり、彼の経歴や遅咲きの成功からもくみと
れる事だが、「人間」というものに対しての非常な関心と観察の才があり、真実それこそが
最も天才的な部分だと個人的には思っている。。この作品の批評で犯人の動機がおかしい云々
というのは必ず上がる声だが、果たしてそうか?これ以上「人間」らしい動機が存在するの
だろうか?横溝作品に関して謂えば、動機がおかしい等は、むしろ誉め言葉である。背後に
裏打ちが見えるからこそである、努力の結晶が見えるからこそである。。
それにしても、物語にどれだけ妖気がたちこめようとも邪知が跋扈しようとも、最終的には
胸がジーンと感動する感覚に陥るのは純粋に不思議だ。。それには、やはり金田一耕助に
抱いてしまう親愛の情に近いものがあるからなのかもしれない。
そういう意味では横溝の作品は、総合的には中庸を保ちえていて推理小説という枠組み内に
捉われず一つの話として高い完成度を誇っていると感じる。まあ、この作品はその最たるもの
か。。永遠に伝達されるべき名作だ。
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル) Amazon書評・レビュー: 獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304032
No.24
(5pt)

「Yの悲劇」のようにパズル小説としての究極を極めた作品

本書は日本推理小説史上、最高傑作である。 が、本書に不満を言う人も少なからずいるようだ。最も多いのは金田一探偵の犯罪阻止についての無能ぶりに対する批判、次に多いのは殺人動機に納得できないということらしい。
それでまず、金田一探偵の犯罪阻止についての無能ぶりについて。
皆勘違いしているが、探偵の役割は謎を解き明かすことであって、犯罪を阻止することではない。例えば「Xの悲劇」のレーン、「エジプト十字架の謎」のクイーン、「ABC殺人事件」のポアロ、「グリーン家殺人事件」のヴァンス、皆、犯罪阻止に関して無能だった。
それに、次々と連続殺人が起き、探偵側が犯人に翻弄されながらも最後に謎を解き明かすから本格推理小説は面白いのだし、探偵が一々犯罪を阻止していたら推理作品自体が成り立たない。
それと動機について。
エラリー・クイーンを例に挙げると、推理小説を論理的なパズル小説と位置づけ、謎解きの整合性を何よりも重視し、動機など二の次としている。それは例えば「エジプト十字架の謎」では、解明された殺人動機も犯人がアレほどまでの殺人を起こさなければならなかった動機としては弱いし、同年書かれた「Yの悲劇」などは動機があるのかないのかよく分からないながらも、謎解きの論理を究極に極めたパズル小説として未だ最高の推理小説として賞賛されていることを見れば明らかなとおり、本格推理小説においては動機など瑣末なものに過ぎない。
本書も同様、作者は「Yの悲劇」のようにパズル小説としての究極を極めた、ただそれだけのことだ。
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル) Amazon書評・レビュー: 獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304032
No.23
(5pt)

日本本格ミステリのオールタイム・ベスト1

ヴァン・ダイン『僧正殺人事件』、クリスティ『そして誰もいなくなった』における
《童謡見立て殺人》に触発されて書かれた本作。
海外発祥のアイディアを日本の伝統的な《見立て》と連結させ、巧みに翻案しています。
また、《見立て》以外にも、本作を語る上で避けて通れないのは、
作品構造の根幹をなすのが、《操り》であること。
クイーン『Yの悲劇』からの影響も考えられますが、本作の事件を影で支配する
黒幕の計画は、すべて実現され、名探偵であるはずの金田一は(いつも通り?)
事件を防ぐことはできず、後追いの解説役にしかなっていません。
しかし、すべてが終わってみると、結果的に黒幕の
計画自体が無意味であったことが明らかになります。
金田一だけでなく、黒幕も事件に対し、超越的な立場には立てず、結局は誰もが
気まぐれな運命によって翻弄されていたにすぎなかったという、きわめて現代的な
読後感が漂います。
横溝正史自選集〈2〉獄門島 Amazon書評・レビュー: 横溝正史自選集〈2〉獄門島より
4882933136
No.22
(5pt)

日本本格ミステリの代表作

ヴァン・ダイン『僧正殺人事件』、クリスティ『そして誰もいなくなった』における
《童謡見立て殺人》に触発されて書かれた本作。
海外発祥のアイディアを日本の伝統的な《見立て》と連結させ、巧みに翻案しています。
また、《見立て》以外にも、本作を語る上で避けて通れないのは、
作品構造の根幹をなすのが、《操り》であること。
クイーン『Yの悲劇』からの影響も考えられますが、本作の事件を影で支配する
黒幕の計画は、すべて実現され、名探偵であるはずの金田一は(いつも通り?)
事件を防ぐことはできず、後追いの解説役にしかなっていません。
しかし、すべてが終わってみると、結果的に黒幕の
計画自体が無意味であったことが明らかになります。
金田一だけでなく、黒幕も事件に対し、超越的な立場には立てず、結局は誰もが
気まぐれな運命によって翻弄されていたにすぎなかったという、きわめて現代的な
読後感が漂います。
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル) Amazon書評・レビュー: 獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304032
No.21
(5pt)

「時代」が生み出した奇跡的な傑作

『獄門島』がいまもなお、傑作であり続けるのには2つの理由がある。
ひとつは、終戦直後の日本でしか描きえなかった時代背景。
戦争のため供出され、獄門島という瀬戸内海の島に戻ってくる寺の鐘は
その象徴といえるし、そこには個人の思惑を超えた「運命」がある。
ふたつめは、青年の初々しさを残す金田一耕助をはじめとする人物造形。
のちの作品に登場する金田一は洒脱さも兼ね備えており、それはそれで
味があるのだけれど、本書の金田一からは青年ならではのまっすぐな視
線とやさしさを感じる。
事件は陰惨だが、読後は薄闇から光が射したような爽やかさがある。
過剰な感情や情報をおしつけられる(ように感じる)小説が多いなか、
この作品を何度も読み返してしまうのは、そのミニマムな魅力にあるの
かもしれない。原点に帰りたいときに、読む一冊。
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル) Amazon書評・レビュー: 獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304032
No.20
(4pt)

瀬戸内の島

 言わずと知れた横溝正史の傑作。
 相変わらず、金田一の役立たずっぷりがすごい。殺人を防ぐためにやってきたのに、誰一人として助けられないとは。
 トリックというかプロットとしては確かに傑作だ。すっかりだまされてしまう。
 とはいえ、色々と納得できない点も残るので、星は4つ。
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル) Amazon書評・レビュー: 獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304032
No.19
(5pt)

今はもう読めない内容だと思う

時代が時代なので許された表現とテーマである。
今の時代ではとても出版されなさそうな内容にカルチャーショック。
私にとって初の金田一(子供時代は明智で育ったため)だったが
大人が読むとすると明智よりはるかに謎解きが楽しい。
しかし明智より腕は劣るかもしれない。
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル) Amazon書評・レビュー: 獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304032
No.18
(5pt)

理想的なあまりにも理想的な

 あくまで、個人的見解では、ありますが、横溝正史著『獄門島』は、パズラーの最高峰の高見に上り詰めた作品といえるでしょう。これ程の作品は大横溝でも2度書けなかった。それぐらいバランスがいい。あるいみ神懸り的な作品です。もっとも50年以上も前の作品を持ってきて「最高です!最高です!」と連呼してもあまり意味がないかもしれない・・・それにそれを連呼することは、それ以後のミステリ作家の努力を軽視しているようで失礼な気さえする・・・しかし、このバランス感は捨てがたい・・・それぐらいパランスがいいのです。
 犯人が仕掛けるトリックや解明のプロセスは、爪が甘かったりして「こんなにうまくいくのか?」という疑問がないわけではありません。こうした点は横溝正史というひとは甘い部分があって「エラリー・クイーン」だったらもっと緻密にするだろう、怪奇趣味もカーならもっとくどく書くだろう・・・しかし、細部の不満が全体としては欠点になっていない。全体の構成の上手さが細部の欠点をカバーして、気にならない仕上がりになっています。なによりも人間が生き生きしている。題名からおどろおどろしい印象を受けがちですが、むしろ全体的に明るい雰囲気さえ漂っている。山狩りの場面で金田一耕助と床屋の清公の掛け合いに思わず、ニヤリとしていまう・・・しかし、この部分が解明の重要な伏線になっていて非常に上手い。全体として描写や登場人物に無駄がないのです。また、『本陣殺人事件』でもそうでしたが、トリックが犯人の人間性と有機的に結びついていてトリック自体が犯人を象徴している点は驚嘆に値します。トリック中心でなく、人間関係から事件が起こってくる・・・いわゆる黄金期のパズラーでなく「モダーン・ディティクティブストーリー」であり、少しも古くなっていない。恐るべき作品です。「横溝はカーの影響が・・・」がとよく言われましたが、むしろ、作風自体はクリスティに近い。クリスティ好きなら間違いなく感服するでしょう。
 もっとも、評論家的な立場に立った時は、『獄門島』は横溝正史の最高作であると断言するのですが、個人的な趣味でいうと、『犬神家の一族』『悪魔が来りて笛を吹く』の方が贔屓だったりする・・・この辺が個人の趣味で難しいところですね・・・
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル) Amazon書評・レビュー: 獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304032
No.17
(5pt)

今読んでも、やはり良い。

石坂浩二の犬神家、TBSの古谷一行主演の金田一シリーズで横溝正史にはまった中学時代、そして昨年の犬神家のリバイバル上映で、30年ぶりに再度横溝、金田一を買い直し、読みました。やはり最高傑作は、獄門島。孤島で始まる奇奇怪怪の猟奇殺人、俳句に秘められた謎、名探偵、金田一耕助の推理は、やはりシリーズ最高傑作と思います。本格推理の名品数あれど30年経っても、やはり自分のNO.1は横溝です。金田一シリーズで、その他のお奨めは、「本陣殺人事件」、「八つ墓村」、そして「夜歩く」あたりでしょうか。横溝に駄作、凡作は在りませんが。
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル) Amazon書評・レビュー: 獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304032
No.16
(5pt)

作者が語る、童謡殺人と本書執筆のきっかけ

横溝正史の、そして国内本格推理小説の最高傑作です。
いわゆる「孤島もの」で芭蕉の俳句による「見立て殺人」は、アガサ・クリスティーの『そして誰もいなくなった』に触発されたものです。
元々はヴァン・ダインの『僧正殺人事件』を読んで、童謡の歌詞どおりに殺人が起こるというアイデアに感服しはしたものの、二番煎じと叩かれることを懸念して二の足を踏んでいたところ、クリスティーが同じようなことをやっており、それが許されるのだから、じゃあ自分もやってみようと思い立ったということが『真説 金田一耕助』(横溝正史著・角川文庫)に記されています。
日本探偵作家クラブ賞を受賞した坂口安吾『不連続殺人事件』や、そのとき次点に終わった高木彬光『刺青殺人事件』よりも、3位だった本書の方が上だと思いますが、横溝正史はその前年に『本陣殺人事件』で同賞を受賞しているため評価が抑えられたのだと思います。
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル) Amazon書評・レビュー: 獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304032
No.15
(5pt)

金田一最初の事件

 終戦直後の瀬戸内海を舞台にストーリーが展開します。
獄門島という閉鎖空間の不気味さは勿論ですが、
ストーリーに厚みを増しているのは、日本独特の
地方社会における閉鎖性・封建制だと思います。
殺人の仕方がどれもビジュアル的で美しい。
その一方で、ストーリーの根底には
封鎖社会における、おぞましさが色濃く描かれています。
筆者としては、出版当時にも色濃く残っていた
地方社会の封鎖性へのアンチテーゼも表現したかったのではないでしょうか?
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル) Amazon書評・レビュー: 獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304032