悪魔の降誕祭
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悪魔の降誕祭の総合評価:
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全2件 1~2 1/1ページ
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横溝はあまり好きではないが | ||||
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金田一耕助の不覚!留守中に依頼女性が殺される!表題作含む傑作短編集! | ||||
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<表題作の感想のみ> いやぁ、クリスマスが降誕祭であることくらい知っていた筈なのに、読み進めるまで本書の題名が“クリスマス殺人事件”の横溝的翻訳に過ぎないと気づかなかった。油断し過ぎだ……w。 ところで、金田一耕助と云えば、揶揄い半分に防御率の悪さがよく指摘される。 彼が事件に介入した後も、犠牲者はどんどん増えるじゃないかとw 長篇作品では、間を持たせるためにもビジュアル的に華やかにさせるためにも、連続殺人になり勝ちというメタな理由もあるのだけれど、このところ中短篇のマイナー作品を集中して読んでいると、耕助が必ずしも守れないわけではないし、犠牲者がでない方向に尽力することだってあるじゃないかという印象を持った。 しかし、本作はアカン。 彼が緑ヶ丘に転居してきてから一年と経っていないだろうに、早くも事務所で殺人か……ということはさて置き、そこまではまぁ彼に落ち度はないだろう。 依頼者が自分自身の身の危険を感じていたのか、あるいは周囲の誰かの身を危うんでいたのかは、その時点で明確ではなかったが、怖れどおりに実際に死んでしまったことは事実だから、一種の予告が実現されたとも云える。 そして、金田一耕助事務所の日めくりカレンダーが5日先まで進められており、この時点ですでに耕助は、そこに不穏な予感を持っている。 当然所轄の捜査も入り、被害者に近い関係者も呼ばれて、周辺事情も聞き込みされる。 そして部屋の捜索が終了しても、捲られた5日分の日めくりは見つからない。 そうなると、状況から死んだ依頼者が自殺した可能性は低いし、めくったカレンダーは所持していなかったのだから、12/25に何かが起こるメッセージにせよ、ただのイタズラにせよ、カレンダーを進めたのは犯人で、捲った紙はその人物が持ち去った可能性が高いとなる。 ここで金田一耕助と所轄の島田警部補は、その可能性について会話までしている。 もちろんこの時点では、警察が関係者の身辺警護をするまで真剣にはなれないだろう。警察にそんな余力はない。しかしだからこそ、関係者にその可能性は僅かにでもあることを伝えて12/25当日はおとなしく過ごすようにアドバイスすべきだろう。 金田一耕助の直感は鋭いが、十分自信が持てるまではなかなか周りに伝えないことは、等々力警部が再三ぼやいているが、今回は島田警部補だってその可能性を指摘しているわけだし。 もちろん関係者に自粛の強制はできないし、仮に彼らがその情報を伝えられたとして、なおさら大勢で過ごすほうが安全だと考えても不思議ではない。パーティーなんか催いたら、絶対事件が起きるでしょと確信できるのは、探偵小説の読者だけであるw しかし僅かなりと危険の可能性を伝えられていたら、さすがにあれだけ間抜けなこっそりムーブは自重したのではないかw それはともかくも、果たして殺人事件が発生し、金田一、等々力、島田などが現場に急行するが、彼らに一切罪の意識はない。むしろ自分たちの勘が中ったことをかすかに喜んでいる風も……。 そーゆーところだよ。 そんな展開がシリーズを通じて散見するから、全体として、金田一耕助に犠牲者予備軍を守る意思なんてないと揶揄されるわけだw | ||||
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本書は表題作の「悪魔の降誕祭」をはじめ、「女怪」「霧の山荘」の2篇を収録した横溝正史の短篇集。すべての作品に名探偵・金田一耕助が登場する。収録された3作品いずれも秀逸な出来栄えだったが、恋する金田一が登場する「女怪」が個人的に一番面白かった。 ●悪魔の降誕祭 「悪魔の降誕祭」は昭和33年1月「オール読物」で発表され、加筆のうえ同年7月に単行本化された作品。緑ヶ丘荘を出ようとする金田一耕助のもとに、小山順子と名乗る女性から電話がかかってきた。殺人事件が起きそうだという彼女の切迫した様子は気になったが、等々力警部との先約があった金田一は、夜9時に訪ねてくるように告げ電話を切る。 しかし、約束の時間に帰宅した金田一を待っていたのは、部屋に横たわる女の死体であった。管理人の話や所持品から、その女はジャズシンガー関口たまきのマネージャーを務める志賀葉子であることが判明する。さらに、彼女を殺した犯人は日めくりカレンダーが12月25日を示すよう、わざわざ破っていったのだった。 そして降誕祭の日。関口たまきの自宅では新築の家の披露を兼ねて内輪のパーティが開かれていたが、その最中にたまきの夫である服部徹也が刺し殺されてしまう。しかも、たまきとの仲を疑われているピアニスト・道明寺修二や、在米中から道明寺と懇意だった未亡人の柚木繁子など、出席者にはみな確かなアリバイが存在していた……。 いきなり金田一耕助のフラットで死体が発見されるという珍しい展開のお話。留守中に訪れた依頼人が毒殺されていたにもかかわらず、警察からまったく疑われないばかりか、逆に捜査の進め方を訊かれたりしていたのは実に金田一らしくて微笑ましい。 冗談のような事件で幕を開けるわけだが、内容はいたって真面目な本格推理小説である。男女間の愛憎表現は適度に抑えられており、関係者の証言を丁寧に積み重ねていくことで、犯行の不可能性を一つずつ立証していく。そして最後に明らかになる意外な犯人。その不気味さ、狡猾さが強く印象に残った。 <登場人物> 志賀葉子 … 小山順子と名乗り、金田一の部屋で毒殺される。 関口たまき … ジャズシンガー。マネージャーは志賀葉子。 関口梅子 … たまきの伯母。 服部徹也 … たまきの夫。銀座裏でバーを経営。 服部可奈子 … 徹也の先妻。離婚調停中に服毒自殺した。 服部由紀子 … 徹也と可奈子の娘。関口たまきの養女。 浜田とよ子 … たまきの弟子兼女中。 道明寺修二 … ピアニスト。たまきとの仲を疑われている。 柚木繁子 … 在米中から道明寺と懇意だった未亡人。 山崎 … 金田一が住むフラット「緑ヶ丘荘」の管理人。 山崎よし江 … 山崎の妻。 佐々木先生 … 緑ヶ丘病院の院長。 島田警部補 … 緑ヶ丘署の捜査主任。 久米警部補 … 荻窪署の捜査主任。 山口刑事 … 緑ヶ丘署の刑事。 坂上刑事 … 荻窪署の刑事。 等々力警部 … 警視庁捜査一課所属の警部。金田一耕助の相棒。 金田一耕助 … 自宅のフラットで女性の死体が発見された探偵。 ●女怪 「女怪」は昭和25年9月「オール読物」で発表された作品。「八つ墓村」事件を解決し懐が豊かになった金田一耕助が、探偵譚を書いてもらっている“先生”こと横溝正史を伊豆のN温泉に誘うところから始まる。 噂に名高い予言者、狸穴の行者こと跡部通泰の修験場が近くにあるという話を聞く二人。しかもその屋敷の元の持ち主は、銀座裏のバー「虹子の店」のマダムで、金田一が想いを寄せている持田虹子だった。修験場へと向かった金田一と先生は、墓地から木の箱を抱えて出てきた跡部に遭遇する。その周辺では最近、墓場あばきが頻発していた……。 不穏な噂を耳にし、愛しいマダムの幸せを守ろうと調査に乗り出す金田一。当時の金田一は大森の割烹旅館「松月」に居候しているのだが、わざわざ銀座裏のバー「虹子の店」に通いつめるほど、マダムである持田虹子への思いを強くしていた。先生をその店に呼び出して彼女を評価してもらうなど微笑ましいシーンもあり、恋に身を焦がす切ないその姿は他の作品に見られないものといえる。ファン必読の一篇。 <登場人物> 持田虹子 … バー「虹子の店」のマダム。金田一が恋い慕う。 持田恭平 … 脳溢血で死亡した虹子の夫。持田電機社長。 跡部通泰 … 「狸穴の行者」と称する祈祷師。 賀川春樹 … 虹子の恋人。貿易商。元子爵の息子で海軍中佐。 おすわ … 宿屋「柏木」の女将。 金田一耕助 … 先生と伊豆の鄙びた温泉宿に逗留する私立探偵。 先生 … 金田一耕助の記録係を務める小説家。 ●霧の山荘 「霧の山荘」は昭和33年11月「講談倶楽部」で発表された「霧の別荘」を改稿した作品。本編では名前が伏せられているが、「香水心中」や「仮面舞踏会」と同様に軽井沢を舞台にしている。避暑地・軽井沢が気に入った横溝正史は中軽井沢の南原に別荘を建てており、愛着のある別荘地を作中に登場させたようだ。 東京の残暑を逃れ、K高原のホテルに滞在していた金田一耕助を江馬容子と名乗る若い女性が訪ねてきた。元映画スター紅葉照子の使いだという彼女は、30年前に起きた未解決殺人事件のことを相談したいという。その夜、深い霧に阻まれ迷いつつも照子の別荘に辿り着いた金田一は、窓越しに血を流して倒れている照子を発見する。ところが、警察を呼びに行き別荘に戻ってくると、照子の死体は跡形もなく消えてしまっていた……。 まず避暑地である軽井沢という舞台設定が面白く、死体消失の謎や過去の迷宮入り事件など読み応えも充分。2つのよく似た別荘を使ったトリックであることは早い段階で判明するのだが、誰が何のためにそれを行ったのかという点が最後まで分からなかった。 なお、今回も金田一の相棒・等々力警部が偶然遊びに来ていて事件に巻き込まれるのだが、いくら仲が良いとはいえ一緒になって不法侵入するのはさすがにまずいのではないだろうか。 <登場人物> 西田照子 … 元映画スターの紅葉照子。K高原M原の別荘に滞在。 西田稔 … 照子の亡夫。医学博士。 西田武彦 … 稔の甥。江馬容子のいとこ。 江馬容子 … 稔の姪。金田一を訪ねてきた雑誌記者。 川島房子 … 照子の姉。昔は照子のマネージャーをしていた。 杉山忠雄 … 照子が映画界で活躍していたころの恩人。 杉山平太 … 派手なアロハを着た若い男。忠雄の遺児。 長田署長 … K署の署長。 岡田警部補 … K署の捜査主任。金田一とは顔なじみ。 友井刑事 … K署の刑事。当初、金田一に失礼な言辞を吐く。 江川刑事 … K署の刑事。 有吉刑事 … K署の刑事。 工藤刑事 … K署の刑事。 等々力警部 … 警視庁捜査一課所属の警部。金田一耕助の相棒。 金田一耕助 … K高原で避暑を兼ねて静養していた名探偵。 | ||||
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角川文庫の〈金田一耕助ファイル〉シリーズを読んでいる。ファイル15の『悪魔の寵児』まで読み終え、次は順番からゆくとファイル16の『悪魔の百唇譜』である。この『悪魔の百唇譜』を注文したつもりで誤って購入したのが、本書の『悪魔の降誕祭』である。誤って購入してしまった本ではあるのだが、そもそも大好きな横溝正史氏の金田一耕助モノであることには変わりなく、誤りに気付いたといっても別に後悔することなく読み始めた。読んでみると実に面白かった。 本書にはタイトルとなっている「悪魔の降誕祭」の他に「女怪」「霧の山荘」の2編が収められており、計3編の短編小説が収載されている。どの3編も謎解きが相当に面白く、実に楽しめた。個人的にはこの3編を一冊にまとめず、時系列(金田一耕助の活躍年次)に並べかえて、〈金田一耕助ファイル〉シリーズのどこかに3編とも加えても良いのではないかと思う。そう思うぐらい面白かった。 思えばシリーズのファイル4は『悪魔が来たりて笛を吹く』、ファイル12は『悪魔の手毬唄』であった。金田一耕助モノの〈悪魔シリーズ〉は、これで読み終えることができたのかもしれない。もともと本書は誤って注文したものではあったが、まさに怪我の功名、誤注文した時の自分に感謝です。 | ||||
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味わいのある中編「霧の山荘」。 テレビの金田一耕助シリーズでも映像化されている。 軽井沢の別荘地で深い霧に迷ってしまう金田一の出だしのエピソードは 同じだが読み進むごとにストーリーが全く違う。 二つの別荘トリックが原作では中心的モチーフ。 一方テレビシリーズでは金田一を試そうという紅葉照子のお遊び、 導入部のエピソードに過ぎない。 ちなみにテレビシリーズではその後の展開が全く違うのでタイトルは 同じだけれどこちらの原作とテレビ作品は別の物語になっている。 「女怪」は金田一耕助のプライベートな部分に触れた異色作。 タイトルは内容と少々不釣り合い。 意外な結末が用意されているが若干強引な印象。 | ||||
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