幽霊男
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幽霊男の総合評価:
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全2件 1~2 1/1ページ
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あまり知られていない作品ですが、やはり横溝ワールド満載の見逃せない1冊! | ||||
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まったく筋道が通らないこと。度外れなこと。また、そのさま。めちゃめちゃ。「―なストーリー」 | ||||
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「幽霊男」は昭和29年1月から10月まで雑誌「講談倶楽部」に連載された横溝正史の長篇推理小説。名探偵・金田一耕助シリーズの一つであるが、いわゆる岡山ものとは異なり、江戸川乱歩的なエログロ猟奇サスペンスを楽しめる通俗ミステリとなっている。 神田神保町の裏通りにある「共栄美術倶楽部」は、画家や素人ヌード写真家にモデルを紹介する仲介業者。いかがわしいサービスも提供するとあって、一流とはいえないヌードモデルたちがたむろしており、猟奇クラブという怪しげな団体のたまり場にもなっていた。ある日の夕方、そこに「佐川幽霊男」を名乗る不気味な男が現れる。 幽霊男とは本名の由良男をもじったもので、倶楽部の上得意客である加納三作の紹介で来たという。長髪にベレー帽、黒眼鏡、襟巻などで容貌は判然としなかったが、口の中に三本だけ生えた歯が薄気味悪いものを感じさせていた。広田支配人も加納の紹介では無下にもできず、小林恵子という不人気のモデルを紹介した。 翌日、幽霊男のアトリエに連れ込まれた恵子は、麻酔薬をかがされ行方不明となる。なかなか戻らない彼女を心配した倶楽部の関係者が警察と共に行方を追ったところ、聚楽ホテルの一室で惨殺死体となって発見されてしまう。倶楽部の常連で新聞記者をしている建部健三は、恵子の事件をスクープして一躍その名を上げるが、事件はそれで終わらなかった。同じ倶楽部の所属モデル都築貞子も幽霊男の毒牙にかかり、無惨に命を落としたのである。 警察は吸血癖のある狂人画家・津村一彦が事件に関わっているものとして捜査を続けていただが、一向に進展せぬまま一ヶ月が経過した。幽霊男の出現により二回も例会を棒にふった共栄美術倶楽部は、伊豆のS温泉にある高級旅館「百花園」を買いきり、多数のヌードモデルと会員を集め盛大な撮影会を行うという。さらなる犠牲を防ぐため、金田一耕助が密かに調査を開始するが……。 本作の登場人物はそれほど多くないので、自然と犯人の候補は絞られ、目星をつけることができる人は多いかもしれない。しかしながら、動機やトリックを含めて真相を見抜くとなると、なかなか難しいのではないだろうか。 結末を知ってから読み返すと、きちんと伏線が張られているのに気付かされるあたりはさすが横溝正史という他ない。また、数々の犯罪者を見てきた金田一をして、ここまで残忍で卑劣極まりない奴は見たことがないと思わせた犯人の往生際の悪さは、その意外性とともに強く印象に残っている。 この作品での金田一耕助は精彩を欠いており、あまり事件解決に寄与していないのだが、ファンとしては意外な一面を見ることができ面白かった。初登場シーンからして、いつものセルの着物にヨレヨレの袴スタイルではなく、ホテルボーイの制服姿。犯人に出し抜かれバリバリと歯をかみならしながら激昂したり、がっかりしている耕助の手をとって等々力警部が部屋に連れ戻したりと、微笑ましい描写も多かった。 <登場人物> 佐川由良男 … 幽霊男を名乗る不気味な男。自称画家。 広田圭三 … ヌードモデル仲介業の共栄美術倶楽部を経営。 加納三作 … 大病院の外科医長。倶楽部の上得意客。 建部健三 … 新東京日報社の社会部記者。倶楽部の常連。 菊池陽介 … 仕事も妻も失った道楽男。倶楽部の常連。 小林恵子 … 倶楽部所属モデル。幽霊男が最初に指名し殺害。 宮川美津子 … 倶楽部所属モデル。建部健三に惚れている。 都築貞子 … 倶楽部所属モデル。伊豆の百花園で殺される。 西村鮎子 … 倶楽部所属モデル。一番の売れっ子。 武智マリ … 倶楽部所属モデル。何かを知っており殺される。 小林浩吉 … 小林恵子の弟。姉の仇を討とうと奔走。 津村一彦 … 失踪した画家。蜘蛛の収集が趣味。吸血癖あり。 津村恭子 … 一彦の妻。 河野十吉 … 幽霊男に西村鮎子の蝋人形製作を頼まれた名人。 河野篠 … 十吉の妻。幽霊男の依頼を不安に思い警察に相談。 三橋絹子 … 婦人服飾店ミモザの経営者。斜陽族のひとり。 進藤警部補 … 荻窪署の捜査主任。 海野警部補 … 早稲田署の捜査主任。 安井警部補 … 伊豆S署の捜査主任。 木村刑事 … 伊豆S署の刑事。 新井刑事 … 警視庁捜査一課所属の刑事。等々力警部の腹心。 等々力警部 … 警視庁捜査一課所属の警部。金田一耕助の相棒。 金田一耕助 … 雀の巣の頭にくたびれた着物袴。ご存知名探偵。 | ||||
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昭和29年に、『迷路の花嫁』と同時進行で連載された長篇作。 それ以前の『女王蜂』や『悪魔が来りて笛を吹く』も、すでに通俗作品っぽくなっていたし、『迷路の花嫁』は、――なにせエマナチオンだからw――より通俗味が強くなった印象だったが、本作はそれをも超えるTHE 通俗といった作品。正直『本陣殺人事件』や『獄門島』などと並べることには、抵抗を感じる。 これは掲載誌が『講談倶楽部』だったから、そこからの注文でもあったのだと思う。 「先生、乱歩の『蜘蛛男』や『魔術師』みたいな奴をお願いしますよ」などと依頼されていたのではあるまいか。 著者が『講談倶楽部』に作品を載せたのは、金田一耕助が登場しない初期Ver.の「人面瘡」と「生ける死仮面」に続く三作目、長篇としては初であった。 著者としては、どの程度のノリで書いた作品なのかはわからないが、本作連載中に他誌に書いた「花園の悪魔」と類似のシチュエーションを本作ですぐに再使用しているくらいだから、割り切ったやっつけ仕事という気配がするw 大事な作品だったら、もう少し工夫したのではないか? 上には挙げなかったが、この二年ほどはジュブナイル作品の連載も多かったので、耕助の行動からも、彼に本来不似合いな外連味を排除しきれなかったのかもしれない。 さて、「(銀座の高級服飾店ミモザは)目玉のとびだすほど、高価なので有名だが、そのかわり、デザインが斬新で、仕事がていねいなのでしられており、銀座の流行は、この店からうまれるといわれるくらい」(P.251)とかの文章を読むと、他でも書いたような気がするが、昭和29年の時点で日本の復興はかなり進んでいたようだ。朝鮮戦争や赤狩りを越えて、つまりはアメリカの思惑が、「日本が二度と歯向かおうとしないように、羊にしたうえで貧乏な国として閉じ込めてしまえ」から「対共産主義の最前線として、自由主義陣営の橋頭保にする」ことに方針転換があった故の日本の復興だと言える。日本をイジメぬいて、先に刀を無理やり抜かせる前に気づけよと臍を噛みたくなるが、それだけ戦前戦中は、大統領をはじめとしたアメリカの中枢も共産主義シンパに浸透されていたということでもある……。 うーむ、THE 通俗の本書の感想で、そんな遠い目をすることはないww ただしこれは書いておかねばならないと思うが、仕込まれたトリックは乱歩の通俗探偵小説よりも上だと思う。等身大の人形を劇場に運び込んだ手法などは、なかなか鮮やかである。 それにしても、東京ものにおける女性キャラのストリッパー率は高過ぎないか? | ||||
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悪い。 | ||||
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少し古臭い(昭和は遠くなりにけりですかね…)ですが、楽しめました。 | ||||
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角川文庫の横溝正史シリーズに魅了され手にした10冊目.本作品も期待を裏切らない面白さでした. どういうトリックなのかは分からなくても,読んでいる途中で犯人像は分かってしまいました.おそらく横溝正史本人も,読者に見破られることを分かって書いていたと思います.本作品の魅力は,推理小説の謎解きにあるのではありません.連続猟奇殺人事件というものが,いかなる人間のいかなる欲望によって引き起こされるのか,そこが主眼だと思いました.この犯人像は,現代の筆舌に尽くし難いような殺人事件にも通じるように思えました. 減点ポイントは,最後の方になってから登場する女性キャラクターです.正直,設定に無理があると感じます.なにが無理なのか述べてしまうとネタばらしになってしまうので,ここでは詳細は書けませんが.もっと最初の段階で何らかの形でチョットでも良いから登場させておくか,最後までこのキャラクター無しで話を進めてしまうか,どちらかが良いように感じました. とは言え,本作はシリーズ中のこれまでの作品と毛色が違うように感じられ,楽しめました. | ||||
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