迷路の花嫁
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迷路の花嫁の総合評価:
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全1件 1~1 1/1ページ
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小説家松原浩三が発見したのは霊媒師宇賀神薬子の惨たらしい死体だった!この作品は推理よりも登場人物の愛憎劇を軸に書かれていますが、金田一耕助がほとんど姿をみせない代わりに小説家松原浩三を主役に据え、彼の破天荒だが情には人一倍脆い好人物ぶりが魅力となりこの波乱万丈な物語を一気に読ませてくれました!それだけにあのラストは切なかったですね! | ||||
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「迷路の花嫁」は横溝正史の長編推理小説。昭和29年4月から茨城新聞発行の地方新聞「いはらき」に連載されたもので、我らが名探偵・金田一耕助や等々力警部は登場するもののほとんど出番はない。そのかわり、最初は怪しく思われた松原浩三という小説家が、しだいにその素性や性格が明らかになるにつれ、非常に魅力的な主人公へと変化してくのが面白い作品だ。 夜の町を散歩していた松原浩三は、慌てたように逃げ去る不審な女に出会い、彼女が落としたと思われる血だらけのレースの手袋を拾う。そしてしばらく行った先で、本堂千代吉といういざりと出会った。彼は家の中から「人殺し……助けてぇ……」という変な声を聞いたといい、偶然通りがかったパトロール中の警官と3人で踏み込むことになる。 そこで彼らが発見したのは、無数の切り傷から鮮血をしたたらす霊媒師・宇賀神薬子の全裸死体であった。部屋の中は血だらけで、死体の周囲には足や口元を血に染めた猫が何匹も群がっていた。現場で発見された手袋から、薬子のパトロンだった呉服商・滝川直衛の娘である恭子が重要参考人として浮上し、結婚式当日に警察へ連行される。 一方、かけ出しの小説家である浩三は、事件に興味を覚えたからと単独で事件を調べていた。心霊術の大家・建部多門が薬子の背後で暗躍していた事実をつかんだ浩三は、多門が相談に訪れた数多くの女を毒牙にかけ、金を搾り取っていたことを知る。そして恐るべき多門の魔の手は、薬子の弟子の奈津女や恭子にも忍び寄ろうとしていたのだった……。 ミステリと呼ぶにはやや難があるが、他の横溝作品とは一味違う不思議な魅力があり、憎らしい悪役として登場する祈祷師・建部多門と、その犠牲になった女性たちの存在が本作の味わいをより深みのあるものにしている。いざりの本堂千代吉と息子の蝶太、自分より他の不幸な女たちを気遣う瑞枝など脇役も素晴らしい。 金田一は申し訳程度にしか登場しないものの、誰よりも真犯人のことを理解し、また真犯人に代わって事件の真相を語ることができる存在として描かれている。そうなのであれば、あの切ない結末をなんとか回避できなかったのかと、そんな気分にさせられる作品だった。 <登場人物> 松原浩三 … 小説家。散歩中、宇賀神薬子の死体を発見する。 松原達造 … 浩三の兄。銀行勤めの堅物。 都築民子 … 浩三の亡父の愛人。浩三の依頼で横山夏子を匿う。 都築昌子 … 民子の亡娘。春彦とは父ちがい。浩三の元婚約者。 都築春彦 … 民子の息子。浩三とは腹違いの兄弟。 水谷啓助 … 松原浩三が訪れる予定だった売れっ子小説家。 本堂千代吉 … 松原浩三と共に死体を発見したいざり。 本堂筆子 … 千代吉の妻。建部多門の犠牲者。故人。 本堂蝶太 … 千代吉の息子。いざり車をひっぱらせている。 井上健一 … 都築民子のいとこ。本堂千代吉の友人。 建部多門 … 数多くの女を毒牙にかける心霊術の大家。祈祷師。 瑞枝 … 多門の妾。赤坂の山王下にある家で多門と暮らす。 本田 … 多門家の書生。 宇賀神薬子 … 霊媒。建部多門の弟子。滝川直衛の妾。 宇賀神奈津女 … 霊媒。薬子の弟子。本名は横山夏子。 ピータ … 宇賀神家の番犬。裏庭で毒殺されていた。 藤本すみ江 … 宇賀神家の女中。のちに死体となって見つかる。 河村達雄 … 宇賀神家の書生。早稲田の夜間部に通っている。 お常 … 建部多門が奈津女を見張るためによこした女中。 滝川八兵衛 … 日本橋でも有名な老舗、滝川呉服店の先代。 滝川直衛 … 滝川呉服店の主人。宇賀神薬子のパトロン。 滝川和子 … 八兵衛の長女。直衛の先妻。故人。 滝川貞子 … 八兵衛の次女。妾腹。直衛の後妻。故人。 滝川やす子 … 直衛の妹。恭子の母代わりをつとめる。 滝川恭子 … 直衛と和子の娘。現場で恭子の手袋が発見される。 滝川衛 … 直衛と貞子の息子。高校へ通っている。 室井五平 … 滝川呉服店の支配人。 室井喜兵衛 … 五平の父。滝川本家の大番頭だった。 植村欣之助 … 某大学の助教授。滝川恭子の婚約者。 植村博士 … 植村欣之助の父。 おしげ … 上野にある旅館「田川」の女将。建部多門の犠牲者。 岩崎 … おしげの旦那。土建屋「岩崎組」の親方。 お島 … 旅館「田川」の女中。 山村多恵子 … レッド・フラワーのマダム。建部多門の犠牲者。 山村直哉 … 多恵子の夫。胸の病でずっと寝たきり。 山村喜美子 … 多恵子の娘。 ハル代 … レッド・フラワーのホステス。 加代 … レッド・フラワーのホステス。 門田医師 … 野方署の医師。 山口警部補 … 野方署の捜査主任。 新井刑事 … 野方署の刑事。 沢田刑事 … 野方署の刑事。 津村刑事 … 野方署の刑事。 本多巡査 … 野方署所属。松原浩三や本堂千代吉と死体を発見。 北川巡査 … 野方署所属。本多巡査が死体発見を連絡した巡査。 等々力警部 … 警視庁捜査一課所属の警部。金田一耕助の相棒。 金田一耕助 … 雀の巣の頭にくたびれた着物袴。ご存知名探偵。 | ||||
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悪い。 | ||||
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金田一耕助ものの代表作は、現在角川文庫でほとんど読めるが、なかには代表作とまではいかないが、文庫で出ていないのが勿体ないと思える作品が何点かある。その一つがこの『迷路の花嫁』だったので、今回の復刊はとても喜ばしく思われた。 小説家・松原浩三は、夜道に血まみれの手袋を落としていった女が走り出てきた家屋に、通り合わせた警官とともに立ち入り、血まみれの祈祷所に全裸で倒れふす女霊媒師の刺殺体を目にすることとなる…。久しぶりに再読したが、やはり面白く一気に読み通せた。冒頭いきなりの鮮烈な事件現場シーンから、戦中戦後の苦難の影を、まだどこかに引きずったような市井の人間模様が人情ストーリー的に進行し、やがてそこから、悪辣な漁色宗教家の毒牙にとらわれ、悲痛の迷路に陥っている女たちの姿が浮かび上がってくる。 金田一ものは、『本陣殺人事件』や『獄門島』などの、田舎を舞台にした本格推理作品と、『悪魔の寵児』や『幽霊男』といった、都会を舞台にしたエログロ色の強い通俗スリラーものに大別できるが、本作はそのどちらにも属さない異色作になっている。金田一耕助も登場はするが、物語の脇道から時おり顔をのぞかせる程度だ。ラストの解決部も、「名探偵一同集めてサテと言い」よろしく、金田一ふくめほとんどの登場人物が一堂に会するが、名探偵の明察によって悪を暴き、正義の溜飲をさげるという定石的な解決編になっていないのも面白い。金田一ものとしては異色の構成・展開で書かれた作品だが、サスペンスもあり、人情話的な泣かせどころもあり、謎解きの妙も楽しめるという、とても面白く読ませる優れた佳品になっていると思う。 本作以外にも、『貸しボート十三号』や『幽霊座』といった、文庫に収めていないのはおしいと思われる作品があるので、ぜひ復刊してもらいたいものである。 | ||||
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金田一耕助はあまり出てきませんが 話としては非常に面白く 読み出したらあっという間に ラストまでいきました。 最後は目頭が熱くなってしまいました。 金田一ものの中では知名度低いと思いますが 予想外の面白さでした。 | ||||
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この作品こそ犯人を救済してあげれば良かったのに…、と思いました。 金田一さんがと言うより横溝さんがかな。 | ||||
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