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迷路の花嫁
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【この小説が収録されている参考書籍】
迷路の花嫁の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.64pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全14件 1~14 1/1ページ
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「迷路の花嫁」は横溝正史の長編推理小説。昭和29年4月から茨城新聞発行の地方新聞「いはらき」に連載されたもので、我らが名探偵・金田一耕助や等々力警部は登場するもののほとんど出番はない。そのかわり、最初は怪しく思われた松原浩三という小説家が、しだいにその素性や性格が明らかになるにつれ、非常に魅力的な主人公へと変化してくのが面白い作品だ。 夜の町を散歩していた松原浩三は、慌てたように逃げ去る不審な女に出会い、彼女が落としたと思われる血だらけのレースの手袋を拾う。そしてしばらく行った先で、本堂千代吉といういざりと出会った。彼は家の中から「人殺し……助けてぇ……」という変な声を聞いたといい、偶然通りがかったパトロール中の警官と3人で踏み込むことになる。 そこで彼らが発見したのは、無数の切り傷から鮮血をしたたらす霊媒師・宇賀神薬子の全裸死体であった。部屋の中は血だらけで、死体の周囲には足や口元を血に染めた猫が何匹も群がっていた。現場で発見された手袋から、薬子のパトロンだった呉服商・滝川直衛の娘である恭子が重要参考人として浮上し、結婚式当日に警察へ連行される。 一方、かけ出しの小説家である浩三は、事件に興味を覚えたからと単独で事件を調べていた。心霊術の大家・建部多門が薬子の背後で暗躍していた事実をつかんだ浩三は、多門が相談に訪れた数多くの女を毒牙にかけ、金を搾り取っていたことを知る。そして恐るべき多門の魔の手は、薬子の弟子の奈津女や恭子にも忍び寄ろうとしていたのだった……。 ミステリと呼ぶにはやや難があるが、他の横溝作品とは一味違う不思議な魅力があり、憎らしい悪役として登場する祈祷師・建部多門と、その犠牲になった女性たちの存在が本作の味わいをより深みのあるものにしている。いざりの本堂千代吉と息子の蝶太、自分より他の不幸な女たちを気遣う瑞枝など脇役も素晴らしい。 金田一は申し訳程度にしか登場しないものの、誰よりも真犯人のことを理解し、また真犯人に代わって事件の真相を語ることができる存在として描かれている。そうなのであれば、あの切ない結末をなんとか回避できなかったのかと、そんな気分にさせられる作品だった。 <登場人物> 松原浩三 … 小説家。散歩中、宇賀神薬子の死体を発見する。 松原達造 … 浩三の兄。銀行勤めの堅物。 都築民子 … 浩三の亡父の愛人。浩三の依頼で横山夏子を匿う。 都築昌子 … 民子の亡娘。春彦とは父ちがい。浩三の元婚約者。 都築春彦 … 民子の息子。浩三とは腹違いの兄弟。 水谷啓助 … 松原浩三が訪れる予定だった売れっ子小説家。 本堂千代吉 … 松原浩三と共に死体を発見したいざり。 本堂筆子 … 千代吉の妻。建部多門の犠牲者。故人。 本堂蝶太 … 千代吉の息子。いざり車をひっぱらせている。 井上健一 … 都築民子のいとこ。本堂千代吉の友人。 建部多門 … 数多くの女を毒牙にかける心霊術の大家。祈祷師。 瑞枝 … 多門の妾。赤坂の山王下にある家で多門と暮らす。 本田 … 多門家の書生。 宇賀神薬子 … 霊媒。建部多門の弟子。滝川直衛の妾。 宇賀神奈津女 … 霊媒。薬子の弟子。本名は横山夏子。 ピータ … 宇賀神家の番犬。裏庭で毒殺されていた。 藤本すみ江 … 宇賀神家の女中。のちに死体となって見つかる。 河村達雄 … 宇賀神家の書生。早稲田の夜間部に通っている。 お常 … 建部多門が奈津女を見張るためによこした女中。 滝川八兵衛 … 日本橋でも有名な老舗、滝川呉服店の先代。 滝川直衛 … 滝川呉服店の主人。宇賀神薬子のパトロン。 滝川和子 … 八兵衛の長女。直衛の先妻。故人。 滝川貞子 … 八兵衛の次女。妾腹。直衛の後妻。故人。 滝川やす子 … 直衛の妹。恭子の母代わりをつとめる。 滝川恭子 … 直衛と和子の娘。現場で恭子の手袋が発見される。 滝川衛 … 直衛と貞子の息子。高校へ通っている。 室井五平 … 滝川呉服店の支配人。 室井喜兵衛 … 五平の父。滝川本家の大番頭だった。 植村欣之助 … 某大学の助教授。滝川恭子の婚約者。 植村博士 … 植村欣之助の父。 おしげ … 上野にある旅館「田川」の女将。建部多門の犠牲者。 岩崎 … おしげの旦那。土建屋「岩崎組」の親方。 お島 … 旅館「田川」の女中。 山村多恵子 … レッド・フラワーのマダム。建部多門の犠牲者。 山村直哉 … 多恵子の夫。胸の病でずっと寝たきり。 山村喜美子 … 多恵子の娘。 ハル代 … レッド・フラワーのホステス。 加代 … レッド・フラワーのホステス。 門田医師 … 野方署の医師。 山口警部補 … 野方署の捜査主任。 新井刑事 … 野方署の刑事。 沢田刑事 … 野方署の刑事。 津村刑事 … 野方署の刑事。 本多巡査 … 野方署所属。松原浩三や本堂千代吉と死体を発見。 北川巡査 … 野方署所属。本多巡査が死体発見を連絡した巡査。 等々力警部 … 警視庁捜査一課所属の警部。金田一耕助の相棒。 金田一耕助 … 雀の巣の頭にくたびれた着物袴。ご存知名探偵。 | ||||
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悪い。 | ||||
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金田一耕助ものの代表作は、現在角川文庫でほとんど読めるが、なかには代表作とまではいかないが、文庫で出ていないのが勿体ないと思える作品が何点かある。その一つがこの『迷路の花嫁』だったので、今回の復刊はとても喜ばしく思われた。 小説家・松原浩三は、夜道に血まみれの手袋を落としていった女が走り出てきた家屋に、通り合わせた警官とともに立ち入り、血まみれの祈祷所に全裸で倒れふす女霊媒師の刺殺体を目にすることとなる…。久しぶりに再読したが、やはり面白く一気に読み通せた。冒頭いきなりの鮮烈な事件現場シーンから、戦中戦後の苦難の影を、まだどこかに引きずったような市井の人間模様が人情ストーリー的に進行し、やがてそこから、悪辣な漁色宗教家の毒牙にとらわれ、悲痛の迷路に陥っている女たちの姿が浮かび上がってくる。 金田一ものは、『本陣殺人事件』や『獄門島』などの、田舎を舞台にした本格推理作品と、『悪魔の寵児』や『幽霊男』といった、都会を舞台にしたエログロ色の強い通俗スリラーものに大別できるが、本作はそのどちらにも属さない異色作になっている。金田一耕助も登場はするが、物語の脇道から時おり顔をのぞかせる程度だ。ラストの解決部も、「名探偵一同集めてサテと言い」よろしく、金田一ふくめほとんどの登場人物が一堂に会するが、名探偵の明察によって悪を暴き、正義の溜飲をさげるという定石的な解決編になっていないのも面白い。金田一ものとしては異色の構成・展開で書かれた作品だが、サスペンスもあり、人情話的な泣かせどころもあり、謎解きの妙も楽しめるという、とても面白く読ませる優れた佳品になっていると思う。 本作以外にも、『貸しボート十三号』や『幽霊座』といった、文庫に収めていないのはおしいと思われる作品があるので、ぜひ復刊してもらいたいものである。 | ||||
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金田一耕助はあまり出てきませんが 話としては非常に面白く 読み出したらあっという間に ラストまでいきました。 最後は目頭が熱くなってしまいました。 金田一ものの中では知名度低いと思いますが 予想外の面白さでした。 | ||||
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この作品こそ犯人を救済してあげれば良かったのに…、と思いました。 金田一さんがと言うより横溝さんがかな。 | ||||
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猫が群がった美女の裸死体、との必然性はない展開と解決ですが、独特の読みやすい文体であっというまに読んでしまった。 読後感もさわやかでよい。 ただし、推理小説とはいいがたいのではないかな? 猫とか、まったく推理と関係ないのでね。またある意味アクロイド殺しに近いところもある | ||||
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日刊紙掲載だったので、作者の当初の構想からは、 かけ離れた方向にストーリーが膨らんで行ってしまったのだろう。 その結果として、「花嫁」とは、あまり関係の無い物語になっている。 本格推理物ではなく、人情をベースにしたメロドラマ的作品。 昭和30年頃の東京の描写が興味深い。 特に、主人公が戦災を受けなかった町を歩いている冒頭が印象的だ。 本書は横溝氏にとっては異色作であり、傑作とは言えないかも知れないが、 横溝ファンなら読んでおくべき作品だろう。 | ||||
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横溝正史作品特有の、複雑極まる登場人物間のつながりと乱れた男女関係を背景にして起こる殺人事件。 登場人物が多く、お互いの関係を把握するのにやや苦労する話だ。 金田一耕助登場作品であるが、金田一耕助は探偵として活躍するのはなく、瀕死の犯人が最後に自白する際の代弁者として描かれている。 真相はかなり荒唐無稽であり、読者が推理するような要素はなく、主人公松原浩三が悪と闘う姿を描いたハードボイルド小説という感じだ。 登場人物間の愛憎、主人公の他人への思いやりや行動力が描かれ、胸を打つラストを持っているなど、物語としては十分に読み応えのある作品だった。 | ||||
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竜頭蛇尾という批評はしたくはないのですが、第一の事件の風呂敷を畳みそこなったのかなぁと感じます。 通俗物として思って読むのが正解で、徐々に本格推理路線からずれていきます。 金田一は脇役として解説者に徹しているような雰囲気です。 しかし展開も面白くて、読後感も悪くはないのですが、不満が残るのは出版物の惹句のせいでしょう。 探偵小説なのですから、善対悪の図式に収まってしまうのは当然なのですが、収めすぎな感じもしなくもないです。 第一の事件のショッキングな有様についても合理的な解釈はなくはないのですが、「黒猫亭事件」のように、猫を本筋ときちんと関係させてほしかったです。 | ||||
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横溝正史著の作品を沢山読んでいるせいか、この作品は最初から犯人が誰かが推測されるのが少し欠点のように思いました。それにもかかわらず、つい話の中につり込まれるのはやはり横溝氏の作品ならでは味わえないものですね。金田一さんがあまり直接事件に加わっていないのも興味があります。 | ||||
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以前から、読んでみたかった作品でした。今回、購入することが出来て、たいへん満足しています。 | ||||
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金田一耕輔はこの話には申し訳程度しか出ません。 けどその分を補える好人物が登場します。 なかなか話も面白く読み進めるのですが、前・中半にページを取られたのか 後半の結末に至るまでが、何となく端折った感じがします。 あの感じだったらもう少し話を広げて、面白く出来たのにと残念です。 | ||||
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(今で言うカルト教団の)霊媒師が、祈りを捧げる部屋で一糸まとわぬ全裸死体で発見! 前後して目撃される若い女性、女の落としていった手袋! 死体のそばに群れていた不気味な五匹の猫! ……といった感じではじまる、おなじみ金田一探偵ものです。 タイトルの「花嫁」というのが、肝になってきます。 金田一探偵はあまり出てきませんが、その代わりにある男性が大活躍します。 ロマンス小説に出てくるようなヒーロー像で、この辺が他の横溝作品とちょっと味付けが違うかも? 一味違う金田一ものを読んでみたい方にはよいかもしれません。 | ||||
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男女関係のドロドロした部分を描いた作品 話の始まりは、夜に霊媒師の女が裸で体中を刃物で切り裂かれて死亡している現場から始まる、死体のそばには不気味な黒いネコが5匹・・ 金田一先生も登場しますが、この作品ではかなり控えめになっています せっかくの推理が最後にチョコチョコおまけ程度に描かれていますが、謎解きにいたるまでの経過がすごい面白いので読んでみる価値はあると思いますよ。 | ||||
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