蝋面博士
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表題作「蝋面博士」ほか、「黒薔薇荘の秘密」「燈台島の怪」「謎のルビー」という3つの短編を収録した横溝正史のジュブナイル集。「蝋面博士」と「燈台島の怪」には名探偵・金田一耕助が登場する。 ●蝋面博士 「蝋面博士」は「おもしろブック」という雑誌に昭和29年1月から1年間にわたり連載された作品。朝日ソノラマと角川書店の文庫に収録される際、監修に当った山村正夫が横溝正史と相談しつつ、読者により親しみを持ってもらえるよう探偵役を三津木俊助から金田一耕助へ改めた。 記者なのにピストルをズドンズドン撃ちすぎな気もするが、探偵小僧と田代記者が蝋面博士を捕まえようと、よき好敵手としてしのぎを削り、助け合う序盤の展開はなかなか面白い。 万年筆型の懐中電燈、時計塔の針を使った少年少女の脱出、警官の包囲網から軽気球で逃げ去る悪漢、ヘリコプター新日報号による追跡、二人の蝋面博士、奇抜な仕掛けが施された洋館、ミュージカルなど、ジュブナイルらしい要素もふんだんに盛り込まれている。 後半は、予定を繰り上げアメリカから帰国した名探偵・金田一耕助がようやく登場するのだが、羽田空港に着いたとたん蝋面博士に捕らわれてしまう。鎖で縛られたまま海に放り込まれるのもお約束。何度も蝋面博士に翻弄され続けたのち、なんとか真犯人を追い詰めるのだが、真実を明らかにすることを第一にしているはずの金田一が犯人に自決したまえと言うくだりは違和感が残った。 なお、本作には「金色の魔術師」に出てきたのと同名のオリオンの三姉妹や役者も登場するが、名前がそれぞれ違っているので、設定だけ流用したのだと思われる。 <登場人物> 御子柴進 … 新日報社の給仕。あだ名は探偵小僧。 山崎編集局長 … 進の上司。渡米中の金田一とは友人関係。 田代信三 … 東都日日新聞の古参記者。蝋面博士に監禁される。 古屋三造 … 東都日日新聞の記者。田代信三の助手。 高杉アケミ … 蝋面博士が狙うと予言した銀座の花売り娘。 月子 … 東都劇場で人気を集めているオリオン三姉妹の長女。 雪子 … オリオン三姉妹の次女。 花子 … オリオン三姉妹の三女。 杉浦三郎 … 蝋面博士を演じる東都劇場の人気役者。 松崎先生 … 「悪魔と少女」というミュージカルの作者。 蝋面博士 … 人間を殺して蝋人形に仕立て上げる不気味な老人。 馬場三郎 … 霊柩車に乗っていた白髪の老人。蝋面博士の変装。 竹内三造 … 霊柩車の怪運転手。蝋面博士の部下。 山本巡査 … アケミを誘拐したニセ警官。竹内三造の変装。 等々力警部 … 警視庁捜査一課所属の警部。金田一耕助の相棒。 金田一耕助 … 雀の巣の頭にくたびれた着物袴。ご存知名探偵。 ●黒薔薇荘の秘密 「黒薔薇荘の秘密」は「少年クラブ」昭和24年8月号に掲載された作品。ちゃんと部屋の見取り図が出てくることでもわかるように、大時計と鏡のトリックについて、子供が謎解きを楽しめるよう工夫されている。物語の最後も、鏡にうつった時計からピエロがとび出した正しい時刻は何時かという読者への問いかけで終わっていた。 <登場人物> 小田切富士夫 … 小田切博士と黒薔薇荘を訪れた頭のいい少年。 小田切博士 … 伊豆半島の温泉場に富士夫を連れてきた伯父。 古宮一麿 … 黒薔薇荘の主人。元子爵。建築と迷路が趣味。 古宮達子 … 一麿の妻。夫がいなくなり、泣きすぎて失明する。 古宮美智子 … 一麿の娘。行方不明の父が戻るのを待ち続ける。 柳沢一郎 … 黒薔薇荘の隣にある別荘を最近買いとった弁護士。 ●燈台島の怪 「燈台島の怪」は「少年クラブ」昭和27年8月号に掲載された短編。立花滋少年が登場するジュブナイルものではあるものの、金田一の方がはるかに活躍する。伊豆半島の南端にある燈台島を舞台に、鎖の輪の一味が残した暗号を推理し、財宝の眠る地下洞窟を探すというもので面白かった。 <登場人物> 島崎 … 燈台島の燈台守。金田一とは親しい間柄。 古河青年 … 燈台島の燈台守助手。兄の行方を探している。 古河謙一 … 古河青年の兄。行方不明。鎖の輪の刺青があった。 野口清吉 … 燈台を見にきた旅人。行方不明になったのち死亡。 義足の男 … 鎖の輪の一味。4人で山海寺に妙な額を奉納した。 片腕の男 … 鎖の輪の一味。 山本 … ビルマで古河青年と同じ部隊にいた上等兵。戦死した。 清水巡査 … 伊豆半島の南端にあるS漁村の駐在。 和尚 … 去年の夏、金田一が旅行中に逗留した山海寺の和尚。 立花滋 … 金田一の少年助手。 金田一耕助 … 雀の巣の頭にくたびれた着物袴。ご存知名探偵。 ●謎のルビー 「謎のルビー」は「少女倶楽部」昭和13年10月号に「謎の紅露」という題名で掲載された、兄の無実を信じる花売り娘を名探偵の息子が助ける話。広告人形に扮して近づいたり、オウムの鳴き声から行方不明のルビーを在りかを突き止めたりと、やや定番すぎる展開だが読後感はよい。 <登場人物> 深尾由美 … 警察に尾行されていた花売り。兄の無実を訴える。 深尾史郎 … 由美の兄。波越恭助の親友。ルビー事件の容疑者。 志摩貞雄 … 有名な実業家。 志摩貞代 … 貞雄の妻。母のかたみのルビーの指輪を紛失する。 日疋 … 貞雄の秘書。 波越恭助 … 志摩貞代の従弟。実験室で胸を刺され亡くなる。 藤生俊太郎 … 探偵事件に興味を持つ青年。深尾由美に近づく。 藤生俊作 … 俊太郎の父。人に知られた名探偵。 | ||||
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横溝正史の生誕120年にちなんだ角川文庫の復刊だそうです。怖ろしげな杉本一文の表紙画がなつかしい。 だが、昭和の児童向け作品なので、ミステリーについて目の肥えた現代の読者がたのしむには、いささかキビシイものがあるかもしれませんね。 表題の中編は山村正夫による改変版。なんと、探偵役が三津木俊助から金田一耕助に変更されています。作者の承諾を得たという話だから、まあ問題はないだろうけど。 おまけの3つの短編は推理クイズに毛のはえたような内容です。 | ||||
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なし | ||||
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多少の経年ヤケはあるものの、シミや汚れはまったく見られません。非常に満足度は高いです。 | ||||
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角川スニーカー文庫版である。1979年に出た角川文庫版を体裁だけ変えたものだ。 漫画風のイラストと、中村うさぎさんの解説が加えられている。 中篇「蝋面博士」と短篇「黒薔薇荘の秘密」「燈台島の怪」「謎のルビー」が収められている。 いずれも少年向け探偵小説で、内容もそれなりの出来でしかない。結末がすぐ読めてしまうし、人物の造形やプロットも頼りない。 「蝋面博士」は、わずか10数頁で結末が分かったしまうのが難点。ただ、動機という点では(有名な先例はあるものの)なかなか面白い。少年探偵・御子柴進と金田一耕助が活躍している。 「黒薔薇荘の秘密」はたわいない作品だ。 「燈台島の怪」は暗号ものと洞窟もののミックス。 「謎のルビー」は宝石の隠し場所に工夫がある。 熱心な横溝ファンなら読んでも、という一冊。 | ||||
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