仮面舞踏会
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仮面舞踏会の総合評価:
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全2件 1~2 1/1ページ
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構想、執筆に10年を費やした作品。推理より乱歩に捧げたという人間ドラマに注目。 | ||||
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読み始めはなかなか読み進まず、これはハズレかなと思うも否やいつの間にか作品の中に引き摺り込まれた。相変わらず人間関係はクドイが、それも横溝ならでは。何より軽井沢の描写が美しく、それまで行ったこともない軽井沢を散歩するにまでに至った。後はこの描写そのままで、NHKが吉岡金田一で映像化してくれたら...と思うところ。 | ||||
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『宝石』で連載された『悪魔の手毬唄』が終了してから三年半、同雑誌に新作長篇の連載が漸く始まったが、残念ながら著者の体調上の問題で、八か月しか続けることができずに中断された。 それから13年後、よもやの書下ろし完成版として単行本で上梓されたのが本作である。 どうやら、角川文庫で著者が“再発見”されて人気となったことが、本作完成への力強い後押しになったらしい。 どの章までが連載で、どこから書下ろしなのだろうか。 本作の「解説」(版によっては割愛されているので注意が必要)でもWikipediaで本作の項をみてもわからなかった。切りよく8章までが連載だったか、プロローグを個別に数えて7章までか、あるいは二章分ずつ掲載されたとして15章までか、また連載期間は毎月掲載されていたのか……。 調べてみたが、うーむ、それほど安定していないw 過去に『宝石』に掲載された横溝作品からなにかわかるかと調べてみたが、……これもばらばらじゃねーか。だれか識者の方、教えてww 角川文庫での著者作品の再評価が、一旦連載中断されていた本作の執筆再開の原動力になったとは云いながら、本作の特徴は、初期の傑作とは趣がまるで異なる。 70年代後半の映画化やドラマ化で金田一耕助人気が加速してからは、著者は『病院坂の首縊りの家』や『悪霊島』のような、初期作品の雰囲気を出そうとしていたが、本作は後期長篇作でよくみられたように、警察による捜査の進展で、徐々に登場人物が隠している事実が明るみになるという、警察小説に近い形式を取っている。金田一は刑事たちのアドバイザーとして舵取りする役割だ。 もうひとつ、かなり驚いたのだが、キーパーソンの鳳千代子が五度目の結婚を迎えようという胡散臭さに加えて、かなりの数の人物が登場するが、千代子を含めて、実は悪い人間がそれほど出てこない。 もちろん、犯人やその裏にいた鼻持ちならない奴はいたし、最終章で犯人は悪魔的な表情をのぞかせる。とはいうものの、状況を考えれば情状酌量の余地はある。 人間はみな仮面舞踏会を演じてるなんて台詞も登場するが、あらためて言わずとも、推理/探偵小説なら大体そうだろう。なぜこんな題名にしたのだろう? 本作には、むしろ推理小説でよく指摘、揶揄されるような、役割だけ与えられた薄っぺらい造形の人物が見当たらない。 毎年8月は軽井沢で過ごすような人達が登場人物の大半を占めるから、厭らしい性根の人物はいくらでも作れそうだが、そうなっていない。ということは、これは著者の意識したセッティングの筈だ。 人はそれぞれ隠し事をしていて、事件関係者が嘘を吐いたり渋ったりするのは世の常だが、彼ら彼女らが必ずしも犯罪に関わっているわけではない。思慮の足りなさはあれども、多くは悪意よりも善意、徒に他人を迷惑をかけたくないという忖度も多い。そういった細かくて、ごくつまらない隠し事も含めての仮面舞踏会である。 その意味では、数多くの登場人物がそれぞれちょっとした仮面を被っている。 だから、煩雑な登場人物たちの数の多さそのものにも意味があるし、この陳腐な題名も生きてくると思うのだが、ドラマでは整理の都合で割愛された人物も多い。やむを得ないところではあるが、それが著者が長い中断の末に完成させた本作の価値を下げている気がする。 | ||||
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星ゼロ 全597ページのうち、220ページくらい読んで断念した。めちゃくちゃつまらん。その220ページでさえも、しまいには「」内のセリフだけ読んで、全く意味の無い情景説明や、人物容姿説明などは完全に読み飛ばし、無視した。それでも疲れるし、つまらん。作者は10数年掛けてこの小説を書き上げたそうだが、まったく無駄な10数年だったようだ。買ったこっちの身にもなってみろと言いたい。 星ゼロ | ||||
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600ページ近くある大作で、いくぶん冗長気味と感じられなくもないが、作品全体のバランスを崩してしまうほどではなく、むしろ作品に重量感を与えている。軽井沢を舞台に、女優や元華族といった、いわくありげな人物たちの複雑な人間関係と殺人事件を、端正に描き込んでゆく円熟の筆致には、じっくりと落ち着いた調べがあって好ましい。それが後半になると、ミステリらしいスリリングな展開へとスピード感を持ちはじめる。 派手なトリックなどはないものの、因襲、戦火、血族といった横溝ワールド独特の物語の陰影が立ちあがり、“仮面舞踏会”を生きた者たちの悲哀と罪業が入り乱れた人生模様が暴かれる解決編は、鳥肌ものの迫力があり圧巻である。エピローグとプロローグに描かれる、シャーロック・ホームズが石畳を踏んだ霧の都と時空を共有するかに思える、ミステリアスな白い霧の風景は、所詮この地上で繰り広げられる全ての人間模様は、その実相の定かでない霧のなかの“仮面舞踏会”であると語っているようだ…。巨匠晩年の傑作である。 | ||||
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「仮面舞踏会」は昭和37年7月「宝石」で連載がスタートしたものの、翌年2月に横溝正史の体調不良で中断。その後十数年が経過し、昭和49年11月にようやく完成した作品である。 今から1年前の昭和34年8月16日。軽井沢に近い浅間山の山麓で、田代信吉と小宮ユキの二人が心中自殺を試みていた。たまたま通りがかった金田一耕助の機転で男の方は一命をとりとめたが、女の方はすでに事切れていたという。この心中事件があの連続殺人に関わってくるなど、この時は誰も予想しなかったのである。 かつて銀幕の大スターとして名を馳せた鳳千代子は、恋多き女として知られていた。最初に結婚したのは戦前の映画スター笛小路泰久、2番目の夫は新劇俳優の阿久津謙三、3番目の夫は洋画家の槙恭吾、4番目の夫は作曲家の津村真二である。そして目下の交際相手は、元公爵の御曹子で戦後財界の大立者・飛鳥忠熈だった。 そんな千代子を愛し、彼女との結婚を考えていた忠熈には、どうしても気になることがあった。というのも、笛小路泰弘は昨年軽井沢のプールで不審な死を遂げており、阿久津謙三も年の暮れに不慮の交通事故で死亡していたのだ。さらに、今度は軽井沢の別荘で槙恭吾が死体で発見されるに及び、忠熈は金田一耕助に調査を依頼したのである。 槙恭吾は鍵のかかったアトリエの中で青酸加里を飲み死んでいた。一見自殺と思えるような状況だったが、毒を飲んだグラスが見つからないなど不審な点も多い。また、金田一耕助は彼の遺体が死後移動されたことを見抜き、赤と緑のマッチ棒が意味ありげに並べられているのを発見するのだった。これはダイイングメッセージなのだろうか、それとも何かの暗号なのだろうか……。 戦後、「本陣殺人事件」をはじめとする数々の傑作推理小説を発表し、絶大な人気を誇った横溝正史。1960年代に入り社会派ミステリの台頭とともに執筆量が減っていたが、1968年に週刊少年マガジン誌上で「八つ墓村」が漫画化され、角川春樹の陣頭指揮により映画化されたことなどで急速に注目が集まり、横溝ブームが再燃した。 横溝正史作品のほとんどを文庫化した角川はこのブームに満足せず、さらなる発展を目指した。その結果、70代となり隠居同然であった横溝が再び表舞台に登場し、過去の作品のリバイバルや改訂だけでなく、新たな作品を世に送り出すこととなる。その第1弾として世に出たのが本作「仮面舞踏会」である。復活後最初に完成させたのが、連載が中断し十数年が経過していたこの作品というあたり、律儀な横溝の性格がうかがえる。 本作の時代は昭和35年に設定されており、名探偵・金田一耕助が活躍する長編としては比較的新しい部類と言えるだろう。同時期に書かれた他の作品と比べておどろおどろしさが抑えられた作品だが、「犬神家の一族」や「獄門島」などと同様、第二次世界大戦や血縁というものが重要な要素となっている。 軽井沢の別荘地を舞台に、旧華族や作曲家、画家、学者、資産家など数多くの人物が登場する本作。人間関係が把握できるまではやや理解しづらいところもあるが、随所にたくみな伏線が張られており、物語が進むにつれてどんどん引き込まれてく。晩年の作だが、終盤のスピード感はさすがといったところか。 警察側では金田一の相棒・等々力警部が重要な役どころで登場するほか、長野県警の日比野警部補が捜査主任として奮闘するのだが、いかにも屈折した若手エリートという感じで好感が持てた。 事件の背後に潜む謎を探りながら、金田一耕助は殺人現場で意味深なものを発見する。それがこの事件に文字通り色を添える赤と緑のマッチ棒である。このマッチ棒が意味するメッセージが解けたとき、犯人の正体が明らかとなる訳だが、私にはまったく予想できなかった。金田一シリーズでは割とよく登場する佝僂病も、まさかあの場面で出てくるとは……。 最後に真犯人と金田一が対峙するシーンは名場面であり、意外な犯人像には本当に驚かされた。物悲しくも美しいエピローグを読むと、本作がなぜ「仮面舞踏会」というタイトルなのか理解できるだろう。多くの有名な作品の陰に隠れてしまっているが、まぎれもない傑作だと思う。 <登場人物> 鳳千代子 … 過去に四回の結婚歴を持つ映画界の大スター。 笛小路泰久 … 千代子の最初の夫。一年前にプールで死亡した。 笛小路美沙 … 千代子と泰久の娘。小児喘息で小学校に通えず。 笛小路篤子 … 泰久の継母。美沙を幼いころから育てている。 阿久津謙三 … 千代子の2番目の夫。新劇俳優。一昨年事故死。 槙恭吾 … 千代子の3番目の夫。洋画家。何者かに殺害される。 津村真二 … 千代子の4番目の夫。作曲家。行方不明。 飛鳥忠熈 … 元公爵の御曹子。財界の大立者。千代子と交際中。 桜井鉄雄 … 飛鳥忠熈の女婿。神門産業のエリート。 桜井熈子 … 忠熈の娘。鉄雄の妻。 的場英明 … 考古学者。忠熈から発掘旅行の費用捻出を狙う。 村上一彦 … 忠熈が眼をかけている孤児。的場英明の弟子。 秋山卓造 … 忠熈の忠実な部下。水火も辞さない覚悟を持つ。 立花茂樹 … 音楽学生。津村真二の弟子で、村上一彦の友人。 田代信吉 … 心中未遂した破滅型の音楽学生、立花茂樹の友人。 小宮ユキ … 肺病を持つストリッパー。田代信吉と心中し死亡。 藤村夏江 … 阿久津謙三に捨てられた女。 樋口操 … 藤村夏江の先輩にして友人。軽井沢に住んでいる。 日比野警部補 … 軽井沢署の捜査主任。若く功名心にはやる。 近藤刑事 … 軽井沢署きっての古狸。 古川刑事 … 軽井沢署の若手刑事。 等々力警部 … 警視庁捜査一課所属の警部。金田一耕助の相棒。 金田一耕助 … みなさんお馴染み、もじゃもじゃ頭の探偵さん。 | ||||
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