悪魔の紋章
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この作品は所謂復讐劇で、三十渦巻指紋を持つ謎の復讐者と、復讐の対象となった実業家・川手庄太郎を護ろうとする法医学者・宗方隆一郎の戦いを描いているのですが・・・・・残念ながら、推理物と呼ぶには語弊がありますね。 おそらく、二番目の犠牲者である川手妙子の遺体が見つかったお化け屋敷で展開された捕り物のくだりで大半の読者が真犯人が宗像である事にに気づいてしまうでしょう。 宗像の助手・小池が黒覆面の男を捕えて覆面を剥いだ際に絶望の悲鳴をあげ顔を見られた事を理由に射殺されたのは小池と真犯人が非常に近しい間柄だったので口を封じられたのだと容易に察しがつきますし、その後かけつけた警察が総出で追跡したにもかかわらず逃げ場のないお化け屋敷で犯人が忽然と姿を消した後に宗像登場となればどんなに察しの悪い読者も完全に宗像がクロだとわかるでしょう。 その後宗像が『真犯人』の本命である川手庄太郎を手の込んだ方法で片田舎に匿うのですが、そこで『真犯人』が雇った田舎芝居の一座による三文芝居を披露して自分の復讐の動機を川手に見せつけて絶望と恐怖を味合わせてから復讐の総仕上げに取り掛かるのですが、真犯人は標的の匿い先とグルだと明言してますから作者は読者に真犯人を隠す気がさらさらなかったと言うのが良く分かります。 で、本命の川手を片付けて(実際は即座に殺さず生き埋めにしたので後に救出されてしまいましたが)安心したのかその後偽の犯人を仕立てて殺す手口は杜撰過ぎましたね。 幾ら何でも逃げる意志満々だった者が自分が縛られた縄をほどいた後に自殺とか、真犯人である事を遺書にしたためて自殺とか無理がありすぎるでしょうに。 まあ、本作は推理小説ではなく怪奇小説って事なんでしょうが、それでも最後はわざとらしく海外出張していた名探偵・明智小五郎が日本に戻って来て一連のトリックや真犯人の正体を全て真犯人の宗像や警察関係者の前で暴露し、明智の罠に嵌って復讐の同志だった妹まで捕らえられ万策尽きた宗像は妹共々自害すると言うお約束の落ちで〆。 しかしまあ、本当に悪いのは本来復讐の対象となるべき身ながらあっけなく病死した川手の父親と、川手の父親に殺され、今わの際に幼い我が子らに復讐を命じた宗像、いや山本兄妹の両親だってのが泣けてきますな。こいつらのせいで川手は身に覚えのない復讐の標的にされて愛娘達を失った挙句自らも殺されかけて白髪になるほどの恐怖と苦痛を味わい、山本兄妹は人生を復讐の為に浪費し何の罪もない人間を何人も殺害した挙句本懐を遂げきれず無念の自害。 実に虚しさだけが残る結末でした。 | ||||
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奇想天外の話しに、ただ驚きながら、作家の執筆した昭和時代を思い出します。 | ||||
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江戸川乱歩という作家は知ってるがまだ読んだ事がないという方に特におすすめします。 乱歩の作品の中には癖があり読み進めるのが苦痛になる物もありますが、この「悪魔の紋章」は非常に読みやすい構成でまさに乱歩の王道。 ある程度乱歩を読んでいる方はなんとなくパターンがわかってしまいますが、それでもなおかつ次々と読み進めてしまう面白さがあります。 初心者ならなおさら夢中になるでしょう。 乱歩最初の1冊にぜひどうぞ。 | ||||
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わずか250頁弱の物語で、明智の登場はなんと198頁だが、しっかり小林少年も登場する。まごうことなき明智小五郎ものの長編。多分9作目である。 文中では昭和××年だが、連載時とほぼ同時代とみると、昭和12年あたりが舞台になる。ただし戦争や不況の影が伺えないので、濱口雄幸内閣が金本位制に戻す昭和5年以前かも。 乱歩作品、特に戦後の少年探偵団ものでは、街や住宅地が舞台でも、一歩裏に入れば薄暗い路地や雑木林があって、そんな影の中を二十面相やその一味がうろうろしているのだが、戦前の作品は、意外に華やかさを感じることが多い。例えば本書では、冒頭で助手が毒を盛られた喫茶店が、おしゃれにカフェ・アトランティスという名前だったりする。 さて、本書は再読である。 わたしの悲しき記憶力では、魅力的な機械トリックや叙述トリックはなんとか覚えられても、犯人をころっと忘れてしまう事が多い。フーダニットを新鮮に再読できるのは利点?だが、小学生の時にポプラ社版を読んだ本書は、しっかりと犯人を覚えていた。たしか『呪いの指紋』といった題名で、事件現場周辺に何度となく残される、特殊な三重渦状紋が印象的だった。そんな指紋形状が本当にあるとはちょっと思えないが、オバQな感じの指紋で、残虐な事件に絡むとピエロに通じる怖さを醸す。 これは忘れていたが、事件現場には三重渦状紋だけではなく、黒めがねの小男と眼帯をつけた大男が、毎度見え隠れして、なかなかのサスペンスで引っ張ってくれた。犯人が判っているからどうかなと器具していたが、意外に結構楽しめた。 もちろん、そこそこ楽しむためには、特撮ヒーロー番組を楽しむのと同様、頭のネジを緩くして、ツッコミを楽しむ広い心が大事であることは、言うまでもない。 乱歩作品あるあるに、被害者が若い女性の場合、何らかの形で公衆の面前に死体を裸に剥いて晒すというのがあるが、もちろん本書もはずさない。川手氏の娘二人は序盤に殺されて、展覧会に、お化け屋敷に“展示”されてしまうのだが、完全に記号化されていて、台詞一つないのが見事なほどだ。 それ以外にも、読者の心を疲弊させないように、川手氏の<ネタばれ>生き埋めのシーンですら、閉所恐怖症のわたしが本を放すことなく読めるくらいライトだった。彼は後に救出されるのだが、恐怖で髪が白く変色したという記号的描写がある限りで、回想やその他、救出後の台詞一つない。見事。 川手氏は、救出されるまで5日間土の中……いやムリムリ! 事件の関係者が、揃いも揃って被害者への同情や犯人への憤りを一切覚えないというのもツッコミポイントだが、明智や宗像、その他警察一同も被害者が記号である事を十分に認識しているのだろう。 わたしが本書で一番ツッコんだのは、川手家周囲の警備をまかされた刑事である。 宗像:「ほんとうに、だれも通らなかったのですか」 刑事:「けっしてまちがいありません。ぼくはそのために見張りをしていたのです」 宗像:「新聞配達とか、郵便配達とかいうようなものは?」 刑事:「え、なんですって? そういう連中まで疑わなければならないのですか」 ……中略…… 刑事:「まだありましたよ、ハハハハハハハ、そうじ人夫ですよ」 ……中略…… 宗像:「それじゃ、きみは、そのそうじ人夫がなにをしていたのか、少しも知らないわけですね」 刑事:「ぼくはそうじ人夫の監督は命じられていませんからね」 探偵小説に登場する警察はボンクラと相場は決まっているが、こいつは酷い。 派出所勤務に格下げ間違いなしである。ただし捜査一課長も刑事部長も、目くそ鼻くそである…… | ||||
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推理小説はレヴュー見過ぎない方がいいと思います アマゾンレビューで初めて五つ星つけました すごく面白いです 江戸川乱歩のパターンがわかっちゃわないうちに読むべきでしょう。 | ||||
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