白髪鬼
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点7.50pt |
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無二の親友と思っていた相手に妻を寝取られた主人公の執念の復讐物語。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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マリー・コレリ『ヴェンデッタ』の翻案小説である黒岩涙香(くろいわ るいこう)の『白髪鬼』を下敷きに乱歩が書き直した、二重の翻案小説です。 1931年(昭和六年)から1932年(昭和七年)にかけて、講談社の雑誌『冨士』に連載された作品。 乱歩が夢中になった涙香作品のリライト小説であるからか、ノリに乗った大乱歩の筆致の迫力に、総毛立つような作品でした。 一例を挙げれば、妖婦(ようふ)を前に、恨み骨髄に徹した主人公の独白文の、なんという一気呵成の名調子であることか。 《恨みというのか。恨みがなんだ。たとい一夜にしてお前の髪の毛を白くしたほどの恨みにもせよ、いずれ浮世(うきよ)の道化芝居の一(ひ)と幕に過ぎないのではないか。 月光の魔力であったか、美女の魔力であったか、一刹那(いちせつな)、わしは心弱くもそんなことを考えた。しかし、先祖以来伝わった復讐心が、たちまちにして、束(つか)の間の夢心地を追いのけてしまった。 「目には目を、歯には歯を」このほかに真理はないのだ。 わしは所詮(しょせん)、地獄の底から這いだした、白髪の復讐鬼のほかのものではなかった。》p.146~147 乱歩の活劇小説は、怪人や怪賊を追いかける探偵サイドの視点から話が展開していく作品が多いかと思うのですが、本作品は真逆で、「恨み晴らさでおくべきか」の執念に凝り固まった〈白髪鬼〉の視点から描かれている。そこに、残虐非道な主人公の行為に痛快感すら覚えてしまう同化作用とともに、尋常ならざる迫力が生み出されているのかなと、そんな気がしたのですが‥‥。 春陽文庫の表紙カバー、『使者』と題された多賀 新(たが しん)の装画も良いなあ。 禍々(まがまが)しくも、脳髄をかき鳴らす幻想味が、乱歩作品にいかにもふさわしく感じられて素晴らしいっす。 | ||||
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未読。発刊が古い為、同じ時に購入した他の書籍と比べると、状態が少し悪いのは致し方ない。しかし、それにしても、中古として、今によく残っていたと思う。入手出来たことに、感謝している。 | ||||
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江戸川乱歩の原作の文庫とレビューが一緒になってしまっているようですが、これは講談社漫画文庫の横山光輝の漫画へのレビューです。 収録作は「白髪鬼」、「大暗黒」、「魔界地帯」、「邪神グローネ」、「俺はだれ?」の五編。 「白髪鬼」は江戸川乱歩原作のコミカライズ。元をただせば海外のマリー・コレリの小説を黒岩涙香が翻案し、それを更に乱歩が翻案したものを、またまた横山先生がアレンジしたということになります。 妻と友人に裏切られた男が、姿を変えて復讐するという物語ですが、乱歩版では逮捕されて懺悔するのに対して、復讐したところで終わります。むかしの日本の復讐ものは、出版時の倫理的な問題なのか、捕まったり、自分も発狂したりするものが結構多いので、この方がスッとしますね。横山先生は女性不信なのかと思うような作品が割とありますが、本作の悪女描写もなかなかのものです。おおもとが海外の小説だから当たり前ですが、墓地が「火刑法廷」などで見るような地下室なのが日本としては奇異です。 「大暗黒」は小栗虫太郎の同名小説、「人外魔境」シリーズの一篇のコミカライズ。もとは探検シーンは意外と淡白で、主人公山座は深部まで行かず、その存在も無電で知らせるし、小栗らしい超論理・超現象のエピソード(空中浮遊)などもありますが……本作は山座をメンバーとした調査隊の探検部分に重きをおいていて、探検ものという点においては原作より「らしい」ものになっています。結末も謎を残す恐ろしいもの。一応、冒険中の出来事などは、原作にも書いてあることだったりもするのですが、こちらの方が強調されています。もちろん原作に無いアクシデントもかなり追加されています。小栗ものと考えずに単に探検ものとして見たら、本作の方がよく出来てるかもしれません。 「魔界地帯」は、異空間に飛んでしまう穴を見つけてしまった青年の悲劇。横山作品定番の柔和系の顔立ちの美青年が主人公で、しかも何も悪いことをしていないのに、ひどい目にあってしまうというのは可哀想であります。 「邪神グローネ」は、海底火山の噴火をきっかけに発見された像に奇怪な力があることを知った男が悪用をはかり、それに途中で気づいた主人公たちが止めようとするもの。作品の都合上、苦労のわりに邪神が弱いという話が多いですが、これは非常に強く、それを主人公たちが食い止めるので、なかなか迫力のある作品です。 「俺はだれ?」は、なんとなく、よくある気がする短編。ただ、ありがちゆえに面白くもあります。既に不倫をしている遺産目当ての妻をもった大富豪の老人が、病気で余命いくばくもないため、ある男に誘われて若い男と体を交換するというもの。しかし、老人も若い男も皮肉な結末を迎えます。 陰惨ですが、完遂するので痛快でもある「白髪鬼」が、タイトル通り白眉でしょう。小栗ファンとしては、かなりアレンジされているものの、「大暗黒」の収録も嬉しいところです。「白髪鬼」あたりは他の短編集にもとられていたと思いますが、あまり見ない作品も収録されているので、貴重な一冊。 | ||||
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桑田次郎の地獄風景である。昭和45年はトラウマ漫画大豊作の年である。中でも桑田次郎「地獄風景」いけうち誠一「小っちゃくなあれ」手塚治虫の「アラバスター」等などスペシャルなトラウマ漫画が大行進した1970年のこんにちはである。万国博覧会の開催で東京オリンピックを超える日本中お祭り騒ぎの印象がある当時の世相。一方、深刻な社会問題もてんこ盛り…ますます悪化する公害、激化する交通事故、過激化する学生運動、泥沼化するベトナム戦争など内外に悲惨な状況が展開してたのも同時代。そんな時代にマンガ家センセイたちは何を思い何を子供達に語ろうとしたのか。全て児童マンガのフィールドで発表された作品群。大好きな桑田次郎のマンガだ!とガッコの教室で読んだ地獄風景。美女の切断された真っ白な脚が宙を舞う。エライもんを見てしまったと震えた。今回読み返して傑作だなと感じつつも子供に読ませんなよと強く思った。もっとも児童マンガだから抑制された描写や展開になりそれ故に傑作になったのかもですが。表現の自由度が高い青年誌より少年誌の方に傑作が多数あるのはそんな事が理由のひとつかもしれないと考える2022年かな。 | ||||
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元々、江戸川乱歩の「少年探偵団シリーズ」が好きで小中学生時代に愛読してました。 高校生になって少年探偵団シリーズも読破したので大人の階段を登る意味で乱歩の他の作品をと思い適当に選んで読んだのが白髪鬼でした。 20年以上前に読みましたが、今でも墓の中で歴代の棺を開ける描写を鮮明に覚えています… 20年以上乱歩から離れていましたが、「孤島の鬼」をつい最近読んで久々に白髪鬼を読み返してみたいなと思いました。 わたしの読書の原点は乱歩なので。 (年齢的に少年探偵団はちょっと…ですが) | ||||
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