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白髪鬼
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【この小説が収録されている参考書籍】
白髪鬼の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.40pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全15件 1~15 1/1ページ
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マリー・コレリ『ヴェンデッタ』の翻案小説である黒岩涙香(くろいわ るいこう)の『白髪鬼』を下敷きに乱歩が書き直した、二重の翻案小説です。 1931年(昭和六年)から1932年(昭和七年)にかけて、講談社の雑誌『冨士』に連載された作品。 乱歩が夢中になった涙香作品のリライト小説であるからか、ノリに乗った大乱歩の筆致の迫力に、総毛立つような作品でした。 一例を挙げれば、妖婦(ようふ)を前に、恨み骨髄に徹した主人公の独白文の、なんという一気呵成の名調子であることか。 《恨みというのか。恨みがなんだ。たとい一夜にしてお前の髪の毛を白くしたほどの恨みにもせよ、いずれ浮世(うきよ)の道化芝居の一(ひ)と幕に過ぎないのではないか。 月光の魔力であったか、美女の魔力であったか、一刹那(いちせつな)、わしは心弱くもそんなことを考えた。しかし、先祖以来伝わった復讐心が、たちまちにして、束(つか)の間の夢心地を追いのけてしまった。 「目には目を、歯には歯を」このほかに真理はないのだ。 わしは所詮(しょせん)、地獄の底から這いだした、白髪の復讐鬼のほかのものではなかった。》p.146~147 乱歩の活劇小説は、怪人や怪賊を追いかける探偵サイドの視点から話が展開していく作品が多いかと思うのですが、本作品は真逆で、「恨み晴らさでおくべきか」の執念に凝り固まった〈白髪鬼〉の視点から描かれている。そこに、残虐非道な主人公の行為に痛快感すら覚えてしまう同化作用とともに、尋常ならざる迫力が生み出されているのかなと、そんな気がしたのですが‥‥。 春陽文庫の表紙カバー、『使者』と題された多賀 新(たが しん)の装画も良いなあ。 禍々(まがまが)しくも、脳髄をかき鳴らす幻想味が、乱歩作品にいかにもふさわしく感じられて素晴らしいっす。 | ||||
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未読。発刊が古い為、同じ時に購入した他の書籍と比べると、状態が少し悪いのは致し方ない。しかし、それにしても、中古として、今によく残っていたと思う。入手出来たことに、感謝している。 | ||||
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江戸川乱歩の原作の文庫とレビューが一緒になってしまっているようですが、これは講談社漫画文庫の横山光輝の漫画へのレビューです。 収録作は「白髪鬼」、「大暗黒」、「魔界地帯」、「邪神グローネ」、「俺はだれ?」の五編。 「白髪鬼」は江戸川乱歩原作のコミカライズ。元をただせば海外のマリー・コレリの小説を黒岩涙香が翻案し、それを更に乱歩が翻案したものを、またまた横山先生がアレンジしたということになります。 妻と友人に裏切られた男が、姿を変えて復讐するという物語ですが、乱歩版では逮捕されて懺悔するのに対して、復讐したところで終わります。むかしの日本の復讐ものは、出版時の倫理的な問題なのか、捕まったり、自分も発狂したりするものが結構多いので、この方がスッとしますね。横山先生は女性不信なのかと思うような作品が割とありますが、本作の悪女描写もなかなかのものです。おおもとが海外の小説だから当たり前ですが、墓地が「火刑法廷」などで見るような地下室なのが日本としては奇異です。 「大暗黒」は小栗虫太郎の同名小説、「人外魔境」シリーズの一篇のコミカライズ。もとは探検シーンは意外と淡白で、主人公山座は深部まで行かず、その存在も無電で知らせるし、小栗らしい超論理・超現象のエピソード(空中浮遊)などもありますが……本作は山座をメンバーとした調査隊の探検部分に重きをおいていて、探検ものという点においては原作より「らしい」ものになっています。結末も謎を残す恐ろしいもの。一応、冒険中の出来事などは、原作にも書いてあることだったりもするのですが、こちらの方が強調されています。もちろん原作に無いアクシデントもかなり追加されています。小栗ものと考えずに単に探検ものとして見たら、本作の方がよく出来てるかもしれません。 「魔界地帯」は、異空間に飛んでしまう穴を見つけてしまった青年の悲劇。横山作品定番の柔和系の顔立ちの美青年が主人公で、しかも何も悪いことをしていないのに、ひどい目にあってしまうというのは可哀想であります。 「邪神グローネ」は、海底火山の噴火をきっかけに発見された像に奇怪な力があることを知った男が悪用をはかり、それに途中で気づいた主人公たちが止めようとするもの。作品の都合上、苦労のわりに邪神が弱いという話が多いですが、これは非常に強く、それを主人公たちが食い止めるので、なかなか迫力のある作品です。 「俺はだれ?」は、なんとなく、よくある気がする短編。ただ、ありがちゆえに面白くもあります。既に不倫をしている遺産目当ての妻をもった大富豪の老人が、病気で余命いくばくもないため、ある男に誘われて若い男と体を交換するというもの。しかし、老人も若い男も皮肉な結末を迎えます。 陰惨ですが、完遂するので痛快でもある「白髪鬼」が、タイトル通り白眉でしょう。小栗ファンとしては、かなりアレンジされているものの、「大暗黒」の収録も嬉しいところです。「白髪鬼」あたりは他の短編集にもとられていたと思いますが、あまり見ない作品も収録されているので、貴重な一冊。 | ||||
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桑田次郎の地獄風景である。昭和45年はトラウマ漫画大豊作の年である。中でも桑田次郎「地獄風景」いけうち誠一「小っちゃくなあれ」手塚治虫の「アラバスター」等などスペシャルなトラウマ漫画が大行進した1970年のこんにちはである。万国博覧会の開催で東京オリンピックを超える日本中お祭り騒ぎの印象がある当時の世相。一方、深刻な社会問題もてんこ盛り…ますます悪化する公害、激化する交通事故、過激化する学生運動、泥沼化するベトナム戦争など内外に悲惨な状況が展開してたのも同時代。そんな時代にマンガ家センセイたちは何を思い何を子供達に語ろうとしたのか。全て児童マンガのフィールドで発表された作品群。大好きな桑田次郎のマンガだ!とガッコの教室で読んだ地獄風景。美女の切断された真っ白な脚が宙を舞う。エライもんを見てしまったと震えた。今回読み返して傑作だなと感じつつも子供に読ませんなよと強く思った。もっとも児童マンガだから抑制された描写や展開になりそれ故に傑作になったのかもですが。表現の自由度が高い青年誌より少年誌の方に傑作が多数あるのはそんな事が理由のひとつかもしれないと考える2022年かな。 | ||||
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元々、江戸川乱歩の「少年探偵団シリーズ」が好きで小中学生時代に愛読してました。 高校生になって少年探偵団シリーズも読破したので大人の階段を登る意味で乱歩の他の作品をと思い適当に選んで読んだのが白髪鬼でした。 20年以上前に読みましたが、今でも墓の中で歴代の棺を開ける描写を鮮明に覚えています… 20年以上乱歩から離れていましたが、「孤島の鬼」をつい最近読んで久々に白髪鬼を読み返してみたいなと思いました。 わたしの読書の原点は乱歩なので。 (年齢的に少年探偵団はちょっと…ですが) | ||||
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英マリー・コレリの恐怖小説を明治期に黒岩涙香が紹介し、これをさらに乱歩がリライトしたもの。 デュマの巖窟王(モンテ・クリスト伯)の 「一部ヲ取入レタヤウナ筋」(作者)。 なるほどこういう筋立て、古今東西普遍なんですね。 | ||||
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少年時代に読んだ物と思い購入したが、違う物だった。内容自体は知っていたのでがっかりはしていない。 | ||||
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本やDVDは、通常近所で購入するのですが、品切れなのでネットで購入しました。 | ||||
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これらの作家が自分流の乱歩を描くとこうなる、的なテイストで読むと楽しめるかもしれません まず作家ありき、の作品です 個人的には桑田先生の作品が好きかな | ||||
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どこかで読んだストーリーと思ったのも道理、原作・江戸川乱歩でしたか。こういう話はでも、横山先生のいかにも好むものでもあるのでこのチョイスは納得出来ます。誰も幸せにならないラストとか、いい余韻のある話でした……。 冒険モノにファンタジーもの、色々な話が他にも収録されています。投げっぱなし、放りっぱなし的なラストが多いのには、人間に出来ることなど限られているというそんなメッセージ性を感じました。読み応えのある話が4編、お勧めです! | ||||
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本書に収載されているのは 横山光輝「白髪鬼」 桑田次郎「地獄風景」 古賀新一「陰獣」 の、いずれも乱歩原作の三作品である。 まあ、厳密には「白髪鬼」は乱歩オリジナルとはいえないのだが。 そして、いずれの作品も、乱歩の雰囲気を良く表している。 いずれも著名な作品だし、かなり原作にそってマンガ化されているので、ストーリーについては今さら言うことはない。 横山作品は、そのソフトタッチと相まって、かなり暗い話をサラリと、淡々と描いている。 桑田作品は、シャープなタッチが、かなり陰惨なストーリーを明快に、しかも著者もかなり楽しんで描いたことが良く分かる作品となっている。 本作はたしか「ぼくらマガジン」という、比較的対象年齢層の低い雑誌での連載だったこともあり、陰惨な描写は極力控えめではあるが、それでもあんな場面やこんな場面など、乱歩ファンならニヤニヤものである。 さて、最後の古賀作品である。 「陰獣」のマンガ化はかなり難しかっただろうが、適度にストーリーを省略して、独特のタッチで不気味な乱歩ワールドを実にうまく描写している。 さすがは「エコエコアザラク」の作者である。 かなり強引な描写もないわけではないが、やはり乱歩作品とのマッチングは最高である。 入手し難い本ではあるが、乱歩ファンには一度手に取る価値がある。 横山「白髪鬼」は近年再刊されたが、この三作のそろいぶみには拍手を送りたい。 | ||||
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白髪鬼は翻案物なので、プロットに若干無理なところもあるが(西洋式墳墓や海賊の宝)、 それを補って余りある乱歩ワールドが展開する。特に主人公による一人称独白体はこの作 家ならではの雰囲気を醸し出してあますところない。考えてみればずいぶん残虐な復讐が 展開するのに、意外にも血なまぐささは少ない。乱歩作品にはそういうプラスティックめ いた、或いは人工的な趣向が強いのだ。復讐を貫徹した主人公にはその出自にふさわしい 気品めいたものさえ漂い、いっそ爽やかでさえある。またこの小説には隠された主題とし てのホモセクシュアリティもある。 | ||||
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1973年に出た角川文庫版。 「白髪鬼」「一枚の切符」「盗難」「人でなしの恋」「恐怖王」の5篇が収められている。 「白髪鬼」は、壮絶な復讐の物語。プロットが良く出来ている。悪人たちが次第に追いつめられていくさまが楽しい。予定調和の心地よさも。 「一枚の切符」は、ちょっと納得のいかない話だ。 「盗難」は、小気味よい作品。 「人でなしの恋」は、美しくも哀しい話。乱歩の傑作の一つだろう。 「恐怖王」は、なんだか消化不良というか。 | ||||
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人はここまで復讐の鬼になれるのか?人間の狂気、浅心、裏切り、執念、そして復讐・・全てにおいて「ここまでやるか!」ってくらいに書かれており、本当に面白かった。スイスイと読める本でした。 | ||||
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あの『厳窟王』(アレクサンドル・デュマ)の主人公エドモン・ダンテスの身の上すらうらやむほど おそろしい目にあった主人公の「ふくしゅう」劇。 主人公の物語る口からでる「ふくしゅう」という言葉、つねに平仮名なのは、「復讐」と普通に漢字で書いてしまうほど並の復讐にはとどまらぬ、強い執念をあらわしているのでしょうか。主人公の経験した恐怖、そしてその「ふくしゅう」心の強さに、読む者も思わず手に汗をにぎりながらひきこまれる思いでありました。 | ||||
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