(短編集)
幽霊座
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点7.00pt |
幽霊座の総合評価:
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全1件 1~1 1/1ページ
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「幽霊座」、「トランプ台上の首」は読んでいたので今回は未読の「鴉」のみを読みました。岡山の湯治場を舞台に金田一耕助がお馴染み磯川警部の誘いで3年前にそこで起きた密室状況での不可解な人間消失に挑むというもの。相変わらず大横溝らしい緻密な構成と明かされる背景の哀愁に酔いしれることができました。あと、耕助と磯川の絶妙な掛け合いも良し(笑) | ||||
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水槽を使った夏向きの歌舞伎と古い劇場の怪談といった趣向はよろしいのですが、扱っているテーマが「人間消失」という不可能犯罪。とはいえ「人間消失」が早々に「人間失踪」扱いとなり大きな謎とはなりません。 金田一耕助は協力者には恵まれています。久保銀造、風間俊六、神門貫太郎という三大パトロン。公僕である磯川警部、等々力警部とそのチーム、民間の協力者としては宇津木記者や多門修。しかし事件と全く無関係の「友人」は少ない。彼が探偵業に目覚める前、渡米前からの唯一の友達が奇禍にあうというファンにとっては悲しすぎる事件となっている点が注目箇所です。都会物にありがちなエログロが抑えられているのは作者唯一の梨園物だからでしょう。 「鴉」は岡山物ですが、同じく「人間消失」を扱っています。「幽霊座」と同様に早々に「人間失踪」になってしまい、不完全燃焼です。本作は登場人物の殆どがロクデナシ揃いなので、読後感がよろしくありません。 「トランプ台上の首」はパズラーとしてすっきりまとまった傑作。隅田川の水上生活者の暮らしが描かれていて素敵な冒頭から、猟奇殺人へ走り、かなり理詰めの謎解きに至ります。金田一の都会物の傑作のひとつです。短編を中編化した話は大体完成度が高いです。(「支那扇の女」を除く) | ||||
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年を取ってくると、多くの人物が登場する本格探偵小説はハードになってくる。読み進む中に人物相互の複雑な関係を忘れてしまうんですよねぇ(笑)。なので、100ページ前後の中短篇がちょうどいいのです。 という訳で、横溝本格長編がキツイ中高年の方に薦めます。「ん?ちょっとこれは?」というモノも入ってますが…。 | ||||
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表題作の感想のみ。 古典探偵小説において、新劇や歌舞伎業界を舞台とした探偵小説がやたらに多く感じるのは、現代の推理ドラマでTV業界が舞台になることが多いのと同じような感覚で、取り上げられやすかったのだろうか。金田一耕助が歌舞伎に造詣深いという印象は、これまでは特になかったが、本作で玄人はだしの観劇巧者ぶりを発揮している。本作に登場するのは架空の座であり役者なのだが、現代になぞらえると、主役探偵が唐突にジャニーズ俳優と友人だったと開示されるようなものだと思うが、当時の読者はミーハー臭い印象を持たなかったのだろうかw とは言っても、業界の背景などは著者の興味あるいは取材に基くしっかりしたものがあるように感じた。 16年前の人間消失事件と、現代の二重毒殺及び未遂事件の二段構えの謎、かつ両者に共通の「鯉掴み」演目にかんするギミックの図解等々、なかなか興味を引っ張ってくれるが、後者は金田一耕助が介入せずとも警察の分析で明らかになることだし、結局はプロット重視の作品だった。 というわけで、個人的には本作は謎解き小説としてよりも、耕助と鶴之助がよく行き来していたのが、「本陣殺人事件」よりも前という点が興味深かった。 耕助がアメリカから帰って来てから一柳家の新婚夫婦惨殺事件までは、それほど間はなかった印象を持っていたのだが、帰国後彼が久保銀蔵の援助で東京に探偵事務所を構えてから、それなりに実績もあげての鶴之助失踪事件なので、数年間はあったことがわかる。 あらためて、Wikipediaの彼の経歴をチェックしてみると、彼の帰国は昭和10年、鶴之助失踪は昭和11年、一柳夫婦の遭難は昭和12年とされていた。 | ||||
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新品であるのに、なぜか帯が付いてない。横溝正史没後120年記念の帯が付いているはずが、無かったので1点減点した。 帯を送ってほしいものだ。 | ||||
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本書は表題作の「幽霊座」をはじめ、「鴉」「トランプ台上の首」の3篇を収録した横溝正史の短篇集。すべての作品に名探偵・金田一耕助が登場する。 ●幽霊座 「幽霊座」は昭和27年11月から12月まで「面白倶楽部」に連載された作品。歌舞伎を題材にした点が珍しく、アメリカに行く前の金田一がどんな学生時代を送っていたのか、どんな人と交流があったのか垣間見られる点がファンには嬉しい。 金田一耕助のデビュー作として有名な「本陣殺人事件」が起きる前年。金田一の親友で人気歌舞伎役者の佐野川鶴之助が、浅草にある稲妻座で「鯉つかみ」という演目を上演中、舞台から忽然と姿を消し行方知れずとなってしまう事件が起きた。 それから17年後、幽霊座と揶揄されるようになった稲妻座では、鶴之助十七回忌の追善興行として、鶴之助の忘れ形見である雷蔵が「鯉つかみ」を演じることになっていた。ところが、主役の雷蔵は差し入れのチョコレートに毒を盛られ昏倒。急遽代役を務めることになった紫虹をさらなる惨劇が待ち受けていた……。 久しぶりに会った鶴之助の姉を「姉さん」と呼んだり、旧知の役者・水木京三郎からは「耕ちゃん」と呼ばれたりする場面などは金田一らしくて微笑ましい。事件自体は舞台装置を使った大掛かりなトリックものだが、犯人の目論見とは異なる結果になっており、真実を知ると鶴之助の失踪も致し方ないと思われた。 <登場人物> 佐野川鶴右衛門 … 稲妻座を創立した五代目。貨殖の才に富む。 佐野川りん … 鶴右衛門の長女。稲妻座を取り仕切っている。 佐野川鶴之助 … りんの弟。十七年前に失踪した人気役者。 佐野川紫虹(静雄) … 鶴之助の異母弟。若手役者のホープ。 佐野川染子 … 鶴之助の妻。光雄の死に逆上し亡くなる。 佐野川光雄 … 鶴之助の長男。雷蔵が生まれた日に池へ転落死。 佐野川雷蔵(喜久雄) … 鶴之助の次男。天才役者と評判。 仙枝 … 鶴之助の愛弟子。光雄の死後、崖から落ちて亡くなる。 音平 … 佐野川家三代にわたってつかえてきた男衆。音爺い。 民造 … 紫虹の男衆。顔半面に恐ろしい火傷のひきつれがある。 竹村 … 歌舞伎興行を一手に握っている大会社の重役。 水木京三郎 … 鶴之助と猛烈な人気争いを演じていた役者。 水木京丸 … 京三郎の倅。雷蔵と人気を二分する天才児。 新平 … 京三郎の弟子。満州で鶴之助を見かけたと話す。 雛菊 … 紫虹や雷蔵と同じチョコを食べ見物席で倒れた芸者。 篠原アキ … 鶴之助が失踪前、金田一に調査を依頼した女。 佐藤亀雄 … 劇評家。金田一とは顔見知りの間柄。 市川斎入 … 上方の歌舞伎役者。「鯉つかみ」が当たり役。 滝窓志賀之助 … 狂言「鯉つかみ」の主人公。 等々力警部 … 警視庁捜査一課所属の警部。金田一耕助の相棒。 金田一耕助 … ご存知名探偵。鶴之助とは学生時代に識合う。 ●烏 「烏」は昭和26年7月「オール読物」に掲載された短篇でいわゆる密室もの。このパターンは何度目なのか思い出せないくらいだが、「悪魔の手毬唄」「人面瘡」「首」といった作品と同様に、岡山を訪れた金田一が磯川警部に紹介された湯治場で事件に遭遇する。 この寒村には鴉を使わしめとする「お彦さま」と呼ばれる神社があり、3年前そこの婿養子・蓮池貞之助が謎の失踪を遂げる。お堂には鴉の死骸が吊るされ、3年経てば戻ってくると鴉の血で書き置きが残されていた。はたして予言どおり失踪した婿養子は姿を現すのか、この事件を担当した磯川警部はやきもきするのだが、そんな警部をほっておいて自由に過ごす金田一とのやりとりが面白い。 巨石が幾百と山の斜面につみかさなっている描写など、舞台設定はなかなか良かっただけに、あっさり終わってしまうのが残念で、もう少し長くこの物語を楽しんでいたい気持ちにさせられた。 <登場人物> 蓮池紋太夫 … 蓮池家の当主。岡山県失神村で温泉宿を営む。 蓮池由良 … 紋太夫の妻。以前はお彦さまの巫女をしていた。 蓮池珠生 … 紋太夫の美しい孫娘。幼時に両親をうしなう。 蓮池貞之助 … 三年前に失踪した珠生の婿養子。 幾代 … 珠生の母方のいとこ。孤児だったのを珠生がひきとる。 泰輔 … 由良の甥。珠生の再婚相手として紋太夫が推す。 お杉 … 温泉宿の女中。縮れッ毛の陰気な女で恐ろしく無口。 留吉 … 温泉宿の男衆。 久保銀造 … 岡山県にある果樹園の経営者。金田一のパトロン。 磯川警部 … 岡山県警の古狸。金田一とは旧知の仲。 金田一耕助 … 磯川警部と訪れた湯治場で事件に遭遇した探偵。 ●トランプ台上の首 「トランプ台上の首」は昭和32年1月「オール読物」に掲載された短篇。死体の生首だけを残すという、犯人の不自然な行動にスポットを当てている。 水上生活者を相手にボートで総菜を売り歩く宇野宇之助の得意客は、隅田川の河岸に建つ聚楽荘というアパートの住人だった。その日も聚楽荘で商売をしていた宇野は、浅草にあるミラノ座のストリッパー牧野アケミの生首を発見する。その首はトランプ用のテーブルに安置されていた。 アケミは殺される直前まで、劇場仲間である郷田実・伊東欣三・高安晴子の3人とトランプ遊びをしており、その後ひとりでいる時に襲われたことが判明する。犯人はなぜ身元確認の要となる首だけを放置し、胴体を持ち去ったのだろうか。捜査に乗り出した金田一耕助は、寒いのにアケミが素肌にガウンだけ羽織ってゲームに興じていたという証言に違和感を覚えるのだった……。 通常、被害者の首と胴を切り離すという事件は、死体の運搬を容易ならしめることと、もうひとつは死体の身許を不明にすることを目的としている。したがって、首なし死体は見つかっても、首の方はなかなか見つからないのが普通であるのに対し、本事件はまったく逆な点がめずらしい。事件の真相が明らかになると、あえて首の方だけを残した理由も理解できるのだが、解決部分はやや急ぎ足だったように思う。脇役では菅井警部補が光っていた。 ちなみに本作は水上生活者に惣菜を売り歩くおかず屋や自動車のブローカーなど、当時の世相をたくみに作品に活かしている点が面白い。「鳩の町」というのも最初なんのことかわからなかったが、かつてカフェー街だとか特飲街などと呼ばれた赤線地帯を指す言葉だったようだ。読み終えた後、今ではもう跡形もない往時の東京にしばし思いを馳せた。 <登場人物> 宇野宇之助 … 水上生活者に舟で惣菜を売り歩く飯田屋の主人。 内海 … 隅田川の河岸に建つ聚楽荘というアパートの管理人。 郷田実 … 浅草にあるミラノ座の支配人。 牧野アケミ … ミラノ座の人気ストリッパー。聚楽荘の住人。 高安晴子 … ミラノ座のしがないストリッパー。アケミの朋輩。 伊東欣三 … ミラノ座の幕内主任。 稲川専蔵 … 西銀座にある稲川商事の社長。アケミのパトロン。 花江 … 稲川専蔵と同棲している内縁の妻。元ダンサー。 山根純一 … 稲川商事の事務員。 川端宏 … 稲川商事の事務員。 石河和子 … 稲川商事の事務員。 菅井警部補 … 聚楽荘が管轄の捜査主任。金田一が眼ざわり。 岡村警部補 … 西銀座が管轄の捜査主任。金田一に友好的。 藤田刑事 … 菅井警部補の部下。 田代刑事 … 菅井警部補の部下。 小崎刑事 … 岡村警部補の部下。金田一とは顔馴染み。 吉田刑事 … 岡村警部補の部下。銀行での調査を担当。 等々力警部 … 警視庁捜査一課所属の警部。金田一耕助の相棒。 金田一耕助 … 等々力警部に誘われ聚楽荘にやってきた名探偵。 | ||||
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