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の評価: 4.37/5点 レビュー 122件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.37pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全122件 61~80 4/7ページ
No.62:
(5pt)

直木賞受賞よりだいぶ前の インタビューを本にしたもの。

藤田 宜永 小池 真理子
という未入籍の直木賞受賞作家の
直木賞受賞よりだいぶ前の
インタビューを本にしたもの。

インタビューは 秋元真澄
夢色ふたり暮らし―熱い恋の醒めたディアローグAmazon書評・レビュー:夢色ふたり暮らし―熱い恋の醒めたディアローグより
4787440152
No.61:
(5pt)

これはすごい!迫真もので、本当の事件かと思った。

これは作者の筆の力をまざまざと感じさせる作品だ。
読者は、その圧倒的な力に引き込まれてしまう。
しかも、話の真ん中で、話が急展開するのだ。

作家の力量をこれほど感じさせる作品は、他の作家を
入れても数少ないと思う。恋愛小説なのにである。
余りにも迫真に迫ってくるので、本物の事件かとネットで
一度は調べてしまったほどだ。
男性女性問わず、是非一読をお勧めする。

そして、読後感も悪くないところが実に不思議な
作品である。
恋 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:恋 (新潮文庫)より
4101440166
No.60:
(5pt)

最高に面白い! でも、もし実話だったら・・・

初めて、小池真理子さんの小説を読みました。
「恋」というネーミングは、かなり大胆です。
相当の自信作だったのだろうと思います。

かなり分量のある本ですが、最初から、引き込まれました。
随所に、布石が打たれており、推理小説のようです。
きびきびとした文体、無駄のないストーりー展開です。
(阿刀田高氏の解説に、もともと「ハヤカワミステリワールド」の中の1冊との記載があり、納得!)

私は、片瀬信太郎・雛子夫妻と女子大生ふうこ(布美子)の関係を、抵抗なく受け入れることができたので、どんどん読み進めることができました。
そして、結末で救われた思いがあります。

最高に面白い、よくできた小説だと思います。
でも、もし、これがノンフィクションだったとしたら、ふうこの人生はなんだったんだろう と考え込んでしまいます。
(171)
恋 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:恋 (新潮文庫)より
4101440166
No.59:
(4pt)

淀みのない文章、そこに描かれたのは男女の倒錯した愛

浅間山荘事件(1972年2月)に世間の耳目が注がれる中、軽井沢の別荘である事件が起きた。事件に関与したのは英文学専攻の大学教授である片瀬夫妻(信太郎と雛子)、そこで翻訳のアルバイトに雇われたM大学の学生、矢野布美子、そして地元の電気店の従業員、大久保勝也。事件の内容は布美子が勝也を銃殺、信太郎も撃たれ重傷。犯行現場には雛子もいた。

布美子はこの事件で服役するが、45歳で癌で死亡。ノンフィクション作家、鳥飼がこの事件に関心をもち、布美子をつきとめ、彼女が亡くなる直前の病床で事件の顛末を聞き取りる。その話の一部始終がこの小説の核である。布美子は信太郎の翻訳の作業を手伝っているうちに恋愛感情が芽生える。片瀬夫妻、すなわち信太郎と雛子はお互いの浮気(異性関係)を認めあう異常な関係。そこに布美子が割り込み、彼女にとっては片瀬夫妻に精神的にも、セックスでものめり込んでいく。

そこに大久保という25歳の男性が現れ、雛子は彼に惹かれ、夫、信太郎との離婚も考えるようになる。そんななか布美子は信太郎から意外な事実を知る。それは雛子と信太郎とは腹違いの兄弟だということであった。雛子は二階堂という元子爵の娘で、その子爵がお手伝いさんに産ませた子が信太郎であった。

話はここから一気に軽井沢の別荘に。布美子が別荘に赴き、憑かれたようにかつて信太郎に手ほどきを受けた猟銃で勝也を射殺。次いで狙われた雛子をかばった信太郎に弾があたり重傷。現場は一転して凄惨な地獄となった。

終章で鳥飼は翻訳の「ローズマリー」を出版したH出版の編集長に会い、片瀬夫妻との橋渡しを依頼するが、叶わない。しかし、編集長から手渡された片瀬夫妻の写真に写っていたマルメロの木に気がつき(それは布美子がかつて片瀬夫妻と別れる決意をしたときに植木屋でもらい、軽井沢の別荘に植えられていたものだった)、通行人のよそおって、片瀬夫妻宅を訪れる。淀みのない文章、そこに描かれたのは男女の倒錯した愛の世界、しかし当事者だけが知る真実の世界である。
恋 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:恋 (新潮文庫)より
4101440166
No.58:
(3pt)

物語としてはおもしろいと思いました。

80年代生まれで、学生運動とか紛争とか何を問題に何を騒いでいたのか全く分からないので、時代の雰囲気とか情緒とかもっと感じ取れてたら感想も変わってくるんだと思います。あさま山荘事件から連想されるものなんてカップヌードルくらいですから、時代の素養がないと理解できないことも多いかと思いました。
なんとなくノスタルジックな気持ちを感じてることにして、わからないことは分からないなりに読み進めていってもけっこうおもしろかったです。

ただ小池さんの文体ってドラマチックっていうか、気を持たせる表現が多いので胃もたれ気味です。状況や心情も若干説明過多。これは好みになりますが、もっと気取らずさらっと書き流してくれた方が入りこめるのになと思いました。

内容に触れることになりますが、
私は事件後の片瀬夫妻の生き方が気になりました。何を思って二人で生活してきたんでしょうね。布美子を憎んだり、逆に罪の意識を感じたりしたんでしょか。
わざとそこを詳しく書かず、添削されたあとがきやマルメロの木のくだりが物語を美しくしてますね。

性に奔放な雛子が、それ意外に強く惹かれる男に出会って、それが本当の恋だと感じること。その時はそうだとしても、年をとった雛子はどう感じているんだろう。
普通そういう恋愛って10代の内に経験するものですし、性を伴わない精神だけの繋がりって恋人である必要はないと思うんです。私みたいにプラトニックな恋愛を信じない人間には、共感できない大人でした。
恋 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:恋 (新潮文庫)より
4101440166
No.57:
(5pt)

もっと早く読めばよかった

「恋」というタイトルから、私には合わない恋愛ものだと決めつけていましたが、最近になって読んだ「無伴奏」があまりにも素晴らしくて、こちらも読んでみることにしました。読み始めてすぐ、これは来たな、という感触が。とにかく文章が素晴らしくて、その時代の空気が如実に伝わってきます。
妻が他の男と肉体関係を結んでも平気な夫、そんな夫婦の両方を愛してしまう女子大生……、読み進めるうちに、すべての登場人物の心情がしっかりと伝わってきて、共感さえ覚えてしまう。そんな書き方ができる作家を私は他に知りません。
本当に、本当に素晴らしい小説。もっと早く読みたかった。今になって読めてよかった。最後の最後まで心にしみました。
恋 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:恋 (新潮文庫)より
4101440166
No.56:
(5pt)

傑作

小説に限らず、物語にはクライマックスというものがあり、それで全てが決まるといっても過言ではない。この作品は僕の少ない読書歴の中で最高傑作の一冊であるが、その理由はクライマックスにある。「クライマックスを盛り上げる」と口で言うのは簡単だが、実際にそうするのは難しい。この小説にはクライマックスが二つあるように思えた。まず、あの事件。ここで面白いと思ったのが、最初の方で事件について詳細が語られ、そこに収束していく形で物語が進行していく点である。否応なしに高まる期待以上の展開に痺れた。そして、最終章。僕は基本的にハッピーエンドが好きではないが、あまりの救われなさにいたたまれなくなっていた。しかし、最終章でのささやかなどんでん返し。何故全体がこういう構成になったのかもわかった気がした。巻末の筆者と解説者のやり取りも秀逸。文句なしの傑作。
恋 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:恋 (新潮文庫)より
4101440166
No.55:
(5pt)

ぐっと来る感じ

大人な恋。恋焦がれるとか恋しいとかそういう”恋”ではなく、もっと濃厚なディナーな感じ
恋 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:恋 (新潮文庫)より
4101440166
No.54:
(3pt)

一目惚れの恋の具体描写と展開があれば…

「浪漫的恋愛」を読んで、同じ作家の「恋」を読みましたが、この「恋」は、後半部分の雛子と大久保の一目惚れの恋に主に由来するのでしょうが、この「一目惚れの恋」とは雛子に言わせれば「肉体でなく精神であった」とのこと。
1.私が理解しにくいのは「浪漫的恋愛」でもモチーフであった「一目惚れ」… この描写がほとんどなされていない… 強烈な一目惚れで、それがモチーフである以上、その一目惚れの具体とその後の展開理由を書いて欲しかった。そんなの文に出来ない、では小説としては逃げでしかないのでは… 強烈な一目惚れ、があって後に画面ががらっと展開するのだから、避けては通れないはずなのに…
2.それと、恋は「肉体でなく精神であった」、がホントとは思えない… それらは密接に絡み合っていて、恋は身体の触れあいを求めざるを得ないし、触れ合いを求めあってこそ恋もより深化するはずのもの…
所詮は小説ではあろうが、一番大事な所が納得できない展開では(描写がパスされてブラックボックス的に避けられているような;読者の想像に任せるでは逃げでは…)、未消化で残念としか〜
恋 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:恋 (新潮文庫)より
4101440166
No.53:
(3pt)

正直言ってもっとドロドロとした恋愛関係を想像していましたが、相関関係としてはいたって分かりやすく、純愛に近い恋愛を描いています。通常の恋愛と違い、個人を人間として愛したのではなく、人間関係を愛したからこそ引き起こした悲劇といったところでしょうか。
一番近い関係としては子供から見た夫婦の関係かもしれません。夫婦が仲がよいと子供も両親を愛します。それは父親や母親といった個体ではなく夫婦という人間関係を一体として愛しているのだと思います。そんな夫婦関係に第三者が介入し、それによって夫婦関係が崩壊したときに子供がとる手段に一番近い気がします。
全体的には、70年代の頽廃的な学生運動が背景となっており、非現実的な人間関係と肉体関係が綴られており、どんよりとした印象を持たせながらも、最後にはホロッとさせる一文によってハッピーエンド的な印象を与える本でした。
恋 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:恋 (新潮文庫)より
4101440166
No.52:
(5pt)

ハヤカワ文庫のあとがきと解説は必読

ハヤカワ文庫での「文庫版あとがきに代えて」と
巻末の、阿刀田高さんの解説は、たいへん面白く感じました。
詳細をここに書いてしまうと、「ネタバレ」になりますので遠慮しますが
阿刀田さんの解説中の「指摘」に対して
小池さんが、文庫版あとがきに代えて、の中の「付記」で
きちんと回答をなさっております。
このやり取りは興味深く、小池ファンにとっては見逃せません。
ふうちゃんと雛子、信太郎の3人の関係は、恋愛と官能が複雑に絡み合う
一見あり得ないものですが、読み進んでもうっとうしさを感じない
実に爽やかな「三角関係」でした。
「このような関係も悪くない」と、それを肯定する気持ちが湧いてきた
さすが、小池さんの作品です。
作品中に、軽井沢の自然描写がいろいろ出てきますが
マルメロの樹が、最後に重要な役割を果たすのは、予想外でした。
このあたりの描き方も、さすが、小池さん。
作品もあとがきも、解説も、文句なしの「星5つ」です。
恋 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:恋 (新潮文庫)より
4101440166
No.51:
(5pt)

珠玉の恋愛小説

実は日本の女性の恋愛小説は苦手なのですが、これは面白かったです。
途中で飽きてきましたが、飽きたときにはもう引き返せないところまで読んでいました。
最後まで読んでよかったです。
倒錯的な生活を送る三人の物語。
やがて一人の男があらわれ、三人の平和が壊される。そのとき…。
そんなお話です。
ものすごく耽美な内容ですが、この作品のどこが面白いかと言われると、正直なところ答えずらいです。
「感性がいい」としか答えられません。
文章もそう華美ではなく、とても平板。
内容が耽美的なので、もっと華美な文章でもよかったと思いますが、そうなるとこの作者の作品にはならないのですよね。
でも、とても面白かったです。
恋 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:恋 (新潮文庫)より
4101440166
No.50:
(2pt)

日本の長編にありがちな枚数稼ぎの「情痴小説」

 かなりの長さで、物語が破綻なく書かれてはある。一見「力作」である。しかし、これを外国語、たとえば、英語やフランス語に翻訳し、世界に出せるか? 出したら、たんなる三文小説だろう。日本の長編小説にありがちなパターンであるが、無駄な描写でいたずらに枚数を稼いでいる感がある。本作は400字詰め原稿用紙に換算して1000枚ほどだと思うが、「情報量」は100枚程度のものである。
 どの登場人物も、「物語」を語るための「道具」でしかなく、実際に生きている感じがしないし、共感もできない。本作をミステリーとして引っ張っていくサスペンス=「秘密」は、最後まで意味ありげなのであるが、その「秘密」は意外でもなんでもなく、誰でも予想のつく凡庸なものである。
 70年時代とその時代を生きた人々を題材にしたということであれば、藤原伊織の『テロリストのパラソル』の方が、文学としてリアリティがある。
 
 「浅間山荘事件」が時代背景としてあり、まるで関係あるかのように書き始められているが、あの「歴史的な事件」について、たとえフィクションでもなにか作者なりの見方があるのか、そういう興味で読み進んでいったが、結局、それは、「アクセサリー」にすぎなかった。作者がその世代に属し、それに拘りたいのだろうが、実際には、そこまで踏み込んでいない。ただ、これを情痴小説と見れば、それなりの鑑賞には耐えうる。
恋 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:恋 (新潮文庫)より
4101440166
No.49:
(5pt)

★五つが最高評価であることが狂おしく思える

あらすじは省略するとして。矢野は片瀬夫妻に出会わなければ罪を犯すことはなく、平々凡々な女としての一生を終えたのだろう―――そうは思うものの、矢野がわずか儚い時間でも、生まれてきた意味に巡り合ったならばどんな悲劇が巻き起ころうが、出会いは宝なのだ。事件後の夫妻の関係、彼ら三人以外の社会の反応に好奇心を大きく擽られた。それを架空のものだと、何度も忘れそうになった。恋愛小説と呼ぶにはあまりにも性モラルのない奔放な世界に投げ出されるが、文字を追うだけで私の想像の中に彼らの過ごした夏が映画のように描きだされた。つまり小池真理子が上手いのである。同著「望みは何と訊かれたら」は浅間山荘事件後からスタートが切られるが、本作は同じタイミングで終焉を迎える。何にしろ、あの事件がひとつの時代を集約し、ピリオドを打ったことを改めて感じさせられた。★五つが最高評価であることが狂おしく思える。今まで読んだ、もしくはこれから出会う作品と並べたとしても本作は間違いなく高く秀でるだろう。読み始めてからは、まるで自身のレベル倍ほどモンスターに遭遇してしまったような、そんなトンデモなさが沸き上がる。
恋 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:恋 (新潮文庫)より
4101440166
No.48:
(5pt)

これほど人の感情を色濃く描く作品はない!

これほど人の感情を色濃く描く作品はない!
そう断言したい・・・
それほど、主人公の女性の内面をえぐりだします。
「心神喪失」とはこのことか!と妙に納得。
そして感動のラストシーン。
ぼくは涙が止まりませんでした。
万感胸にせまる思い、
こう書くと陳腐な感じがしますが。
大学助教授の夫婦のアブノーマルな関係を軸に
話は進んでいく、エンターテーメント性も一級!
オススメの一冊です。
恋 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:恋 (新潮文庫)より
4101440166
No.47:
(4pt)

単純な恋のアンソロジーではなくて、、、

8人の女性作家の描く恋愛小説。
恋愛小説を読んでいて思うのが、恋をしている男女の心理描写は様々なかたちで描けても、セックスの描写は良く似ていること。
そして、セックスの描写はどうしても著者の経験が反映してくること。
本書に収められている全ての作品は、男女の恋愛・・・というより、恋や愛、そして不倫をエッセンスに人間関係を描いた作品と言えると思う。
なぜなら男女が恋に落ちて、肉体関係を結ぶという単純なストーリーではないから。
「恋の物語」というほど単純なアンソロジーではないのです。
エクスタシィ―大人の恋の物語りAmazon書評・レビュー:エクスタシィ―大人の恋の物語りより
4584180318
No.46:
(4pt)

単純な恋のアンソロジーではなくて、、、

8人の女性作家の描く恋愛小説。

恋愛小説を読んでいて思うのが、恋をしている男女の心理描写は様々なかたちで描けても、セックスの描写は良く似ていること。
そして、セックスの描写はどうしても著者の経験が反映してくること。

本書に収められている全ての作品は、男女の恋愛・・・というより、恋や愛、そして不倫をエッセンスに人間関係を描いた作品と言えると思う。

なぜなら男女が恋に落ちて、肉体関係を結ぶという単純なストーリーではないから。

「恋の物語」というほど単純なアンソロジーではないのです。
エクスタシィ―大人の恋の物語りAmazon書評・レビュー:エクスタシィ―大人の恋の物語りより
4584180318
No.45:
(5pt)

倒錯でもなく奔放でもない人間の本性

1972年 浅間山荘事件の年
学生運動という政治運動?革命期待?あるいはエネルギーを爆発させるための祭り?
最新作の「ふたりの季節」2008年も同じ年代の青春物語であるが、この「恋」が書かれた1995年当時の小池さんと明らかに文章の柔らかみが違うことに気が付きます。
本書の解説には「倒錯」とか「奔放」とかの言葉が使われていますが、果たして、倒錯や奔放という文脈が正しいのだろうかと思います。
あるいはモラルであるとか道徳あるいは倫理という文脈は誰がどのような思想の基に作り上げられたのだろうか?
男と女あるいは両性具有であろうが、ヒトが生きる限りおいて出会いがあり別離があり生老病死がある。
小池さんの筆によって描きだされる人物が実は人間の本質を正確にあるいは人間の普遍な姿なのだと思いながら読んでいたら、時間も忘れ最後まで一気に進んでしまった。
登場人物の中に自分と同じ心象を程度の差はあるにせよ感じるからだろう。
恋 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:恋 (新潮文庫)より
4101440166
No.44:
(5pt)

冒頭の結論提示に驚く

 直木賞を獲得した、この作品と同じときに候補にあがった、小池真理子以外のすべての作家は、不運だったと思う。この作品のできばえに、平凡な天才クラスでは、きっと誰もかなうはずがなかったからだ。
 ノンフィクション作家が、昭和47年のある新聞記事に目をとめる。連合赤軍が起こした、浅間山山荘事件と同じ日の新聞に、ベタ記事として掲載されていた、深い理由がありそうな殺人事件の存在に、彼は『売れる本を作ってやるぜ!』との野心に燃えて、当時大学生だった犯人の女性を訪ねる。
 彼は、死の病にある彼女の心を開かせ、事件前後のすべてを聞き出すことに成功する。しかし、野心に燃えていたはずの彼が下した決断は、『聞いたことは本にしないし、誰にも語らない』という結論だった。
 それほどの重たい秘密が、事件の背景にあったというわけだ。「なるほど、これは本にはできん」。読者が納得する展開を、小池真理子さんは、保証することろから物語を始めているのだ。
 小説が始まったばかりの入り口で、そんな結論を展開させちまって、だいじょうぶなのか。読者の俺が、作家の立場になって心配しても仕方ないが、それほどの結論を冒頭に示しているのである。そんなことは、力がないやつには、できん。まるで予告ホームランしているようなものではないか。
 『欲望 (新潮文庫)』そして『恋』を読み始めて、一貫して思うのは、小池さんの文章が緻密で揺るぎないことだ。主人公の内面世界に没頭することができる。
 優れた作品を読んでいる時だけに感じる、精神が酩酊する状態を、通勤バスの中で何度も感じている。
恋 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:恋 (新潮文庫)より
4101440166
No.43:
(5pt)

心に残こってる・・・本です。

30年生きてきて、読書をほんとに始めたのはこの一年間です。まだ50冊は超えていないだろう・・読書数の中で、本当に忘れられない・・という作品はこの「恋」と外国の作家の「アルジャーノンに花束を」のみです。大好きになる本はたくさんあるのだけれど、忘れられない・・・そんな感慨深さを与えてくれるもの・・・ってあるようで実際に会えるヒット数は少ないのかもしれません。そんな感慨深い作品だったのに私は本のタイトルだけ覚えていて作家名を間違って小池真理子さんではなく林真理子さんで覚えていました・・・。今、思い返し、この本のレビューを書いておきたい・・と思い検索して、小池真理子さんだったのか・・と思ったところです。なにげなく図書館で借りて読んだ・・この本。内容もしっかり覚えていて「うっかり」忘れて同じ本をてにすることは絶対ない。この本を見るときには、読んだ内容までしっかり蘇って、それと知って手にとって見る・・・そういう本です。
恋 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:恋 (新潮文庫)より
4101440166

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