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恋
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【この小説が収録されている参考書籍】
恋の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.37pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全122件 81~100 5/7ページ
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学生運動で大学が揺れる中、大学生の布美子は報酬の良いアルバイトの紹介を受け翻訳の助手を始めた。雇い主である大学教授の信太郎と妻の雛子の出会いをきっかけにして運命の歯車が狂い始める。 倒錯的な感情に囚われて渇望した布美子の心理模様は圧巻で甘美さに高揚させられる。 | ||||
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直木賞受賞作であり, 作者の小池真理子さん自身,この小説を着想したときのことを 「神が降りた」と言っている。 この作品のプロット,たとえば,作中小説を背景音楽のように使ったり, 核となる事件から何十年後かの様子を第三者に語らせる手法は, 後の彼女のほかの小説でも再び使われており, 彼女の小説世界が集約し,凝縮したような作品である。 恋愛の対象となる男性が,理知的で,病み疲れたような美しさを持っているのも いつものとおりだなあ,と満足させる。 内容は,作中小説「ローズサロン」さながら,退廃的・官能的な性の営みを繰り広げる 主人公たちの関係が,ある日,その1人が現実的な普通の恋愛に目覚めたことから 崩壊する,というもの。 そりゃ,退廃的・幻想的な世界はいつかは崩壊するじゃないか,それなのに 幻想世界をいつまでも現実のものとして維持したいと願い,しがみつこうとするあまり 気が狂ったような行動をとったこの主人公はいったい何者だ, とやや冷めた目で見てしまい,★をひとつ減らそうとする私は, この小説を読む資格がなかったのかもしれない。 しかし,そう言いながら他方でこの幻想世界の結末の付け方に感服もしている。 この小説の設定は,70年代の学生闘争の時代であり, 前半,主人公の女子大学生の周囲にも,革命マルクス運動だのの理想世界を夢見て闘争する 学生がたくさん出てくる。 その学生運動を終結させ,現実に引き戻した事件が浅間山荘事件であり, 同じ日に,主人公の狂気の行動により,主人公らの退廃世界も終結する。 このあたりの二重唱のつむぎ方はとてもうまくて,小説としての完成度が高く さすがだなぁと思った。 | ||||
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直木賞受賞作であり, 作者の小池真理子さん自身,この小説を着想したときのことを 「神が降りた」と言っている。 この作品のプロット,たとえば,作中小説を背景音楽のように使ったり, 核となる事件から何十年後かの様子を第三者に語らせる手法は, 後の彼女のほかの小説でも再び使われており, 彼女の小説世界が集約し,凝縮したような作品である。 恋愛の対象となる男性が,理知的で,病み疲れたような美しさを持っているのも いつものとおりだなあ,と満足させる。 内容は,作中小説「ローズサロン」さながら,退廃的・官能的な性の営みを繰り広げる 主人公たちの関係が,ある日,その1人が現実的な普通の恋愛に目覚めたことから 崩壊する,というもの。 そりゃ,退廃的・幻想的な世界はいつかは崩壊するじゃないか,それなのに 幻想世界をいつまでも現実のものとして維持したいと願い,しがみつこうとするあまり 気が狂ったような行動をとったこの主人公はいったい何者だ, とやや冷めた目で見てしまい,★をひとつ減らそうとする私は, この小説を読む資格がなかったのかもしれない。 しかし,そう言いながら他方でこの幻想世界の結末の付け方に感服もしている。 この小説の設定は,70年代の学生闘争の時代であり, 前半,主人公の女子大学生の周囲にも,革命マルクス運動だのの理想世界を夢見て闘争する 学生がたくさん出てくる。 その学生運動を終結させ,現実に引き戻した事件が浅間山荘事件であり, 同じ日に,主人公の狂気の行動により,主人公らの退廃世界も終結する。 このあたりの二重唱のつむぎ方はとてもうまくて,小説としての完成度が高く さすがだなぁと思った。 | ||||
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最近、『望みは何と訊かれたら』を上梓された小池真理子さんだが、その原点はまさにこの『恋』にある。正直言って、小池さんと私は、ほぼ同世代に当たり、幻想と狂気が一部の人々(学生等)を支配していた1970年代前半、すなわち「或る種の幻想に浸っていられた時代」(本書P.310)をくぐり抜けてきた訳だ。この幻想と狂気を一組の夫婦と女子大生の関係性に布置、仮託し、出来上がった作品が本書であろう。 ロマンチックな題名とは違って、凄惨なラストを迎える小説であるけれども、幻想と狂気は混沌を生み、その混沌そのものを愛し、恋するが故に、女子大生・矢野布美子は己の「生(性)の秩序」たらしめようとした。しかし、本来的に混沌を秩序と擬制することは不可能であり、結局、「ありふれた生(性)の秩序」の現出によって、「混沌とした生(性)の秩序」は終止符を打たれ、悲劇的な幕切れとなってしまうのであった。 「ありふれた生(性)の秩序」に「混沌とした生(性)の秩序」を対置しようとした矢野布美子の想念は、あの時代、ブルジョア的な日常性=関係性の否定を試みた<革命運動>のそれと類似しなくもない。<革命運動>も、それ自体、混沌を目指すものだからだ。ただし、秩序とはなり得ない。そして秩序も、実は共同的な幻想と排他的な強制とで成り立っており、それ故、異端的な幻想と破壊的な狂気を徹底的に排除するのである。 | ||||
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一組の夫婦とそこに入り込んだ女子大生のある意味「退廃」した生活の中で少しずつ歪ができ、ある男の登場で、その関係が崩壊する物語。崩壊したがある意味、夫婦も女子大生も「再生」の希望が描かれている。人間は「退廃」「官能」を突き詰めるとどうなるか?どこかにやはり「道徳」がその突き詰めていく作業を邪魔する。だからこそ人間であるのだと思う。その先には「清」が待っている。ある意味突き詰める作業を行ったからこそ、その境地にいけるのだが。そのプロセスを退廃した雰囲気を行間に滲ませながら、物語はすすんでいく。直接的な表現は少ないが、すごくエロティックである。恋愛は奇麗事では済まされないのである。 | ||||
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小池真理子さんの作品は 今までにも読んだことはありましたが それらは1冊をのぞき全て ミステリーとかホラーとか呼ばれるジャンルのもの。 好きなのです。 この方独特の大袈裟でない わずかずつ、歯車と軸の回転が狂っていくような 浸したハンカチに、じわじわと水がのぼっていくような 静かに隙間を広げていく暗闇が… 今までと違い、新境地を開いたと どこかで、この本についての紹介を目にしましたが 読み始めて数ページ… あの独特の感覚は 息をつめながらも、行間に漏らす溜息の中 確かに感じられます。 | ||||
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あまりにも昼ドラな世界だわ、と言ってしまえばそれまでなのですが、いわゆる一人の女と一人の男の間に発生する一般的な恋愛の物語ではないので、(それならば作者はこのタイトルはつけなかったでしょう)主人公のふうちゃんが恋していたものは何だったのか、という部分に思いを巡らせてみると少しせつなくなります。 そもそも恋ってなんだろう?恋はどんなふうに人の心を支配し、突き動かすのか、などとしみじみ考えてしまう 作品でした。 ひとつの恋には、やはりいつかひとつの終わりが訪れるのでしょうね。 | ||||
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文章が本当に上手いなぁ、と関心してしまう。引き込まれる倒錯した世界観。 読み終えた後、今、自分がどこにいるのか、どういう人を愛しているのかを つかの間忘れてしまうほど。 人の心はかくも複雑に出来ているものか。 そして求めるものは、いたってシンプル。 本の力を思い知らせてくれる1冊です。是非!! | ||||
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ここのところ、無性に映画が観たくなり、敬愛する小池女史の好きな映画はどういったものなのか、また、誰なのか知りたくなり、購入しました。 おそらくかなりの数の映画を観ているであろう小池氏のことなので、人気のありすぎる俳優たちよりは、コアな俳優について解説されているのだろうと思っていたら、これがそうでもなく、日本でも熱狂的な人気を誇るハリウッド俳優たちについても非常に鋭い観察眼でもって見つめている。その俳優の外見的特徴から、実際にスクリーンに映った時どのように「活きて」くるのかまで、(その映画や俳優たちを)何も知らないこちらにをも納得させる解説がなされており、興味深かった。 またこれで観たい映画が増えました。あまり映画に興味がなかった人も、是非読んでみることをおすすめします。 | ||||
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小池真理子の代表作なのであろう。しかし、あの学生時代の背景といい、 禁断の恋といい、最後の結末といい、完成された作品である。 テーマは悲しい恋なのだが、ストーリーの展開が素晴らしい。 この本ですっかり小池真理子のファンになった。 | ||||
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直木賞受賞作ということで、勧められて読んだ。 20年前、浅間山荘事件の陰で行われた猟奇的な殺人が、ひとつの発端になる。 「恋」というタイトルだが、ミステリーの要素が強い作品です。 今、小池真理子は「恋愛の不条理」をテーマにした作品を多く書いているが この本が原点なのかもしれない。 | ||||
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登場人物の呼吸も鼓動もしっかり聞こえてくる。 匂い立つような軽井沢の描写。 小池さんの筆力によって、吹き込まれた「命」があざやかに踊る。 「恋」という不条理に翻弄され、描かれるモノ全てが踊っている。 タンゴではない、ワルツのようなリズムで...。 翳りと憂いを秘めた内的なリズムで...。 ひっそりとした空気を漂わせ、ゆったりとしたピッチでリズムは刻まれる。 元子爵家という設定も、結末も、時代背景も、 そして浅間山荘事件までもが、 そのリズムに合わせているかのようだ。すべてがこの物語の中では静かで、どこか乾いている。 文学的リアリティに溢れ、粒立った感情の波が大きくうねる。 そして強く、深い「酔い」だけがいつまでも残る。 鷺沢萌さんの「失恋」のあとがきで、小池さんが冒頭に書いた一文がある。 「恋とは畢竟、不条理なものである」。 その通りだと思う。 全てがリアルだ。そして深い余韻を残す。 この小説は「恋」そのものなのだと思う。 | ||||
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複雑で不思議な物語。ある夫婦に憧れと愛情をもつ一人の女子大生。 その中で起こるさまざまな関係、愛情、愛欲、嫉妬、そして死・・ 恋とゆう題名から思っていたものとは多少違っていたが、読むにつれ てこの物語の恋という本当の意味が分かる一冊。 | ||||
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「欲望」を読んで以来、気になっていた本だったけど、あらすじを見て自分とは縁遠いことだと思い買うのを躊躇ってた。だが、最近長期の休暇ができたため、本を5、6冊買った中に何気なく入れた「恋」だったけれど、パラパラと読んでいるうちに1970年に引き込まれてしまった。直木賞受賞作ということを別に意識はしなかったけれど、奥が深い本だった。主人公に関しては、始めこんな大人しそうな女の子がどうしてそんなことを…と不思議に思ったが、純粋さと若さゆえの激情や単純さ、堕落した何かに惹かれる弱さと孤独が自分自身の陰とオーバーラップして共感した。人は誰もが残虐さを隠して生きているが、それを行動に移すと芙美子のように悲しい過去を背負ったまま死を迎えることになるのか。悲しく儚い夢を見ていたかのような本だった。 | ||||
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友人に勧めれて読んでみました。さすが直木賞の授賞作だけあって最後まで飽きさせない展開ではありますが、時代背景にある1970年代、全共闘や浅間山荘事件もからませて、その陰に隠れた事件として主人公が犯す犯罪をクローズアップさせる狙いについては、目指すところが思惑どおり描かれているかどうか疑問に思うこともありました。地味で目立たない大学生の布美子がアルバイト先で出会う片瀬夫妻。今まで窺い知れなかった華やかでどこか淫靡な世界に急速に惹かれてゆく布美子。微妙な三角関係の先に夫妻の意外な秘密が次々と現れてくる。そして最後に布美子が下す結論。それはそれなりに衝撃的なものですが、そこに時代を絡める必要性は、布美子と片瀬夫妻の違いを際立たせる以外には感じられませんでした。 | ||||
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小池真理子の長編。 一体彼女はどんなジャンルに属する書き手なのか。 ミステリイなのか、恋愛小説なのか、サスペンスなのか、 彼女の作品で描かれる女性というのは 男から見ればたまらなく怖く、たまらなく意地が悪く それでいて「したく」なるような女性たち。 この作品もデカダンや全共闘の時代や 猟奇やそうした様々なものを感じさせてくれる奇作なのだけれど ぼくにはこれが女性版ハードボイルドに感じられた。 強い女 怖いけれど 触れてみたいものである。 | ||||
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約10年ぶり直木賞を受賞したころ以来、この本を読んだ。当時の私はこの本の主人公、府美子とほぼ同じような年齢で、自分の恋愛とかけ離れた恋愛に人生を投じた主人公を気の毒に感じた。10年後も再び読み返したくなるほどとても印象深い作品だったのだが、ハッキリ言って細かいストーリーはほとんど忘れてしまっていた。強く印象に残っていたのは、軽井沢と浅間山荘事件と呑気な登場人物たちの描写だ。私の幼少期によく訪れた軽井沢は今と違い(浅間山荘事件から5年後位)何となくまだ事件の余韻を残した、避暑地でありながらどことなく暗い影を残した場所だった。簡単にいえば、今と違う成長期の日本だと思う。その印象と照らし合わせながら、この小説を、よりリアルに時代を感じながら読めた。浅間山荘事件を知らない世代にはこの感覚は得難いのでは、とも思う。今、改めて読み返してみると、当時と同様引き込まれて一気に読めたのだが「読まなきゃよかった」「読んでよかった」という感想。軽井沢の描写はおいておいて、大人の恋愛をしているような3人が実はとても子供っぽいことに気付いたし、また一生のうち人によってはゼロ回か数回もできない”重い恋愛や愛”とはこのようなもの、という印象も。正直、現在を表すくだりでの主人公や夫婦の感情面では、時間の流れが止まり過ぎでは?(ちょっと作者の投げやりさを感じた)という若干の疑問も感じた。この小説の焦点は、作者の時代感のようなもので、とても上手く作られていると思う。その点において、今もなおとても優れた作品だし、作者の勢いを感じる(偉そうで申し訳ありません・・)。 | ||||
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~取り上げられている俳優は、女優陣:ジュリエット・ルイス、グウィネス・パルトロウ、ヘレナ・ボナム・カーター、ジュリエット・ビノシュ、エマニュエル・ベアール、ダイアン・キートン、ジャンヌ・モロー、江角マキコ、風吹ジュン、吉永小百合男優陣:ブラッド・ピット、デビッド・シューリス、ジョニー・デップ、ダニエル・デイ・ルイス、リチャード・~~ギア、ウォーレン・ビーティ、ヘルムート・バーガー、ジェレミー・アイアンズ、ハーヴェイ・カイテル、アンソニー・ホプキンス、堤真一、布袋寅泰、萩原健一、高倉健で、すべてです。~ | ||||
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~取り上げられている俳優は、 女優陣:ジュリエット・ルイス、グウィネス・パルトロウ、ヘレナ・ボナム・カーター、ジュリエット・ビノシュ、エマニュエル・ベアール、ダイアン・キートン、ジャンヌ・モロー、江角マキコ、風吹ジュン、吉永小百合 男優陣:ブラッド・ピット、デビッド・シューリス、ジョニー・デップ、ダニエル・デイ・ルイス、リチャード・~~ギア、ウォーレン・ビーティ、ヘルムート・バーガー、ジェレミー・アイアンズ、ハーヴェイ・カイテル、アンソニー・ホプキンス、堤真一、布袋寅泰、萩原健一、高倉健 で、すべてです。~ | ||||
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『無伴奏』で小池真理子という作家に興味を持った。この『恋』で小池真理子という作家が好きになった。彼女の作品はどれも独特の世界を持っている。中でも『恋』は彼女の世界を十二分に表現している。裕福で自由奔放な片瀬夫妻の存在で、物語は一見リアリティを失っているように見えるが、現実に起きた「浅間山荘事件」や主人公・布美子の暮らしぶりからリアルを感じることができる。物語の中で「恋」は様々な姿に形を変えて登場する。人間の醜く汚い部分を見せつつも、作品全体に美しさを残すあたりが作者の手腕であろう。読後は涙が止まらなかった。悔しさ、切なさ、喜び、悲しみ、怒り。「感動」という一言では言い表せない涙だった。 | ||||
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