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マイナス・ゼロ
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【この小説が収録されている参考書籍】
マイナス・ゼロの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.22pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全123件 101~120 6/7ページ
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司馬遼太郎が直木賞選考委員だった際に、何度も候補になったSF作家・広瀬正の作品を、候補になるたびに高く評価し、特に『マイナス・ゼロ』を大絶賛していたと知り、我先にと飛びついた本作品。特に、タイムトラベルを扱った話に必ず付いて回るパラドックスにどうやって取り組んだのかに注目して読んだ本作品であったが、物語の大団円で主人公浜田俊夫とヒロイン伊沢啓子にまつわる謎はほぼ破綻なく解明されたものの、物語の最初からずっと解明されるべく提示されていた浜田俊夫のお隣の大学の先生で伊沢啓子の父親でもあった男の正体について何ら回答が出されていなかった。 その他、駐在所の巡査の顛末であるとか、そもそもタイムマシンがどこからやってきたのかについてもどこか宙ぶらりんな形で話が完結していた。物語の最後の1ページで、これら残された諸疑問がこれから解決されるような予感を読者に与える形で話は終わってはいたものの、是非著者自身の手でもう少し明確な決着を付けて欲しかったというのが、正直な感想である。 それにしても、最初から最後まで、タイムマシンは無機質でひたすら不気味な存在だった。 | ||||
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30年以上前の中学生の頃でしょうか、市立図書館で読んで面白かった記憶に従い購入。 戦中、戦後を巡るタイムパラドックス作品で、やはり面白い。 人物の絡みと日本人ならではの思いやりと人情がとても嬉しい。 英語に訳してハインラインに読ませたかった。 しかし子供の頃は、この面白さがわかっていなかったことも理解。 僕は、タカシだったのでしょう。 | ||||
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作者は冷遇されたことで有名だが、また一部に熱烈な支持者を持つことでも知られている。私はこれまで氏の作品を読む機会が無く、今回初めて読んだ。まことに残念ながら大ハズレだった。無駄に長すぎるし、昭和のノスタルジーに興味がないと読むのがつらい。「マイナス31」の章などまったく面白くない。主人公の行動動機がさっぱり理解できなくて、だんだんイライラしてくる。いくつかの重要な謎が解明されないままなのも問題だ。アイデアこそ面白いが、これだったらハインライン『輪廻の蛇』がもっとうまくスマートにやっている。 文章がうまいのは評価できるので、もうすこし氏の作品を読んでみようとは思う。 | ||||
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判ってはいたけどちょっと古臭いよね。フレコミだと相当おもしろそうだけど期待ハズレなかんじ。娯楽として読むにはいいけどちょっと長すぎ。小説全集2以降に期待します。 | ||||
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復刊を機に、改めて読み直してみた。 和製『夏への扉』と言うべき、タイム・トラベルものの名作。 主人公はタイムマシンに乗って、昭和38年の「現在」から昭和7年へとタイム・スリップ。 いわゆる「タイム・パラドックス」の解消法としてSFで用いられる手法の1つに「時間旅行者による歴史改変行為が、既に現代の歴史の前提になっているため、タイム・パラドックスは起こりえない」という考え方がある。すなわち、時間旅行による歴史改変の結果として「現在」が存在しているため、時間旅行によって「現在」が変わることはあり得ない。時間旅行は最初から歴史の中に含まれており、厳密には「改変」ではなく予定通りの進行である。 本作は「タイムパラドックス不可能説」(歴史を変えることはできない)の立場から緻密なストーリーを築いた傑作SFである。周到に張り巡らされた数々の伏線が最後にはきっちり回収される手際は見事で、爽快な読後感を味わえる。また登場人物はみな善意の人々で、暗い戦争の時代は意図的に遠景に追いやっているので、純粋に楽しめる。時空を超えた恋愛というのも何ともロマンチック。 しかし本作はSFとして優れているだけでなく、昭和初期の東京を活写する風俗小説としても魅力的である。 巻末の解説で星新一が賞賛しているように、古き良き「大東京市」の過剰なまでに詳細な再現ぶりには感嘆する。当時の物価や銀座の町並みなどを丹念に調べたという並はずれた努力に拠るところが大きいのは間違いないが、やはり銀座育ちの作者の実感が反映されている点が決定的と言える。 カシラ一家をはじめとする市井の人々の息づかいまでもが感じられる描写は、単なる懐古趣味やレトロ感覚を超えた切実な感傷を呼び覚ます。我々はタイムスリップした主人公と共に、空襲によって失われてしまった戦前の東京を追体験することができるのである。 タイムパラドックスを巧みに処理した筋立ての面白さと、細部にまで工夫を凝らした舞台装置の妙。この見事な融和こそが本作を傑作たらしめた要因であろう。 | ||||
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タイムトラベル物の傑作として知る人ぞ知る存在でありながら、 絶版のため読めなかった作品。 今回復刊されたのを知り迷わず購入した。 本書はいくつかのパラドックスが巧みに仕掛けられたSFとしての面白さに加え、 主人公がタイムマシーンによって送り込まれた戦前の東京の風景や生活の描写を 存分に楽しむ事が出来る。 特に銀座周辺の描写はかなり詳細にわたっており、 今のCG技術で忠実に映画化されれば非常に面白いと思う。 こんなに面白い作品がなぜ絶版になっていたのか不思議。 | ||||
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タイムパラドックス物は楽しいです。 1回目は物語を楽しんで、2回目はどこで作者に騙されたのかを考えながら読むのが良いのではないでしょうか? ただ、この内容であれば、三分の一くらいの分量で十分なのでは? という気もします。 ハインラインの「時の門」には、やはり遠く及ばないようです。 | ||||
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うわっ、懐かしいな。かっての文庫版と同じタイトル・ロゴとイラスト。和田誠による装丁を見て、手に取った際思わず叫んでしまった。"この文庫を復刊せよ!"との企画で陽の目を見た今作。日本に於けるタイムトラベルSFの先駆的作品にして屈指の傑作。若くして夭折した才気ある作家の伝説の小説という位置づけは、実は当時からあった。作品の背景、作者については、他のレビュアー氏の詳細なレビューを参考にされるとして、私は久しぶりに読んだ作品の感想を。 実に生真面目、論理的に破綻のない構成とストーリー展開。今読むと、気恥ずかしくなってしまうほどの倫理的なキャラクター造形、時代を感じさせる言い回し。そして、何より、昨今流行の「昭和」のムード溢れる精緻な時代考証。筆者のあとがきによると、今作は昭和45年頃、氏が急死する2年前に書かれている。小説の舞台は、執筆時より10〜35年余り遡っている訳だが、中でも、筆者が幼少期を過ごした昭和初期の銀座のレトロでノスタルジックな描写と時代背景、人々の暮らしぶりがじっくり味わえる。小説の半ばで、当時の物価の一覧が挙げられているのが興味深いし、ダットサンの由来や通信技術の進歩、昭和社会風俗史が垣間見える話になっている。 殆ど物語のディティールは忘れていたけれど、時空を遡ってしまった男の数奇な「個人史」が、終盤になってジグソーパズルをはめ込むように連環、幸福感を以って完結していくオチを読みながら、この作品に初めて出逢った25年近くも前の出来事が甦ってきて、ちょっと感傷的になってしまった。 | ||||
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作者と作品内容については他の方が詳しく書いてくださっているので省略。 この文庫の最初の版が出たのは1982年2月。奥付によれば1998年に第12刷が出たのが最後のようですので、10年ぶりの復活です。 今回の改訂新版は、帯のうたい文句に「活字が大きく読みやすくなりました」とあります。 前の版が436ページ、この改訂新版が518ページ。 あとがきも星新一さんの解説もそのままの内容ですので、このページ数の差がそのまま活字の大きさの差だとすると、約19%拡大ということになります。 前の版を持っている人も、読みやすくなったこの改訂新版でもう一度広瀬正の世界を堪能してください。 なお、来月には『ツィス』が予定されていますので、このまま全6巻のすべてが改訂新版として刊行されることを期待したいです。 | ||||
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20数年前、中学生の頃「タイムマシンのつくり方」のショートショートを読み衝撃を受け、図書館で全集を読み漁りました。その頃は既にお亡くなりになっており、読破後もうこれ以上彼の作品を読むことができないのか、、と本当に残念に思ったものです。 その中でも本作「マイナス・ゼロ」は別格で、結末には頭がクラクラするほどの感動を受けました。本作はこれまでに数年おきに何度も読み返していますが、今回新しく復刊されるとのことでとても感慨深いです。これまで氏の作品を知らなかった、特に若い人たちに広く認知されるきっかけになっていただきたいものです。 ところである評論家が、「氏のタイトルの付け方が下手だ(だから売れなかった)」というニュアンスの事を言っていたように記憶していますが、私はそうは思いません。「マイナス・ゼロ」にしても「エロス」にしてもとても素晴らしいタイトルだと思います。 | ||||
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日本SF長編の金字塔であり、SF黎明期に登場し後の作家たちに多大な影響をあたえた大傑作SFが本書「マイナス・ゼロ」です。 著者の広瀬 正は、不幸な作家でした。長い不遇の時代を経て、ようやく世間に認められた矢先、取材先で心臓発作を起こして亡くなってしまいます。直木賞に三度もノミネートされたにも関わらず、SF不遇の時代だったために受賞を逃し、それでも、ようやく人気が出てきて、さあこれからという矢先の突然の死でした。 さて、前置きはこれくらいにして本書の主な舞台は、戦時中の東京です。昭和初年の東京が眼前に広がります。『昭和38年、主人公である浜田俊夫は、18年前の大空襲時に行方不明になっていた隣家の娘伊沢啓子と再会する。啓子は、失踪した当時のままの年齢だった。彼女は戦火を逃れて、タイムマシンにのって現在にやってきたという。俊夫はタイムマシンにのって過去へ向かうが、予定していた年代にはつかず、違う時代にタイムトラベルしてしまう。』 導入部だけ紹介するにとどめます。この作品、タイムマシンが引き起こす混乱に各登場人物が翻弄され、要約では、説明しきれない内容になってるんです。様々な問題が起こり、幾人かがタイムトラベルすることによってパラドックスがうまれ、あらゆる要素が伏線となりラストですべてが整然と解決されます。緻密に計算されていて、すべてが収まるべきところに収まるところなど並のミステリ以上に大きなカタルシスを得られます。かてて加えて、この作者の描く昭和初期のノスタルジックな描写の素晴らしさはどうでしょう。これは、本書のもうひとつの魅力でしょうね。とにかく本書が復刊されたのはとても喜ばしいことです。これを機に是非もっと多くの方が本書を読まれることを願ってやみません。 | ||||
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長編第一作で、解説は星新一。 それにしても、古本のこの高騰ぶり、なんとかならないものか。 興味を持った方が、お近くの図書館で借りられますように。 初めて読んだ広瀬正は、なんとミステリの筆致を持った作家だとわかった。 壮大な謎解きにSFの手法をうまく絡めた、複雑な、 しかもエンターテインメントとしても一級品の力作。 長編第一作がこれというのはすごい。 「ツィス」など、まだ味読……じゃなくて未読作品が控えているので、楽しみである。 ページを繰る手が止まらない、とはこういう作品の事を指す。 特に、昭和初期の描写の鮮やかさは、今までになかったタッチだと思った。 昭和のはじめといえば、写真でもモノクロしかないし、 当時の探偵作家でさえも、描写をあえてモノトーンで描いているような印象すら受ける。 が、広瀬のタッチは、色鮮やかに、たとえば銀座の町並みを描き出し、 女たちの化粧についても描写する。技術的な裏づけを忘れない。ううむ、とうなる。 肝心の内容については、ネタバレになるといけないので極力控えるが、 「先生」の描写がもっとあっても良かったのではないか。 それから、遺伝子的にアレってどうなの!?と、 タイムパラドックス以上に疑問点があった。 タイムパラドックスを描いた作品のなかでは、ぎりぎり……いや、 ちょっと行き過ぎちゃった感は否めないかな。 そして、ラストは無理やりまとめに入りすぎてないだろうか。 あっけなさ過ぎると思ったのだが……。 と、やや辛口に書いてみたものの、 面白かったことは事実。 面白かったゆえに、期待値が高くなり、 納得できないところについての不満が大きくなるのは、ミステリの宿命なのだ ……ってコレSFだった。 復刊ブームの昨今、広瀬正の再復刊が待たれる。 追記:などと書いていたら、2008年に広瀬正の文庫が見事復刊の運びに! すばらしいことです。集英社さんありがとうございます。 | ||||
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ハインラインの「夏への扉」とタメを張れる大傑作。 まあ、昭和の過去世界の描写は日本人にしか受けないだろうが、 ラストで全てが収斂する見事な構成力に、 誰もが「そうだったのか!」と感動して叫んでしまうだろう。 | ||||
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いろいろな出来事が作中でおこるが、その出来事が進むにつれてピタリピタリと当てはまっていく。最終的には全ての出来事が一本の線でつながるため、タイムマシンものの宿命であるタイムパラドックスをうまく説明し矛盾が残らないようにしているこのシナリオはもはや金字塔。 | ||||
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本書の主な舞台は、戦時中の東京です。昭和初年の東京が眼前に広がります。『昭和38年、主人公である浜田俊夫は、18年前の大空襲時に行方不明になっていた隣家の娘伊沢啓子と再会する。啓子は、失踪した当時のままの年齢だった。彼女は戦火を逃れて、タイムマシンにのって現在にやってきたという。俊夫はタイムマシンにのって過去へ向かうが、予定していた年代にはつかず、違う時代にタイムトラベルしてしまう。』導入部だけ紹介するにとどめます。この作品、タイムマシンが引き起こす混乱に各登場人物が翻弄され、要約では、説明しきれない内容になってるんです。様々な問題が起こり、幾人かがタイムトラベルすることによってパラドックスがうまれ、あらゆる要素が伏線となりラストですべてが整然と解決されます。緻密に計算されていて、すべてが収まるべきところに収まるところなど並のミステリ以上に大きなカタルシスを得られます。かてて加えて、この作者の描く昭和初期のノスタルジックな描写の素晴らしさはどうでしょう。これは、本書のもうひとつの魅力でしょうね。 本書は現在絶版ですが、手に入れるのはそれほど難しくないと思いますので、未読の方は是非読んでみて下さい。強く、強くオススメ致します。 | ||||
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戦前の東京への強烈なノスタルジーにあふれ、タイムトラベルラブロマンスとしても他の追随を許さないこの作品。何故、こんなに知名度が低いのでしょうか。最近、「Always 3丁目の夕日」をはじめ、昭和へのノスタルジーに彩られた映画がたくさん公開されています。時代がようやく広瀬正に追いついてきたのでしょうか。ジャックフィニィ、ハインライン、最近なら梶尾真治のタイムトラベルものにはまった人、是非、これを読んでみて下さい。日本のSFの最高傑作です。 | ||||
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リアルタイムでこの本を読んだ時には、映画化は難しいと思われましたが、今では充分出来ると思います。最近、昭和の町並みが再現されているドラマや映画が結構ありますものね。絶対にヒットすると思うのですが・・・ | ||||
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かつて日本にもこんなに面白いSFがあった。そのことが今忘れ去られようとしている気がして寂しい。ぜひ今の若い人立ちにも読んで欲しい。読み出したら、ページをめくるのももどかしい程の面白さ。そして最後にすべての伏線が一つに収れんしてゆく爽快感。これが、これこそがSFの面白さなのだ!! | ||||
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「バック・トゥ・ザ・フューチャー」や「夏への扉」で感動した人は迷わずこちらも読んでみてください。求めているものがすべてつまってます。極上のエンタテイメント性とSF的理論の比率が前記2作とまったく一緒なのです。最後にすべての点が線になった時の爽快感は前記2作をも超えるとおもいます。 | ||||
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短命であった著者の第一作目となるSF超大作である。登場するのはタイムマシーン。まさにSFである。 しかし、本著の最大の特徴は、古き良き時代の東京に対する著者の愛着と緻密な表現描写である。 文中で豊かに表現される戦前の東京は、現在でもその名残をわずかに残している。そしてその名残は、確実に姿を消しつつある。 だからこそ、強いノスタルジーをこの作品から感じずにはいられない。情報の渦に巻き込まれながら、自らのこだわりを求め続ける「都会人」ならば、著者の独特の世界に魅せられてしまうことだろう。 | ||||
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