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愛おしい骨
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愛おしい骨の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.24pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全17件 1~17 1/1ページ
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初めて触れるオコンネル作品ですが、大変面白い作品として読了しました。 あとで、このレビュー欄を覗くと評価が分かれているので、へぇ~と思い、微力ながらの1票を入れるつもりで参加。評価の中で長尺という点については、確かに200P過ぎても大した動きはありませんから、ご不満の向きもあるかもしれませんが、評判の高い北欧ものミステリーを好まれる方などには至極当たり前の話で、アメリカの作家にしては丁寧に人物の造形をしていると思った次第です。又、好意的評価をされている方の意見にミステリーとしてでなく、一般作品としての物語の重要性をという意見には賛成です。そもそも小説に、ミステリー小説、時代小説、ましてや純文学などと言う議論をすること自体が大して意味の無い事であることは、昨今の日本の出版事情を眺めても歴然としております。 純粋に面白いと思える事が大事。つまらないと思ったら止めればよいのです。その意味で、この小説は私には面白い小説の一冊になりました。 | ||||
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2011年「このミステリがすごい!」の第1位だそうです。この作家はキャシー・マロリーという刑事が活躍するシリーズが有名だそうですが、私はこの作品が初読でした。 読み終わってまず思ったのは、トマス・クックに作風が少し似ているということでした。哀愁を帯びた静謐で深い味わいが似通っていると感じました。また、雰囲気がアメリカのTVドラマ「ツイン・ピークス」を思い出させます。舞台はカリフォルニア北西部、海に面して、携帯の電波も届かない僻地の町。ゆえに町の人間関係がとても濃いのです。町のまわりには森林地帯が広がり、その中にある町の資産家のロッジでは降霊会が行われています。 主人公のオーレンは陸軍を除隊したばかりで、陸軍内の警察に当たる任務で優秀な成績をあげた凄腕の刑事、淡い砂色の髪と真っ青な目のまだ若々しい38歳。世界各地を転戦して戦場の修羅場も見てきた寡黙な彼は、子供の頃から美貌で、どこかカリスマ的な雰囲気があり、町の既婚のご婦人たちに、いつもみつめられていました。実際、人妻とちょっとした火遊びもあったようで。もしこれが映画化されたら、彼にはどの俳優さんがぴったりだろうなどと考えてしまいました。 そして、そのオーレンの弟のジョシュは、昔、行方不明になったままでしたが、彼の骨が一片づつ家の玄関に送り届けられ始めます。彼は本当に亡くなっているのか?だとしたらそれは殺人だったのか?事故なのか?死体はどこにあったのか、誰が何をしたのか?謎は深まり、オーレンは淡々と調べ始めます。ネタばれするのであまり書けませんが・・犯人も動機も、あっというほど意外ではなかったのがちょっと拍子抜けでしたが、とにかく全体の雰囲気が魅力的でした。 登場人物の数が絞られていて、それぞれが非常に個性のある面々なのでまず混乱することはないと思います。父親はポニーテールの元判事でビート世代。母親代わりに育ててくれた家政婦ハンナは外からやってきた実は住民登録のないわけ有りらしいのですが、非常に聡明で意思の強い女性。オーレンの元不倫相手のホテル・オーナー、変人の図書館司書、その息子のやくざな副保安官、保安官は無能で、自分のミスを隠すことしか考えていないようなタイプ。それを上層部が危うく思い、送り込まれてきたのが州政府の捜査官。これがでっぷり太った花柄のワンピースの一見専業主婦のようなおばさんで、でも見かけと違って超有能、というようなユニークな人たちばかりです。 皆さんの書評を見てみたら、みごとに評価がまっぷたつに分かれているのを見てびっくり。個人的には雰囲気と登場人物が魅力的と思ったのですが、逆にこれらが全然ダメと書いておられる人が半分で、人によってこんなに違うんだ・・・と驚きました(^^;。そう言われれば、ミステリとしての謎解きの巧みさや意外性、スリリングな展開には難があるかもしれません。普通の小説にように、雰囲気と人間ドラマを味わうタイプの物語という気がします。 | ||||
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とても面白いミステリー小説です。 まず北カリフォルニアの美しい風景描写が作品を彩ります。 森と別荘地の町の風景が読む価値あり。 二十年ぶりに帰郷した主人公オーレン。 森で消えた弟ジョシュの骨が自宅に置かれ、 事件が始まります。 遠い過去の弟の失踪はオーレンの帰郷とともに決算を迎えます。 たくさんの人物が登場。 町の名士である元判事の父。 過去を消して生きている家政婦。 隣家の弁護士一家。 元作家のゴシップラター。 オーレンの元愛人。 隠遁者。 狂気を抱え図書館に住む女。 無能な保安官と過去にオーレン兄弟と確執を抱える副保安官。 隠された関係、事実が明らかになっていく過程がこの小説の読みどころ。 穏やかなリゾートタウンの裏の顔が明らかになっていく。 読んでいてたまりません。 捜査で犯罪を暴いていくスタイルではなく、 オーレンが町で人と再開し、当時の記憶を掘り起こし、隠された事実を告白することで物語が動きます。 陰鬱で破滅的なストーリーはゴシック小説的な趣があって、この作風が好きです。 物語の中心に悲劇的で美しい女が登場します。 後半になると悲劇の中心に彼女がいることが、 クラシックなストーリーです。 苦々しく、少しだけ希望を感じさせるラストシーンが、 余韻たっぷり。 お勧め小説です。 | ||||
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「およそ物語が好きな人であればこの本を読まないという選択肢はない」と文末の評論で書かれている言葉は決して大げさではない。最後の最後まで謎が解けないというミステリーでありながら、一人ひとりの人間描写が見事すぎるくらい素晴らしいため、その人間たちへのわたしを含めての読者たちの思い入れも並ではないと思う。 ある日、軍隊を除隊して20年ぶりに帰郷したオーレン。彼の弟は20年前に行方不明になったまま、帰ってきた故郷には、それぞれの人生に傷つき、愛を求めてさまよう人間たちが、20年の歳月を経た今でも暮らしている。父の元判事は帰ってこない次男を待ち続け、二人の兄弟をわが子のように育ててきた家政婦のハンナ、鳥類学者のイザベルは気の狂った母を義父の間で、初恋のオーレンに冷たく当たるばかり。警官として華々しい人生を始めたスワンは障害者となって暮らしている。何とか弟がいなくなった真相を探るオーレン。彼の父のもとに届いた骨、しかしこの骨は弟の骨とは違う人間の骨が混ざっていた。ここから物語は全く読めない展開をしていく。 正直、作者は示唆に富む言い方はするものの、何が起きているか読者の想像に任せ、そしてそれを見事に裏切るという手法で最後のページまで引っ張っていく。捜査官として登場するサリー・ポークは丸で刑事コロンボのように優秀で厚かましい。ハンナは謎に包まれた一生を送っているが、極めて頭もよく魅力的だ。一概に言えるのは、登場人物の中でも女性陣が極めても魅力的でかつ迫力があるということだ。デイブの母親で怪物と言われたメイブスも悩もを抱えた心やさしい人間の面があることが何度も触れられている。このような作品に巡り合えることは、小説好きな人間にとってはこよなく幸せなことだ。そう思わせる傑作である。 | ||||
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導入が素晴らしい。 いきなり世界に放り込まれる。 どうしてか、何故なのか。 疑問のまま次々と登場人物が現われ、 物語はぐいぐいと進む。 本作をジャンル分けするならばミステリだろうけれども これはある種の愛おしい人々が織りなす ラブストーリーなのだと感じた。 | ||||
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この作品の特徴は、探偵役が多いことだろう。オーレンは言うまでも無く、洲捜査官のサリー・ポーク、上に述べたスワンやハンナ。絶対的な名探偵は見当たらず、それぞれが少しずつ役割を与えられている。 もうひとつの特徴は、、多くの謎が作品中に散りばめられていることだろう。骨の謎以外にも、ざっと挙げてみると、オーレンの弟の失踪の謎、オーレンと彼の幼馴染であるイザベルが、まるで追い出されるように、遠くの学校にやられた理由。元警官の大学客員講師・スワンが警官をやめなければならなくなった事件の秘密。オーレンの実家の家政婦ハンナの正体といったような具合である。 | ||||
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買ったあとにここのレビュー見て、あんまり期待せずに読んだ。 いや、天才じゃない?? 人物描写うますぎるし、プロセスがめっちゃくちゃ面白くてこんな本は久しぶりかも。 2,3ページで視点が変わるから読むのに時間かかったけど、主語がわかりにくいってことは無いと思う。 犯人とか動機はたいしたことないです。 そのぶん物語がとてもいいです。上質な文章だと思います。 | ||||
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一気読みしてしまう類の文章ではありませんでしたが、とても読み応えのある小説でした。 物語の主軸となるのは、20年前に失踪した弟の謎を探る為20年ぶりに故郷に戻って来た 兄、オーレンを探偵役としたミステリィです。けれどその謎はわずかな要素に過ぎません。 単純に言うなれば、これは『愛』の物語です。 父の愛に飢えた息子の物語であり、母を思う娘の物語です。 守るべきものの為に秘密を持った家族の物語、そして そんな人々の秘密を閉じ込めた町の物語です。 真のミステリィは住人たちの心の中に存在し、それは愛と共に隠されているのです。 繰り広げられる心理戦の末、全ての謎が明らかにされるとき、 オーレンは自身の気付かなかった『愛』の存在を知ることになります。 彼の新たな人生の始まりを、是非見届けてやってください。 | ||||
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15歳だった弟ジョシュが森で行方不明になった! 森からひとりで戻ってきた兄オーレンは、当時17歳だった。彼は、20年ぶりに帰郷する。 それは、「何者かがジョシュの骨を毎晩ひとつずつ玄関先に置いてゆく。」という連絡を受けた からだった。ジョシュの死に隠された衝撃の真実とは? 骨になって帰ってきたジョシュ。たくさんいる登場人物の誰もが、何らかの形で彼の死に関わって いることが明らかになっていく・・・。心に屈折した思いを抱えている彼らひとりひとりの個性が、 実によく描かれている。「いったいどういう形で彼らはジョシュの死に関わっているのか?」 それが早く知りたくて、ページをめくる手が止まらなかった。そして、秘密が明らかになるにつれ、 驚きが波のように襲ってきた。バラバラだったピースが正確にはめ込まれ、やがて「真実」という 壮大な作品ができあがる。その緻密な構成力は読み手をうならせる。ラストへの持って行き方も 見事!人間の持つ弱さ、醜さなどをまざまざと見せつけられ、ほろ苦さや切なさも味わった。 登場人物が多く読むのにちょっと苦労したが、読み応え充分の満足感が味わえる作品だった。 | ||||
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ひょっとしたら、これは翻訳の問題なのかも知れませんが、誰の視点なのか、主語が2、3行で変わるため混乱します。 登場人物も多く、前述の理由でするっと内容が入ってこないため、最初は非常に読みづらい。 愛情の物語…と思えば悪くないのですが、ミステリとしてはちょっと首をひねる出来かもしれません。 あと、個人的には妙なロマンス小説臭さが気になってしまいました。 と、ここまで辛口に述べましたが、全体としては悪くないと思います。 このミス1位…と思ってよむと「なんだよ」というがっかりはありますが、思いつきで手に取った本とすればまずますの良作では? | ||||
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このミス1位ということで読んでみました。ミステリーとしては少し物足りないものも感じましたが、ストーリーとしては面白かった。ただ、あまり読みやすくないですね。それだけが残念です。最近デビューしたばかりの神崎和幸のデシートのほうが読みやすく、文章力も数段上だった。新人作家の神崎和幸でも、デシートぐらいのものが書けるのだから、オコンネルにはもっと上を目指してほしいです。でも愛おしい骨は面白かったと思います。 | ||||
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書評は飛ばして。(笑) 勝手に映画でイメージしてみました。 タンゴのシーンは映画「セント・オブ・ウーマン」の名場面を連想。ブラボー。作者が楽しんで書いていた姿が目に浮かぶ。主人公とヒロインの関係、アメリカのツンデレに妙に気恥ずかしい思いもしながらも、ニヤけて読んでもうた。 フツーのオバサン風、が実は切れ者の州捜査官サリーは「ファーゴ」の妊娠中警察署長のイメージ。 家政婦ハンナ。「家政婦は見た!」……ウソ。カッコ良すぎ。シビれました。 図書館司書メイヴィス。「ミザリー」間違いない。 こう見ると女性はほぼ全員、強いか、美人か、その両方か、の小説なのね。 | ||||
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主人公のオーレンを始めとして、登場人物がことごとく個性的で魅力的。弟の失踪の鍵を握るオーレン自身が、失踪当時の状況を語らない点は違和感をおぼえるものの、緻密な構成は見事。大勢の登場人物がパズルのピースとなり、物語が進むに従って少しずつ組み合わさり、全体像が見えてくる。脇役も含め、この二十年間を通して失踪事件に無関係な人間は1人もいないといっていいのだが、後半になっても散漫になることなく、最後にしっかりまとめ上げる筆者の手腕にただただ驚嘆するばかりだ。また、英語については門外漢だが、職業として日本語に携わっている私の目から見ても翻訳者である務台夏子の筆力も確かである。 登場人物の中でもっとも魅力的なのはオーレンの家に古くから務める家政婦のハンナ。本当の名前も過去も不明なのだが、彼女が町の人々を動かして最終的に事件を解決に導く。小さな町を舞台にしているので続編は望めないが、元敏腕捜査官オーレンと家政婦ハンナのコンビで、難事件を解決していくミステリーを再び読んでみたいものだ。 | ||||
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主人公のオーレンを始めとして、登場人物がことごとく個性的で魅力的。弟の失踪の鍵を握るオーレン自身が、失踪当時の状況を語らない点は違和感をおぼえるものの、緻密な構成は見事。大勢の登場人物がパズルのピースとなり、物語が進むに従って少しずつ組み合わさり、全体像が見えてくる。脇役も含め、この二十年間を通して失踪事件に無関係な人間は1人もいないといっていいのだが、後半になっても散漫になることなく、最後にしっかりまとめ上げる筆者の手腕にただただ驚嘆するばかりだ。また、英語については門外漢だが、職業として日本語に携わっている私の目から見ても翻訳者である務台夏子の筆力も確かである。 登場人物の中でもっとも魅力的なのはオーレンの家に古くから務める家政婦のハンナ。本当の名前も過去も不明なのだが、彼女が町の人々を動かして最終的に事件を解決に導く。小さな町を舞台にしているので続編は望めないが、元敏腕捜査官オーレンと家政婦ハンナのコンビで、難事件を解決していくミステリーを再び読んでみたいものだ。 | ||||
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キャロル・オコンネル女史が、クールなニューヨーク市警女性刑事キャシー・マロリーをヒロインとするシリーズから離れて『クリスマスに少女は還る』(’98年)以来10年ぶりに発表したノン・シリーズ作品。 合衆国陸軍犯罪捜査部下級准将オーレン・ホッブズ37才は、家政婦に請われて、職を辞し、20年ぶりに故郷カリフォルニア州北西部の広大な森に隣接した小さな町コヴェントリーに帰還する。そこでは20年前に事件があった。当時17才のオーレンと15才の弟ジョシュアが森へ行き、そのまま弟は行方不明に。そして今、ホッブス家の玄関先に毎夜、ジョシュアのものと思しき骨がひとつずつ置かれ続けていた。それに混ざって別人の骨が発見されるに及んで、オーレンは保安官の要請で20年前の謎の捜査を始める。 彼は、まるで時間が止まったような、俗世と隔絶されたこのスモール・タウンのひとびとを訪れるのだが、みんなどこかしら不可思議であった。母が交通事故で亡くなった、オーレン3才の時以来ホッブス家に居座った正体不明の家政婦ハンナ。偏執的なまでに家を昔のままに保ち、かつての愛犬を剥製にして、夜驚症で不可解な行動をとる元判事の父。幼女の頃から寄宿学校に入れられ、母親に捨てられたと思っている鳥類学者。アルコール中毒で自宅の塔に半ば軟禁されているその母親。すべてを奪われ障害者として大邸宅に隠棲する元天才児にして元警官の大学客員講師。文壇で芽が出ず、ゴシップ・ライターと成り下がった小説家。森のコテージで降霊会を催すホテルの女主人。誰も寄り付かない図書館で司書を勤める巨漢の婦人。無能呼ばわりされる保安官。個性的な中年女性の州捜査官。 果たしてジョシュアはどうしてしまったのか。誰が何のために彼の骨をホッブス家の玄関先に置き続けたのか。一緒に置かれたジョシュアとは別人の骨は。一体20年前に何があったのか。そして悲劇的な結末。 本書はこういった謎解きの興趣もさることながら、ミステリーと呼ぶのはいささか雰囲気の異なる、神秘的なものさえ漂う、一種の閉鎖された小さな町の人々の深い痛みを余すことなく描いた物語である。 | ||||
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キャロル・オコンネルの作品としては2005年のマロリー・シリーズ『魔術師の夜』以来の登場です。1999年のノンシリーズとしては『クリスマスに少女は還る』以来。カリフォルニアの田舎町コヴェントリーが舞台。オーレンが故郷に帰ってくる。その家には弟の骨が届けられる…。マッキャモンの小説を思い出させるような不思議なアメリカがそこにあり、登場人物がそれぞれに実に興味深いものとなっています。それらが時代を越えて絡み合う。「コヴェントリーでは誰も図書館には行かない…」といった言葉なども、読み手をひきつけていきます。不思議の国アメリカの田舎町の世界にぐいぐいと引きずり込まれる楽しさは格別。この本で初めてキャロル・オコンネルに出会った人は、『クリスマス…』とマロリー・シリーズも是非。そして創元推理文庫にはマロリー・シリーズの続編を早くとお願いしたいものです。 | ||||
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『魔術師の夜』以来のキャロル・オコンネル翻訳新作。 故郷の田舎町に20年ぶりに帰郷した元陸軍捜査官が自身も深く関わる弟の死の真相に迫る中で、周囲の人々の隠された側面が次第に明らかに…という筋立てはシンプルで目新しいものではありません。 それでもページを繰る手が止まらないのは、誰も彼もが一筋縄ではいかない登場人物たちの魅力によるもの。 真犯人捜しのミステリーとしてはほとんど破綻しているとも言える展開ですが、この人間模様の描写はやはりミステリー仕立ての設定があってこそかもしれません。 この作者らしい皮肉とブラックユーモア、ある意味、おとぎ話めいた雰囲気は健在で、これが読者の好き嫌いが分かれるところだと思いますが、ノン・シリーズ前作『クリスマスに少女は還る』に感動した人には、ぜひお勧めしたい。 読者それぞれの骨身に染みるような一文に必ず出逢えます。 | ||||
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