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シューマンの指
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シューマンの指の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.74pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全66件 41~60 3/4ページ
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’10年7月の初版発行以来、全国の書店員さんやミステリーファンが大反響。増刷が充分間に合わないほど話題を呼んだ、芥川賞作家・奥泉光のクラシック音楽・本格ミステリー。「講談社創業100周年」の記念出版「書き下ろし100冊」ラインナップの一冊。 メインの物語は、里崎優という音大中卒の元ピアノを学んだ‘私’が、’08年7月に約30年前のことを回想して記した手記の形で進んでゆく。本書の冒頭で旧友からの書簡で、右手中指を失った幻のピアニスト永嶺修人(まさと)が復活した旨を知り驚愕するシーンがあり、以後はこの物語の主役である彼と‘私’の身の回りのことが、シューマンの楽曲の薀蓄とともに続く。 前半は19世紀のドイツの作曲家・音楽評論家でロマン派音楽を代表するひとり、このロベルト・アレクサンダー・シューマンの作品世界の解説書かと思わせるが、語りの半分ほどで、ある女子高生殺人事件がおこり、‘私’がその目撃者となる。その後は、この迷宮入りした事件の真相の謎が本書の中枢を占める。 終盤の二転三転する展開、そして最後の現代の‘私’の妹による手紙に記された意表をつく真相(らしきもの)。ここまで読み通した者はまるで夢を見ているかのような恍惚感を味わうこと必至である。 主役の修人の名前がシューマンをもじった、シュー=修、マン=人であること。そして本書の初版発行日が修人の誕生日の7月23日であることなど、細かいところまで’10年が生誕200年に当たるシューマンづくしの、凝りに凝った、いままで読んだことのない幻想的な異色のミステリーがここに誕生した。 | ||||
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書店で見かけた美しい装丁に惹かれて購入。 語り部である「私」が受け取った、友人からの1通の手紙で幕を開けるストーリー。 友人からの手紙には、〜天才的なピアニスト永嶺が、失った指が再生されてピアノを独奏した〜とある。 「私」は、永嶺の再生した指に衝撃を受け、過去の記憶を語っていく。 永嶺は、ピアノの非凡な才能を持った、悪魔的に美しい怜悧な男子高校生。 読んでいるうちに、どんどん「私」が語る永嶺の魅力にひきこまれていく。 小説中の「運命に復讐する」という言葉が、強く印象に残った。 特に「幻想曲の夜」での、夜の闇の中、シューマンの妖しく美しい旋律と共に起こる殺人事件、ピアノの音色とプールに浮かぶ女子高校生の死体のコントラストの描写は、非常に耽美的。 「もしかしたら?」と思い描いていた二転、三転するラストも面白い。 本の装丁のイメージ通りの、美しく危険な香りのするミステリーだった。 この小説を上手く脚色して、映像化されたものを観たくなる。 美形の若手俳優が、永嶺役を演じたら、ブレイクするかもしれない。 もう一度じっくりと最初から読み返したいと、思わせてくれる作品に出会えた。 | ||||
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ミステリというより、どこか、ロマン派風の幻想小説の趣が 漂う小説です。 何より、シューマンのピアノ曲の雰囲気が、小説の雰囲気に とてもうまく昇華されています。彼の曲になじんでいる方 ならとても楽しめると思います。 他のレビューアの方も書いていらっしゃいますが、上手に 映画化するといい作品になるように思います。 シューマンについての薀蓄もうなづくところが多く、 下手な解説書を読むより有益かもしれません。 シューマンはホフマンをはじめ、物語に触発されて 作曲したことで有名ですが、本書は逆にシューマンの 曲に触発されて書かれた物語。 ロマン派風の幻想性を纏うのもうなづけます。 「幻想曲」や「交響的練習曲」「森の情景」などが重要な シーンとからめて、ちりばめられていますが、 個人的には「クライスレリアーナ」がアイテムとして 用いられていなかったので、つかってほしかったなぁと 少々残念でした。 読んだのは電車の中がもっぱらでしたが、間ずっとウォー クマンでシューマンを聞きながら読んでいました。 | ||||
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語り部である「私」が受け取った、友人からの1通の手紙で幕を開けるストーリー。 読んでいるうちに、どんどん「私」が語る永嶺の魅力にひきこまれていった。 小説中の「運命に復讐する」という言葉が、印象的で美しい響き。 特に「幻想曲の夜」での、夜の闇の中、シューマンの妖しく美しい旋律と共に起こる殺人事件、ピアノの音色とプールのコントラストの描写は、非常に耽美的。 本の装丁のイメージ通りの、美しく危険な香りのするミステリーだった。 この小説を上手く脚色して、映像化されたものを観たくなる。 美形の若手俳優が、永嶺役を演じたら、ブレイクするかもしれない。 難点は、クラシックについてのうんちく話が長いこと。 この部分は、興味がなければ退屈に感じてしまう。 また、ラストのたび重なるドンデン返しは、人によって評価がわかれるところ。 | ||||
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これはミステリというより、ロマン派風の幻想小説といった方が しっくりくる小説です。とても楽しめました。 謎解きにこだわる方が多いのに少々ビックリ。 出版社がミステリを全面にして販売展開でもしたのかな・・・ 謎解きプロセスの巧拙でこの作品を評価するのはかなり 惜しい気がします。 何より、シューマンのピアノ曲の雰囲気が、小説の雰囲気に とてもうまく昇華されています。彼の曲になじんでいる方 ならとても楽しめると思います。 特に「幻想曲」の泡沫のように浮かんでは沈み込む独特の ロマン派的な過剰な主意性、運命感みたいなものが、作品 の通奏低音としてうまくかもし出されていると思います。 月夜の「幻想曲」というのは、あまりにハマりすぎな感も ありますが、ルナティック=狂気という実に古典的な意匠が 用いられていて、まさにロマン派へのオマージュといって いいと思います。 他のレビューアの方も書いていらっしゃいますが、上手に 映画化するといい作品になるように思います。 シューマンについての薀蓄もうなづくところが多く、 下手な解説書を読むより有益かもしれません。 ホフマンをはじめとする物語に触発されて作曲したことで有名な シューマン。本書は逆にシューマンの曲に触発されて書かれた物語。 ロマン派風の幻想性を纏うのもうなづけます。 「幻想曲」のほかにも、「交響的練習曲」「森の情景」などが 重要なシーンとからめて、ちりばめられていますが、 個人的には「クライスレリアーナ」がアイテムとして 用いられていなかったので、つかってほしかったなぁと 少々残念でした。 読んだのは電車の中がもっぱらでしたが、間ずっとウォー クマンでシューマンを聞きながら読んでいました。 | ||||
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週刊ブックレビューで中江有里さんと著者との対談を見て本屋さんに行きました。タイトルがうろ覚えだったので「ショパンの指」と思いこんで探し回ってしまいました。前半はミステリーというよりもクラシックの評論書か、或いはシューマンへのオマージュのようでした。音楽の知識に乏しい私がそれでも惹かれたのは、クリスタルのような透明感ある描写や乾いた肌触りの文体でした。 物語の中央に据えられたのは「幻想曲ハ長調」です。でも作品の通奏低音は長調ではなく陰影の濃い短調です。そして何故シューマンなのだろうか?ピアノ曲ならもっと一般受けするショパンがあるのに、と思いつつ読み進むと最後にその疑問が解けます。ラストは、シューマンのような技巧者と言える作家の美学に幻惑されてしまった。 | ||||
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週刊ブックレビューで中江有里さんと著者との対談を見て本屋さんに行きました。タイトルがうろ覚えだったので「ショパンの指」と思いこんで探し回ってしまいました。前半はミステリーというよりもクラシックの評論書か、或いはシューマンへのオマージュのようでした。音楽の知識に乏しい私がそれでも惹かれたのは、クリスタルのような透明感ある描写や乾いた肌触りの文体でした。 物語の中央に据えられたのは「幻想曲ハ長調」です。でも作品の通奏低音は長調ではなく陰影の濃い短調です。そして何故シューマンなのだろうか?ピアノ曲ならもっと一般受けするショパンがあるのに、と思いつつ読み進むと最後にその疑問が解けます。ラストは、シューマンのような技巧者と言える作家の美学に幻惑されてしまった。 | ||||
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音楽評論であり、シューマンへの信仰告白であり、青春小説の様でもあるミステリー 音楽と小説の素晴らしい融合にグイグイ引き込まれ、時間を忘れて読み耽ってしまう。 惜しむらくはラストのオチが途中で予想できてしまう事、 シューマンへの言及、音楽・人物・心理描写の巧みさと比べて ミステリーの構築がちょっと弱かった印象がある。 ただ物語の主要素が分かち難く有機的に結びついている以上、 これは避けられないとも思う。 また普段ポップスしか聴かない人は、読み進めるのがキツイ箇所が あるかもしれない、逆に音楽に多少の興味を持つ人には純粋な 読み物としての面白さに溢れた本だ。 | ||||
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音楽評論であり、シューマンへの信仰告白であり、青春小説の様でもあるミステリー 音楽と小説の素晴らしい融合にグイグイ引き込まれ、時間を忘れて読み耽ってしまう。 惜しむらくはラストのオチが途中で予想できてしまう事、 シューマンへの言及、音楽・人物・心理描写の巧みさと比べて ミステリーの構築がちょっと弱かった印象がある。 ただ物語の主要素が分かち難く有機的に結びついている以上、 これは避けられないとも思う。 また普段ポップスしか聴かない人は、読み進めるのがキツイ箇所が あるかもしれない、逆に音楽に多少の興味を持つ人には純粋な 読み物としての面白さに溢れた本だ。 | ||||
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こんな小説ははじめである。私にとっては、新鮮な印象が強いので、星5つとした。 小説でもあり、エンターテイメントでもあり、音楽評論でもある。 中で展開される音楽論自体もおもしろいし、テーマとなったシューマンの音楽も聞きたくなってしまう。 演奏される以前からある音楽、黒板に書かれる前からある三角形、そんな議論もたのしい。 推理小説としても、推理が興味深い。 | ||||
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こんな小説ははじめである。私にとっては、新鮮な印象が強いので、星5つとした。 小説でもあり、エンターテイメントでもあり、音楽評論でもある。 中で展開される音楽論自体もおもしろいし、テーマとなったシューマンの音楽も聞きたくなってしまう。 演奏される以前からある音楽、黒板に書かれる前からある三角形、そんな議論もたのしい。 推理小説としても、推理が興味深い。 | ||||
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何の本かも知らず、ただ手にとって読み始めたが止まらなくなってしまった。小説は苦手だと自認していたが、前書きも後書きも、もちろん解説もない本なのにどんどん引き込まれて自分としては驚きの二日で読み切ってしまった。音楽に疎い読者ですが、シューマンを掘り下げた内容+展開予測不能なミステリーで、あーこんなにおもしろい分野もあるのかと、著者のこれまでの作品にも食指を伸ばそうかなと思う。 | ||||
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何の本かも知らず、ただ手にとって読み始めたが止まらなくなってしまった。小説は苦手だと自認していたが、前書きも後書きも、もちろん解説もない本なのにどんどん引き込まれて自分としては驚きの二日で読み切ってしまった。音楽に疎い読者ですが、シューマンを掘り下げた内容+展開予測不能なミステリーで、あーこんなにおもしろい分野もあるのかと、著者のこれまでの作品にも食指を伸ばそうかなと思う。 | ||||
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他のレビュアーが充分誉めてるので、敢えて書く意味はないんですが、読後の喜びを書かずにはいられませんでした。 シューマンを採り上げたのが絶妙ですし、若いピアニストの魅力というのも最近なら辻井伸行、ちょっと古くはブーニンなど、共感しやすいところ。「クラリネットの名手」とか言われても素人には良さがわからないのに、ピアノはなぜか、素晴らしさが伝わってくるのは不思議ですね。 著者はかつて葦と百合 (集英社文庫)などで成功をおさめたミステリーの魅力と、その言葉を (集英社文庫)以降なかった青春小説の味わいで、観念的な音楽論を魅力的な小説に仕上げました。前作神器〈上〉―軍艦「橿原」殺人事件は誰も読まないような作品でしたが、本作はちょっとクラシックが好きな人なら楽しめる、広く読まれていい出来です。 | ||||
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他のレビュアーが充分誉めてるので、敢えて書く意味はないんですが、読後の喜びを書かずにはいられませんでした。 シューマンを採り上げたのが絶妙ですし、若いピアニストの魅力というのも最近なら辻井伸行、ちょっと古くはブーニンなど、共感しやすいところ。「クラリネットの名手」とか言われても素人には良さがわからないのに、ピアノはなぜか、素晴らしさが伝わってくるのは不思議ですね。 著者はかつて葦と百合 (集英社文庫)などで成功をおさめたミステリーの魅力と、その言葉を (集英社文庫)以降なかった青春小説の味わいで、観念的な音楽論を魅力的な小説に仕上げました。前作神器〈上〉―軍艦「橿原」殺人事件は誰も読まないような作品でしたが、本作はちょっとクラシックが好きな人なら楽しめる、広く読まれていい出来です。 | ||||
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途中でやめる事ができず、徹夜で一気読みしました。 たった今読み終えたばかりですが、いやあ、まるでゆっくりと冷たい海の底に墜ちていくように陶酔してしまった。 私はクラシック音楽に関しては全くの門外漢で、ごく一般的な知識しかない。でも、演奏家として音楽を愛し、全てを捧げ、そしてその音楽に翻弄され裁かれる、甘美でありまた残酷でもある宿命というものを、登場人物たちを通して共感する事ができたような気がする。 少し古風で格調高い文体と耽美的な世界観に酔いしれながら読み続けた先に用意されていたクライマックスはもう本当に美しい。体から力が抜けてしまうほどだ。 中盤からミステリーの要素が入り物語は展開していくが、ただ、三段落としのどんでん返しにしなくても良かったのではないかと思ってしまった。いくつものどんでん返しがなくとも十分読み応えと満足感を得られる作品だと思うのだが。 いずれにせよ、本を読んで、絵画作品を見たときのようにダイレクトに心に響く美しさを感じたのは久しぶりだった。 | ||||
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何気なく床屋さんに置いてあった某雑誌の書評を見て買ったのですが、本当に面白い、文章の構成力とシューマンの音楽に対する的確な批評。シューマンは音楽評論家としても活躍していたのですね。彼の評論書簡集を前もって読んでたらおもしろいかもしれない。と知的好奇心の膨らむ本でした。とにかく1Q84なんかどこがおもしろいんかしらんと思える程のすばらしい構成力と知的好奇心を満足させてくれる一冊でした。 | ||||
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途中でやめる事ができず、徹夜で一気読みしました。 たった今読み終えたばかりですが、いやあ、まるでゆっくりと冷たい海の底に墜ちていくように陶酔してしまった。 私はクラシック音楽に関しては全くの門外漢で、ごく一般的な知識しかない。でも、演奏家として音楽を愛し、全てを捧げ、そしてその音楽に翻弄され裁かれるという、甘美でありまた残酷でもある宿命を、登場人物たちを通して共感する事ができたような気がする。 少し古風で格調高い文体と耽美的な世界観に酔いしれながら読み続けた先に用意されていたクライマックスはもう本当に美しい。体から力が抜けてしまうほどだ。 中盤からミステリーの要素が入り物語は展開していくが、ただ、三段落としのどんでん返しにしなくても良かったのではないかと思ってしまった。いくつものどんでん返しがなくとも十分読み応えと満足感を得られる作品だと思うのだが。 いずれにせよ、本を読んで、絵画作品を見たときのようにダイレクトに心に響く美しさを感じたのは久しぶりだった。 | ||||
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何気なく床屋さんに置いてあった某雑誌の書評を見て買ったのですが、本当に面白い、文章の構成力とシューマンの音楽に対する的確な批評。シューマンは音楽評論家としても活躍していたのですね。彼の評論書簡集を前もって読んでたらおもしろいかもしれない。と知的好奇心の膨らむ本でした。とにかく1Q84なんかどこがおもしろいんかしらんと思える程のすばらしい構成力と知的好奇心を満足させてくれる一冊でした。 | ||||
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シューマンの魅力を、ここまで正確に、文章という形で伝えることに成功している本を他に知りません。永嶺修人の口を通して語られるシューマンは、まるで演奏を聴いているかのような錯覚さえ起こします。読んでいると、シューマンの音楽が聴こえてきます。前作の「神器」をどうしても楽しめなかった自分にとって、今作は至福のギフトでした。ひとことで「面白い」です。奥泉氏にはかれこれ20年ほど前、大学で英語を習っていたのですが、そのころから授業中にシューマンの話なぞしておりました。 | ||||
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