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水死
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水死の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.50pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全5件 1~5 1/1ページ
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例によって古義人サーガだが、実質の主人公は、ウナイコと呼ばれる女性。 冒頭爽やかな女性として登場する彼女が、成功と共に政治的に面倒くさい女になっていく話と、単純化すれば言えなくもない。そう書くと「Vガンダム」のカテジナさんみたいだな。。。 その劇、無理に松山でやらんでも、受け入れてくれる地方でやったら良いのでは、と、思ってしまった。 古義人サーガとしては、アカリとの関係の変化とか、死んだと思われていた大黄が実は生きていたとか、展開があって結構面白かった。 | ||||
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作者のこれまでの作と比べれば読みやすくはある。だがそれでいて、なにか平らすぎてとっかかりがない分だけいろんな解釈を生みそうな作品だ。 大江氏の作品の面白いところは、他の日本の小説に比べると、思い入れがしにくいというか、読者のイメージを砕いてしまうようなところなのか。あるいは抽象的というか。「今ここ」でない、遠く離れた世界でも似たような語りがあるのではないかと思わせる。 もっとも、偏屈な面もたしかにあると思うが。 感想はいろいろだが、三島由紀夫よりは大江健三郎の方が好みだ。 | ||||
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より具象の森へわけいる大江健三郎の小説は 眩暈とも目まぐるしいとも実に圧巻であった。 | ||||
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まず、ちゃんと理解したつもりで読んだということを断っておく。内容(ストーリ)そのものは決して難しいものではない日常の物語。しかし、その作者の周辺もしくはご自身の話として書かれてあるもので、大江先生は果たして何を読者に伝えようとしたのか?前半の内容ではなかなか浮き彫りになっていないと思ったが、後半に近づくに連れどんどんみえてくる。「明治の精神」、「平成の精神」に対する作者の考えと、お父さんの死の意味、国家とレイプされる少女、全体を通して伝えようとするテーマは私のような普通の読者には難しいが、先並べた個々の素材がこの小説でどうして出てくるのかを大江先生が一生書いてこられたある一貫的な小説の流れで読み取ることができる。実は日本という国はこうなんだという、日本が近代国家になっていく歴史から始まっていく大江先生の省察と警鐘は、家族と祖先がいる日本を愛するからこそ恐らく大江先生が感じられてこられた生涯の問題意識はこの作品でわかりやすく現れていた。因みに私は日本国籍ではないが、この作品こそ海外に発信すべき価値のある日本の文学作品だと思う。世界で共有できますよ大江先生。 | ||||
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「水死小説」という小説が書けない『水死』という小説、父親関係の資料が詰まっていなかった「赤革のトランク」、漱石の『こころ』の「明治の精神」、あるいは自分の体現してきた「戦後の精神」・・・・・・。 あんがい息子との関係に危機もあるし、周囲の動勢にいちいち動じてもいる(かなり正直に書いているのではないか)。たぶんいろんな人がいろいろなことを書くだろう。 だけどぼくが読んでみたいのは、ときどき垣間見える鮮烈なイメージ。 死にゆく父親の短艇に乗っていった自分の分身。かつて子供のとき川でイワナを見たが、あのとき死んでいたらイワナになって、大人になっている自分を見つめるだろう。自分の分身(の魂?)が空を昇っていって森に戻ってくる・・・・・・。 神話ともつかないこういうイメージが、オーケンの「晩年の仕事」を動かしている、たいせつな部分なんじゃないだろうか。 こんどは「木」が三つの「森」と、「水」が三つの「(びょう)」(漢字が出ない)とで、「水」のイメージも広がっていく。 たったいま気付いたが本の装丁そのものが、「赤革のトランク」になっているのもナイスだ。 かなり堪能した! 追記: 司馬遼太郎は『坂の上の雲』『竜馬がゆく』で、功成り名遂げた四国の偉人たちを描いた。 大江が描くのは同じ四国でも、農民一揆・元気な女性たちの、ありえたかもしれない、もうひとつの歴史。 だとすると大江をアンチ司馬として読めることに気がついた。 | ||||
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