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邂逅の森
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邂逅の森の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.64pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全133件 121~133 7/7ページ
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第131回直木賞受賞作品です。同時受賞の『空中ブランコ』とは趣向が異なり非常に重厚な内容の作品です。〝邂逅〟とは難しい言葉ではありますが要するに〝めぐり逢う〟というような意味合いです。この作品名である〝邂逅〟という言葉がこの物語の全てを語っていると思います。主人公富治はマタギとして人間として男として大きく成長していきます。そのマタギとしての人生に勝手にケジメをつけようとしたその時、本当の意味で始めて富治は〝山の神〟と出会い、そして自分の〝心の神〟である妻イクの元へといざなわれていくのです。とにかくこの作品のすみずみに行き渡る自然に対する畏怖・尊敬が読者である自分にも圧倒的な重みとなって迫ってくる様な作品です。それにしてもその描写力から、思わず日本地図を引っ張り出し、〝阿仁〟〝打当〟〝八久和〟を探してしまいました。地図上の阿仁には〝マタギの里〟として記載があり、一度この奥深いマタギの里へまさに〝邂逅の旅〟をしたくなったのは私だけでしょうか? | ||||
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奥会津で、はじめて熊の肉を食べた。美味しいとは言えないが、独特な味だ。スープが濃厚である。熊肉を食べたあと数日間、体がほかほかする感じがしたものだ。何回かご馳走になった。 その熊を撃った人と飲んだことがある。と、いうより、その人の家に押し掛けていってお話をお聞きしたと言った方が正確だ。飲みながら、熊撃ちや山のことについて話された。人間がいかに小さな存在か、ということを強調されていた。人間は銃を持つことでようやく熊と対等になる瞬間がある。その瞬間を捉えて引き金を引くというのだ。その瞬間以外は全てにおいて人間は熊にかなわない。そうおっしゃっていた。 『邂逅の森』を読んだ。明治から昭和にかけての物語だが、その当時の山の生活の描写がよい。先日の民俗学者の赤坂憲雄氏との対談(『朝日』)を読んで、この本を購入しておいた。 おそらく、この物語が描く時代あたりから山は大きく変化して行ったのではないか。その意味で、物語の末尾は、主人公と「コブグマ」と対決によって、瀕死の体を、死んだはずのその「コブグマ」(山の神)の幻に助けられ村に帰るわけだが、その後の物語が読みたい。山は、この時代以降、それこそ急な斜面を転げる落ちるように変わって行く。その中で主人公はどう生きていくのか。マタギになりたいと言った、彼の息子はどう生きていくのか。 山の神はいまだに生きているのだろうか。それは森がいまだに邂逅の場所たり得るのかということだろう。 | ||||
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一晩で読み終えてしまいました、一気に読ませてしまう力強い。。文枝 イク 山の神コブグマ すべてが邂逅なんですね、、最後に富治がみたものは、、、現実だったんだろうか? | ||||
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生きるために祈り、生きるために眠り、生きるために殺し、生きるために貪る。ここに描かれたマタギの生き様は、古代から変わらぬ人間の在り様を描いているように思える。それはおそらく、現代の都会人が憧れる「シンプルライフ」からもっとも離れたところにある。そんな暮らしも、遠景として描かれる遠くの戦争や富国強兵の国策の影響を受けて、少しずつその形を変えていく。山の民が古代から受け継いできた生き様も、やがて近代化の波に飲み込まれてしまうのだろう。とはいえ、彼が声高にそれに異を唱えるわけではない。貧しき者の、恨み節はない。彼も貧しいが、それは搾取される近代の労働者のそれではなく、生きるため以上には殺さず、食わない、山の民の倫理としての貧しさに思える。もちろん、貧しさゆえの悲劇は起こる。それに抗いもする。が、彼はもっとも獣に近い人間、猟師なのだ。獣が飢えれば死ぬように、彼もまた獣を獲ることができなければ飢えて死ぬ。考えてみれば、それだけのことだ。読み終えて、ふと思った。人間にとって大切なことは、生きるために祈り、眠り、殺し、次の世代に命をつなぐこと。ただそれだけを諒解するためにこの数百ページがあるのだとしたら、自分はずいぶん遠くに来てしまったのだ。 | ||||
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「第131回直木賞受賞」のフレーズに魅かれ、手に取ったこの本。そして、一気に読み終わっていました。感想を言え、と言われたら、自信を持って絶対読むべきだといえます。そんな内容でした。マタギという仕事をして生活を営んでいた一人の男の、人生の生き様が描かれています。マタギや狩りについての専門的な知識を知らなくても、わかりやすく丁寧に描写されており、圧倒的な世界の中にただ、引き込まれていくと思います。自然と向かい合い、人生の壁と向かい合い、人生のパートナーと向かい合い、自分と向かい合う。その中で、主人公の葛藤や苦しみが実を結び、様々なものと邂逅していく姿に、深い感銘を受けました。どんな生き方を選ぶかは自分次第。でもこの本を読んで、生き方への考えが深まること必至です。 | ||||
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人間から原初から持っている、自然への恐れ、あこがれ、それをあますことなくマタギの生活を通して描いている。熱く官能的な性描写も、人間の生活の営みの一部として考えれば至極自然なものだと思われる。生きることの意味を見いだしていく喜びを与えてくれる作品。ただ、ラストには賛否両論あるのではないか?個人的な受け取りの差ではあると思うが。私はそれで、星4つとしてしまったが、読んで損のない作品。 | ||||
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マタギの世界。今までなぞに包まれた生活がこの本により実感できた。生きる者の力強さを感じる骨太の一冊である | ||||
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初めタイトルが難しそうで、読めるかな?と思ったら、Hなお話が織り交ぜてあって、ついつい夢中?で読んでしまいました。邂逅はめぐり合いの意味です。熊とのめぐり合い、初恋の人とのめぐり合い、最良の伴侶とのめぐり合い。読後は爽快です。 | ||||
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第17回 山本周五郎賞第131回 直木賞 受賞作品自称ミステリーオタクとしては、テーマが重そうで、触手が伸びにくい作品であったが、個人的に特に山本周五郎賞受賞作と相性がよいので、読んでみた。全くの杞憂であった。確かにテーマとしては、重く、地味であるが、その筆力ゆえ、分厚い内容にもかかわらず、一気に読まされた。大正時代を背景に、東北地方の主人公が、道ならぬ恋のため故郷を追われ、また、天職と考えていたマタギの職も追われるものの、やがて厳しい自然と対峙しそして自己を確立してゆく物語である。作品中に印象的なシーンは数多くみられるが、特にラストのヌシとの対決の描き方は、その背景も含め見事としかいいようがない。今年読んだ本の中では、(現時点で)ベスト3に入る。個人的な感想としては、同じ「山本周五郎賞」受賞作家、帚木蓬生の「逃亡」と、(作品のテーマは全く異なるものの)作品のかもし出す雰囲気は似ていると感じた。この手の作品を手にすることが少ない読者にも、是非お薦めできる一冊である。 | ||||
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まったく読んだことのなかった分野の本。読み終えた後の感動は、これまで味わったことのないくらいのものだった。明治、大正の東北の村を舞台にした、山の神を信じ、ひたすら熊を追い続けるマタギの男たちの物語。マタギの世界。最初は、マタギって何?っていうくらい、全く無知の世界だった。それが、どんどんどんどん引き込まれる。物語の最初から、全く無知の世界であるはずなのに、すぐそばで見ているかのような、ほんとに臨場感溢れる!狩りの様子が描かれている。そして物語は、主人公の波乱に富んだ人生を中心に展開する。14歳で、父や兄、他の村人と同じようにマタギとなった主人公・富治。それはそれは厳しい「山の掟」を守りながら、熊やニホンカモシカを追い、生活する。マタギは、ただの生活の糧として獣を狩るのではなく、大自然や獣に敬意を払い、生活する。とにかく、ストーリーの壮大さに圧巻、圧巻。男たちのかっこいい生きざま。なんだか、読み終えるのがもったいなかった。 | ||||
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直木賞受賞作としては、重厚でやや地味な大作だ。 明治から大正にかけて、東北の寒村にも近代化による価値観の変化が訪れる。この小説に描かれるように、それは近世社会の習俗を崩壊させていった。象徴的なのは、村々における神の死である。マタギの世界でも、鉱夫の世界でも、独自の神を頂き、禁忌と掟で堅固な小社会を形成していた。 経済と国家という近代の神によって、それらはことごとく否定されていく。そうした神の滅びの最後の場面に、自らもまた最後のマタギとして、主人公は立ち会う。 純愛、裏切り、兄弟愛、師弟愛、村のいじめ、上下関係のいじめ、夫婦の絆、親子愛、ドメスティックバイオレンス…。環境が変わって道具立てが変わっても、現代と人間関係はほぼ変わりないものが基盤になっていると気づく。 だが、神の死は必ずしも「善きもの」の死ではない。それは人間の新しい段階への覚醒をもたらす。ラストシーンは、21世紀・神無き時代に暮らす私たちの、自律への意志を象徴していると読み解きたい。愛の力がすべてなどという卑小な結論に結びつけるのではなく…。 | ||||
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阿仁のマタギ松橋富治は、地主の娘文枝と恋仲となったことから村を追われ阿仁鉱山で新大工として銅の鉱石を掘ることになる。新大工の年季明けとともに大鳥鉱山に移った富治は小太郎という見習い鉱夫の面倒を見ることになるが、熊撃ちに出かける小太郎を追っているうちに、富治の中のマタギの血が騒ぎ出す…明治、大正の雪深い東北の村を舞台にしたマタギの物語。大自然の中、山の神を信じひたすら熊を追い続ける男たちの物語。現在のマタギを描いた『相克の森』も良かったが、今回のほうがストレートに描かれている分感動も大きかった、『相克の森』の先祖たちの話?最後は老人と山 | ||||
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マタギの話を読みたいと願っていたら・・・図書館から借りたこの本が、もうドンピシャ!こんなに厚い大作なのに、むさぼるように2日で読破。山深い、里の風俗、厳寒の森を縦横に歩き、走り、狩る!こんな男に生まれたかった。(女です。) | ||||
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