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(短編集)

朝霧



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【この小説が収録されている参考書籍】
朝霧 (創元クライム・クラブ)
朝霧 (創元推理文庫)

朝霧の評価: 8.00/10点 レビュー 1件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

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(8pt)

朝霧の感想

前作『六の宮の姫君』で卒論に芥川龍之介を選んだ<私>は無事書き上げ、学舎を卒業した。
アルバイト先だったみさき書房に就職し、新人編集者としてついに社会人へ。
新たな環境、新たな人間関係、そして新たな謎。
お馴染みの円紫師匠と共に謎を解いていく。
シリーズ初の学生ではなく社会人となった<私>。
今作ではどんな日常の謎が、<私>に何を与えるのか。
シリーズ通じて<私>は何を受け入れて成長し、今作ではどう受け入れて成長するのか。
多忙な日々の中、変わるものも変わらないものもある。
今作は学生時代の懐かしさや切なさ、そして新たな出発への希望を内包。
前シリーズの伏線や引用もふんだんに散りばめられた、ファンには嬉しい一冊。
<私>と円紫師匠シリーズ第五作目。

シリーズ久々の短編集です。
『山眠る』『走り来るもの』『朝霧』の三編構成。
所謂日常の謎を取り扱う「死なないミステリ」で、一見初期作のようですが、違いもあります。
前シリーズまで<私>は学生で、各巻の時間の流れは一年以内です。
しかし今作の<私>は社会人であり、次編との間に数年経過していることもあります。
学生は進級などから一年単位がハッキリしていますが、社会人となると異なり、時の流れが早いということかもしれません。
構成が初期作を思い起こさせるだけに、学生の<私>と社会人の<私>の違いが際立ちます。
前シリーズの登場人物のその後だけではなく、前シリーズの出来事や引用が再登場しています。
ここでも月日の流れや<私>の成長がうかがえます。
また、前シリーズ同様文学作品の引用が多いです。
ただ、初期は謎がメインで引用は謎解きやそこに込められたメッセージのためのサブだったのに対し、最近は引用が増え、サブと言えなくなってきた気がします。
個人的には勉強になりますが、初期の程度の方が好きです。
円紫師匠も<私>と食事しながら謎解きするか、落語をするかとパターン化してきた気がします。
<私>も謎に直面すると円紫師匠に頼るという考えにすぐ至ってしまいます。
初期の円紫師匠は変装したり山登りしていたり、人間味や面白みがあります。
シリーズ物の宿命かもしれませんが、そのあたりが少し残念です。

今作のテーマは「結婚」さらには「男と女のつながり」かなと思います。
これは第一作『空飛ぶ馬』から続くテーマだと思います。
第一作では「男と女のつながり」に抵抗があった<私>ですが、今作の<私>の反応は異なります。
今作は社会人の<私>の成長が見れる、ファンには懐かしく、切ないながらも嬉しい一冊です。

▼以下、ネタバレ感想

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あんみつ
QVSFG7MB

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