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(短編集)

ななつのこ



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【この小説が収録されている参考書籍】
ななつのこ
ななつのこ (創元推理文庫)

ななつのこの評価: 7.55/10点 レビュー 11件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.55pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全5件 1~5 1/1ページ
No.5:3人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

ななつのこの感想

「人を殺さないミステリー作家」の筆頭にあげられていた加納朋子さんの作品を初めてよんでみました。
エッセイ集のような七つの物語は、それぞれ詩句や童話、神話に宇宙、美術や動植物、果ては物理までを題材に、ほのぼの、ドキリとする日常のミステリーを描いています。作者の博識とその知識のエッセンスのとり出し方=感性に心ひかれました。
品格がありながら親しみやすい文体に、今時の若ものらしいオチや自虐ネタや尖った自己主張も散りばめられ、清清しい読後感を味わうことができました。自称文学少女のような方たちは、側に置いておきたくなる作品なのではないでしょうか。
気になることが二点…ラストの「追伸」部分は必要だったのか、なぜ「鮎川哲也賞」へ応募なさったのかということです。(この作品が世に出たことはとても喜ばしいことですが、)
円紫さんシリーズがお好きな方は絶対オススメですよ。

はつえ
L7BVQMDY
No.4:3人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

心落ち着けるミステリー

読メのお気に入りの方の感想を読んで読んでみたいと思ったミステリー。ミステリーといえば殺人、そして刑事あるいは探偵、ですが、これは日常のちょっとした事件を起点にした非常に心に優しく温かいミステリーでした。7つの短編ですが、最後にはこれらがつながります。まぁよくある手法とは思いますが、この手の展開は大好きです^_^。なんとなく落ち着ける感じの読後感でした!

タッキー
KURC2DIQ
No.3:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

ある有名な古典作品を想起させる佳作

いまや本家北村薫と双璧を成す日常の謎系ミステリ作家の地位を確立した加納朋子の鮎川哲也短編賞受賞作を含むデビュー短編集。
本書は児童書「ななつのこ」を読んだ主人公入江駒子が作者にファンレターを送った事をきっかけに、同書に収録されているお話に準えて彼女が出逢ったちょっと不思議な体験について作者の佐伯綾乃に手紙を書き、その返事によって謎が解かれるという体裁を取っている。

まず「スイカジュースの涙」は駒子がある早朝に短大へ通っている時に遭遇した点々と続く血痕の謎について語った物。
散りばめられた事実は雄弁すぎるほどに血痕に隠された事件について語っているため、謎の難度は比較的軽い。作者の世界観と物語の構成に関して紹介を行った軽いジャブといった作品だ。

続く「モヤイの鼠」は渋谷を舞台にしたある奇妙な出来事の話。
題名にあるモヤイ像に群がる鼠たちは果てしてこの物語に何をもたらしているのだろう?
しかし渋谷駅は通勤の乗換駅なのでよく行くため、書かれている情景がすぐに解った。こういうのを読むとやっぱりミステリ含め、小説というのは東京ありきなのだなと思う。

「一枚の写真」はある日長年空白だったアルバムの、駒子が3歳前後だった頃の写真が19歳の今頃になって友人から返される理由を推理する。
本格ミステリの賞だということを勘案すればもっといい短編になっていたに違いない。

「バス・ストップで」の謎は自動車教習所に通いだした駒子が遭遇した老婦人と少女の奇妙な行動について。
しかし本作はそんな謎よりも駒子のロマンス相手となりそうなバス停で出逢った男性の出逢いに集約される。バス停でバスを待っている間という場面に加え、突然雨が降り出して傘が必要だと思い、相手に傘を差し出すシチュエーションなど、状況的にかなりベタなのが惜しいところだ。70~80年代の出逢いのシーンといいたいくらい古めかしい。

「一万二千年後のヴェガ」では再びバス停で出逢った青年と駒子が再会する。
「バス・ストップで」で出逢った瀬尾と再会するという、本短編集にロマンス風味が加わってきた作品。従ってメインの謎であるブロントサウルスの移動よりもやはり瀬尾と駒子との触れ合いが物語の主旋律となっている。

本書の中でもとりわけ文学色が強いのが「白いタンポポ」。
謎としては少女がなぜタンポポを白く塗るのかということになるが、それが前面に押し出されているかと云われればそうではなく、やはり主題は真雪と駒子の交流だろう。自分にも同年代の子供がいるせいか解らないが、こういうホッコリするような話が最近特に印象に残る。

そして本書の締めとなるのが表題作「ななつのこ」だ。
連作作品を締めくくるだけあって、それまでの関係者が一同に会し、そしてまた全体の謎が解かれる。
謎は歯医者で治療中の時は2鉢だったペチュニアが、1階の喫茶店から見上げると4鉢に増えているという物と、プラネタリウムの最中に少女真雪が失踪してしまうことだろう。どれも謎の妙味としては実に希薄だが、物語性は逆に濃い。また題名に示されているように「7」に拘ったモチーフがそここにあしらわれている。プレアデス星団、通称昴の第7の星に関するエピソードや7歳の真雪。七話目というのも隠れた7だろう。

北村薫に端を発する日常の謎系ミステリの新たな書き手の誕生と騒がれた加納氏だが、本書に収められた作品は読み進めるにつれて謎のスケールが小さく萎んでいっているように感じた。いや正しく表現するならば、日常の謎よりも駒子を取巻く人物達の物語を描く事に力点がシフトしていったように感じた。

その転換点となるのが、キーパーソンである瀬尾が登場する「バス・ストップで」からだろう。この瀬尾という存在が短大の友人達とで構成されていた駒子の世界が外側へと広がり、他者との関係性が深化していく。

オリジナリティ感じる点はやはり作中作である児童書「ななつのこ」のお話に擬えた駒子が体験する日常の不思議という設定だろう。どちらがニワトリでどちらがヒヨコか解らないが、よくだれずに最後まで貫き通したものだ。

ミステリという視点から論じれば各短編での謎よりもやはり作品全てに共通する児童書「ななつのこ」の作者佐伯綾乃の謎こそがこの短編集で語りたかった謎だ。

先に述べたように鮎川哲也賞受賞作として捉えるならば、首を傾げざるを得ないほどミステリ色は希薄だが、ここはいまどき珍しい純粋かつ甘酸っぱい物語と行間から感じ取れる作者が本作に込めた想いに素直に賞賛を贈って、8ツ星としよう。


▼以下、ネタバレ感想

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Tetchy
WHOKS60S
No.2:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

ななつのこの感想

日常の謎をテーマにした加納朋子のデビュー作!殺人事件もないし、ミステリ好きでなくともおすすめ。ほっと癒されるような優しい小説です!

ジャム
RXFFIEA1
No.1:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

ほんわかムード

日常の謎を扱った作品集でとても温かくほんわかした小説。
手紙の送り先の綾乃さんの解答編も面白い。
全体の話のまとまり方も素敵でした。

むーちゃ
LD7P75LY

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