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失墜の王国



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失墜の王国

失墜の王国の評価: 9.00/10点 レビュー 1件。 Bランク
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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

この暗さと重さ、まさにノワールの極北!

ノルウェーをというより北欧、現代ノワール・ミステリーを代表するネスボの新シリーズ第1作。ノルウェーの山中の寒村に一人で暮らす兄のもとに、15年前にアメリカに渡った弟が美しい妻と豪華リゾートホテルの建設計画を持って帰郷したことから始まる、兄と弟の壮大な愛憎物語である。
横暴な父親が支配する農場で互いを庇いあいながら暮らしていた兄・ロイと弟・カールは両親が乗った車が崖から落ちて死亡したため、17歳と16歳の二人だけの生活を送っていたのだが、保安官がカールを訪ねて来て、ロイから性的虐待を受けていないか、両親の事故に不審な点を感じないかと尋ねてきた。カールは疑惑を否定したのだが、保安官は事故車の状態を確かめるため危険な崖から身を乗り出し谷底へ落下してしまった。それを聞いたロイは兄弟の秘密を守るために谷底で保安官にトドメをさし、死体を農場の奥の谷で始末した。その罪は二人で背負って行くはずだったのだが、罪の重さに耐えかねたカールはアメリカの大学に入り、そのまま帰郷しなかった。村にひとり残ったロイはガソリンスタンドを経営し落ち着いた暮らしを営んでいたのだが、そこに15年ぶりにカールが帰ってきて農場にリゾートホテルを建てようと持ちかけてきた。話が曖昧だと感じたロイだったが弟の頼みは断れず、村の人々も巻き込んでホテル建設をスタートさせた。そのタイミングで新任の保安官が前任者の事故を再調査するので協力して欲しいと頼んできて、兄弟二人の秘密は風前の灯となった…。
まるで双子というより一心同体の兄弟を巡る悲喜劇、いや切実な愛憎が2段組、500ページオーバーで重厚にリアリティを持って語られる一大叙事詩である。読み通すのに時間も体力も必要だが、読み終わった時、そのしんどさは十分以上に報われる。
全てのノワール愛好家に絶対の自信を持ってオススメする。

iisan
927253Y1

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