TOUCH/タッチ
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私はスリラーの読み手ですのでアイスランドの作家の著作を読むのはアーナルデュル・インドリダソンの「悪い男」(2024/1月)以来になると思います。今回は恋愛小説。よって私の読書歴は何ら参考にはなりません(笑)。 主人公はレイキャビクでレストランを経営する七十代のクリストファー。背景には<Covid-19>真っ只中の世界があります。いくつかの理由から店を閉めることを決心したクリストファーがフェイスブックをのぞくと一通の友達リストを発見します。それは五十年ほど前にロンドンで知り合い、愛した女性ミコのものでした。彼は彼女が日本にいて入院していることを知らされます。そして、意を決してミコに会うためにパンデミックの合間を縫うようにロンドン経由で日本へと向かいます。 ロンドンで知り合った二人に何があったのか?、そのことについて読者に幾つかの「何故」を発掘させながら、クリストファーの人生が語られ、アイスランドから<広島>への旅の途中、彼は自分自身の過去を埋め合わせるように見つめ直します。 先にトリヴィアルな違和感を書いてしまいます。アイスランドからの旅人が日本でそれほど簡単にアパートを見つけることができるのか?日本を象徴すべく幾つかの<俳句>が作られていますが、それらはあまりに稚拙なのではないか? しかし、この恋愛小説が内包する主題の前ではそれらは瑣末なことに過ぎません。 これから読むであろう読者のために全てを話すことはできませんが、目的地がこの国の<広島>であることに多くの想いを抱くことになると思います。私は疑い、少し首を傾げながら読み進めましたが、しかし次第にその思いはこの小説を肯定する方向へと向かったと言っていいでしょう。それは人間の弱さを内包する恋愛に納得できたことに他なりません。また、日本人として作者の描く<広島>を受け入れることができたということでもあります。 “Touch”というタイトルが抱える意味の裏側には、パンデミックによって触れることが叶わない世界の在り様がシンボライズされていること以上に<触れること>の意味が二人の恋愛を通して鮮やかに描写されていました。 物語の中ではジョンとヨーコの姿であったり、ビートルズの楽曲であったり、フリートウッド・マック、レッド・ツェッペリンが言及されています。(クリストファーとほぼ同時代を生きたが故に)それらの存在がただそれだけで月日の重さを縮めてくれるようにクリストファーとミコの微かな触れ合いが出会ってから五十年の月日を超えても尚陽だまりのように体感できることが、私たちに心のよきもの齎してくれます。<広島>という歴史上の悲劇を越えて。 □「TOUCH/タッチ “Touch”」(オラフ・オラフソン 早川書房) 2024/12/23。 | ||||
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