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オクトーバー・リスト



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【この小説が収録されている参考書籍】
オクトーバー・リスト (文春文庫 テ 11-43)

オクトーバー・リストの評価: 7.00/10点 レビュー 2件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全2件 1~2 1/1ページ
No.2:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

「今思えば・・・」の発見が楽しめる逆行小説

ジェフリー・ディーヴァーの久々のノンシリーズ作品である本書は実に変わった構成の作品だ。なんと終章36章から始まるのだ。
そう、本書は物語を逆行して語られる。従ってなかなか物語の全容が見えにくい。

しかしこれがまたこれまでにない先入観をことごとく覆す展開になっていく。

いわば本書は時間を逆行することで物語の前提条件や人物設定が後から判明していき、先入観が覆される構成になっている。本書はそんな小技の効いたどんでん返しが数々散りばめられている。

しかしそれでもやはりこの作品は読みにくかった。時系列を逆行することで前章の結末から次章への繋がりがスムーズになされないからだ。
例えば30章が終わると次の29章の始まりはその30章へとつながる箇所の数分前とか1時間前に設定されているため、物語の展開が唐突すぎて頭に素直に入っていきにくいからだ。

このような最後の最後で計画の全容が判明する物語は数多あり、特にスパイ小説の類では複雑怪奇な構図が明かされるわけだが、その構成とほぼ同じである。
いわば本書は敢えて時系列を遡ることを想定して書かれた物語であると云えよう。

あと最後に付される目次に書かれた各章題を見ながら、各章の写真を見るとまた別の意味が立ち上ってくるのも憎らしい演出だ。特に第9章の馬の写真と章題「サラ」は1章を読んだ後だと笑えるし、第14章の骸骨が砂の中から出ている写真と章題「ダニエルの最初の仕事 一九九八年ごろ」を照らし合わせると228ページ3行目からのエピソードが別の意味を伴ってくる。

とこのように様々な仕掛けが読後に立ち上ってくる作品である。従って本書は読み終わった後に色んな読み方ができる作品だと云えよう。
例えば今度は1章から読むと感じ方も変わるだろうし、また同じように第36章から読み返すとさりげない伏線や描写の数々にほくそ笑むことだろう。
また目次の章題を照らし合わせながら読むとそれまで気付かなかった写真や文章の意味合いに気付かされることだろう。

ただやはり本書はアラフィフの自分には場面転換、時間軸の巻き戻しに頭を慣らすのが難しかった。機会があればもう一度読んでみると、上の評価もまた変わるのかもしれないが。

▼以下、ネタバレ感想

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Tetchy
WHOKS60S
No.1:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

最後の50ページで、それまでの我慢が報われた

第36章から始まって第1章で終わり、その後に著者まえがき、目次、献辞が続くという完全倒錯?の実験的作品。物語自体は、ジェフリー・ディーヴァーらしいどんでん返し連発のサスペンス・ミステリーである。
6歳の娘を誘拐され、身代金と「オクトーバー・リスト」を要求されている投資コンサルタント会社のマネジャー・ガブリエラは知り合ったばかりのダニエルに助けを求め、ダニエルの紹介で危機管理会社のスタッフを雇い、誘拐犯のジョゼフとの交渉を依頼したのだが、吉報を待っていたガブリエラの前に現われたのは、銃を持ったジョゼフだった。というのがオープニングで、物語は時系列を遡って展開されて行く。犯人、被害者を始め次々に登場する事件の関係者は、その名前や役割りは分かるものの、どういう存在で、事件にどのように絡んでいるのかが不明なため、最初の内は何度も元に戻って確認しないとストーリーに入って行けず、かなりのストレスである。しかし、そこはディーヴァーの力業というべきか、最後の2章で真相が明らかにされると、なるほど、こういう仕掛けだったのかと膝を打ち、それまでの我慢が報われる。
いくつかのレビューに散見されるように、何も時間の逆回転で話を進める必要はないのではとは思うが、本作はディーヴァーが自らの創作力を確認するためにあえて挑戦した実験的作品として評価するしかない。その点で、好き嫌いがはっきりする作品である。
ただ、物語はサスペンス・ミステリーとしてきちんと成立しており、ガッカリすることはない。
我慢強く読み進められる人、意地でも途中で投げ出さないという人にオススメする。

iisan
927253Y1

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