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骨の島



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【この小説が収録されている参考書籍】
骨の島 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

骨の島の評価: 5.00/10点 レビュー 1件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点5.00pt

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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(5pt)

物語が面白いのにプロットが弱いのが残念

実に久々のエルキンズ作品、スケルトン探偵ギデオン・オリヴァー教授シリーズである。ほとんど翻訳打切りだと思っていた。
このシリーズ、各国の観光案内も含まれており、単にミステリだけに終始していないところとやはりジュリーとギデオン夫婦のウィットに富んだ会話、また彼らを取り巻く人々の特徴あるキャラクターが気に入っており、正直非常に期待していた。

今回の舞台はイタリア。プロローグは1960年9月のイタリアで最後の貴族と評されたデ・グラツィア家当主ドメニコが相続する嫡男に恵まれず、姪に自らの精子で人工授精を依頼する話から始まる。この作戦は成功したが、姪のエンマは子供を渡すものの目覚めた母性本能から鬱状態に陥る。そこでドメニコは妊娠した使用人からその息子を買い取り、エンマの子供として渡すのだった。
舞台は転じて現在。デ・グラツィア家の当主はこのとき生まれたヴィンチェンツォになっていた。息子のアキッレが学校に行く途中、運転手が殺され、誘拐されるという事件が起きる。憲兵隊大佐カラヴァーレは警察署長の依頼の元、事件の捜査に乗り出す。折りしもギデオン・オリヴァー教授は友人のフィルとともにこの地を訪れており、バカンスを楽しんでいた。フィルが家族に会いに行くので一緒に来ないかと誘われ、気が乗らないながらも同行すると、そこはデ・グラツィア家の城がある島だった。フィルはエンマの息子だったのだ。
事件の捜査が進む中、ヴィンチェンツォの会社アウローラ建設の工事現場で掘削中に骨が見つかる。その骨の正体はなんと前当主ドメニコの骨だった。

エルキンズの登場人物をコミカルに描く筆致は健在。どの登場人物に血が通っており、本音を見せるエピソードを盛り込ませる事で登場人物に親しみを持たせる手法はもはや云う事がない。
個人的にはカラヴァーレが自宅で着替えをしている時に妻に洩らす「制服を着ていない俺はサラミソーセージを売っている方がお似合いだなぁ」という台詞、そしてギデオンがキャンプで出逢うやけに人類学に詳しく、さらにギデオンの知らない地球外生命体について議論を吹っかけるポーラ・アードリー-アーボガストが気に入った。ポーラは今後も定番脇役として出演してほしい。

とはいえ、プロットは今回なんだかちぐはぐな印象を受けた。誘拐事件と骨を絡めるのがやや強引、こじつけのような気がしたのだ。(その理由はネタバレにて)

久々のスケルトン探偵シリーズ、ちょっとネタ切れの感がしたのは否めない。


▼以下、ネタバレ感想

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