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ケムール・ミステリー



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ケムール・ミステリー

ケムール・ミステリーの評価: 8.00/10点 レビュー 1件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(8pt)

ミステリーとしては想定内だが、成田亨への強烈な思いが込められた作品

関西の老舗製薬会社を経営する氷姫一族の豪邸「赤屋敷が」六甲の山中にあります。ここで4人の若者が次々と謎の自殺を遂げます。
はたしてこれらは自殺なのか、それとも・・・・。

亡くなった4人に共通するのはそれぞれ理由は異なれ、全員「ひきこもり」だということです。最初に自殺したのが、氷姫家の跡取り、高校生の智耶でした。
これは密室での死ということで自殺と結論づけられました。これ以降氷姫家ではボランティアとして引きこもりの若者を預かるのですが、彼らが次々と自殺していきます。
この事件に挑むのが、カルト玩具店を営む独特なキャラを持つ鴉原という男です。

とここまで書くと普通のミステリーではないかと思われるでしょうが、この作品が特異なのは、
タイトルからもお分かりのように、すべての事件にケムール人の影が見え隠れしていることです。

ケムール人とは改めて言うまでもなく、特撮ドラマ「ウルトラQ」の第19話「2020年の挑戦」に登場する宇宙人で、実にシュールで不気味な外見をした怪人です。
このデザインを作ったのが成田亨で、彼はウルトラQの多くの怪獣のキャラクターデザインだけでなく、ウルトラマンをはじめとする数多くのヒーローや怪獣を生み出したにもかかわらず
著作権問題で、円谷プロと対立し、その後不遇の死を遂げます。

なぜケムール人なのかというと、おどろおどろしい雰囲気に合っているからというのもあるでしょうが、ケムール人であるという必然性は無いと思います。やはりケムール人を通して
世間で過小評価されすぎている成田亨という稀代の天才芸術家を世に知らしめ、評価してもらうために、強烈なるりスペクトを込めて書かれた作品だという気がします。
私も恥ずかしながら彼のことは詳しくなかったのですが、ええっ! アレもコレも成田の作品かよと驚かされました。まさに戦後最大のアーティストの一人だと思います。
大人の事情で、ケムール人の写真がどこにもないのが残念ですね。

ミステリーとしてはトリックや犯人など、ある程度読みなれている読者にはすぐに分かると思います。ただ何かを伝えたいという強い思いは評価したいですね。

いわし雲
78XRDN1A

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