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冷血



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【この小説が収録されている参考書籍】
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冷血の評価: 7.80/10点 レビュー 5件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.80pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全2件 1~2 1/1ページ
No.2:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

冷血の感想

下巻を読み終えました。少し時間を置いて読んだせいか興奮も醒めフラットな気分で読みました。思うのは上巻が「動」なら下巻は「静」と云った印象です。逮捕された二人の取調べでの供述の裏付け捜査の様子や、地検とのあれこれ。そして調書を読む合田を通して、二人の生い立ちやこれまでの人生が浮き彫りになるが、何故一家四人を殺害したのかがハッキリしない。二人の行動の元になったものとはいったいなんだったのか。金が目的だった訳でもなく、ケータイサイトで知り合った二人が郵便局のATMを襲い失敗したあとも、別れるでもなくずるずると16号線を流れて赤羽まで行き四人を殺害した。混迷する合田雄一郎。そういった様子が長々と続きます。二人の行動を描写するところはその確かな筆力で読み応えがあります。生まれも育った環境もまるで違う二人。その二人の内面は調書を読む合田にはどれほど理解できたのかと思います。でも、こういった系統のものは久しぶりに読んだので面白かったです。佐木隆三の「復讐するは我にあり」や西村望の「丑三つの村」、宮部みゆきの「火車」などを読んで面白いと感じた人にはおススメできます。

ニコラス刑事
25MT9OHA
No.1:
(7pt)

広漠とした高村ワールドへ

高村薫の最新作は、合田雄一郎シリーズの新作だけに、「晴子情歌」から前作まで続いてきた読みづらさが薄らぎ、エンターテイメントとして楽しめる作品だ。ただ、警察小説、ミステリーを期待していると裏切られる結果になるだろう。
物語は、実際の事件(いまだ未解決だが)を想起させる「歯科医一家4人殺し」の事件発生から裁判、死刑執行までを追うもので、犯人、被害者の背景描写から捜査の在り様、裁判過程における関係者の言動まで、いかにも高村薫らしい緻密な描写(ことに、犯人の歯痛、歯科治療の詳細さと言ったら・・・)で展開される。しかし、すべてが明らかにされたようでありながら、犯人の実像、心理、犯行動機などは、すべて霧の中での手探りの記録でしかなかったという茫漠さが最後に残り、きわめて微妙な読後感に悩まされることになる。作者は、合田雄一郎と読者を真実と虚偽が絡み合って延々と続く、広漠な精神世界に放り出すことを狙っているに違いない。
そこが高村ワールドであり、好悪が分かれるところだろう。

iisan
927253Y1

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