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皆殺し



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【この小説が収録されている参考書籍】
皆殺し
皆殺し (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)

皆殺しの評価: 8.00/10点 レビュー 1件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(8pt)

解っているつもりだった。でも違っていた。それが人生。

今回の事件はかつての倒錯三部作を復活させたかのような動に満ちた内容になっている。もはやマットにとってなくてならない親友となったミックに窮地が訪れ、それにマットも巻き込まれ、共に命を狙われる存在になっていく。

2人に関わる人間が次々と亡くなっていく。

男は幸せと安定を求め、結婚をする。結婚生活はその幸せと安定を持続することだ。
それがいつしか義務になり、手段が目的に変わるのだ。そんなとき、安定しているからこそ不安定を求めるようになる。なぜかと云われればそれが男だからだ。
不安定を求め、それに身を落とすことで自身の本当の生活が安定していることを再確認し、また戻るのだ。逆に不安定な状況にのめり込んで結婚生活を破綻させる輩もいる。それが男と云う生き物であり、性なのだから仕方がない。
私はこの件を読むことでマットの事が一層理解できるようになった。

そんな風に血肉を得た登場人物が衝撃的な死を迎える。さらに追い打ちをかけるようにその毒牙は伸びていく。

貌の見えない敵の正体を探るマットだったが、捜査に同行させたTJにけがを負わせてしまう。マットを狙った暗殺者の流れ弾に当たってしまうのだ。
幸いにしてTJは命を獲られるまでにはならなかった。本書の中での云い方をすれば彼は「リストに載らなくて済んだ」。

そしてミックは仲間を喪い、根城だったグローガンの店を失う。

世界中に伝承される破壊の女神は世界を焼き尽くす。それはまた新たな世界を作るための破壊である。
このマット・スカダーシリーズもまた本書で一旦全てを喪う。

マットもまた例外ではない。

全てを失い、そしてまた新しい日が始まる。恐らくこのシリーズもまた。

哀しい事ばかりが起きた作品だった。
それまで人伝えにしか解らなかったミック・バルーという男の凄まじさを知らされた作品だった。
シリーズを読みながらも驚きと知らないことがあることを気付かされる。それはまさに人生そのものではないだろうか。


▼以下、ネタバレ感想

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Tetchy
WHOKS60S

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