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(短編集)

パリから来た紳士



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【この小説が収録されている参考書籍】
パリから来た紳士 (創元推理文庫―カー短編全集)

パリから来た紳士の評価: 6.50/10点 レビュー 2件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点6.50pt

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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(5pt)

オールスターキャストの短編集なれど…

東京創元社によるカーの第3短編集。これも独自に編まれた短編集で、ノンシリーズが2編の他にフェル博士物、マーチ大佐物、HM卿物とカーの作品のほとんどの探偵が出ており、かなり贅沢な印象を持つが、各編の中身はさほどでもない。

この中で印象的だったのは実はノンシリーズの2編だったりする。表題作と「黒いキャビネット」がそれに当たるが、というのも双方とも事件とは別の真相が含まれており、それが私の琴線に触れたところが大きい。具体的に述べると未読者の興を殺ぐから避けるが、現実と虚構のリンクという趣向が当時の私は好きだったのだろう。
その他、岬の突端で死んでいた死体のところには被害者の足跡しかなかった「見えぬ手の殺人」、監視の中で起きた銃殺事件で、犯人はある男を示していたという「ことわざ殺人事件」、針のような物で脳を刺され女性が死んだが凶器が見つからない「とりちがえた問題」、トンネルの中で失踪した女性の謎を描く「外交的な、あまりにも外交的な」、突然奇行を振舞った男の失踪の謎を解き明かす「ウィリアム・ウィルソンの職業」、『赤後家の殺人』の原版とも云える呪われた部屋で起きる事件、「空部屋」。闇から聞こえるささやき声とガス中毒殺人未遂に逢いそうになった女性を助けるHM卿の事件、「奇蹟を解く男」と怪奇色や不思議な事象をモチーフにした短編が多いが、あまりそれらは記憶に残っていない。
というのもまだカーを読み始めて間もないこの頃はそのエキセントリックな作風にまだ馴染めていなく、しかもフェル博士、HM卿といったカーのシリーズ探偵もこの短編集で初めて出逢ったため、性格とその面白さが全くといっていいほど掴めてなかった。また加えて読みにくい訳文(改訳を強く要請する!)も手伝って、あまり楽しめた記憶がない。しかしそれでもこの後、A型気質ゆえの執着心で読み続け、現代に至ってもカーの未読本が復刊、刊行されると手を出しているのだから、三つ子の魂百まで(?)というのはよく云ったものだ。

Tetchy
WHOKS60S

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