結婚して十二年、三十九歳の調査会社中間管理職の俺の妻が、ある日、他の男の子を宿す話。

26才スナック勤務の「あたし」と、おなかに「俺の国」地図を彫っている4才年下のダメ系学生風間くんと、ペット亀の「バタ」のほわほわ脱力気味の同棲生活から一転、あたしはリセットボタンを押すように、気がつけばひとり深夜長野の森にいた。

ヒーローだった兄ちゃんは、二十歳四か月で死んだ。超美形の妹・美貴は、内に篭もった。

『さくら』で彗星のように華やかなデビューを飾った西加奈子の第4作にあたる長編小説。

男にだまされた母・肉子ちゃんと一緒に、流れ着いた北の町。肉子ちゃんは漁港の焼肉屋で働いている。

小学校の体育館裏で、きりこが見つけた黒猫ラムセス2世はとても賢くて、大きくなるにつれ人の言葉を覚えていった。

公団住宅で三つ子の姉と、両親、祖父母に愛されて暮らす「こっこ」こと渦原琴子は、口が悪く、偏屈で硬派な、孤独に憧れる小学三年生。

恋人の娘を一日預かることになった私は、実は子供が嫌いだ。作り笑顔とご機嫌取りに汗だくになっても、ぎくしゃくするばかり…。

「この世界にアイは存在しません。」入学式の翌日、数学教師は言った。

年齢も境遇もさまざまな8人の女性たち。

失恋ばかりの、私の体。私は彼のことが、本当に、好きだった。

他人の目を気にして、びくびくと生きている百合は、単純なミスがきっかけで会社をやめてしまう。

僕はこの世界に左足から登場した―。圷歩は、父の海外赴任先であるイランの病院で生を受けた。

池井戸花しす、二十八歳。職業はアダルトビデオへのモザイクがけ、趣味はICレコーダーでの隠し録り。

散歩中に拾った、自分と同じ機種の携帯電話。

マルキ・ド・サドをもじって名づけられた、書籍編集者の鳴木戸定。25歳。

「いらっしゃーい」。伊良部総合病院地下にある神経科を訪ねた患者たちは、甲高い声に迎えられる。

29歳の葉太はある目的のためにニューヨークを訪れる。

温泉宿で一夜を過ごす、2組の恋人たち。静かなナツ、優しいアキオ、可愛いハルナ、無関心なトウヤマ。

大阪最大の繁華街、ミナミのキャバレーで働く「吉田」は、素人臭さの残るスナックのチーママ「みさを」に出会い、惹かれていく(「地下の鳩」)。

『くもをさがす』の西加奈子が贈る、8つのラブレター。 この本を読んだあと、あなたは、きっと、自分の体を愛おしいと思う。

少女の秘密が、ぼくの世界を塗り替えた。信じること、与えること、受け入れること、そして変わっていくこと…。

謎のカルト教団と革命の予感。自分の元から去った女性は、公安から身を隠すオカルト教団の中へ消えた。

恩人の命令は、思いがけないものだった。 不当な理由で職場を解雇され、腹いせに罪を犯して逮捕された玲斗。

受験を控えた私の元にやってきた家庭教師の「先生」。授業は週に2回。

直木賞作家が５年間苦しみ抜いて到達した祈り。再生と救済の長篇小説。

高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。

極端に臆病な幼い有里の初恋の相手は、文房具屋で買った銀のステッキだった。

今から100年前、殺人は悪だった。10人産んだら、1人殺せる。

恋愛ではない場所で、この飢餓感を冷静に処理することができたらいいのに。

高校一年の斉藤くんは、年上の主婦と週に何度かセックスしている。

ニューヨーク近代美術館のキュレーター、ティム・ブラウンはある日スイスの大邸宅に招かれる。

「愛美は死にました。しかし事故ではありません。

宮沢賢治は祖父の代から続く富裕な質屋に生まれた。

婚約者・坂庭真実が忽然と姿を消した。 その居場所を探すため、西澤架は、彼女の「過去」と向き合うことになる。

「大きくなること、それは悲劇である」。

私のからっぽに栓をしてほしかった。 幼なじみの兄弟に愛される一人の女、もどかしい三角関係の行方は。

デザイン会社に勤める由人は、失恋と激務でうつを発症した。社長の野乃花は、潰れゆく会社とともに人生を終わらせる決意をした。

母親との確執を抱えて育ち、望まれない子を妊娠、たった一人で出産を迎えようとする三十代の真菜。

36歳未婚女性、古倉恵子。大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目。

わたしは「みんな」を信じない、だからあんたと一緒にいる―。

あなたと共にいることを、世界中の誰もが反対し、批判するはずだ。

双子のミミとこだちは、何があっても互いの味方。

「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、下鴨神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。

強大な帝国・東乎瑠にのまれていく故郷を守るため、絶望的な戦いを繰り広げた戦士団“独角”。

家族のために犯罪に手を染めた男。拾った犬は男の守り神になった―男と犬。

これまで書いた自分の作品の中で、いちばん好きです。これが書けたので、小説家になってよかったと思いました。

堀川次郎は高校二年の図書委員。

夏の日の夕方、多摩川沿いを血まみれで歩いていた女子大生・聖山環菜が逮捕された。

恋人の降一を事故で亡くした志保。その車を運転していた降一の親友・五十嵐。

あなたの余命は半年です――ある病院で、医者・桐子は患者にそう告げた。

コンビニ強盗に失敗し逃走していた伊藤は、気付くと見知らぬ島にいた。

伝えられなかった言葉。忘れられない後悔。

林ちひろは、中学3年生。

【第２９回　山本周五郎賞受賞作】 善意は、悪意より恐ろしい。