古い骨

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種別
長編
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あらすじ

2004年12月31日 古い骨 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

レジスタンスの英雄だった老富豪が、北フランスの館に親族を呼び寄せた矢先に不慮の死を遂げた。数日後、館の地下室から、第二次大戦中のものと思われる人骨の一部が発見される。フランスを訪問中だった人類学教授ギデオン・オリヴァーは、警察に依頼され人骨を調べ始めるが、今度は親族の一人が毒殺された!骨を手がかりに謎を解く、スケルトン探偵オリヴァーの名推理。アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞受賞作。(「BOOK」データベースより)

評判

古い骨の評価:

7.33/10点 レビュー 3件。 A ランク

書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点7.33pt

古い骨の総合評価:

9.04/10点 レビュー 23件。

感想一覧

サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

全2件 1〜2 1/1ページ
No.2
(8pt)

スケルトン探偵参上!

スケルトン探偵ギデオン・オリヴァー教授シリーズ第4作目にして本邦初紹介第1作目。なぜ4作目から紹介されたのかといえば、本書がMWA賞、通称エドガー賞受賞作であったことが要因として大きいだろう。本作の出版は実は現在流布しているハヤカワ・ミステリ文庫ではなく、廃刊となったミステリアスプレス文庫から出版されていた。しかも本書はその叢書の第1冊目でもあり、新規固定客を掴む重要な役割として大きな期待がかけられていたのだろう。

物語の舞台はフランスのモン・サン・ミシェル。プロローグは富豪のギョーム・ロッシュが干潮時に貝の収集をしている最中に満潮に巻き込まれ、命を失うシーンから始まる。骨の鑑定家であるギデオンは彼の館で見つかったナチス時代と思われる古い骨が見つかったことで親友のFBI捜査官ジョン・ロウと共に鑑定に訪れる。そしてその最中、一族の1人が毒殺されるという事件に巻き込まれる。

ミステリという観点から云えば、このギデオン・オリヴァーシリーズは非常にオーソドックスな作りである。因縁となる過去の事件を発端とし、なんらかの形でギデオンが関係者に関わり、そこに骨に関する事件や出来事が起き、そして過去の因縁が基になる殺人事件が起き、ギデオンが真相に近づく中、彼も一命を失うような危機に陥るが、大団円に至る。シリーズ全てがこのパターンを踏襲している。派手な演出、驚愕の真相を期待する方にとっては物足りなさを覚えるだろうが、逆にこのマンネリさがこのシリーズに安定感をもたらせ、安心して読めるシリーズと云えよう。
とはいえ、このシリーズにさしたる特徴はないかと云えばさにあらず、本書の目玉はギデオン・オリヴァーが毎回行う骨の鑑定にある。この場面の描写は毎回微に入り、細を穿ち、専門的かつ学術的である。では一般読者の理解に困難を強いるかといえば全くそうではなく、専門知識を誰もが解りやすいように噛み砕いて説明しており、読後新たな知識が得られたという満足感がある。この骨の鑑定という読者の知的好奇心をそそる演出がこのシリーズの人気の半分を占めていると云えよう。
さてエドガー賞を受賞した本書の出来はといえば、確かによく出来ており、非常に卒が無い。上に述べたように物語の起承転結がはっきりしており、なおかつサプライズもある。巷間に様々なミステリが溢れている今ならば、本書に収められているミスディレクションは特段話題にするほどの物でもないが、読んで損を感じることはないだろう。

さて本書は版元である早川書房が新規創刊した文庫シリーズの集客戦略の一手として出版されたであろうことは冒頭に述べたが、幸いにしてこの作品はその期待を損ねることなく、ミステリファンのみならず広く親しまれたようだ。特にその年の『このミス』では第3位という高評価を持って迎えられた。その後この叢書が廃刊になり、本国アメリカで新作が出版されても長らく訳出されないという不遇な時代もあったが、ファンからの熱い要望により、版型をハヤカワミステリ文庫に移して再出版され、その後コンスタントに新作も出版されている。
本邦刊行から今に至って私はこのシリーズを読み続けているが、最も新刊が待たれるシリーズの1つになっている。もし何を読もうか迷っている方がいれば、まず手にとっても貴重な時間を失うことはないことを保証しよう。

Tetchy
WHOKS60S
No.1
(8pt)

古い骨の感想

本書はシリーズものの1冊ですが、ここまで骨にこだわったシリーズは珍しいと思います。
主人公は骨を調べるエキスパートです。その設定が生かされるので、骨から重要な事実が明かされていきます。
シリーズ全編が骨にからむミステリーで、日本語タイトルもほとんどが「・・・の骨」で統一されています。
シリーズ全部を読んだわけではないのですが、私が読んだ中では一番面白い作品でした。

とても面白い小説ですし、意外性もあります。また、ミステリーとしても正統派のように思います。
大げさなアクションはなく、はじめは淡々と進んで行きながら、後半はぐいぐいと引き込まれます。
キャラクターの個性も立っていて飽きさせません。

主人公は教授でもあるのですが、学識もあるし、仕事にも拘りがあって、大学教授によくありがちな愛嬌のある欠点もあります。
教授の個性や癖が物語の方向ともうまくつながっていて、よく考えて書かれているなぁと思いました。
骨を調べる方法論を学生たちに解説しながら作業を進めていく場面は、クスリと笑わせながら楽しい蘊蓄もくどくなら無い程度に披露されます。
実に読みどころが多い作品です。

本作のタネはわりと解りやすいかもしれません。


▼以下、ネタバレ感想

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absinthe
BZLMTCHK

Amazonレビュー

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No.20
(5pt)

絵に描いたような古典的ミステリ。読んで楽しかった

最初の一章は訳が分からなかった。なにしろモン・サン・ミシェルの干潟で流砂に飲まれてしまう老人である。ちょっとこれで一週間ほど放置した。
 しかし、続けて読んでみると、1980年代なかばを舞台とするこの小説は(1987年に発表されている)、この小説の時点から40年前である第二次世界大戦のフランスにおいて、ナチスに協力したか、或いはレジスタンスしたかの内乱(というほど深刻ではないが)の対立が未だに怨恨があり「できればそこに触れない」ようにして避けて通ってきたかつての戦争の矛盾の記憶、とはなんと日本だけではなかったのだな、とつくづく嘆息する気分だった。
 その中でレジスタンスとして名を挙げた人物が、冒頭、流砂に呑まれて死亡する人物だったのだが、それが残した莫大な遺産をもとに、その一族の中で巻き起こる、そこはそれ欧州的にも横溝正史からおどろおどろしさを除去したような、ただしそれなりにいわれ因縁が関わる「一族もの」展開は、スケルトン探偵ギデオン・オリヴァーの合理きわまる古生物学の知識によって快刀乱麻を断つがごとくに解明されていく。
 これよ、これ。
 ヴァン・ダイン的な余裕のある世捨て人のペダンチックとユーモアをまぶした長広舌。
 オタク的でもある博引傍証、知識に惑溺する現実逃避、品の良い世界観で安定して供給されており、一度波に乗ると最後まで一気通貫できた。
 そして最後は一族の抗争(というほど深刻ではないが)はギリシア悲劇のごとき古典的な真相をあらわにして、しかしそこでユーモアによって悲劇なのか喜劇なのかわからない効果を生み出しており、筆者は爆笑してしまった。
 すべての要素が螺旋を描いたり行ったり来たりして最後にぴたりとはまりこむ。
 古典的と言っていいほど整った作品で、エドガー賞受賞は納得だった。
 35年後。
 著者はいまだ健在である。しかし、この本が出た後平成年間が始まり、そして終わり、一世代が過ぎた現在ではおそらく佳品としての評価は確立しているのだろうけれども、読書人の行き来があるかと言えば図書館の書庫でひっそりと「知る人ぞ知る」以上「もてはやされている」以下の静かな評価になっているのではないだろうか。
 その工芸品的な人為性のためもあるのだろうが、その静謐で知的で饒舌な、このペダンチックな世界がいまいち現代のSNSネット世界とマッチしないからでもあるのだろう。
 しかし、成功作と言えども小説はすべてが時の流れに押し流されて消えていく存在であるから、そんなものか。
 だが、作品は変わらぬ完成度でいつでも待ってくれているのだから、これからも具眼の士に見いだされ続けてほしいし、筆者がやきもきするまでもなくそうした作品でありつづけるだろうから、まあ良いか。
古い骨 (ハヤカワ・ミステリ文庫) Amazon書評・レビュー: 古い骨 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4151751017
No.19
(4pt)

謎解きなど、どうでもよいのであった

いや、間違いなくミステリーなのだから謎解きも大事なんだけど、書き出しのモン・サン・ミッシェルの海に潮が満ちてくる場面、そこだけでも読む価値のある本なのだ。何度読み返しても、実際にその場にいるような緊迫感が伝わってくる名文、いや名訳。だれか映画にしないだろうか。
 探偵ものとしても、これはまあまあだった。シリーズだというので他も何冊か読んでみたが、どうもいま一つ魅力に乏しい。
古い骨 (ハヤカワ・ミステリ文庫) Amazon書評・レビュー: 古い骨 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4151751017
No.18
(2pt)

初めて読みました

最近、ジェフリー ディーヴァーにハマリ、尽く期待を裏切られ(イイ意味で)さて、次はと新刊コーナーにあった「骨」に誘われ購入しました
「スケルトン探偵」としては充分楽しめましたがナンカ最後が消化不良気味でしたが、「ジュリー」の事が気になるので以前の作品も読んで
見ようと思います
古い骨 (ハヤカワ・ミステリ文庫) Amazon書評・レビュー: 古い骨 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4151751017
No.17
(5pt)

絵に描いたような古典的ミステリ。読んで楽しかった

最初の一章は訳が分からなかった。なにしろモン・サン・ミシェルの干潟で流砂に飲まれてしまう老人である。ちょっとこれで一週間ほど放置した。
 しかし、続けて読んでみると、1980年代なかばを舞台とするこの小説は(1987年に発表されている)、この小説の時点から40年前である第二次世界大戦のフランスにおいて、ナチスに協力したか、或いはレジスタンスしたかの内乱(というほど深刻ではないが)の対立が未だに怨恨があり「できればそこに触れない」ようにして避けて通ってきたかつての戦争の矛盾の記憶、とはなんと日本だけではなかったのだな、とつくづく嘆息する気分だった。
 その中でレジスタンスとして名を挙げた人物が、冒頭、流砂に呑まれて死亡する人物だったのだが、それが残した莫大な遺産をもとに、その一族の中で巻き起こる、そこはそれ欧州的にも横溝正史からおどろおどろしさを除去したような、ただしそれなりにいわれ因縁が関わる「一族もの」展開は、スケルトン探偵ギデオン・オリヴァーの合理きわまる古生物学の知識によって快刀乱麻を断つがごとくに解明されていく。
 これよ、これ。
 ヴァン・ダイン的な余裕のある世捨て人のペダンチックとユーモアをまぶした長広舌。
 オタク的でもある博引傍証、知識に惑溺する現実逃避、品の良い世界観で安定して供給されており、一度波に乗ると最後まで一気通貫できた。
 そして最後は一族の抗争(というほど深刻ではないが)はギリシア悲劇のごとき古典的な真相をあらわにして、しかしそこでユーモアによって悲劇なのか喜劇なのかわからない効果を生み出しており、筆者は爆笑してしまった。
 すべての要素が螺旋を描いたり行ったり来たりして最後にぴたりとはまりこむ。
 古典的と言っていいほど整った作品で、エドガー賞受賞は納得だった。
 35年後。
 著者はいまだ健在である。しかし、この本が出た後平成年間が始まり、そして終わり、一世代が過ぎた現在ではおそらく佳品としての評価は確立しているのだろうけれども、読書人の行き来があるかと言えば図書館の書庫でひっそりと「知る人ぞ知る」以上「もてはやされている」以下の静かな評価になっているのではないだろうか。
 その工芸品的な人為性のためもあるのだろうが、その静謐で知的で饒舌な、このペダンチックな世界がいまいち現代のSNSネット世界とマッチしないからでもあるのだろう。
 しかし、成功作と言えども小説はすべてが時の流れに押し流されて消えていく存在であるから、そんなものか。
 だが、作品は変わらぬ完成度でいつでも待ってくれているのだから、これからも具眼の士に見いだされ続けてほしいし、筆者がやきもきするまでもなくそうした作品でありつづけるだろうから、まあ良いか。
古い骨 (ミステリアス・プレス文庫) Amazon書評・レビュー: 古い骨 (ミステリアス・プレス文庫)より
4151000011
No.16
(4pt)

謎解きなど、どうでもよいのであった

いや、間違いなくミステリーなのだから謎解きも大事なんだけど、書き出しのモン・サン・ミッシェルの海に潮が満ちてくる場面、そこだけでも読む価値のある本なのだ。何度読み返しても、実際にその場にいるような緊迫感が伝わってくる名文、いや名訳。だれか映画にしないだろうか。
 探偵ものとしても、これはまあまあだった。シリーズだというので他も何冊か読んでみたが、どうもいま一つ魅力に乏しい。
古い骨 (ミステリアス・プレス文庫) Amazon書評・レビュー: 古い骨 (ミステリアス・プレス文庫)より
4151000011

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