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たこやき さんのレビュー一覧

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レビュー数159

全159件 81~100 5/8ページ

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No.79:

新装版 窓 (講談社文庫)

乃南アサ

No.79: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

窓の感想

『鍵』の続編になる本書は、前作から半年後くらいでしょうか。
高校3年になり、耳が聞こえないと言う障害ゆえに進路や将来のことで塞ぎこんでいく主人公の麻里子。
自分の思うことの半分も伝えられないと感じるジレンマから、親友とも憧れの兄の友人とも少しギクシャクしてしまいます。
物語は最初から読者には犯人がわかっていて、その犯人の心理描写も絶妙と言うか、最近の悲惨な事件に共通するものがあるのではと思わずにはいられません。
また犯人を目撃し、容疑者と疑われてしまう同じ聴覚障害を持つ少年と出会うことで、少しずつ前向きに考え方が変っていくあたりは、同じような障害を持つ人にとっても素晴らしいエールになっているのではないでしょうか。最後の方で一皮向けたお兄ちゃんが少年に語る言葉がいいですね。


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新装版 窓 (講談社文庫)
乃南アサ についてのレビュー
No.78: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

泥棒は詩を口ずさむの感想

バーニイシリーズの3作目です。
何故か古本屋を言う正業を始めているところがいいですね・・・泥棒はやめてないけど。
物語は、特別なアクションやハードボイルドはなく、予定調和のようにうまく解決するところがいいですね。いつもピンチになると必ず助けてくれるキュートな女性が出てきてくれるし(これもバーニイの人柄ゆえか?)チョイ悪だけど、なんだかんだ言いながら助けてくれるレイとか。登場人物の人間らしい暖かさを感じます。
決してほめられた仕事ではないのに、本当に憎めないバーニイ。
行きががかり上で、たまたま泥棒に入られたブリン夫妻がまたなんともいえずいいですね。
ホっとしたい時にはお勧めです。

泥棒は詩を口ずさむ (ハヤカワ・ミステリ 1369)
No.77: 4人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

新世界よりの感想

ものすごい長編ですが、サクサクと読めました。
設定が現在からだと約2000年後くらい?でしょうか。とても斬新な物語でSFともファンタジーとも微妙に違う気もしましたが。
サイコキネシス(私の年だと超能力者と言う方が自然ですが・・・)を持つことになった人間の未来。
ありえない話ではあるのですが、もしそんな力を持つ事があるとすればきっと人間の業と言うのはとどまるところを知らないだろうと言うのもわかる気がします。
子どもを完全に管理すると言うことの恐ろしさも、妙にリアリティーがありました。
洗脳ではないにしろ、今の学校や社会も少なからず同じような事をしている気がしてなりません。

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新世界より(上) (講談社文庫)
貴志祐介新世界より についてのレビュー

No.76:

新装版 鍵 (講談社文庫)

乃南アサ

No.76:
(6pt)

鍵の感想

乃南さんの作品としては、おだやかな?物語だなあと。
話の展開が大体途中でわかってしまうので、どちらかと言うとミステリーと言うよりは、兄弟の物語なんでしょうか。
心の支えだった母親がなくなり、時をおかずして父もなくなり残された3人(姉・自分・妹)ですが、妹は聴覚障害があり、その妹との関係に葛藤している兄の物語でもあります。
しかしこのお兄さんの妹に対する感情って、25歳にしては幼すぎると言うか、あまり共感できないと言うか、妹ともう少し年が近いのならまだしも、離れているのにこれってどうなの?と思ってしまいます。
結末はそれなりにほのぼのスッキリで終るので悪くはありませんが、もうひとひねり欲しいところかもしれません。

新装版 鍵 (講談社文庫)
乃南アサ についてのレビュー
No.75:
(5pt)

アイ・コレクターの感想

訳者あとがきを読むと続きがある・・・と言うことだったのでいくらか納得できましたが、この話だけだと非常に後味の悪い作品です。
最後の序章の為だけに章だてを結末から順番にさかのぼっていく形にしたのでしょうが、あまり意味があるとは思えませんでした。

盲目の女性がサイコメトラーと言う役割でその設定は非常に面白いし、設定その他はやはり非常に巧みで作者の筆力を感じますが、私は途中で犯人がわかってしまいました。
物語の内容からすると犯人がわかっても面白さが半減するわけではないと思いますが、やっぱりあの終わり方はいただけない。
主人公のトラウマもわからなくはないのですが、いまいち共感できない暗さでスッキリ感は全くありません。
ただ、続編がいつ頃でるのかわかりませんが、物語がこの続きをちゃんと完結できれば評価は変ると思います。
アイ・コレクター (ハヤカワ・ミステリ 1858)
No.74:
(8pt)

狼の震える夜の感想

雄大な自然に対する謙虚な気持ちが伝わってくる作品です。
失踪したシンガーを探す依頼を受けたコークですが、そこに過去の事件が絡んできてFBIまで出てきて複雑な物語になっていきます。
一方で前作で崩壊寸前だった夫婦の関係が少しずつ変化してきたり、大きくみれば親子の物語であったりと、人物描写もすばらしいです。
ミネソタの雄大な自然は日本とは違うスケールを感じます。
ネイティブアメリカンの自然に対する謙虚さはアイヌにも通じるものだと感じます。
これからさらに夫婦の関係がどうなっていくのか、家族の物語でもあり先が楽しみです。
狼の震える夜 (講談社文庫)
ウィリアム・K・クルーガー狼の震える夜 についてのレビュー
No.73:
(9pt)

ファイアーウォールの感想

10年以上前に書かれたにもかかわらず、今読んでも全く違和感のないテーマです。
パソコンを上手く使うことができず、時代遅れになっていることをどこかで自覚しつつも、旧来のやり方で犯人を捜そうとするヴァランダー。日本でも理解できないような動機での犯罪が増えていることを考えるとヴァランダーの苦悩はとても共感できます。
同僚との考え方の違いから溝ができ、上手くいっていたはずのチームワークもほころびができますます苦境に陥るのですが、時々感情を爆発させながらなんとかやり過ごしていくあたりは中年の哀愁をひしひしと感じます。

ただやり方はともかくもマーティンソンの気持ちもわからなくはない気がします。
とにかく頑固であまり人の話を聞かないし、自分のやり方に固執してしまうところは後輩の立場からはやりにくくて仕方ないだろうなあと。
近くの友人も旅に出てしまい、心を許せる人間がまわりにいなくなりますます孤独になっていくヴァランダーですが、それでも刑事であることしかできないと踏みとどまるところは、やっぱり応援したくなりますね。

単発作品より、先にシリーズの翻訳をお願いしたいところです。
ファイアーウォール 上 (創元推理文庫)
ヘニング・マンケルファイアーウォール についてのレビュー
No.72: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

泥棒は選べないの感想

解説にもあった通り、軽く読み流せますが、ユーモアがってなかなか面白い作品です。
ニューヨークが舞台でありながら、あまり殺伐としたところがないのがいいですね。
バーニーは暴力は嫌いなのでもちろん銃を持つこともなく、裕福な家の鍵を開けていくらか拝借していくと言う泥棒なのですが、依頼されて侵入した家に警官が踏み込んできて、そこでいるはずのなかった家人が殺されていたことがわかって慌てて逃げるはめになり、途方にくれていると、謎の女性が色々助けてくれて真相を解明していくお話です。
脇役のレイという警察官がいいですね。
主人公は泥棒ですから、決していいことをしているわけではありませんが、なんとなく憎めないと言う雰囲気が良く出ていて楽しめます。
泥棒は選べない (ハヤカワ・ミステリ文庫)
ローレンス・ブロック泥棒は選べない についてのレビュー
No.71: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(5pt)

氷の闇を越えての感想

『解錠師』がとてもよかったので、この私立探偵のシリーズも手にとってみたのですが、こちらの方はちょっとしっくりこない終わり方でした。
アメリカ北部、スペリオル湖沿岸の自然豊かな小さな町の話で、元警官の私立探偵アレックスが事件を解決するのですが、事件の真相があまりにもひねられすぎていて納得がいきません。

警察官が主役でないので、こういう終わり方もありなのかもしれませんが、先日読んだ『凍りつく心臓』とは場所的にも元警官(保安官)と言うところ、年齢やトラウマなど設定も似ているものの、圧倒的に前者の方が読み応えがあります。シルヴィアとの関係も始まりが一切描写がないので、どの登場人物にも非常に共感しにくいものがありました。
警察官時代に撃たれたと言う恐怖のトラウマだけが強調されすぎていて、周りの人間との関係の描写が少なすぎて、よけいにしっくりこなかったのかもしれません。
氷の闇を越えて〔新版〕 ハヤカワ・ミステリ文庫
スティーヴ・ハミルトン氷の闇を越えて についてのレビュー
No.70:
(9pt)

凍りつく心臓の感想

なかなか硬派な作品です。犯罪が頻発する都会と違って、森と湖、冬は厳しい自然にまれているような田舎での出来事で、底流にはネイティブアメリカンと白人との関係が浮き彫りにされています。
ミネソタ州にはネイティブの保留地があるんですね。侵略しそしてその後も搾取し、権力を振りかざす白人の厚かましさ(日本もえらそうな事は言えませんが)
もちろん、そんな人ばかりでないのはわかっているのですが、そのネイティブと白人のハーフであり、元保安官のコークは正義とは何かをクソ真面目に追求するおじさんです。
その真面目さゆえに保安官の仕事もやめるはめになり、妻にも見限られて愛人との間に救いを見出しつつも、家族にも未練がありなんとかやり直そうとあがくのですが、そこに事件がからんで話は展開していきます。

それにしても人物描写が素晴らしいです。夫婦のいさかいや子どもとの関係。家族がこれから再生していくのか続きが楽しみな作品です。
凍りつく心臓 (講談社文庫)
ウィリアム・K・クルーガー凍りつく心臓 についてのレビュー
No.69:
(9pt)

サイコブレイカーの感想

とても怖い物語でした。
ミステリーと言うよりホラー?と言う感じでしたが、やはり構成が抜群に上手いです。怖いのですが、読み出すとやめられない魔力のようなものがあります。
催眠療法は実際に存在しますし、取材ももちろん多くの事を綿密に調べておられるでしょうが、事件そのものは現実にはありえないと思います・・・思いますが、ひょっとしたら本当にこんな事ができるの?・・・と思わせてしまう怖さがありました。
こう言ったジャンルはどちらかと言うと苦手な方だったのですが、訳者の方が上手なんでしょう、読者を楽しませる仕掛けが一杯で『治療島』の時はもひとつしっくりこなかったのですが、この『治療島』とも、それとなくリンクさせているところは作者の筆力を感じました。

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サイコブレイカー
No.68:
(7pt)

天使の帰郷の感想

3作目の『死のオブジェ』の最後が、続く・・・みたいな終り方だったので続けて読んでしまいましたが、ついにマロリーの出自がわかります。
3・4作目ともに事件の真相がわかっていく過程はとても面白いのですが、いかんせんマロリーが完璧すぎると言うかなんと言うか。事件もすごく派手で、映画向きの話だなと感じます。なんか主役のイメージが私の中ではアンジェリーナジョリーに変換されてしまって・・・・。
過酷な体験をしてきたのはわかりますが、子どもの頃のマロリーもやはりできすぎ感があってイメージしにくいし、警察と言う組織の中の話もマロリーにあまりにも都合よく展開しすぎている気がするのです。
ただ脇役がとても良くて、マロリーに振り回されているにもかかわらず、盲目的に彼女を助けてしまうのですが、それによって少しずつ変化していく主人公の描き方は上手いなあと思います。
マロリーの話よりも、マーコヴィッツを主人公とした物語でマロリーが子どもの頃の話なんかの方がしっくりくる気がします
天使の帰郷 (創元推理文庫)
キャロル・オコンネル天使の帰郷 についてのレビュー
No.67:
(7pt)

アマンダの影の感想

マロリーシリーズの2作目です。1作目の『氷の天使』よりはぐっと良くなった気がします。
登場人物が皆かなり個性的で、お話の中のチャールズの妄想であるアマンダの影はちょっとどうなの?とは思いますが、マロリーの極端な個性などはよく生かされていましたし、事件も含めて警察小説らしくなったのではないかと。少しずつマロリーの過去がわかるにつれ、彼女が心を閉ざしたままなのかと言うことも少しずつ明らかにされていくようです。
また彼女が人間的変に変化していく過程を感じられるのはシリーズものの良さなのかもしれません。
しかし、こつこつと証拠をつみあげて謎を解き明かすのではなく、あまりにも簡単にハッキングでなんでも解決できてしまうところは、小説としては些か面白みに欠ける気がします。
マロリーが倫理観からははずれたところにいると言うのはわかるのですが、それは警察官としての立場からであって、一読者から見る限りはそれほど欠如しているように思えないのはヘレンの愛情の賜物なんでしょうか?
2作目を読んでようやく続きが楽しみになりました。
アマンダの影 (創元推理文庫)
キャロル・オコンネルアマンダの影 についてのレビュー
No.66:
(6pt)
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氷の天使の感想

主人公のマロリーがその生い立ちのせいで倫理観が欠如してると言うのはわかるのですが、行動の根拠がいまいちわかりずらい文章で、事件は最後には解決するものの、あまりにも多くの人がからんでいて動機もわかりづらく、サブストーリーもあまり意味のあるものとは思えなくてしっくりきませんでした。
シリーズということなので、今後どんな風にキャシーが変っていくのか?またはまったく変らないのか?彼女の過去も少しずつ明らかにされていくようですが、かなり強烈な個性なのでそのあたりは面白く読めるかもしれません。

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氷の天使 (創元推理文庫)
キャロル・オコンネル氷の天使 についてのレビュー
No.65:
(7pt)

前世療法の感想

末期の脳腫瘍である10歳のジーモンが、前世で殺人を犯したと告白し実際にその場所で死体が見つかると言う、ちょっとオカルト系の始まりですが、最後まで読むとそう言ったうさんくささもそう言う事だったのかと納得がいきます(でもエピローグにはちょっと?がつきますが)
この作家さんは心理学とか精神分析?とかがすごく好きなようで、それをメインにしながらのサイコサスペンスが多いのですが、科学的な根拠がないわけではないでしょうけどちょっと物語が強引に進みすぎていく感じがしました。


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前世療法
セバスチャン・フィツェック前世療法 についてのレビュー
No.64:
(9pt)

ラジオ・キラーの感想

娘の自殺と言うトラウマから立ち直れない犯罪心理学者イーラ。自らも自殺願望の塊になっていたその時に
ラジオ局の立てこもり犯への交渉人として呼び出されるのですが、犯人の要求が非常に突飛なもので、その交渉の中で自分の身の上までラジオで流れてしまうと言う非常に特殊な状況なのですが、最後まで飽きさせることなく非常に面白い展開でした。
プロローグを読んでいるので、犯人の要求には何かあると匂わせるものがあるのですが、前作の『治療島』を読んだあとなので、また妄想話?と思ってしまいましたが全然違いました。
続きが気になって途中でやめられませんでした。
前作がいまいちだったのでどうなのかと思っていましたが、これはお勧めです。
心理描写が非常に上手く、ジェフリー・ディーヴァーも顔負けのどんでん返しが楽しめます。
ラジオ・キラー
No.63:
(6pt)

治療島の感想

どう評価していいのか、説明するのが難しい作品です。
愛娘が失踪し、精神を病んでしまった精神科医が娘の失踪の真相にたどりつくまでのお話なのですが、半分くらいでなんとなく結末がわかってしまいました。
それでも恐怖に彩られた妄想の世界の先をつい読んでみたくなる表現の仕方は、上手いなあとは思いましたが、最後のオチは必要だったんだろうか?と。
専門家ではないので、統合失調症と言う病気の捉え方が本当にあれで正しいのか判断できないのですが、読後感はちょっとモヤモヤとした感じです。
ただ別の作品も読んでみようかと思わせる筆力ではあったと思います。
治療島
セバスチャン・フィツェック治療島 についてのレビュー
No.62: 6人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)
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二流小説家の感想

アメリカのサスペンスにありがちなサイコな事件ですが、犯人はすでに捕まって刑務所の中。謎をといていくのはその自伝?を依頼された、あまり熟れない作家なのですが、挿入されるこの作家の劇中劇のようなポルノ小説やヴァンパイア小説SFとかがかなり面白いです。話のメインストーリーとは直接何も関係ないのですが、主人公の言うところの虚構の世界と現実の世界。そしてこの物語そのものも私達にとっては虚構の世界なのですが、その対比が絶妙です。
真ん中ちょっと前くらいに出てくる『なにゆえぼくらは本を読むのか・・・』に続くところが無性に心に響きました。
そして最後の方に『虚構の世界は現実の世界ほど謎に満ちていない・・・』で締めくくる一人称での語り口は抜群に上手いなあと思いました。タイトルと違い一流小説家ですね。
二流小説家 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕
デイヴィッド・ゴードン二流小説家 についてのレビュー
No.61:
(8pt)

ぼくの町の感想

『掛けこみ交番』に出てくる高木巡査が警察官になりたての実務研修の頃のお話です。
警察官になったのも付き合っていた彼女に振られたのがそもそもの動機というかなり不純な理由なんですが、熱血でもなく短気で怒られてばかりの、今時の若者を実に上手く表現されています。
ミステリーではなく青春群像劇のようなお話で、なおかつ地域のお巡りさんと言うのも色々大変なんだなあと考えさせられます。
まあ現実の警察は今ちょっと不祥事が多いみたいですが・・・・

警察手帳にプリクラ貼ったり、ピアスの穴を残していたりとユニークな彼ですが、向いていないと落ち込んだりやめようと思ったりしながら成長していく爽やかな物語です。
乃南さんの作品で、こういうコメディタッチの話はそうないのではないかと思いますが、高木巡査がその後どんな風に成長していくのか、ちゃんと刑事になれるのか是非とも続きを読みたい作品です。
ボクの町 (新潮文庫)
乃南アサボクの町 についてのレビュー
No.60:
(7pt)

悪童の感想

シリーズ物として順番に3作目まで読んできましたが、非常に好みが分かれるのではと思いました。
エリカがそれなりに活躍するのは1作目だけで後は夫であり警察官であるパトリックだけの話となるのですが、なんと言うか機能不全の家族の話ばかりが出てきて少し辟易します。
その最たるものがメインのストーリーとは全く関係のない妹のアンナの話だのですが、ちょっと読んでいて苛々してきます。
出産直後の大変さは妙にリアルで、そのあたりは女性ならではの感覚でしょうか。
特に日本の男性にはなじみにくい物語かもしれません。
ミステリーとしては緻密で謎が解けていく過程は面白いのですが、最後に『続く』みたいな終わり方はちょっといただけません。

悪童 エリカ&パトリック事件簿 (エリカ&パトリック事件簿) (集英社文庫)