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たこやき さんのレビュー一覧

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レビュー数159

全159件 101~120 6/8ページ

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No.59:

鎖〈上〉 (新潮文庫)

乃南アサ

No.59: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

鎖の感想

文句なしに良かったです。
かなり前に『凍える牙』を読んだ時はちょっとファンタジー色が強くてなじめませんでしたが、半端ない長編を一気に読んでしまいました。
特別つっぱっている訳でもない等身大の音道さんがすごくいいですね。皇帝ペンギンの滝沢さんも。
監禁されてからの時間の経過がものすごく緊迫感があって、自分が被害者の立場になった時の心理描写が秀逸でした。

▼以下、ネタバレ感想
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鎖〈上〉 (新潮文庫)
乃南アサ についてのレビュー
No.58: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

特捜部Q キジ殺しの感想

登場人物が非常に個性的でとても面白いです。
ヘニング・マンケルのヴァランダーがいじけ系だとすると、カールはぼやき系でしょうか?
地下へ追いやられ古い解決済み事件の洗い直しを始めるのですが、金と権力を持つ真犯人から色んな圧力をかけられながらも追い詰めていくところはすばらしいです。
それにしてもカールを取り巻く人達は本当にユニークです。
個々に抱えている問題はかなりシリアスなのに、何故か暗くならないところがいいですね。傍若無人な奥さんなのに何故か切って捨てられないあたりはとても笑えます。
続きが非常に楽しみな作品です。
特捜部Q ―キジ殺し― 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕
No.57: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

凍える牙の感想

20年ぶりくらいですが、久しぶりに再読しました。
物語はすっかり忘れていたのですが、狼犬のことだけは主人公の音道刑事と同じく、かっこいいなあと感じたのを覚えていました。
いきなり人間が炎上すると言う始まりはなかなかショッキングですが、古臭いタイプの滝沢刑事と主人公の人物描写がすごく巧みで、家族との軋轢や苦悩を物語の中で非常に上手く描かれています。
ただ、犯人の動機が少しだけ弱い気がするので、マイナス1となりました。
凍える牙
乃南アサ凍える牙 についてのレビュー
No.56:
(8pt)

狼の夜 TV局ハイジャックの感想

あまりなじみのないノルウェーの作品です。
前置きがなく、いきなりTV局がハイジャックされるところから始まるのがなかなか斬新です。
名前にあまりなじみがないので覚えるのが一苦労ですが、物語は分単位で進んでいきスピード感があって面白いです。もちろんフィクションですが、チェチェン紛争についての勉強にもなります。
狼の夜〈上〉―TV局ハイジャック (扶桑社ミステリー)
No.55: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)
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ナイトホークスの感想

正統派のハードボイルドで、いかにもアメリカ的な小説です。
一匹狼で美しいFBIのエレノアとの関わりも含めて、影のあるかっこいい中年の刑事。
ベトナム戦争の傷跡は半端なものではないでしょうし、人をおかしくさせるには十分ですが、それにしても暴力で何かを解決させようとするような考え方は、やはりアメリカ的としか言いようがないような気がします。
ミステリーとしてはとても面白く構成はすごく上手いと思いますが、何故かどの登場人物にも全く共感できません。

ナイトホークス〈上〉 (扶桑社ミステリー)
マイクル・コナリーナイトホークス についてのレビュー
No.54:
(7pt)

背後の足音の感想

ヴァランダーシリーズで邦訳されているものの中では最新の話ですが、彼の中年クライシスは止まるところを知りません。スウェーデンと言う国の背景を知るにはとても面白い作品ですが、あまりの悲哀っぷりにはちょっとどうなの?と思ってしまいます。
そこがこの作品の良さなのかもしれませんが。
信頼していた仲間が殺されて彼の秘密を追いかけていくのですが、なかなかその秘密にたどり着けない。
少しずつ真相がわかってくる過程はなかなか緊迫感があるのですが、いつも肝心な時に携帯わすてたりメモがなくなったりと、優秀なのにあまりにもポカが多すぎます。
もう少しミドルエイジの人達が元気になるように元気にしてあげても・・・と思ってしまいました。
背後の足音 上 (創元推理文庫)
ヘニング・マンケル背後の足音 についてのレビュー
No.53: 6人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

特捜部Q 檻の中の女の感想

北欧デンマークの物語ですが、めちゃくちゃ面白かったです。
しばらくスウェーデンのヴァランダーさんにはまっていたのですが、あちらはミステリーとしてはとても面白いのですが、主人公がひたすらネガディブで中年の悲哀まるだしなのですが、こちらは個性的なメンバーで、特にアサドのキャラが光ってます。
カールはまだいまいちどんな人なのか捉えにくいところがありますが(妻との関係や義理の息子との関係を考えても)トラウマがあるにもかかわらず、同じ中年でももう少し前向きな気がします。
犯人の素性はなんとなく最初の方でわかってしまったのですが、それを追いかけていく過程は非常に面白いものがありました。
シリーズ化されているようなので、是非続きを読んでみたいです。

特捜部Q ―檻の中の女― 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕
No.52: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

笑う男の感想

前回までは国際色豊かでしたが、今回は国内でのお話で、警察小説らしい面白さが満載でした。
それにしてもネガティブな人で中年の哀愁がただよいまくりで、人としての葛藤がすごく上手く書かれていると思います。とにかく気分の浮き沈みがめちゃくちゃ激しい。
ものすごく不況な現在ですが、お金を持っている人はみんななんか悪いことをしてる・・・と言うところについ共感してしまいます。


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笑う男 (創元推理文庫)
ヘニング・マンケル笑う男 についてのレビュー
No.51:
(9pt)

白い雌ライオンの感想

久しぶりのクルト・ヴァランダーです。
テーマは南アフリカのアパルトヘイトで、なかなかに重い作品です。しかしそこはダメダメ親父の主人公のおかげで、堅苦しい話になってないところがいいですね。でもちょっと悩みすぎ感がありますが。
スウェーデンと言う国の背景がよくわかると同時に、歴史の勉強にもなりますね。
物語はそこに元KGBがからんできたりして国際色豊かですが、それにしても欧米の民族間の紛争とか差別とかは想像を絶するものがあります。
ヴァランダーは自分の気持ちや勘を優先して一人で突っ走るのですが、中年親父の哀愁が漂いすぎて、ちょっとくどい気がします。
ですが、作品としてはやっぱりすばらしいです。

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白い雌ライオン (創元推理文庫)
ヘニング・マンケル白い雌ライオン についてのレビュー
No.50: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

パズル・パレスの感想

それなりに面白かったです。
多くの方が感じているように日本人の名前については違和感だらけですし、被爆者の子どもが障害を持って生まれたってのもなんだかある種の偏見にみつていますが、ミステリーとしてはなかなかよくできた物語だったと思います。
スーザンのような考え方がアメリカ人の大半なのかな(支配者側の常として)と思いますが、正義のためなら何をやってもいいと言う(殺人も含みます)アメリカ人の発想には全く共感できないし、タンカドの当初の目的とは違う結果になったのかもしれませんが、結末はちょっと胸のすく思いがしました。
今『オスプレイ』が問題になってますが、きっとこれも都合の悪いことは全て隠しての押し付けなんでしょうけど、アメリカ国民はそもそもなんでこんなに自分の国にテロをしかけられるようになってしまったのかって事を考えるべきなんじゃないの?と思ってしまいました。
パズル・パレス 上 (角川文庫)
ダン・ブラウンパズル・パレス についてのレビュー
No.49:
(8pt)

邪魔の感想

『最悪』と同じくちょっとしたことからどんどん追い詰められていく人達の物語で、同じように読み終ってもあまり救いもないのですが、読み始めるとやめることができませんでした。
作者の筆力がすごいと言うか、人物描写は抜群に上手いと思います。
特に及川恭子の気持ちに引き込まれていきました。
些細なトラブルからどんどん深みにはまっていく人間の脆さは不安の裏返しなんでしょうけど、ちょっとしたことでもきちんと受け止めて次へ進まなければ・・・と自分のことを考えてしまいました。
先が読めず小説としては面白いのですが、すごく疲れました・・・。
邪魔〈上〉 (講談社文庫)
奥田英朗邪魔 についてのレビュー
No.48: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

震源の感想

終盤に至るまでは本当にテンションがあがりました。
真保さんの作品はどれも取材力?と言うか専門知識がすごく地学の勉強をわかりやすく教えてもらっているみたいで、去年の地震のことやなんかもそのまま現実のこととして色々考えさせられることがあったし、おまけに今日の新聞には『尖閣諸島国有化』なんて見出しもあって、官僚と呼ばれる人達も色々と大変なんだなあと思ったりもしてたんですが・・・。

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震源 (講談社文庫)
真保裕一震源 についてのレビュー
No.47: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

流星の絆の感想

さすがにヒットメーカーですね。テンポもよくサクサク読めました。
かなり前にも色々東野圭吾さんの作品は読んでいたのですが、作品の好き嫌いがけっこうあって、後味の悪い陰惨なものもけっこうあるのであまり頻繁には読んでなかったのですが、この物語はすっきりと終りましたね。
最後のどんでん返しについては、そんなのあり?と思ったりもしたのですが、そこは非常に上手くまとめられてたと思います。

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流星の絆 (講談社文庫)
東野圭吾流星の絆 についてのレビュー
No.46: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)
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最悪の感想

なんと言うか・・・本当に最悪・・・なお話でした。
殺人事件が起こるわけでもないのに、どんどんと物語に引き込まれていくのは、3人の登場人物があまりにリアルだからでしょうか?
誰にでもありうるようなちょっと身につまされるような話で、一歩間違えば誰でもこんな風に悪循環に陥っていくのではないかと言う緊迫感で一杯でした。
最悪な話なのに、先が気になって止まりませんでした。
最後がどうなるのかと思いましたが、まるで登場人物になったかのように、台風一過のようにホッと胸をなでおろしてしまいました。
スッキリ爽快な解決で終るミステリーではありませんが、奥田さんの筆力ってすごいなと改めて思いました。
あんまり楽しい話ではないですが、お勧めです。
最悪 (講談社文庫)
奥田英朗最悪 についてのレビュー
No.45:
(6pt)

孤独なき地 K・S・Pの感想

実際にはありえないくらいドンパチが繰り広げられるアクションですね。
続編があるようなので、個々の登場人物についてもこれからもう少し掘り下げてくれるのでしょうか?
物語については、非常に劇画的で漫画の原作?でいけそうなお話でしたが、そう思って読めばそれなりに面白かったです。

▼以下、ネタバレ感想
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孤独なき地―K・S・P (徳間文庫)
香納諒一孤独なき地 K・S・P についてのレビュー
No.44:
(8pt)

心に雹の降りしきるの感想

これの前に『血の冠』を読んで、ちょっとこれはないだろう・・・と言う思いだったので、ちょっと警戒しながら読みましたが、この物語は非常に良かったです。
色々警察小説を読んできましたが、こんな最低な警察官が主人公なんて・・・と言うあたりがけっこう新鮮でした。トラウマとかの心理描写を書くのがすごく上手い方だなと感じます。
この主人公がどんな風に変っていき、真相が少しずつわかっていく緊迫感はすごく良かったです。スーパーヒーローでないところが共感できます。
でも山下県って・・・。架空の県にする意味があったんでしょうか?
村の名前とかならともかく、背景のイメージがつかみにくかったです。
心に雹の降りしきる
香納諒一心に雹の降りしきる についてのレビュー
No.43:
(6pt)

天使の報酬の感想

ドラマを先に見ていましたが、小説の方は全然話が違うんですね。
はっきり言うと、ドラマの脚本の方がよかった気がします。
途中までの緊迫感はドラマ同様よかったのですが、最終的な真相が個人的な問題に帰結してしまっているのが、なんだかいまいちだったような気がします。


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天使の報酬
真保裕一天使の報酬 についてのレビュー
No.42: 14人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

13階段の感想

日本での死刑制度の問題を物語に盛り込みながらのサスペンスでしたが、すばらしかったです。
アメリカの死刑制度の是非を問う作品も何冊か読みましたが、システム?が違うにも関わらず、刑務官の苦悩と言うのは共通なんだなと思いました。
応報的な刑罰としての死刑は遺族感情を考えると、なくすのはどうなのか?とも思いますが、それ以上に日本では終身刑がないことの方が問題な気がします。たかだか10年くらいで出てこられたら、遺族が納得できないのは当たり前ではないでしょうか?
どちらか一方の主張に偏ることなく、絶妙のバランスで読者に刑罰の意味を問うているところは秀逸だし、それに加えて三上のように被害者の立場と加害者の立場の両方を持っている人間の心理描写がすばらしかったです。
多くの人に読んでもらいたい作品です。

13階段 (講談社文庫)
高野和明13階段 についてのレビュー
No.41:
(8pt)

幻の女の感想

『贄の夜会』を読むまでこの作家さんを知らなかったのですが、すごい筆力のある方ですね。
最初はなんとなく辛気臭い感じで、あまりスピード感のある展開ではなかったのですが、真相が少しずつわかっていくにつれて、ぐいぐいと引き込まれていきました。
開発にからむ汚職なんてのは現実にも一杯あるだろうし、産廃がからむあたりは非常にリアリティーがあったような気がします。
終章は男性好みの終わり方だなと思いましたが、救いのある終わり方だったのでよかったです。
ページ数は多いですが、読み応えがありました。
幻の女 (角川文庫)
香納諒一幻の女 についてのレビュー
No.40:
(8pt)

プリズンホテル・春の感想

夏から順番に読みました。
なんと言うか、大人のメルヘンですね。登場人物はどの人もめちゃくちゃ個性豊かで、特に主人公の木戸孝之介ははっきり言って、ろくでなしでお子様で歪み具合が半端ないんですが、それでもほのぼのさせるお話です。
任侠と言えば清水の次郎長しか浮かんできませんが、一昔前にはひょっとしたら仲蔵さんのような人もいたのかもしれませんね。ユーモアの中にも現代の色々な問題定義があって、思わずうんうんと頷いてしまいます。
現実のヤクザさんは、決して弱気を助け強きをくじいたりはしませんが、こんな御伽噺のような世界があれば、楽しいだろうなあと思います。
プリズンホテルが本当にあったら、行ってみたいですね。
春 プリズンホテル(4) (プリズンホテル) (集英社文庫)
浅田次郎プリズンホテル・春 についてのレビュー