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たこやき さんのレビュー一覧
たこやきさんのページへ書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点7.69pt |
レビュー数159件
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待望の4作目、元気な赤堀先生健在です。
奥多摩でバラバラ死体の腕の部分だけが発見され、指もなく被害者を特定できず、赤堀先生が呼ばれます。相変わらずウジや臭いの描写は強烈ですが、フィクションとして読んでいるからいいものの、上からウジが降ってくるなんて現実にあったら耐えられそうにありませんが、虫は本能で生きているから嘘はつかないの信念のもと、科学的に説得力のある論理で残りの遺体を発見するあたりはとても説得力があります。キャリアからうとまれているものの、岩楯刑事は赤堀先生の倫理をとても信用していて、またその明るさにも救われたりしていて本当にいいコンビになってきました。 現実の警察の捜査でこの法医昆虫学が取り入れられているのかどうかは知りませんが、死亡推定時刻をあそこまで科学的に限定できるのなら現実の捜査ででも大いに役に立つのでは・・・と思うのですが、これはやはりフィクションの世界の話なんでしょうか? それにしてはすごい説得力があるのですが。 物語は人間の狂気もここまでくるのかと言うような創造を絶するような話なのですが、最後まで飽きさせずグイグイと引き込まれていきます。 まだまだ続けて欲しいシリーズです。 |
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上手いとは思いました。
物語の破綻もなく、単独でこれを読んでいたらもう一つくらいは点数があがったかもしれません。 展開も悪くない、なのに何かが違う。 NSAを登場させる意味があったのでしょうか?ラーソンはスウェーデンと言う国について色々と感じていたことを深く掘り下げた内容で社会的にも問題を定義しながらあのすばらしい作品を創作したのに、なんだか売るために書かれた別物の続編と言う気がします。 ミステリーとしてはそれなりに面白かったですが、やはり未完のままで終ったほうがよかったのでは・・・・と言う気がします。 まだ続きがありそうなので、ラーソンが本当に描きたかった事をもう少し考慮してもらえたらと思わずにはいられません。 |
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シリーズも16作目、50代になってもヴィクは健在です。
ロティの診療所にかかってきた『助けて』と言う電話でヴィクは麻薬中毒のジュディ・バインダーの様子を見に行くが、現場である田舎の家は荒れ果てていて本人はおらず、近くのとうもろこし畑で男性の遺体を見つけてしまう。ジュディの母親でロティとは幼馴染であるケーテ・バインダーのところへ話を聞きに行くが、そこでジュディの息子であるマーティンも行方不明であることを知り、マーティンの捜索を依頼される。 人探しから始まった事件が、ロティのこども時代の頃のオーストリアでの出来事に端を発した壮大な物語となり、読み応え十分です。 それにしてもロティといいコントレーラス老人といい、かなりの高齢だと思うのに本当に元気です。 ホロコーストの悲惨さと、ナチ党員でありながら原子力開発のためにアメリカに招聘され、罪の追及をなおざりにしてきたアメリカ政府の計算高さはホロコーストの犠牲者にとっては納得できないことばかりだろうと感じます。 日本でも大戦中の人体実験をデータを渡すことの見返りに罪を不問にされた医師たちがいたようですが、被害者にとってはどんな風に感じられているのかと思ってしまいます。 社会的な問題・・・特に権力を持つもの達に一歩もひかず戦い続けるヴィクにはいつまでも頑張ってもらいたいです。 |
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明るい天然、しかも変人の赤堀涼子の三作目です。
大吉昆虫コンサルタントの助っ人で、荒川で大量発生しているユスリカの駆除にやってきた赤堀ですが、中洲で死体を発見してしまいます。 解剖の結果絞殺体と判断されるのですが、身元が全くわからず捜査は難航します。 とっかかりは、寒い時期にはいるはずのないハエなのですが、いくつかの川が合流する近くとあって、死体がどこから流れ着いたのかが焦点になっていきます。 過去2回の事件捜査でそれなりに警察の信頼を得た赤堀は、相も変わらず空気を読まないマイペースで、説得力のある事実を積み重ねていくのですが、そのペースにすっかりはまっていく岩楯刑事と鰐川刑事のコンビがとてもいいですね。 直接事件とは関係のない岩楯刑事の禁煙にまつわる話は、最高に楽しめます。 今回はグロテスクな虫の話はちょっと少な目で普通の警察小説の比重が多くなっていますが、それでも自然界に対する愛情はひしひしと感じます。実際に実践されているのかはわかりませんが、冒頭の殺虫剤を使わない駆除というようなことが色んな意味でひろがっていけばいいなと思いました。 事件そのもののミステリー度はそれほどでもないのですが、虫の薀蓄が最高に面白いです。 シリーズとして続けて行ってほしいですね。 |
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映画になった「クリムゾンリバー」の作者の4作目。
この作品も映画になっているようで、お馴染みのジャン・レノが引退した刑事の役をされているそうですが、原作を読む限りではどうも主人公は記憶障害に苦しむアンナのようです。 パリで不法移民であるトルコ人女性が連続して惨殺され、パリ警視庁の殺人課のポールは、トルコ人街に精通している引退した刑事シフェールに協力を求めます。移民の世界や、トルコの極右組織などがからみ最初は身元すらわからい状況から少しずつ捜査は進んでいき、記憶障害のアンナの話と交わるまでは構成も面白く非常にスリリングです。 が、真相がわかってからの展開はちょっとあっけなく、エピローグにいたってはちょっとありえない結末だなと感じました。 殺人事件を追いかける若き刑事のポールが主人公だと思っていたので、意外な展開に驚きました。 登場人物が皆かなり極端な人たちばかりなので、ストーリーは面白いものの、感情移入しずらい物語でした。 |
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大原美術館で監視員をしているオリエものとにニューヨーク近代美術館から絵画の貸出をする交渉役になってほしいという依頼が来ます。
20代の頃には新進のアンリ・ルソーの研究者として活躍していたものの、事情があって研究職からは離れ母と娘の3人で暮らしていたのですが、そのオリエに17年前の出来事がよみがえります。 ピカソやルソーの絵を(実物は見たことはないのですが)美術の授業などで見てはいるもののいまひとつ理解できなかったのですが、芸術にかける情熱というものがみずみずしく描かれていて、またミステリーとしても秀逸だとおもいました。 日本と違い、西洋の美術館はガラス越しなどではなく間近で眺められたり、美術館での模写も許されるといった文化に対する意識の高さや寛容さにも憧憬を感じずにはいられません。 芸術を近くに感じられるのはすばらしいことだと思いました。 本を読むばかりで、なかなか絵画にふれる機会はないのですが、これを読んで実際にルーブルやオルセーやMoMaに行って、本物の作品を見てみたくなりました。 |
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ヨーナ・リンナ警部の第3作目です。
前作の『契約』での行動が内部調査の対象となってしまい、オブザーバーとしてかかわった自立支援施設で起った殺人事件。少女が顔をつぶされて殺され1人が行方不明に。しかしオブザーバーであるがゆえに捜査の正式な報告書も読ませてもらえず、行方不明のヴィッキーが奪って逃げた車には幼児がたまたま乗っており、やがてその車も川底で発見され、警察や検察は捜査を打ち切ろうとします。 が、納得のいかないリンナ警部は2人が生きているという確証をえて単独で調べを進めていきます。 今回は少しうさんくさい霊媒師のフローラが鍵となるのですが、最後まで読みと色んな複雑にからみあった事柄が最後に一つにまとまる納得の展開です。 解説にありましたが、スウェーデンでは自立支援施設や老人ホームなどは私企業が運営していることが多いと言うのを意外に感じました。 福祉国家と思われていたのですが、そういった施設が営利を目的にされていること自体を告発したいという作者の意図も感じられます。 最後の方にリンナ警部の過去が少し明らかになってきて、あとに続くシリーズに期待をもたせますが、ちょっと設定が極端な気もします。 それでも続きが非常に気になる作品です。 |
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1作目と違い手に汗握る展開のサスペンスでした。
ペネロペは平和活動家ですが、恋人と妹と3人でのクルージングの途中で妹が殺され、追われていることを察知した2人はひたすら逃亡します。 一方、戦略製品査察庁の長官が自宅で自殺するのですが、捜査を進めるうちに二つの事件に密接なつながりがあることがわかってきます。 今回のリンナ警部は1作目のちょっとハナについた感じではなく、また事件そのものが国を揺るがすほどの事柄もあって、スポード感もあり、映画的ではありますが、解決に至る道筋はとても面白かったです。 武器の輸出で利益を上げる企業にとっては戦争がなくならない事が一番の望みなんでしょうか?それがもたらす結果が現在のアフリカや中東だと思うと人間はなんと罪深い生き物だと思わずにはいられません。平和をくつがえそうとやっきになっている今の日本の政府もその戦列に加わろうとしているのかと思うとうすら寒い気持ちになります。 福祉国家であると思っていたスウェーデンが武器輸出をしている国だと初めて知りました。 もちろん筆頭はアメリカです。 平和でいることの意味を考えさせられる物語でした。 |
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ある家族が惨殺され、重傷を負いながらもなんとか生き残った息子になんとか犯人の事を聞き出したいリンナ警部は、精神科医で催眠療法の第一人者であるエリックに依頼するが、過去の事情から断られます。別のところに住んでいる姉も殺される可能性があるとせまり10年ぶりに生き残った息子ヨセフに催眠術をかけますが、結果は意外な展開に。
リンナ警部のシリーズですが、どう考えても主役は精神科医のエリックなのではと思ってしまいます。ディティールは面白く先が気になりサクサクと読めますが、エリックの息子ベンヤミンの誘拐事件が後半はメインになっていき、最初の事件は真相がわからないままうやむやになってしまい、ちょっと尻切れトンボな感じがします。 リンナ警部の背景もこれからのシリーズで明らかになってくるようですが、えらく自信家のわりには実際に活躍していたのはエリックの家族ではないかと思えてしまいます。それなのに「私の言うとおりだったでしょ」と言うセリフはちょっと違和感ありです。 しかし北欧のミステリーは次々と面白いものが出てきますね。 警察組織の違いもあるんでしょうけど、日本では考えられないような人の少なさで、逆にそれだけ犯罪そのものも少ないのか?と思いました。 疑問点は多々あるのですが、次作に期待してみたいです。 |
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グレーンス警部のシリーズの中では一番にあげたいです。
最初、潜入捜査官とあったので警察官の話かと思ったのですが、そうではないのですね。 日本でいうところの「エス」と言う雇われたスパイなのですが、権力者達の都合で簡単に切り捨てられるというのは万国共通でしょうか。 グレーンス警部の個人的なトラウマとの葛藤や、主役とも思えるパウラの人物描写がすばらしく秀逸です。 後半のパウラのサバイバルとも言えるハードアクションはとても緊迫感があり、まさに手に汗にぎる展開で最後まで一気読みでした。 タイトルの意味も最後になってなるほどと思える絶妙なもので、スカッとする結末です。 |
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最近は北欧のミステリーがたくさん翻訳されているようで、その質の高さにいろいろと期待してしまいますが、このスノーマンも期待に違わぬ物語でした。
北欧の社会や環境から考えるとサイコな犯罪と言うのはあまり考えにくいのかもしれませんが、動機づけといい構成といい、時間軸が時々あちこちへ飛ぶものの最後にはすっきりと疑問も解消され納得の結末でした。 しかし最近の北欧のミステリーは、問題を抱えた中年にさしかかる刑事と若い女性刑事のとりあわせが多いですね。何か問題を抱えている方が主人公として魅力的に描けるのかもしれませんが、同じようなパターンが多いなと思ってしまいました。 とても面白かったのですが、実は最初の方で犯人がわかってしまったので★を1つ減らしました。 ところで、シリーズの7作目と言うことですが、なぜ1作目から順番に翻訳しないんでしょうね? 出版社の都合なんでしょうけど、シリーズ物であるならやはり順番に出してほしいと思いました。 |
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「最後の人質」で活躍したFBI捜査官、キャット・ブロンスキーの第2段。会議での講演のため香港にきていたキャットは取材にきていたロバートから、一月ほどまえのメキシコ湾での原因不明の旅客機墜落事故について相談を受けますが、そのロバートが殺し屋に付け狙われます。一計を案じて香港警察に依頼し無事飛行機に乗り込むものの、別の任務を言い渡されキャットだけが飛行機からおろされます。
しかしロバートの乗った飛行機は離陸後しばらくして正面から協力な閃光爆弾?を浴び機長は死亡、副機長は失明してしまいます。 乗客の協力を得てなんとか引き返し着陸を試みるのですが、おりしも悪天に阻まれ落雷などによってオートパイロット機能が使えなくなり飛行機は迷走することになります。 それにしても怖い、怖かったです。フィクションであり荒唐無稽な内容でありながら、アメリカなら本当にこういうことがありそうだと思えてしまいます。次々と武器を作り出すアメリカと言う国を垣間見た気がしました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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面白いと同時にとても怖い話だと思いました。
アメリカの盗聴や防諜については、昨年とても話題になりましたが、パソコンを使うものとしては個人情報はすでに色んなところに流れているかもと思っていたほうがよさそうですね。 専門用語が多く、ハッカーの言うところの一般人としては用語解説はありがたかったですし、コンピュータを通じてのやりとりは緊迫感があって非常に面白かったのですが、エンターテイメント好きの作者ゆえか犯人の動機や人物描写があまりにも極端で少し現実味に欠ける気がしました。 ハッカーを描くのなら、外国を平気で盗聴するような国家とかの巨悪相手の物語にしてほしかったなと。 主人公のジレットには共感できるのですが、この作者の十八番と言えるどんでん返しが多すぎて、そこまで一杯いれなくてもと思ってしまいました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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作者は実際のパイロットで、飛行機のパニック物などを多く書かれているようですが、こちらも同様飛行機のパニック物ではあるものの、内容としては十分ミステリーと言えるでしょう。
読者には最初の方から機長が怪しいとわかるようになっていますが、犯人の要求がお金や政治的意図とは思えないあるペドフィリアの逮捕と即時公判と言う奇妙なものでしたが、後半はパニックと言うよりも2年前におきた少女の殺人事件の真相を追う展開となります。 飛行機と言う閉ざされた空間の中情報は限られており、またその中でもコックピットは誰も入れない聖域となっている中での、色んな登場人物の緊迫感にはとてもリアリティーがあり、時間の経過にそって最後まで飽きさせることなく楽しめました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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パンデミックを描いた作品で、とても臨場感はありましたが感染症学者の富樫博士の背景がいまひとつわかりにくいです。
潜伏期間もなくいきなり発症と言う段階で、ある程度わかってしまったのもありますが、最後のエピローグの最後の言葉の意味がどうしてもわかりませんでした。 何かこの先に続く話があるのならいいのですが、あれで終わるのかと思うとちょっと?が残りますし、唐突にキリスト教の黙示録が出てくるのもいただけませんが、遠い未来にはひょっとしたらこんな事も起こり得るのではと言う意味では、とてもリアリティーがありました。 |
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「13階段」や「ジェノサイド」のようなシリアスな物語を書いた方とは思えないようなファンタジーな話です。
短編の連作で、全編を通して他人の非日常な未来が見えてしまうという男性が脇役的な存在として出てくるのですが、ミステリアスな話も最後にはほのぼのとした結末となり、一話目の主人公が最後の物語に再び登場して、なかなか緊張感のある終幕となります。 最後のエピローグのようなお話がとてもいいですね。 |
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グレイブディッガーと言う変ったタイトルは中世の魔女狩りの頃の伝説を作者が創作したそうだが、内容は簡単に言うと八神と言う憎めない悪党の逃亡劇である。ちょっとした詐欺などで過ごしてきた八神だが、何か良い事をして人生をやり直したいと思い骨髄バンクに登録し、適合者のために翌日病院へいくところだったが、お金を借りようと自分の家(友人と名義を交換している)へその友人を訪ねていくと、そこには奇妙な殺され方をした友人の死体があり、そこへいきなりやってきた3人の謎の男に突然追いかけられるところから八神の逃亡が始まります。
謎の男たちや警察にも追われなんとか骨髄移植のために病院へたどりつこうとするのですが、東京の北から南への30キロが遠いこと。 かなり複雑な事件なのですが、展開もスピーディーで海外ドラマの「24」を思い出してしまいましたが、シリアスな内容で短い時間の間に次々と連続殺人が起こるのですが、主人公の八神がどこかユーモラスで最後まで楽しく一気読みできました。 |
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1作目がとても面白く、シリーズものの2作目と言うことで続けて読みましたが、期待を裏切らない出来だと思いました。
1作目同様、これまた個性的な存在である捜査一課の刑事である岩楯警部補と赤堀先生とのコンビが絶妙でした。 腐乱死体が発見され、前回の活躍で存在を認められつつある法医昆虫学の赤堀先生にお呼びがかかります。 手がかりがなく一向に身元が判明しないままですが、そこにいる虫から少しずつ辿っていく過程は緻密でとても説得力があります。 物語の本筋とは違いますが、商売のために乱獲されるクワガタの話がでてきますが、人間とはなんと強欲なんだろうと思いつつ、赤堀が、生き延びるために虫は賢く変化していくと言うような言葉があって、みょうに納得してしまいました。 自然環境を露骨に破壊している生き物は人間だけですが、絶滅したものも、しそうなものもそんな風に淘汰されて、最後には虫だけが生き残る時代がいつかくるのかもしれないと思いました。 是非ともまた続きを書いてもらいたいと思える物語です。 |
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乱歩賞をとった『よろずのことに気をつけろ』はちょっとこじつけ的なところがあって今一つと思っていたのですが、こちらは構成も登場人物の描写もよくそれぞれの個性が際立っていてとても面白かったです。
法医昆虫学と言う珍しい分野で、それが実際にあるのかどうかはわかりませんが(全部科学捜査の範疇だと思っていたので)描写がリアルでとても説得力がありました。アメリカなんかでは専門分野がいろいろわかれているので実際にありそうですが、閉鎖的な警察機構に外野からの協力の入りにくさなんてところも現実にありそうな話ですが、一般人ならどう考えてもおぞましいとしか思えない、死体につくウジから死亡時刻やその他色々な情報を導き出すという珍しい観点からの作品で読みごたえがありました。 虫の苦手な人には冒頭からちょっと辛い表現が続きますが、そこはフィクションであり本からは臭ってきたりしないのでご安心を。 かなり変人ですが、明るく元気なキャラである赤堀さんと言う学者さんがとても魅力的です。 |
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17年前に起きた若い女性の殺人事件。被疑者死亡で不起訴のまま事件は解決したかと思われていたが、似たような事件が神奈川県で起り、当時遺留品で判定されたのと同じDNAが検出され、17年前の事件は冤罪事件の疑いが出てきて特命捜査対策室の水戸部警部補が呼ばれることになります。
素人の感覚だと誰がどんな形で犯人を逮捕してもいいのではと思うものの、面目を重んじる警視庁は極秘に神奈川県警より先に解決しろと水戸部に命じます。事件は当時は地下鉄サリン事件の直後であり、あまり人出が割けなかったと言う事情はあるものの、当時も納得していなかった担当の刑事の協力などもあり真相が解明されるのですが、警察の在り様などが非常にリアルでさすがだなと思いました。 展開も早く一気に最後まで読める面白さです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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