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なおひろ さんのレビュー一覧
なおひろさんのページへレビュー数572件
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各章が擬人化された財布の視点で語られており、それが10編集まって長編となる手法のミステリーです。完全な神の視点では無いので、一部の情報が見聞き出来無かったり、中々凝っています。面白かったのですが、10個の視点から語られるので展開が遅く、全貌が見えるまで時間がかかるのが欠点ですね。
ストーリーは保険金殺人で、特に複雑に絡み合ったと言う話ではありません。それぞれの登場人物は、犯人、被害者、その身内、捜査する側の人間などですが、この10人それぞれの人間ドラマを読ませるのが宮部作品の特長でしょう。必ず誰かに感情移入して、グッと入り込めると思います。 初期の作品ですので既読の方も多いでしょうが、未読の方には是非オススメします。余韻が素晴らしい。 |
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カナダで氷山ハンターをしている主人公の元へ姉の訃報が届く。10年ぶりに帰国した後、姉の息子が誘拐されてしまい、犯人より脅迫を受ける事になる。犯人の正体は?いったい何をやらされるのか?子供は無事助かるのか?3日間の物語です。
登場人物はそれぞれ魅力的なのですが、少し多すぎて視点が飛びまくり、話が間延びする様に感じる。また、出て来るのが割と好人物が多いせいか、途中の緊張感が薄い。犯人も結構分かり易く書いてあるので、動機には興味がわきましたが、意外性はあまり無かったです。ただ、終盤はかなり緊迫して来て、加速度的に面白くなります。 もう少しシェイプして常にサスペンスが途切れない方が、スピード感があって良かったと思いました。 設定から期待が大きすぎ、辛い感想になりましたが、全体を通して作者の人間への優しさを感じる作品です。少しマイナーな気もしますので、多くの方に楽しんで欲しいです。 |
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私立探偵物ですが、かなり面白く読めました。まず、主人公と助手のキャラが良かった。二人とも終盤にかけて徐々に違った面を見せて来て、その変わり方に魅力を感じました。
また、叙述はそれぞれの一人称で交互に書かれるのですが、二人の語り口の違いが面白い。主人公の淡々とした語り口は、突き放した雰囲気で妙に気持ちいいです。 ストーリーは、2つの依頼が実は後に関連して行くと言う物で、まあ定番。段々解決に近づいて行く過程も偶然や人頼みが多く、悪く言えばご都合主義です。と言いましても、内容は非常に面白かったし、最後明らかになる真相も、衝撃的で感心しました。続編を書いて欲しい、かなり気に入ったオススメの快作。 |
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乙一デビュー作、当時16歳で書いた作品。死体の一人称で書かれたと言うのが、特筆すべきアイデアの様です。ホラーテイストのサスペンスになるのでしょうが、いずれにしても嫌な話に違いありません。子供はみんな天使だ、とは言いませんが、これではあまりにも悪すぎるでしょう。どうも若い作家の作品は、歪んでいる人物が多すぎて、気分が悪くなります。特にこの作品には良い所は一つも無いので、全くオススメいたしません。
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ユーモア本格ミステリー作家の長編デビュー作。この頃からスタイルは確立されていた様で、くだらないと思いながら、ついついハマってしまう文章です。謎解きの部分に関しては、コレが最初の長編の為に温めていた渾身のトリックだったとしたら、やや物足りないかも。登場人物が少ないし、伏線も分かり易いので、犯人、トリックについては割と簡単でしょう。ただし動機は無理やりな感じで、これは分からなかったです。
作者の本格への愛と情熱が感じられる佳作。同じ志を持つ方には、食わず嫌いにならず笑って読んで欲しいと思います。 |
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まず第一章の「アマゾン牢人」が素晴らしい。どの位史実に沿っているのか分からないが、余りに厳しい描写に圧倒された。第二章以降の現在部分は、一転して痛快な活劇へと変貌する。前半に比べ若干軽いが、その分スピーディーでスリリング。登場人物は皆魅力的で、警察側の人物も含め誰かへの感情移入は必至。どの様な作戦が実行され、そして結末はどうなるのか?なんとなく不穏な伏線が気になるが、全員の幸せを祈り一気に終盤へ。なんか賛否両論有る様だが、自分としてはこのラストは大満足。
とにかく綿密な取材の上でよく練られたストーリー、キャラクターだと感じた。簡単に書き飛ばして出来る作品では無い。正に著者のソウルを感じた一世一代入魂の傑作。 こんなに面白い本を今まで素通りしていた事がすごく残念。未読の方に是非オススメしたいのは、もちろん休日の一気読みです。 |
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直木賞始め数々受賞の道尾秀介デビュー作で、ホラーサスペンス大賞特別賞受賞作です。その後発表している作品から考えても随分ピッタリの賞があったもので、コレも当然ホラーテイストが強い作品になっています。色々な謎が最後は現実的な犯罪として決着するのか?それとも超自然現象とされ、解明されないままなのか?と非常に興味深く読めました。個人的には、ラストシーンを含めて良い結末だったと思います。
また、京極堂シリーズの影響をもろに受けそっくりになっておりますが、比較すると、多少取っつきやすいがその代り深みが無い、という印象にはなりました。ただ、この元ネタがあるおかげで、最初の作品の割にはかなり良く出来ていて、面白かったのかも知れません。まずまずの佳作でありました。 |
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芸術ミステリーシリーズ第一作だそうで、エコール・ド・パリという時期の画家たちについて詳しく説明されています。今まで興味の無かった絵画についての記述が多いですが、読み易く面白かったです。
実際に起きた事件は画商殺人事件で、状況は密室。どうやって密室を作ったのか、その犯人は?その謎を解くのは素人探偵。ガチガチの本格推理ですが、意外とユーモアミステリー的な雰囲気で書かれており、サクサク進むので最後まで楽しめました。 マニアックで取っつきにくいイメージの作家でしたが、決してそんな事は無かったです。本格好きの方に是非オススメします。 |
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主人公が目覚めたのは見覚えの無い異様な場所。記憶が定かで無く、何が起きているのか最初は分からない。やがて、閉じ込められた9人のメンバーが、ゴールを目指して競争するゲームに参加している事が分かって来る。ただしそれは全員が敵であり、命の保証は無いサバイバルゲームだった、という話です。
面白くて一気に読みましたが、かなり期待していたので、その分不満が残りました。インシテミルを先に読んでいたので、同じくクローズドサークルでのゼロサムゲームなら、ホラーテイストの本書より、本格テイストのあちらの方が好みだ、という事なので仕方無いのですが。同じグロイ描写でも、やはりホラーの方がエグイです。 とは言え、全体を通してだれる所の無い、緊張感が途切れない傑作です。特に本書のラストは余韻があって実にいいです。 サバイバル、ホラー、RPG、ゲームブック、この辺りが気になる方に特にオススメします。100冊目。 |
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子供のころ両親を殺された3兄妹は、現在は詐欺師をやって暮らしている。新しいターゲットの周辺で両親を殺した犯人を見つける事となり、復讐計画を始めると言う話です。
計画がスムーズに進み過ぎて若干スリルに欠ける感じがしますが、結構な長編の割に読み易いことは間違いなく、誰でも楽しめる良く出来た作品だと思います。終盤の真相が明らかになってからエンディングまでの流れも巧みで、読後感もかなり良かったです。 事前にドラマを見ていたので、ストーリーも犯人も分かっていたのが残念でしたが、どのキャストもピッタリで素晴らしい出来だったので、ご興味を持たれた方はそちらも合わせて是非どうぞ。 |
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チーム・バチスタシリーズ3作目で、救命救急センター部長速水の収賄疑惑がメインの話になっています。本作は、前作のナイチンゲールと同じ時間に起きていたもう一つの事件、となっていますので、登場人物やエピソードが共有されています。是非両作品共に読まれる事をオススメします。
今回は推理小説ではありませんが、著者には無理に殺人事件など起こすより、こんな感じの医療エンターテイメントが向いていると思います。かなり面白かったので、是非この路線で進んで欲しいです。 難点は、著作を発表順に全部読んでいく必要がある所で、キャラクターや過去のエピソードを読者が知っている事を前提にしている所が有る為、シリーズファンなら高評価、作品単体でみれば平均点、と言うのが海堂作品では無いでしょうか。 私は今の所はまってしまいましたので、この得点は割り引いてもらった方が良いかも知れません。 |
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警察小説で有りますが、現役捜査官がテレビで犯人に語りかける「劇場型捜査」を決行するというお話です。事件が連続児童殺害事件で、遺族の描写も丁寧にしてある為に、全体的に重苦しい雰囲気に包まれています。途中の展開は解決へどんどん進む訳ではなく、警察内部の問題やテレビの視聴率争いにページが割かれ、少し長いと感じました。結末が気になり一気に読みましたので、面白くなくは無いのですが、期待が大きすぎたのかも知れません。ただエンディングは感動的で、一読の価値は有るまずまずの良作でした。
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本作は推理小説ではありませんので、犯人も謎解きもありません。しかし極上のエンターテイメントであり、今まで読んだ中では著者の最高作だと思います。
特別な事件が起きなくても、手術場面は十分にサスペンスで緊張感がありますし、チームバチスタシリーズに出て来る人達の、若き日を見せるサービス精神も良かったです。また、外科医1年生の語り手が色々な質問をして、それを説明するという形で読み易くする工夫がされており、この熱い青年の青春小説としても素晴らしいと思いました。「チームバチスタの栄光」より絶対こちらが余韻が深い、間違いなくオススメ。 |
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ブラックバスを釣りに来ていた男が殺害される。犯人は河童。年齢も境遇もバラバラな4人の男達が退治に乗り出す事になるが、はたして河童の正体は?作戦は成功するのか?と言うお話です。
良かった点は、文章が読み易く、また登場人物も好人物ばかりで感情移入しやすい所です。出て来るのは男ばかりで、それぞれ問題を抱えながら前へ進む為に戦う。クライマックスもなかなかの緊張感。 個人的な不満点は、自分が釣りをやらないので、細かく描写されても興味が出なかった所です。逆に釣り好きならプラス評価されるのかも知れませんが。 読後感はさわやかでした。あまりメジャーでは無い作品でしょうが、良作です。 |
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大阪府警のマル暴担当刑事が主人公の警察小説です。とにかく出て来るのが悪人ばっかりで、みんな自分の事しか考えていない。本当の警察官はもっと真面目だと思いますが、著者の筆力は凄まじく圧倒的なリアリティで、本当にこんな事してるのか?と思ってしまいました。
少々話が長くて人間関係やストーリーが複雑に思えた所と、エンディングが気に入らなかったですが、相当取材を重ねた力作には間違いありません。 登場人物達の熱量に圧倒される事になるでしょうが、軽妙な大阪弁の会話も楽しいですし、ぜひ多くの方に読んでいただきたい傑作です。特に大人の男達にオススメ。 |
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本作は推理小説ではありません。主人公は小学4年生の少年ですが、特殊な能力を持っていると言うファンタジー的な物語です。
内容以前の問題として、小学生がこんなに難しい言葉とか理論展開を理解出来る訳がなく、設定に無理があります。また、中盤はずっと作者の考える「罪と罰」について延々語られる事になり、この問題について一緒に考えるつもりでないと退屈でしょう。言いたい事が沢山有るのは良く分かりますが。 別に悪くはないです、良く出来ているとは思いますが、あくまでも若い女性が若い読者に向けて書いた作品でした。 |
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一人称のハードボイルドで、終盤は山岳冒険小説のおまけ付き。気取った言い回しが良い雰囲気を出しています。しかし全体としては物凄く勿体なくて、傑作になり損ねた作品だと思います。
まず父親、義母の性格設定が行き過ぎ。それから、敵と味方の書き分けがはっきりし過ぎてひねりが無い。登場人物が相互に絡み合わず、バラバラに放って置かれるのでそうなるんでしょうか。終盤の怒涛の展開も強引に幕を引いた感じで、伏線を全部回収する気持ち良さとか、大団円のカタルシスとか、すべて無くした絶望的な哀しさ等の余韻がなにも無い。 せめてもう少し冬山でガンガン戦って欲しかった。好きなジャンルなんで本当に残念です。 |
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前半は展開があまりなく、登場人物にも感情移入出来ず、面白くは感じません。中盤大阪の秘密が明らかになってからは、結構先が気になり一気に読めました。しかし著者は相当頭が良いですね、随分突飛な発想を書ききったな、と言う印象です。テーマの一つが父と息子の情愛なのですが、その辺りは非常に感銘を受けました。ただ、良かったのはそこだけです。大阪全停止?、話題作ですがオススメはしません。
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STシリーズ第2弾。今回も特殊能力を持ったメンバーが力を発揮し、事件解決に導きます。突っ込めばキリがないが、面白くない訳ではない。リアリティとは別の世界で成立していると考えて、読み易い文章の軽いストーリーを、細かい事は気にせずに楽しく読んで欲しいと思います。
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横山作品の最大の魅力は緊張感にある、と思っています。今作は前半の高校時代の部分がやや冗漫で、あまり面白く感じられませんでした。しかし過去の「ルパン作戦」決行辺り、同時に現在での捜査が急速に進んで行くにつれ、俄然盛り上がって来ます。登場人物それぞれが隠していた事が明らかになり、そして最後のどんでん返しへの流れ、終盤の展開にはすっかり痺れました。やはり傑作、横山秀夫に外れ無しです。
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