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凍える牙
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凍える牙の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.84pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全75件 41~60 3/4ページ
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女性刑事ものというと、誉田哲也の「ストロベリーナイト」(姫川玲子もの)とどうしても比較して しまうのだが、雲泥の差でこちらに軍配です。ハイ。 男の作家が描くヒロイン像は、男として「女にはこうあって欲しい」という願望がどうしても散りば められているわけだが、やっぱ女性作家が書くとリアリティが違うな。愛想も無ければ色気も無いわ けだけれど、そんなヒロインだからこそ物凄く締まった作品になっている。 余談だが、二人とも実家が浦和というのは面白かった。その界隈で生活している身としては、そんな 偶然も楽しかった。 冒頭の人間が発火する事件、狼犬による殺人など一見すると派手な小説のように思えるが、あくまで もそれは読者を惹き付けるためのものだけで、実際には捜査の過程での同僚の男性刑事との心の葛藤、 苛立ちなどを丹念に描いていく地味な作品だ。通常の小説や映画だと、反目しあう二人が最後は固い 絆で結ばれ・・・というのがパターンだが、そこまでいかない落とし方には好感が持てた。 私はヒロイン音道貴子がバイクで狼犬を追うシーンがこの小説のハイライトだとは思わないし、その 部分には大して惹かれない。また、男としてヒロイン音道貴子には何の魅力も感じない。でも、全体 を通してとても魅力的な作品だったので、この後のシリーズも読んでみたい。 | ||||
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音道貴子シリーズ第1作目。 最初から最後まで、夜を徹してでも一気に読みたくなる面白さでした。 情景描写や登場人物の心情のうつろいなど、細かい表現が秀逸で、 登場人物の感情が手に取るようにわかります。 また、街、公園、月、狼の足跡、そういったもの全てが何か感情を持っているかのように 錯覚してしまうほど、繊細な描写が魅力です。 | ||||
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主人公が「犯人」に強く惹かれていく過程が唐突に始まるように感じました。 ただし、読みやすく書かれていて、主人公の人物像、考えはよく描けていると思います。刑事だからといって、パーフェクトな人間ではないところ、家庭での悩みや人間関係に苦悩するところ、人間誰もが持っている「明」と「暗」の部分、矛盾ばかりの気持ち、が淡々とした口調で描かれており、物語の背景である冬という季節とちょうど良い感じに合って、サスペンス度が倍増して、背筋がぞっとするような事件の裏側にある人間の悲しさが冬の寒さに対照的に浮き彫りになり、そういった人間味に温かさを感じます。 「犯人」が象徴する自然と人間の関わり合いの描写では、「人間が王様」的な考えがいかにおろかであるかを改めて思い出させてくれました。 | ||||
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男にも負けない強い意志と信念をもつ女性刑事音道と、刑事は男の仕事で女性は面倒だと考える昔気質の滝沢刑事。そんなまったく噛み合わない二人が捜査上のパートナーとなりながら殺人事件に迫っていくミステリ。 ファミリーレストランでの炎上事件と人間が動物に噛み殺された事件、これらがどのように繋がってくるのかという観点でも楽しめたが、それよりも音道刑事と滝沢刑事の心情の描写が絶妙で、二人の間の気まずい雰囲気やお互いにイライラする様子がよく伝わってきた。お互い自分の信念をしっかりもちながらも少しずつ相手を認めていく関係は読み応えがあった。 | ||||
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もっと早く読めばよかった◎ 人間ものミステリ好きには宝物になるんじゃないかしら!!! 秋冬にぴったりの1冊。 | ||||
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2010年1月30日に朝日テレビ系で放送された、同名タイトルのドラマを見て読んだ。 まさかこの作品が以前にNHKで放映されていたことも、発売が1996年だったことも、新進気鋭の作家ではなく作家歴20年以上のベテランということも知らなかった。 「直木賞作品をドラマ化」ということで近年のものと思っていただけに驚いた。 「テレフォンカード」「ポケベル」などの少し前の時代で、すでに忘れ去られている感のある単語を見ていると「やっぱり古いんだな」と思わされた。 当然のことながらドラマには描かれていない部分がある。 貴子と滝沢は途中から信頼関係ができていたのかと思っていたら以外にもそうでなかったことなど、読んでいて「へーそうだったんだ」と思わされることが多々あった。 それにしてもよくあそこまで女性を苔おろした書き方ができるものだと思う。作家が男性ではあそこまで書くことはできなかっただろう。 ドラマを見て気に入った人はぜひ読んでほしい。 きっとさらに面白く読むことができるだろう。 | ||||
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この本が面白いからなのか、一度はじめたことを途中で終わらせることができない私のクセなのか、7時間ぶっ続けで読み終えました。 男社会の警察の内部で孤軍奮闘する女刑事、彼女とコンビを組む羽目になった女を見下す中年デカとの心の交流、そして人に時限発火装置を仕掛けて炎上させたり、犬に人間ののどを噛み切り頭蓋骨を噛み砕くという残虐な殺人をさせる犯人をどう追い詰めるのかが話の軸になっている。 結末には多少の物足りなさがあるものの、縦横無尽に場面が変わり、主人公以外の視点からも物語が語られる手法は読み手をまったく飽きさせない。そしてすばらしいのはその人物描写。人間のみならず、犬まであんなに魅力的に描写するとは。 さすが、直木賞をとった作品だけあります。 | ||||
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久しぶりにとても面白いサスペンスものだと思いました。 疾走感がとてもよい感じで表現されております。 著者の他の作品も読んでみたいなと思う一冊です。 | ||||
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この作品の心理描写は素晴らしいと言う他無い。 滝沢と音道のやりとりは十分現実にありそうで流石である。 しかも、幼稚でどちらかが悪い、というものでもない。 しかしいくつか気になったところもある。 まず読点を付け過ぎ。特に会話文が不自然になる。 笠原の家が燃やされて、いとも簡単に発見されたり 同じく笠原が、普通に考えて脅迫と受け取られるであろう 言葉を小川に言ってたりとか、展開が都合良過ぎ。 他の方も述べているが、オオカミ犬を美化し過ぎ。 私は動物が好きなのだが、始めからかなり バイアスのある描写が気持ち悪かった。 オオカミ犬を追うシーン。 ・疾風を追わなきゃいけないのにも関わらず のん気におばあちゃんと話している場合じゃないでしょう。 ・バイクで車の間を縫って疾風を追うのに 滝沢が乗っている車がどうやってついて来れるのか。 空でも飛ぶ車なのか? 一番残念なのが本の最後にある安原顯の解説。 折角、著者が丁寧に男女それぞれを述べてきたのに この人の低俗・低レベルな解説のせいで台無しになった。 重ねますが心理描写で逸品なので十分読んで良かったと思えます。 総合で☆4つです。 | ||||
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ご存じ、音道貴子シリーズの1作目。警察組織の中での女性の働きづらさ、わからずやのオヤジと組んでの仕事のやりづらさなどはありがちな設定だが、文章が巧みで退屈させない。ミステリーとして犯人を追う楽しみは少々薄いが、プロセスは十分に楽しめる。 圧巻は、やはり終盤の、犬を追ってバイクで高速道路を疾走する場面。これはあり得ないとわかっていても、実に爽快である。一度は読む価値あり。 | ||||
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ベテラン刑事とコンビを組み、ファミリーレストランで起きた男炎上殺人事件の犯人を追い詰める、元シロバイ(トカゲ)の女刑事。 男社会の中でさまざまな不条理な扱いを受け、家族の問題など、さまざまなストレスを抱えながら、大型犬に咬まれた連続殺人事件を究明していく。その中で彼女は被害者を襲った大型犬ー狼犬ーの自由に街を闊歩する野生のにおいに弾かれていく。 最後の彼女と狼犬の対峙はまるで映像が浮かび上がってくるような描写。ストーリーの運び方とスピード感は最後まで読者をあきさせない。非常に力量のある作家である。 しかし難点といえば、事件の真相。事件の真相はもうちょっとひねりがあってもよかったのか、と思う。犯人の犯行の動機や、追い詰めていく緊張感がなかった。他の作品に期待したい。 | ||||
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文庫化された際に読んで以来、久しぶりに読み直しましたがやはり途中ワクワクしちゃいましたねぇ〜♪滝沢の気持ちも一部分かりますし…音道の感情もビンビン伝わって来ます(*^皿^*)キシシそして…やっぱ「疾風」はカッコいいっすねぇ〜ラスト…十年前と同じく また泣いちゃいました(;O;), | ||||
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96年4月刊行の新装版。直木賞受賞作品。 深夜のファミレスで突然、客が炎上。 続いて、深夜のベイエリアで喉を噛み切られた死体が発見され、同様の手口による連続殺人が起きる。 二つの事件の繋がりは?犯人像は?動機は? 男社会の中でもがく主人公の女刑事、音道。 その相棒となる典型的な中年刑事との確執と、事件の遅々として進まない捜査が中心の前半。 炎上遺体の身元が判明し、連続殺人との繋がりが見え始め、一気に終盤へと向かっていくスピード感あふれる後半。 前半のイライラを、後半のスピード感が晴らしてくれます。 犬好きには、良い意味でも悪い意味でもたまらない結末です。 ポケベルで連絡をとるところ以外は、10年の経過を全く感じさせない、初・乃南作品でした。 | ||||
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感想は「すごい」の一言。書き出しに振ったオチが終板に向かうにつれ、パズルがはまっていくように全貌が見える。推理やサスペンスは遠まわしな表現や複雑すぎて疲れる作品が多い中、この作品は簡潔明瞭。一気の読める。 | ||||
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女性刑事、音道貴子と、中年刑事、滝沢、共に離婚経験のある、 不器用な二人がコンビを組み事件の捜査を行う。 互いに相手を無視したり、心中で蔑視する描写が面白い。 ヒロインの音道が男性の食事するスピードに遅れまいとして、一言も 話さずに、一心不乱に食事するシーンには、共感できる所がある。 ただ、警察という男社会の中で苦労が有るとはいえ、女性刑事が 自意識過剰気味と思えない事も無い。 後半は何故か一転してオオカミ犬が主役となる。 ただ、オオカミ犬を美化しすぎている感がする。 ラストの犬をバイクで追跡する場面も自己陶酔気味で、作者は このシーンを書きたかっただけではないかと思えてしまう。 犯人の家の周囲に猟友会を張り込ませていなかったのは、片手落ち ではないだろうか。バイクで犬を追跡するにしても、堀を飛び越えるとか、 生垣に潜り込むとかしたら、バイクでは役に立たない。せめてオンロード タイプでは無く、走破性の高いオフロードタイプを用意しておくべきでは ないか。 ミステリーとしてみても、深夜のレストランで男が炎上するという衝撃的な プロローグの割には、終わってみれば、犯人の動機には殺人までする 必要あるのかと言う疑問が残った。無理に物語を盛り上げようとせず、 前半の女性刑事と男性刑事の葛藤をメインとして読ませた方が良かった と思う。 | ||||
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面白い! とくに後半の描写がいい。 登場人物の音道と滝沢の組み合わせもなかなか楽しい。 オオカミ犬の孤高な姿は,日々忙しい生活を送る私たちに何かを思い出させてくれる。 | ||||
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ストーリーの展開は良い。音道貴子と滝沢も良い。でも個人的には犬もオートバイにも共感することができないので、本当は盛り上がる後半に個人的思いは失速していきました。前半は登場人物の背景等の描写が非情に優れていて、物語の完成度は高いです。もっとも、犬好き、オートバイ好きにはたまらない小説なのでしょう。後半の追跡劇、ラストの誇り高い疾風の態度等ぐっとくること間違いなしです。 | ||||
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深夜のファミリーレストランで、男性客の体が突然、爆発炎上。 遺体には獣の咬傷が残されており、警視庁機動捜査隊の 音道貴子と中年デカ・滝沢とが捜査にあたる。捜査線上には狼犬が・・・。 乃南さんの作品はすみずみまで神経が配られており、その人物の描きかたの 細やかさに、読み手は安心してのることが出来ます。 バツイチの音道とセクハラ大王の滝沢コンビのやりとり、狼犬疾風の堂々たること。 最後まで飽くことありません。 直木賞選評にもありましたが、狼犬が「ここまで」飼い主の思うように動くかは、 私も疑問に思いますが、それをさしひいても楽しめます。 大型犬好きのかたにおすすめです。 疾風の立派な最後には涙がでました。 | ||||
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女性刑事“音道貴子”を全国区に押し上げたのが、この作品です。 読みどころはなんといっても音道刑事と、「刑事は、女なんかに務まらねえ!」と信じて疑わない滝沢刑事の敵対関係が、事件の経過とともに変化していく様でしょう。 そして、もう1人の彼(?)の出現!ここから先の展開はまるで映像を見ているようで、‘お見事’の一言です。 実は、NHKでドラマ化されていたんです。その時は何気なく見ていたのですが、ビデオに録っていなくて…‥今となっては悔やんでも悔やみきれません。 とにかく、小説でもドラマでも十分に楽しめる作品です。 | ||||
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レビューを読んで何となく狼が出てくる話とは分かっていたけど,狼そのものが「主人公」となるとは想像していなかった。 そんなものを主人公にするとあまりに非現実的でSF的になってしまうのではないかと考えていたから。 だけど読み進うちに,そうなってほしい。ぜひそうであったほしい。と願うようになっていった。 不思議な感覚である。狼(実際には「狼犬」)の荘厳で雄々しく美しい姿がどんどんふくれあがって来る。 音道貴子と中年刑事滝沢のコンビも絶妙である。衝突し合いながら信頼している2人の歩く姿が,これまたはっきりと映像に見える。 音道貴子の誕生とも言える作品。 音道,滝沢とそして狼犬の疾風(はやて)の3人の中に流れる不思議な信頼関係が,この作品を単なる作り物にしていない。 「涙」のどんどん引き込まれていく圧倒感とは少し違うけど,読み始めたら止まらない。ある意味完成された作品だと思えた。 | ||||
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