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バイバイ、エンジェル
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【この小説が収録されている参考書籍】
バイバイ、エンジェルの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.22pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全5件 1~5 1/1ページ
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現象学に秀でた学生である矢吹駆と、 司法警察の警視モガールの娘であるナディアが、 パリのヴィクトル・ユーゴー街で発生した死体をきっかけに、 謎を解いていくミステリー小説。 とても緻密に書き込まれたロジックは、 なかなか引き込まれました。 本格、と呼ばれるミステリー小説が好きなら、 私よりももっと楽しめる一冊なのかもしれません。 抽象的な概念の話が苦手な読者には、 おすすめでない一冊ですが、 本質直観、などの言葉に好奇心を掻き立てられる読者には、 逆に一読をおすすめできます。 | ||||
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出版時期から考えて、試みは早いといえる。 でも、外国にランドセルってあったけ? ランセルがなまったものがランドセル。 もとはリュックのようなもの。 当時そんな細かいことは調べられなかったかもしれない。 そこに著者の性格が表れているようで悲しい。 | ||||
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矢吹が作中で語られるとおり、様々な事件は大きく2つに分けられる。「自らの欲を満たすための事件」と「憑かれた観念を正当化するための事件」だ。そして事件の真相は後者である。 思想、政治、宗教。あらゆる「観念による犯罪」は、古今東西、いつでも、どこでも、更に虚実も差別することなく起きている。しかし、「観念」には罪もあれば功もある。観念による「犯罪」をこの世から一掃することは、その観念による「芸術」も一掃することになり、ゆえに、「人間」である限りは観念による犯罪は無くならないと矢吹は言っている。 犯罪者に憑いた観念を、矢吹は「悪魔」と称した。ミステリ好きを公言する者なら、「悪魔」を「憑き物」と言い換える者もいるだろう。憑き物と言えば「憑き物落とし」――そう、古本屋の主、中善寺秋彦である。彼もまた、犯罪者に罪を犯させた「概念」を解体することで、事件を考察している。 だが二人には相違点がある。中善寺の周りには人と物があるのに対し、矢吹の周りには必要最低限の人と物しかない。 事件への一貫した立場も異なる。中善寺は、自分が関わることで起こる悲劇を望まない。だが矢吹は、自分の関心に沿って事件を考察し判断し、事件の方向性によっては、関係者に苦渋の選択をさせる立場に追い込むこともする。 まだ『バイバイ、エンジェル』を読んだだけなので、感想はここで一旦終わらせることとする。私の中ではこの時点で、矢吹は事件を解決する「探偵」ではなく、現象学を実践する者――行動する「哲学者」となっている。ゆえに、あらゆる剰余を纏って日々を暮らしている人間にとって、矢吹駆を真に理解することは難しい。だが、矢吹が論じる「現象学」は、現代にも通ずるであろうとは思う。 | ||||
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話自体は多分面白いんだと思う。思想対決のあたりも別に嫌いではない、というかむしろ好きだ。 だけど、舞台も登場人物も駆以外全員外国。つまり、翻訳者嫌いの僕にはちょっと…… | ||||
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笠井の小説は、『テロルの現象学』の限界を露わにすることだけに寄与しているという意味で、がっかりさせられる。特に、彼の小説の中でも最も良質と評価されている本作品においてもそうなのだから。意図としては、あまりそういったことに関心のない人をその世界に引き込むために小説化したのかもしれないが、先に『テロルの現象学』から入ってしまうと、そこで提示された問題性が実は底が浅かったのかなと思わされてしまうのである。笠井の小説世界においては、特定の狂信的・テロリスト的革命家が背後ですべてを操っていることになっている。主人公との対決図式を明確にするという物語的な機能によって作品としての緊張感を醸しだしているのは事実だが、『テロルの現象学』が提示した思想の怖さ(と同時に実は魅力でもある)という観点からすると、それだけじゃないでしょ?といいたくなる。あと、イマドキ、テロリスト・ネタなら『24』あたりを見たほうが物語としては断然面白いんだよね。 | ||||
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