オイディプス症候群
- ウイルス (65)
- クローズド・サークル (178)
- ダイダロス館 (1)
- 孤島 (123)
- 感染症 (14)
- 本格ミステリ (563)
- 本格ミステリ大賞受賞 (18)
- 牛首島 (1)
- 矢吹駆シリーズ (6)
- 長門有希の100冊 (48)
※以下のグループに登録されています。
【この小説が収録されている参考書籍】 |
■報告関係 ※気になる点がありましたらお知らせください。 |
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点7.00pt |
■スポンサードリンク
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ギリシャ神話の「ミノタウルスの迷宮」をモチーフに孤島に建てられた館で起こる連続見立て殺人事件。 | ||||
| ||||
|
| ||||
【ネタバレかも!?】 (1件の連絡あり)[?] ネタバレを表示する
| ||||
---|---|---|---|---|
(上)矢吹駆シリーズ第5作!「そして誰もいなくなった」と「十角館の殺人」に対するオマージュ。孤島で起こる連続殺人の開幕。 | ||||
| ||||
|
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
いやあ長かった。 分冊でもない本書ですが、いつもの寝ながら読みには支える手が疲れました。 相変わらず著者も著作も全く知らずに、ただただ「本格ミステリ大賞受賞」というのと、この分厚さに惹かれて購読。なので矢吹駆が主人公の連作とももちろん知らず、とはいえ序章でザイールのジャングルの描写から始まる物語に、期待が膨らむじゃありませんか! ミステリには興味があるものの、”本格”なるものがよくわかっていないのだけど「虚無への供物」や「ミステリオペラ」あるいは(ちょっと違うけど長いということでは)「薔薇の名前」は面白かったので、そんな趣のお話と勝手に思ってた次第。 で、読み進んでいくと、AIDSと容易に想像がつく”オイディプス症候群”という感染症とギリシャ神話、テラーであるナディア・モガールと現象学による探偵役の矢吹駆、そしとその天敵、あとは思想闘争やら推理小説の論評やらが話の中に錯綜して進んでいきますがーいやあ、難しかった。 ギリシャ神話にも詳しくないし、ここで語られるような哲学?論争にも昏い、ましてや”本格”というミステリの理もよく知らない人間にとっては、なんだかよくわからないうちに、それでも引き返せない物語を並走した感じです。 なので印象くらいしか思いつかないのだけれど、”本格”ミステリなるものが、きわめて演劇性の高いものであることと、(こう言っては何ですが)予期せぬことというのが都合よく物語の裏書をしているのは”本格”でも”非格”(なるのもがあるのかどうか)でも同じなんだなあ、と思いました。その点、自分としては、動機にしろ殺害方法にしろ、そういったハプニング抜きの、堅牢に構築された理論というのを期待したかったのですが、その点は少し残念でした。とはいえ、これだけ長い物語を最後まで読ませられたということでは、やはり面白かったのだと思います(多少、歯切れが悪いが)。 著者はミステリの評論でも高い評価を受けているだけでなくSFも著している人らしいのですが、「ミステリオペラ」の山田正紀も元はといえばSF書きだし、自分がなじみの半村良や筒井康隆なんかもミステリ(といわれる)ものを書いてるしなあ・・物語の広げ方と回収の仕方ということでは、SFとミステリも似ているところがあるのかも、なんて関係ないことも思ったりしました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
単行本で約860ページの長編。それに加えて、登場人物の間で繰り広げられる事件や哲学の議論が難解で、思考力を全開にしなければ付いていけず、1ページを読むのにも相当の時間がかかった。ギリシャ神話がモチーフの作品で、ギリシャ神話に関する薀蓄が随所に出てくるが、なにぶん、ギリシャ神話の知識がないものだから、余計に時間がかかる。また、思考力を全開にしても、理解できないところが多々あり、特に矢吹駆の話は難しい。読み手を選ぶ作品だ。 孤島の連続殺人事件で、様々な謎がこれでもかと盛り込まれている。事件に関する議論は、あらゆる可能性が漏れなく検討されていて、極めて論理的。哲学的論争もハーバード白熱教室で取り上げられるような興味深い内容。 事件の真相に関しては、あまりきれいな解答ではないので、おそらく、読者の多くはカタルシスが得られないだろう。個人的には、このような真相は十分に可能性としてありうることなので全く問題はないのだが。途中でナディアが示した仮説の方がすっきりとしていて、面白いと感じる。ナディアの仮説には論理的に瑕疵があることが矢吹駆によって示されるが、おそらく、普通の作家であれば、ナディアの仮説が真相となるような設定にするのだろうなと思った。 孤島に人が集められた理由が斬新。 最終章のまとめ方が素晴らしいと感じた。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「バイバイ、エンジェル」からずっと矢吹駆シリーズを読んできた中で、それまでの作品に勝るとも劣らない傑作と感じます。 が、反面、1作ごとに鼻についてきた推理のしつこさ、登場人物が一言発するたびに、何気ないそぶりをひとつするごとにナディアが犯罪に絡めた推論をしては疑心暗鬼に陥る、その頻度のしつこさが邪魔!作者の悪い癖となっていることを厳重に指摘しておきます。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
【驚きの発端】 2002年に刊行された本作品を読み始めた私の眼に、まず飛び込んできたのは、「エボラ熱」という病名。 作品の舞台設定は1970年代なので、アフリカで発見されたばかりの疫病とされていましたが、そのすぐ後に、この病が文明社会にもたらされた場合の恐ろしさが言及されていました。 このレビュー執筆時点(2015年1月)、その想定は残念なことに、現実のものとなっています。 【疫病というテーマ】 哲学探偵とでも呼べる矢吹駆シリーズの第5弾の本作品は、上述のとおり、疫病の暗い影で幕を開けます。 「エボラ熱」自体は、作品のテーマではなく、同じ頃蔓延し始め、現代では世界中に感染者のいる、HIVがテーマ。 1970年代には、謎の病であったため、本作品では、「オイディプス症候群」と呼ばれていたという設定です。 この病に関連して、ギリシアのエーゲ海に浮かぶミノタウロス島に招待された人々が、大嵐で島が孤絶する中、宿泊先のダイダロス館で、一人、また一人と死亡していくという、クローズド・サークル型の本格ミステリとなっています。 【犯人はいない】 これは、ネタばらしではなく、巻末解説からの引用です。 このシリーズを読んでこられた方なら、分かると思うのですが、本作品では、ミステリとしての構成と並行して、作中で哲学的論争が繰り広げられます。 そうした形而学上、「犯人はいない」のであって、ミステリのストーリーとしては、矢吹駆が推理し、きちんと真犯人も指摘しますので、ご安心を。 【押さえおきたい、ユリシーズ】 本作品を読もうとするなら、アイルランドの作家、ジェイムズ・ジョイスの大長編「ユリシーズ」について、全編を読まないまでも、Wikipediaで概略を押さえておくことを、オススメします。 作品全体をギリシア神話が彩る中、この作品のことも知っていると、より楽しめることと思います。 【全体的な評価】 第5弾までの本シリーズ中、最も充実していたのは、前作の「哲学者の密室」だと思います。 しかし、本作品も十分に上質なミステリと言えるでしょう。 前作までの4作を読んできたなら、このシリーズ独特の世界に浸れる喜びは格別なものがあるのではないでしょうか。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
本格ミステリ大賞受賞作だが、この本格ミステリ大賞受賞作は初心者には敷居の高い作品が多いが、本作も相当に敷居が高い。 ノベルス版にして700ページ超えというレンガのような厚さで、さらにページにはぎっしりと哲学的な蘊蓄や専門分野の引用、蘊蓄が詰め込まれている。 大長編をものともしないいったん読み始めたたらページを捲る手が止まらない・・・ということはなく、数回に分けて休憩入りで長期戦で挑まないと立ちうちできないような密度の作品である。 クローズドサークルの閉ざされた孤島での連続殺人という王道テーマを再構築しようとしたような作品。 正直、最後まで読むのはしんどいが、それだけの価値はある作品ではある。 | ||||
| ||||
|
その他、Amazon書評・レビューが 34件あります。
Amazon書評・レビューを見る
■スポンサードリンク
|
|