哲学者の密室
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点6.33pt |
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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矢吹駆シリーズ4作目。かの『人狼城の恐怖』が世に出るまで世界最長の本格推理小説とみなされていたらしい1000ページ超の長大作です。 | ||||
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タイトルの「密室」には惹かれるものの「哲学」には若干の不安を覚えつつ手に取る。 | ||||
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矢吹駆シリーズ第4作にして、最高傑作!全編に溢れる強制収容所の死の哲学!三重密室もすごい! | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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とても面白かったです。 | ||||
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ギリシャ神話のミノタウロスの迷宮の話とハイデガー哲学が複雑に絡み合うそこからハイデガーにいくもの良し。ギリシア神話に行くのも良し様々なものの入り口になってくれます。 | ||||
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Amazonで購入させていただきました。 矢吹駆シリーズ第4作目。 小説内時間で現在ーー1970年代と考えられるーー発生したダッソー邸殺人事件と、それから30年前の第二次対戦中のコフカ収容所殺人事件と2つの密室殺人事件に探偵役の矢吹駆とワトスン役のナディア・モガールが立ち向かいます。 それら2つの殺人事件の背後には、マルティン・ハイデガーとエマニュエル・レヴィナスの2人の哲学者の思想的対決が潜んでいます。「死への先駆」と「イリヤ」の対決。 現象学徒としてハイデガーを信奉していた駆は、密室殺人の本質を「特権的な死の封じ込め」と直観します。しかし、レヴィナスと会話することによって、考え方を変えます。密室殺人には2種類があることに気づくのです。「竜の密室」と「ジークフリートの密室」。前者は作者=制作者のいない自己生成する密室であり、後者は犯人=制作者のいる密室です。そいて「ジークフリートの密室」の本質直観とは「特権的な死の夢想の封じ込め」なのです。 あるいはハイデガー批判として読んでもいいですし、最後にはレヴィナス哲学さえ駆が超えてしまうことを考え合わせると、これからの連作でどこまで駆が空高く飛んでいけるのか見ものです。 なにしろ圧倒的な1160ページという圧倒的なボリュームでいつ終わるとも知れない<読むことの快楽>に浸れます。 | ||||
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ようやく、読み終えたという感じだ。文庫本で総ページ数が1,100ページを超え、また、読みやすい内容とは言えないので、読み始めるのにはちょっとした決意が必要な作品。 これだけの長編になると、このシリーズのファンしか、手を出さないだろう。作者はこのシリーズでは、孤高の姿勢を貫き、読者側に一切歩み寄ろうとはしていない。文章は非常に達者なのだが、ユーモアは全くなく、硬くて重苦しい。そもそも、ミステリーと哲学の融合に関心を持つ読者がそれほどいるとは思えない。 全体的に読みにくい作品なのだが、中編ではナチスのコフカ収容所での出来事、ヴェルナー少佐とフーデンベルグ所長の心理的葛藤等が描かれ、文学性、物語性が高い箇所で、幾分読みやすくなる。 本作品で扱っている哲学は、ハイデッガーの死の哲学だが、哲学書に較べると非常にわかりやすい内容だと思う。ハイデッガーに関しては、名前を聞いたことがある程度の哲学初心者の私でも、何となくわかったような気にはなれる。なお、本作品では、ハルバッハという名前でハイデッガーを模した人物を登場させており、作品中で作者がハイデッガー批判をしているところが注目される。 私はこのシリーズを読むのが、「バイバイ・エンジェル」、「サマー・アポカリプス」、「オイディプス症候群」に次いで4作品目だが、ミステリーと哲学の融合という面では、一番成功していると感じる。事件の背景や顛末は死の哲学と密接な関わりをもっているし、作中でニ十世紀の探偵小説や密室との関わりにも言及されている。 ミステリーとしての評価は、ちょっと微妙。この作品の真相には、意外な犯人、奇抜なトリック、どんでん返しなどはないし、そのようなものを期待してはいけない。あるのは、非常に複雑な様相を見せる事件の状況をうまく説明できる解釈。事件の細部に至るまで、あらゆる可能性を検討し、論理的な考察が進められていく。この論理的な考察の過程こそがこの作品の真骨頂なのだ。 30年の年月を隔てた、コフカ収容所とダッソー邸との2つの「三重密室」が本作品の売り。密室の設定は非常に凝ったものであり、魅力的な謎だ。一方、その真相だが、ダッソー邸の密室への出入り口は意外な盲点ではあるが、探偵役の矢吹駆が現場を見て気づいたものであり、現場を見ていない読者には予測しがたい。コフカ収容所の密室は、異常で倒錯した犯人の心理と思考からでき上がったものであり、同様に予測しがたい。きれいな解答ではないので、おそらく、ほとんどの読者がこの真相に完全には納得できないだろうと思う。 2つの密室のそれぞれにダミーの推理も示され、それもなかなか面白いのだが、物理的な仕掛けによる解決であり、文章だけでは多少わかりにくいので、やはり、微妙な印象を持つ読者が多いと思う。 | ||||
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笠井潔さんの、10年という時間、2000ページ、まさに渾身の傑作本格ミステリー小説であるが、 商業的には成功していない。(もちろん作家にはそんな目論見はない) まず第一に、 ドイツ哲学の巨人ハイデッガーが小説ではマルティン・ハルバッハと仮名で登場する。 今回、名探偵矢吹駆が迫るのはマルティン・ハルバッハの大著「実存と時間」未完の謎であるが、 いうまでもなくそれはハイデッガー「存在と時間」未完の謎である。 と、いわれてもそもそも「存在と時間」を読んでいるミステリーファンは多くはないだろうし、 ましてハイデッガー「存在と時間」未完の謎に関心のある読者はさらに少ない。 さらに、 一遍のミステリーで2000ページという物量となればふつう読者はたじろぐだろうし、読み始めるには相当の深呼吸がいる。 まあ最長不倒記録にのぞんだと思えば、その完走の達成感は尋常ではないが。 肝心のミステリーは2件の密室殺人事件である。 密室殺人トリックの解明がダブル挑戦である。 親切に密室の精緻な見取り図がそれぞれ示されているが、その親切があだとなって読者はさらに混乱する。 最後にダメ押し。 名探偵矢吹駆くんの推理は「現象学的直観」によるのであるが、 この「フッサールの現象学」理解が一般人にはじつに難しい。 ちなみに本屋でフッサールの著作を一冊でも手に取ってみるといい、まずチンプンカンプンであることを請け合う。 現象学のテキストでよいものがない。 しかし皮肉にも、この矢吹駆くんシリーズが最良の入門テキストであるということになる。 つまり、息も絶え絶えに読み切れば恐るべき名著であることがわかる、という次第。 | ||||
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