哲学者の密室
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| 書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点6.33pt | ||||||||
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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矢吹駆シリーズ4作目。かの『人狼城の恐怖』が世に出るまで世界最長の本格推理小説とみなされていたらしい1000ページ超の長大作です。 | ||||
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タイトルの「密室」には惹かれるものの「哲学」には若干の不安を覚えつつ手に取る。 | ||||
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矢吹駆シリーズ第4作にして、最高傑作!全編に溢れる強制収容所の死の哲学!三重密室もすごい! | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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| 本書は、1160ページもある大作だ。読むだけでも重労働だ。 ユダヤ人が600万人も虐殺されたことと三重密室殺人が、戦争の時と現在にも起こるという事件に、現象学を学ぶナディアが謎解きをして、矢吹駆が真相を現象学的に解明する。 矢吹駆は、著者の分身でもあり、自分の体験をも重ねる。連合赤軍のリンチ殺人事件の個人的な体験が深く根ざす。それをハイデガーの哲学で解明しようとする。 ハイデガーの『死の哲学』を突き詰めていく。ハイデガーの入門書を読む限りは、『死の哲学』とは言えないと思えた。 ハイデガーは、ナチス党員となり、大学の総長となり、ヒットラーを讃美しナチスになることを鼓舞した。そこに、ハイデガー哲学の限界をみる。そして、ハイデガーは、ユダヤ人の虐殺の収容所は知らなかったという説を、ユダヤ収容所の前で、一緒に所長と写真をとっていた。その写真が、ゆすりの原因となり、80歳を超えても、その写真を隠そうとして墜落死する。因果応報の世界でもある。 そして、ハイデガーの教えを学んだ二人の男ハインリッヒ•ヴェルナーは親衛隊であり、ヘルマン•フーデンベルグはユダヤ人収容所の所長。そして、二人が愛した美しいユダヤ人のハンナ•グーデンベルグ。 最初に死んだのはハンナ•グーデンベルグだった。そして、収容所からユダヤの囚人を脱走させたのがヴェルナーだった。知られていない影のユダヤ人の命を救った英雄でもあった。そして、大量虐殺と個人的な理由での殺人。その重さを問う。まさに、意欲的な作品だ。そして、矢吹駆の関わった事件に絡んでいく。 矢吹駆は、『薔薇の女』でのアントワーヌの死に対して、 「死という鏡さえ与えられるなら、自分にも英雄のように真実の人生を、選ばれた人生を、特権的な人生を生きることができるだろう。青年の思考は、ほとんど必然的に観念的倒錯の罠に落ちてしまう。戦場のない社会で死の可能性に直面することができないなら、意図的に戦場のようなものを、死の危険に満ちた暴力的な環境を、なんとか捏造してしまえ。」 「現代的なタイプの政治青年は、平和な日常生活に人工的な戦場をしつらえようとして、テロリズムの沼地に誘惑されてしまう」 と述懐する。 「ハルバッハによれば、現存在の本来的自己は、死の可能性への先駆において実存する。死の可能性は無数にある生の可能性から、その人間にとって本当に大切な可能性、特別の可能性、人生の中心的な可能性を、はっきりと映し出す特別の鏡なんだ。死という鏡がなければ、人間は無数にある可能性のなかで道を失うだろう。他人の眼を気にしたり、常識に流されたり、日常の些事に追われたりして、本当の自分を生きることなどできはしない」 「僕は、ハルバッハ哲学でアントワーヌを批判していた。死は追い越しえない可能性なのに、それを欺瞞的に追い越そうと望むことが観念的な倒錯を必然化し、自他にわたる抑圧と悪を生んでしまう。マチルドやアントワーヌを見て、たぶん僕は、そう感じたんだろう」 ハイデガーの死の哲学を繰り返す。ハルバッハ(ハイデガー)の哲学は、なにも自殺を推奨しているわけではない。死の可能性に目覚めよと主張しているのだ。 頽落した日常性が、どんなに死の可能性を覆いかくしていても、必然的なものとしての死は、滲みでるようにして日常的な人間の存在を染めはじめる。それが不安の由来なのだ。不安なわたしは、結果として死の可能性を凝視するようにしいられる。しかし、死は切迫しているにせよ将来のものであり、可能性としてしか人間にはあたえられていない。日本では有名らしい小説家(三島由紀夫)が伝統的な作法で、儀礼的な自殺を演じた。 リトアニア出身で、ユダヤ人で囚人だったエマニュエル・ガドナスは、エマニュエル・レヴィナスがモデル。ガドナス哲学の出発点におかれている、〈ある:イリヤ〉の概念を産み出す。レヴィナスは、ハイデガーのナチス賛美を批判する。 なぜ、イスラエルの諜報機関が、アイヒマンを追いかけ、裁判をして、死刑にしたかの背景も理解できた。 宙吊りの死者。ジークフリートの密室。龍の密室。矢吹駆の推理は次から次へと発展していく。そこで見つめた大量死と殺人事件の謎とき。実に刺激的なノイズが見つかる。それにしても、人間はかくも残酷な行為ができるのかと唖然とするばかり。戦争の非人間性を強く感じる。 | ||||
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| とても面白かったです。 | ||||
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| ギリシャ神話のミノタウロスの迷宮の話とハイデガー哲学が複雑に絡み合うそこからハイデガーにいくもの良し。ギリシア神話に行くのも良し様々なものの入り口になってくれます。 | ||||
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| Amazonで購入させていただきました。 矢吹駆シリーズ第4作目。 小説内時間で現在ーー1970年代と考えられるーー発生したダッソー邸殺人事件と、それから30年前の第二次対戦中のコフカ収容所殺人事件と2つの密室殺人事件に探偵役の矢吹駆とワトスン役のナディア・モガールが立ち向かいます。 それら2つの殺人事件の背後には、マルティン・ハイデガーとエマニュエル・レヴィナスの2人の哲学者の思想的対決が潜んでいます。「死への先駆」と「イリヤ」の対決。 現象学徒としてハイデガーを信奉していた駆は、密室殺人の本質を「特権的な死の封じ込め」と直観します。しかし、レヴィナスと会話することによって、考え方を変えます。密室殺人には2種類があることに気づくのです。「竜の密室」と「ジークフリートの密室」。前者は作者=制作者のいない自己生成する密室であり、後者は犯人=制作者のいる密室です。そいて「ジークフリートの密室」の本質直観とは「特権的な死の夢想の封じ込め」なのです。 あるいはハイデガー批判として読んでもいいですし、最後にはレヴィナス哲学さえ駆が超えてしまうことを考え合わせると、これからの連作でどこまで駆が空高く飛んでいけるのか見ものです。 なにしろ圧倒的な1160ページという圧倒的なボリュームでいつ終わるとも知れない<読むことの快楽>に浸れます。 | ||||
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| ようやく、読み終えたという感じだ。文庫本で総ページ数が1,100ページを超え、また、読みやすい内容とは言えないので、読み始めるのにはちょっとした決意が必要な作品。 これだけの長編になると、このシリーズのファンしか、手を出さないだろう。作者はこのシリーズでは、孤高の姿勢を貫き、読者側に一切歩み寄ろうとはしていない。文章は非常に達者なのだが、ユーモアは全くなく、硬くて重苦しい。そもそも、ミステリーと哲学の融合に関心を持つ読者がそれほどいるとは思えない。 全体的に読みにくい作品なのだが、中編ではナチスのコフカ収容所での出来事、ヴェルナー少佐とフーデンベルグ所長の心理的葛藤等が描かれ、文学性、物語性が高い箇所で、幾分読みやすくなる。 本作品で扱っている哲学は、ハイデッガーの死の哲学だが、哲学書に較べると非常にわかりやすい内容だと思う。ハイデッガーに関しては、名前を聞いたことがある程度の哲学初心者の私でも、何となくわかったような気にはなれる。なお、本作品では、ハルバッハという名前でハイデッガーを模した人物を登場させており、作品中で作者がハイデッガー批判をしているところが注目される。 私はこのシリーズを読むのが、「バイバイ・エンジェル」、「サマー・アポカリプス」、「オイディプス症候群」に次いで4作品目だが、ミステリーと哲学の融合という面では、一番成功していると感じる。事件の背景や顛末は死の哲学と密接な関わりをもっているし、作中でニ十世紀の探偵小説や密室との関わりにも言及されている。 ミステリーとしての評価は、ちょっと微妙。この作品の真相には、意外な犯人、奇抜なトリック、どんでん返しなどはないし、そのようなものを期待してはいけない。あるのは、非常に複雑な様相を見せる事件の状況をうまく説明できる解釈。事件の細部に至るまで、あらゆる可能性を検討し、論理的な考察が進められていく。この論理的な考察の過程こそがこの作品の真骨頂なのだ。 30年の年月を隔てた、コフカ収容所とダッソー邸との2つの「三重密室」が本作品の売り。密室の設定は非常に凝ったものであり、魅力的な謎だ。一方、その真相だが、ダッソー邸の密室への出入り口は意外な盲点ではあるが、探偵役の矢吹駆が現場を見て気づいたものであり、現場を見ていない読者には予測しがたい。コフカ収容所の密室は、異常で倒錯した犯人の心理と思考からでき上がったものであり、同様に予測しがたい。きれいな解答ではないので、おそらく、ほとんどの読者がこの真相に完全には納得できないだろうと思う。 2つの密室のそれぞれにダミーの推理も示され、それもなかなか面白いのだが、物理的な仕掛けによる解決であり、文章だけでは多少わかりにくいので、やはり、微妙な印象を持つ読者が多いと思う。 | ||||
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