哲学者の密室



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初公開日(参考)1992年08月
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長編小説

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哲学者の密室 (創元推理文庫)

2002年04月01日 哲学者の密室 (創元推理文庫)

開口部を完璧に閉ざされたダッソー家で、厳重に施錠され、監視下にあった部屋で滞在客の死体が発見される。現場に遺されていたナチス親衛隊の短剣と死体の謎を追ううちに三十年前の三重密室殺人事件が浮かび上がる。現象学的本質直感によって密室ばかりか、その背後の「死の哲学」の謎をも解き明かしていく矢吹駆。二十世紀最高のミステリ。 (「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点6.33pt

哲学者の密室の総合評価:8.50/10点レビュー 30件。Bランク


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全3件 1~3 1/1ページ
No.3:
(6pt)

我自意識過剰ゆえに我あり

矢吹駆シリーズ4作目。かの『人狼城の恐怖』が世に出るまで世界最長の本格推理小説とみなされていたらしい1000ページ超の長大作です。

パリのユダヤ系資産家の大邸宅で”三重密室”状態で死亡した一人の男。
さらにその背景には数十年前のナチスの強制収容所内で発生したやはり”三重密室”内で死亡した一人の女の事件が浮かび上がる……
2つの三重密室事件の謎を探偵役の矢吹駆(※以下カケル)が解き明かす……という基本プロットはこの上ない本格ミステリですが
タイトル通り「密室」に加えて「哲学者」がこの作品のもう一つの主題となります。
誰でも名前ぐらいは聞いたことがあるだろう、実在した20世紀最大のドイツ人哲学者ハイデガー(作中では彼をモデルとしたハルバッハというキャラが登場します)
の”存在論”や”現象論”に基づいた死の哲学的な捉え方に倣って、カケルは”密室の死”という題材についても紐を解いていきます。

そして現実でハイデガーが哲学者として高い評価・名声を集めた一方、ナチスへの関与・加担が批判的な見方をされているのと同様
作中のハルバッハもナチスとの繋がりを持っていたことで作中の事件とも直接関わってくることとなります。

一番最初に説明した通り、この作品は滅茶苦茶長いです。
そしてそんなに長くなるのはこのシリーズ全体の特徴でもある、随所に挿入される哲学的なペダントリーが大きな原因であり、純粋な本格ミステリに徹していれば半分にも三分の一にも出来たと思います。
さらに、やはりこれもシリーズの特色であるのですがシリーズ前作のネタバレに配慮がないなんてものではない。ここまでくると作者が意図的に「前作を読んでからこっちを読みやがれ」と訴えてるのかと思うほど、前作の犯人たちの名前を作中で100回は連呼し(数えてないけど大げさじゃなくそれぐらい言ってると思う)100ページぐらいかけて前作を回想したりしているのも長さに一役買っています。

そして正直言って哲学的な部分は何言ってるかよくわかんないし、物語に本当に必要とも思えないんですよね。完全に作者の自己満足の衒学趣味としか。
それも常人とはかけ離れた頭脳と精神を持つカケルがつらつらと語るなら京極堂の蘊蓄みたいなもんで、シリーズの味として受け入れられなくもないんですが
読者の分身である、ワトソン役のナディアにまで何十ページもわたって、私の死の定義がどうのこうの哲学の世界に入られても、いつまで続くんだこれ、としか思えませんでした。
話が正常に進行する時のナディアの思考はとにかく「カケルが好き」「カケルが心配」「密室の謎解かなきゃ!」と凄いシンプルでわかりやすいキャラなだけに
突然長々と哲学的な思考に入ってる彼女は単に精一杯かしこぶろうとしているだけか、薬でもキメてるようにしか見えません。

哲学的、衒学的な部分は無視した単純な本格推理部分とドラマ部分で言えば結構面白かったですが、この長さに見合うかというとトリックも真相も小粒かなぁという気がします。

この作品を読んだ一番の収穫と感想は「こんなブ厚くて難しそうな本読んだぞ、凄いだろー」という自慢や自己満足感に浸れる所かもしれません。

▼以下、ネタバレ感想

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マリオネットK
UIU36MHZ
No.2:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(4pt)

哲学者の密室の感想

タイトルの「密室」には惹かれるものの「哲学」には若干の不安を覚えつつ手に取る。

シリーズ物で4作目?らしいが、私は笠井潔作品は初読。
探偵役の武器が哲学という事なんだろうか?
探偵役がこういう堅物で変わり者なのはよくある事だが、ワトソン役までが同調し哲学してどうする。
加えて警察も容疑者も被害者も犯人までもが哲学していて自己の存在や死について語りだす。
そんな哲学論争にナチスの歴史的蘊蓄が加わる。
不安が的中、全編難解、それがドーンと1160頁。
読了するまでにこんなに時間がかかった作品は初めてだろう。


▼以下、ネタバレ感想

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梁山泊
MTNH2G0O
No.1:
(9pt)

哲学者の密室の感想

矢吹駆シリーズ第4作にして、最高傑作!全編に溢れる強制収容所の死の哲学!三重密室もすごい!

ジャム
RXFFIEA1
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No.27:
(5pt)

とても面白かった

とても面白かったです。
哲学者の密室Amazon書評・レビュー:哲学者の密室より
4334922090
No.26:
(5pt)

ハイデガーに興味ある方必読です。

ギリシャ神話のミノタウロスの迷宮の話とハイデガー哲学が複雑に絡み合うそこからハイデガーにいくもの良し。ギリシア神話に行くのも良し様々なものの入り口になってくれます。
哲学者の密室Amazon書評・レビュー:哲学者の密室より
4334922090
No.25:
(5pt)

圧倒的なボリュームーー1160ページ!

Amazonで購入させていただきました。
 
 矢吹駆シリーズ第4作目。
 小説内時間で現在ーー1970年代と考えられるーー発生したダッソー邸殺人事件と、それから30年前の第二次対戦中のコフカ収容所殺人事件と2つの密室殺人事件に探偵役の矢吹駆とワトスン役のナディア・モガールが立ち向かいます。
 それら2つの殺人事件の背後には、マルティン・ハイデガーとエマニュエル・レヴィナスの2人の哲学者の思想的対決が潜んでいます。「死への先駆」と「イリヤ」の対決。
 現象学徒としてハイデガーを信奉していた駆は、密室殺人の本質を「特権的な死の封じ込め」と直観します。しかし、レヴィナスと会話することによって、考え方を変えます。密室殺人には2種類があることに気づくのです。「竜の密室」と「ジークフリートの密室」。前者は作者=制作者のいない自己生成する密室であり、後者は犯人=制作者のいる密室です。そいて「ジークフリートの密室」の本質直観とは「特権的な死の夢想の封じ込め」なのです。
 あるいはハイデガー批判として読んでもいいですし、最後にはレヴィナス哲学さえ駆が超えてしまうことを考え合わせると、これからの連作でどこまで駆が空高く飛んでいけるのか見ものです。
 なにしろ圧倒的な1160ページという圧倒的なボリュームでいつ終わるとも知れない<読むことの快楽>に浸れます。
哲学者の密室Amazon書評・レビュー:哲学者の密室より
4334922090
No.24:
(4pt)

密室とは、特権的な死の夢想の封じ込め

ようやく、読み終えたという感じだ。文庫本で総ページ数が1,100ページを超え、また、読みやすい内容とは言えないので、読み始めるのにはちょっとした決意が必要な作品。
これだけの長編になると、このシリーズのファンしか、手を出さないだろう。作者はこのシリーズでは、孤高の姿勢を貫き、読者側に一切歩み寄ろうとはしていない。文章は非常に達者なのだが、ユーモアは全くなく、硬くて重苦しい。そもそも、ミステリーと哲学の融合に関心を持つ読者がそれほどいるとは思えない。
全体的に読みにくい作品なのだが、中編ではナチスのコフカ収容所での出来事、ヴェルナー少佐とフーデンベルグ所長の心理的葛藤等が描かれ、文学性、物語性が高い箇所で、幾分読みやすくなる。
本作品で扱っている哲学は、ハイデッガーの死の哲学だが、哲学書に較べると非常にわかりやすい内容だと思う。ハイデッガーに関しては、名前を聞いたことがある程度の哲学初心者の私でも、何となくわかったような気にはなれる。なお、本作品では、ハルバッハという名前でハイデッガーを模した人物を登場させており、作品中で作者がハイデッガー批判をしているところが注目される。
私はこのシリーズを読むのが、「バイバイ・エンジェル」、「サマー・アポカリプス」、「オイディプス症候群」に次いで4作品目だが、ミステリーと哲学の融合という面では、一番成功していると感じる。事件の背景や顛末は死の哲学と密接な関わりをもっているし、作中でニ十世紀の探偵小説や密室との関わりにも言及されている。
ミステリーとしての評価は、ちょっと微妙。この作品の真相には、意外な犯人、奇抜なトリック、どんでん返しなどはないし、そのようなものを期待してはいけない。あるのは、非常に複雑な様相を見せる事件の状況をうまく説明できる解釈。事件の細部に至るまで、あらゆる可能性を検討し、論理的な考察が進められていく。この論理的な考察の過程こそがこの作品の真骨頂なのだ。
30年の年月を隔てた、コフカ収容所とダッソー邸との2つの「三重密室」が本作品の売り。密室の設定は非常に凝ったものであり、魅力的な謎だ。一方、その真相だが、ダッソー邸の密室への出入り口は意外な盲点ではあるが、探偵役の矢吹駆が現場を見て気づいたものであり、現場を見ていない読者には予測しがたい。コフカ収容所の密室は、異常で倒錯した犯人の心理と思考からでき上がったものであり、同様に予測しがたい。きれいな解答ではないので、おそらく、ほとんどの読者がこの真相に完全には納得できないだろうと思う。
2つの密室のそれぞれにダミーの推理も示され、それもなかなか面白いのだが、物理的な仕掛けによる解決であり、文章だけでは多少わかりにくいので、やはり、微妙な印象を持つ読者が多いと思う。
哲学者の密室Amazon書評・レビュー:哲学者の密室より
4334922090
No.23:
(5pt)

痛烈なハイデッガー批判

笠井潔さんの、10年という時間、2000ページ、まさに渾身の傑作本格ミステリー小説であるが、

商業的には成功していない。(もちろん作家にはそんな目論見はない)

まず第一に、

ドイツ哲学の巨人ハイデッガーが小説ではマルティン・ハルバッハと仮名で登場する。

今回、名探偵矢吹駆が迫るのはマルティン・ハルバッハの大著「実存と時間」未完の謎であるが、

いうまでもなくそれはハイデッガー「存在と時間」未完の謎である。

と、いわれてもそもそも「存在と時間」を読んでいるミステリーファンは多くはないだろうし、

ましてハイデッガー「存在と時間」未完の謎に関心のある読者はさらに少ない。

さらに、

一遍のミステリーで2000ページという物量となればふつう読者はたじろぐだろうし、読み始めるには相当の深呼吸がいる。

まあ最長不倒記録にのぞんだと思えば、その完走の達成感は尋常ではないが。

肝心のミステリーは2件の密室殺人事件である。

密室殺人トリックの解明がダブル挑戦である。

親切に密室の精緻な見取り図がそれぞれ示されているが、その親切があだとなって読者はさらに混乱する。

最後にダメ押し。

名探偵矢吹駆くんの推理は「現象学的直観」によるのであるが、

この「フッサールの現象学」理解が一般人にはじつに難しい。

ちなみに本屋でフッサールの著作を一冊でも手に取ってみるといい、まずチンプンカンプンであることを請け合う。

現象学のテキストでよいものがない。

しかし皮肉にも、この矢吹駆くんシリーズが最良の入門テキストであるということになる。

つまり、息も絶え絶えに読み切れば恐るべき名著であることがわかる、という次第。
哲学者の密室Amazon書評・レビュー:哲学者の密室より
4334922090



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