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(短編小説)
熱帯夜
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熱帯夜の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.54pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全13件 1~13 1/1ページ
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不愉快けどとても面白い。 特にごく結末はイヤミスの感じが面白い | ||||
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初めて読んだ曽根圭介さんの本。 角川ホラーですがあまりホラー風味ではないです。 淡々とした文体がよりストーリーの巧妙さを際立てています。 文体も手伝ってテンポ良く読みすすめられるのであっという間に読み終えてしまいました。 ・熱帯夜 この本で一番好きな話です。 複数の視点から進んでいき、最終的に交わっていく話です。 話が一点に収束していく様子は大変鮮やかで手品を見ているようでした。 緊張感のある文章がよく合っていて読みやすかったです。 一番スピード感を感じました。読み始めてすぐに引き込まれます。 ・あげくの果て 近未来の姥捨て山のような話。 こちらも熱帯夜のように視点が切り替わって最後に収束していく話ですが熱帯夜より読みにくかったです。慣れてない人には読みづらそうです。 不条理で大変面白かったです。筒井さんっぽさがありましたね。 ・最後の言い訳 ゾンビ物です。 「鼻」や「あげくの果て」もですが対立構造を描くのが本当に上手いですね。 主人公の初恋のエピソードは今までの作品に比べて描写が緻密になるのでとても印象的でした。 なんだか胸きゅんな感じでもあり、大変可愛らしかったです。 ゾンビ的世界観とのコントラストでとても映えていました。 比較的早いうちからオチは予想できますが世界観や物語の運びが上手いので最後まで楽しんで読めました。 曽根圭介さんの書かれる話は不条理な中にもコミカルな要素があってそこが本当に魅力的です。 笑っていいのかだめなのかわからないギリギリのブラックジョークが唐突に出てきて良いアクセントになっていると思います。 | ||||
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ブラックジョーク風で3話ともとてもおもしろかったです。え゛えええぇぇぇぇぇぇと言うようなオチもなぜか消化不良にはなりませんでしたし、後味の悪さなどはなかったです。個人的には最後の言い訳が一番楽しめました。是非またこの作者の作品を読んでみたいと思います。 | ||||
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サンワ収録 レビューとかみなかったのでございまして、サンワ目がまさかのゾンビ物でとても面白かった 新しいゾンビ物でございまして、社会風刺も効いていまして、とても面白い とても面白いのでゾンビ好きはみるべきでございます | ||||
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今までに後味の悪い話はたくさん読んできましたがこの作家の書く話はそういうジャンルの中でも頭ひとつ抜けてると思います。 短編ひとつで気力をごっそり持っていかれる。この作家の小説は本当に読むと疲れます。間違っても精神的に余裕がない時に読んではいけません。 前回読んだ「鼻」より文章が綿密になっている分、絶望感の密度も濃くなっていました。 本作は三つの話からなる短編集ですが、どの話にも救いなんてありません。勧善懲悪がお好きな方はご用心。 表題作の「熱帯夜」はどこか「鼻」に通じる物語の構成になっているような気がしました。途中ちょっと笑ってしまうような出来事もあったりしたのですが最後の一言はすごく怖い。三編の中では一番ホラー色が強いかも。 「あげくの果て」は高齢者徴兵制度を巡っての近未来のお話。視点がコロコロ変わりますが終盤でバラバラだった視点が一つに収束していく構成力はお見事。近未来版姥捨て山といった感じで読みごたえがあった。 そして一番お気に入りなのが「最後の言い訳」。この設定で長編書いて欲しい!と思いましたが短編だからここまで輝くのかな。平たく言うとゾンビ物です。バイオハザードよりはSIRENに雰囲気が似てるかな?しかしこれは面白かったです。 ところどころ現代への風刺も利いてて、且つ人口が逆転したことによって起こる世界の変化が妙にリアルでゾワゾワしました。 人類とゾンビの人口が逆転してしまった最大の原因がこれもう単に噛まれて感染が広がった、じゃないんですよねー。上手いです。 わりと早い段階でこの話のオチに気付く人は多いと思いますが、そこに落とし込むまでの話の持って行き方がお見事と言う他ないです。この作家の作風で、このレーベルならこのオチしかないでしょうが、「やっぱりね」と軽く言って終われないくらいには胸が詰まる結末でした。 基本的には勧善懲悪好きな人間なので、単に後味が悪いだけならばその作家の小説は以降読まないのですが、この作家はものすごく胸糞悪い後味なのに次も読みたくなるから不思議です。ずば抜けて面白いからなんでしょうが、中毒になりそうな胸糞悪さ。 また元気がある時に他の作品も読んでみたいです(笑) | ||||
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表題作と挙句の果ては置いといて3作目だけのレビューをしようと思う。 物語はゴミ屋敷の清掃に向かう現代編と 蘇生者のエピソードと誰にでもあっただろう同級生への恋愛の描かれる小学生時代が交互に描かれる。 そして現代編で思わぬ所で再開するが、その最後は・・・ ジャンル的にはこうあるべきかもしれないが、個人的には凄く後味が悪かった。 あのまま二人で逃げて欲しかった。 まさかこの作者の作品を読んで「秒速5センチメートル」を見た後のような喪失感に苛まされる事になろうとは思わなかった。 | ||||
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この熱帯夜には3編の話が収められています。 いちおうホラー小説文庫となっていますが、幽霊とかのろいとか別になくて ほとんど怖くはありません。でも、不気味な話です。 3編とも技巧を凝らしていまして、純粋に刺激を受けたいという方には もってこいの小説だと思います。 小説を読んで、幸せな気持ち、感動したい気持ちになりたい人には、 決して向かない小説です。 | ||||
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『鼻』に続いて読んだが、やはり面白かった。 曽根さんは仮想未来を自由自在に編み出せる人なんだ。 ゾンビものも――あの飽き飽きしたゾンビ設定を日本人の得意技、ディテールを細かく描くという手法で、ぜんぜん飽きないゾンビものにしてくださった。 『あげくの果て』には誰も悪い人はいない(あー警察は悪いか)。 良かれと思ってやってることが全部物事を台無しにさせる。怖く悲しく切ない話。 『最後の言い訳』 一番心に残った。デブ主人公の子供のころの淡い恋心が痛いほどわかる丁寧なエピソードの積み重ね。 だんだんそういうことか、とわからせていく過程の描き方がうまーーいっ。本当にうまいなーーー。。 って表題作も全体に関しても、もっともっと感想はあるのだ。 でもネタバレが本当に危険なのでこれくらいしか書けない。 とにかく曽根さん、すごい手練れでアイディアマン。読んでまったく損はなし! | ||||
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三話収録です。 ・熱帯夜 仕掛けに凝り過ぎてあんまおもしろくない。 ・あげくの果て 高齢者問題を扱ってる。ただそれだけの話。 仕掛けもないし、もうひとひねり欲しかった。 ・最後の言い訳 これはとてもおもしろい! 徐々に明かされる世界観に一気に引き込まれる。 あちこちに巧妙に伏線が隠されていてとても上手い。 切ない終わり方も心に残る。 この話に出会えただけでも読んだ価値があった。 | ||||
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日本推理作家協会賞といえば梅原克文の「ソリトンの悪魔」や飴村行の「粘膜蜥蜴」が取った賞で、いずれも大傑作。だから「熱帯夜」に対する大きな期待を持って本を取り寄せた。読み終わって、え? って感じだった。確かに展開にだまされた部分もある。が、傑作「鼻」のドンデン返しとは質が違うと思う。こういうのを背表紙に書いてあるように「衝撃のラスト」と言うのだろうか? 悪くはない。けど、個人的には凡作に近いと思う。 ただ、他の二作はなかなか良かった。老人徴兵制度という衝撃的な設定の「あげくの果て」は、設定どまりでなく、ある三世代のそれぞれのドラマを積み重ねていき、読み応えがあった。ゾンビが一般化した世界を描いた「最後の言い訳」は、タイトル通りそこが笑えるし、やはりそれまでのドラマが丁寧に積み上げてあり、秀作だと思う。 結果的には、買って損は無かった。 | ||||
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『熱帯夜』 ヤクザに監禁され、友人の藤堂は自分の妻とボクを人質にして 金策に走る。果たして藤堂は戻ってくるのか? 「走れメロス」的な設定でどういう味付けで、どんなオチに なるのだろうと読んでいたら、見事にやられました! なんとなく予想していた結末よりも更に上をいく どんでん返しを見せてくれました。 曽根さんの手腕が見事に発揮されています。 『あげくの果て』 高齢化社会が極限まで進んだ近未来が舞台。 3つの視点から語られる物語が徐々に繋がり、3人の行動が 少しずつ波紋を呼び、空回りし、どんどん悲しい方向へ 向かっていきます。 『最後の言い訳』 蘇生者(いわゆるゾンビ)が国の法律で保護され、 自由に生活している世界。 そんな世界で主人公の男の子はどのように生きていくのか? 過去の回想で言い訳ばかりしている主人公が 最後に放つ言い訳は衝撃です! あまり語りすぎて面白さを削いでしまうとダメなので 是非、是非読んでください。 めちゃくちゃ面白いです! | ||||
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表題作の「熱帯夜」、その他に「あげくの果て」、「最後の言い訳」と3つの短編集が収録されており、どれも一風変わった世界観を表現していておもしろかった。個人的には「あげくの果て」と「最後の言い訳」が楽しめた。 「あげくの果て」は高齢化社会の行き着いた先として高齢者徴兵制度が導入された世界での物語。高齢者虐待反対グループ「ギン」のテロと民族若化運動を進める「青い旅団」との衝突など、ブラックジョークが利いていておもしろかった。 「最後の言い訳」は、蘇生者保護法という法律の元、心臓が動いていない状態で生き続けるいわゆる「ゾンビ」が社会に浸透し日常化する話で、現在市役所に勤める主人公が小学五年生のときのことを回想しながら展開されていく。小学生時代から「自分は太っているから」とか「暴力は苦手だから」とか、様々な言い訳をしていた主人公が放つ最後の言い訳は痛快だった。また、文中のところどころでゾンビ化する社会の様子を報道するニュースは最近日本で起こったニュースを皮肉っていて楽しめた。 | ||||
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「鼻」を読んで作者の作風が気に入った。本作は、「熱帯夜」、「あげくの果て」、「最後の言い訳」の3編を収めている。「鼻」でも見せた不条理な世界を創り出す上手さに加え、小説技巧も冴えを増しているようである。 タイトル作「熱帯夜」は、ある晩にヤクザの債権屋に脅される夫婦の絶望的模様と背景にあるサイコ・キラーによる連続女性殺人に加え、カットバックで描かれる轢き逃げする「ワタシ」の姿が重なるという錯綜したストーリーを一気に収斂させる手腕が鮮やか。全編、緊迫感に溢れていて読み応えと独特の味がある。「あげくの果て」は高齢者問題をグロテスクな手法で扱ったもの。高齢者徴兵制度が施行される世界において、「連合赤軍」ならぬ「連合銀軍」が自爆テロを含む反政府活動を行ない、70歳になった高齢者は徴兵検査を受けて甲種合格などを受ける様、戦闘スーツの名前が「難局二号」というギャグ、「連合銀軍」の中で寝返りを迫られた男、対抗する若者は「青い旅団」を結成するなど筒井を思わせる設定である。勿論、「出兵=国家による死」である。これを「お迎え」と呼ぶ皮肉。「最後の言い訳」は、死んだ老人が蘇生し、その蘇生老人に喰われた者や蘇生人の肉を食った者が次々と連鎖的に蘇生人に成るという世界で、主人公の蘇生青年の詩情を描いたと思わせておいて...。蘇生人にとって人肉が効し難い芳香を放つという設定が光る。オチが予想出来るのが難だが、構成は工夫されており楽しめる。 三作ともいずれ劣らぬ秀作。シニカルな視線と非情に徹した姿勢でいて、読者を楽しませる巧緻な物語構成。これからが楽しみな作家だと思う。 | ||||
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