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行きずりの街
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行きずりの街の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点2.75pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全23件 1~20 1/2ページ
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都落ちしたさえない中年の塾講師、都会の寂しさで不倫に走った元教え子、弱い自分を克服できない2代目理事長、悪役になり切れない悪役など、デコボコした「不揃いの林檎」のような登場人物が織りなすサスペンス。芯を通るのはかつて別れた妻との間の純愛物語。スーパーヒーローでもシャーロックホームズでもない主人公がどんどん危ない橋を渡っていくのにハマります。超一流のストーリーテラーによるスロットル全開の傑作。 | ||||
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古い小説なので古臭い、というのは仕方ないのですが、つまり、時代を超えた魅力はないということです。 あと教え子と主人公の過去が絡んでいるところ、ご都合主義的な話です。 | ||||
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志水辰夫さんを知らず、たまたまAmazonのおすすめ関連書籍かなんかで興味を持ちました。なにが興味深かったかというと、レビューがボロクソから絶賛まで、幅広かったこと。いったいどうなっちゃってるのか?と。 結論から言うと、個人的にはなかなか面白く、作者の他の作品も読んでみたくなるものでした。絶賛というほどでもないですが普通におもしろい。 では、ボロクソ言ってる人たちはなんなのか?と、考えてみると、一つは世代と男女差かもしれない。たしかに価値観や表現など全般的にオヤジ臭く、現代の若者や女性にはちょっと合わないかも。とくに女性に対する思いは思い切り年くったオヤジならではの目線なので、若者にはキモイとか言われそうではあります。そのぶん人生経験積んだオヤジなら「わかるわかる」といいたくなる内容。 あとは賞に対する事前の期待からの落差かな?そんな人はきっともっと「すごい」小説を期待していたのかもしれません。それだけに腹が立つのかな? そしていちばん気になったのは必要以上に妙にボロクソに叩いてる人。これは理由はわからないものの、なにか怒りに触れるようなことがあるんでしょうね。実際、志水さんは客観的にみて文章もうまいし、そこまで酷く叩かれるようなシロモノでもないと思うんですが。気になったのは、叩いている人が妙に専門的なことを書いていること。「プロット」とか普通の人使いませんよね。まあそのへん詳しい人には、凡人にはわからないなにかがあるんでしょうね、きっと。 | ||||
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志水辰夫の「行きずりの街」を今頃になって、読み出した。 これが抜群に面白い。 読書家でなくても、なにを今更。。。っていう話題でしょうね。 お恥ずかしい。あちこちに、読み落とした作品がたくさん、あります。 25年以上昔に、ぜったいに僕の好みのはずだと、ミステリ通の友人から強く薦められた作家である。 僕好みの文章だと聞いた。 あ、僕自身は悪文だが、読むのはきれいな文章が好きだ。柄じゃなくて、すみません。 だから何度も試みたが、どうもキブンが乗らなかった。 類稀な文章力といったって、そんなに上手いかなあ。そうも思わないけれど。。。っていう感じだった。 今回、はじめて本気で読んでいる。今半分まで読んで書いている。 見切り発車だが、なるほど。。。すこし興奮している。そう、たしかに僕の好みのスタイルだ。 結構、部分的にかなりキザな文章もある。それがなんとも心地よい。 たとえばこうだ。 男はみんな糸の切れた凧になりたがるものなのだ。それで女が苦労している。 う~ん、こういうのが隠し味で、行間に埋もれて、散らばって書かれている。 地名が固有名詞なのもよい。場所が描写力をもって活写されている。 イマージナリー・ランドスケープ(デジャブじゃなくて)がある。 とくに、広尾から六本木までの空間的広がりの描写が冴えている。それも’90年代初頭のバブルの時代の頃だ。 鷺宮あたりの光景の描写もいい。 女の人の描き方が、チャンドラーほど柔でなく、ロス・マクほど透明でもない。 てきどに叙情的なのだが、観察には酷薄な視線があって、描写は乾いた感傷に留まっている。 うん、シミタツと短縮形で呼ばれるのが、よ~く理解できた。 シミタツというスタイルを感じた。 スタイルをもったハード・ボイルド作家は日本では、稀有なことである。 主人公はわりとボコボコにされるが、またルックスもぼんやりしているが、なんか雰囲気があっていい。 ちょっぴりクールで、そのくせ情もある。インテリで、内省的だが、無鉄砲。 まあ、矛盾している。 そこが凡庸に見えて、ヒロイックなのだ。 男の色気、うん、ありますな。 この作家の良質な部分は冒険小説にあるのではなく、正統派ハードボイルド小説にあるように思った。 | ||||
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ハードボイルドではあるのだが、 どこかトボけた味わいがあり、一種独特の作風。 これが「シミタツ節」と呼ばれる所以なのだろう。 総体的に文章は小気味よく、 バイオレンス場面になると短いセンテンスが連続する。 ラストは「ハードボイルドにあるまじき!?」とも思ったが、 これはハードボイルド小説というより、シミタツ小説。 作者自身の自己陶酔をときどき感じるくだりもあるけれど、 読者もしっかりと酔わせてくれるので、よしとしよう。 | ||||
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映画化されたと聞いて読んでみた。 途中までは、「なんでこの作品を映画化しようと思ったのか?」と思っていたのだが、終盤の展開と登場人物たちの言葉などを聞き納得した。 特にそう感じさせれたのは、ラスト直前の主人公・波多野と敬愛女学園・学長の神山節雄との会話。 組織を大きくしていくことの苦労、大きくなりすぎたがゆえに起きる問題、そして膿、そして一歩を踏み出すことの大変さと勇気を教えられた。 大組織に属したこともない人間がこんなことを言うのはチャンチャラおかしいといわれるかもしれないが、このことは常に頭に置いていきたいと思う。 映画は近くの映画館でやっていないのでDVDが出るまで待つことになる。 人間は忘れる動物なので、きっとその時も今回と同じようなことを思わされることだろう。 | ||||
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映画作品があることを知り読んでみることにしました。ミス1位の前情報を全く知らずに読んだせいかもですが私は楽しませていただきました。文章もわかりづらくなく逆にテンポよく心情とか伝わってきましたよ。まあ少しご都合主義なとこありますが多少そういうところがなければ小説はなかなか成立しないかも?充分ハラハラしましたしたので☆4です。 | ||||
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主人公は塾の教師です。 彼は、十二年前恋愛スキャンダルで勤めていた学園を追われ、離婚に追い込まれていました。 そして、塾の教え子である娘の行方を捜すために、再度上京します。 その捜索の過程で、過去の彼の事件の真実、その後の学園の出来事を知ることになり、更には、学園に蔓延っている「悪」の実態を知るに至ります。 この作者の作品を読むのは初めてですが、その情景描写・心理描写に圧倒され、一気に読み通しました。 基本はハードボイルドであり、ミステリーなのですが、主人公と元妻の十二年間の鬱屈した心情が、言外に滲み出ていて、ラストでほっとさせてくれる展開は堪りません。 又、一方で都会の余りに合理的な経済優先の考え方に対する苛立ちが、文章のあちこちに見えて、二人が丹波の田舎に帰る結末の納得がゆきます。 敢えてケチをつければ、一人の平凡な教師の周りの事件や人物が、一点に収斂すると言う偶然性には問題があるかも知れません。 でも、この圧倒的な物語の展開の前には、それも余り気になりませんでした。 | ||||
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理屈じゃないんだ。 18歳年下の女と、きちんとイーブンにつきあった経験がなきゃわからんよ。 振り回し、振り回され、自分以外にあまりにも突然に持っていかれ。。。。。 ただ、この男のすごいところは「自分にちゃんと酔えてる」ところ。 中年を自任し、翻弄されることに美学を携えながらも 徹底して演じきる男の在り方。 年を重ねるとこの熱さに簡単に猜疑心を振りかける。 ラストはちょっと「軽い」ね。 二度と戻れない行きずりの街に哀愁と悔恨が降りてくる。 ぬくぬく過ごしてきた奴は読んだところでこの美学はわからんよ。 | ||||
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美味しいのだけど満腹感を得られない食事のような小説です。ストーリー的には面白いのだけど根本的に非常に無理がある部分があり、それが引っかかって納得できないものとなっています。他のレビューにも書かれているように偶然が多すぎる事と、主人公が命を掛けて少女を守る理由が無い事が大きな原因かもしれません。私は志水辰夫の本はこれが初めてで1冊で判断するのも無理があるので今、2冊目の「情事」を読み始めました。これが面白い展開であってほしいとの願いを込めて星4つにしておきました。 | ||||
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私は結構面白く読んだので、他のレビューの酷評を見てちょっとびっくりした。 確かに主人公の教え子の失踪と、主人公が昔クビになった学園の事件が繋がってしまうのは偶然すぎるし、他にも都合の良過ぎる偶然がいくつか見られた。後半の方では、いい加減警察に任せた方が良いのに単身で(しかも一介の教師が)敵に立ち向かう気持ちが理解できなかった。まあ、警察に泣きついてしまったらハードボイルドにならない訳だが・・ でも色々な突っ込みどころも含めて、エンターテイメントとして十分に楽しめると思う。 私が印象的だったのはバブル絶頂期の東京の雰囲気がとても懐かしく感じられたこと。 バブル期の再開発ブームに乗じて学園を大きくしようと画策し、 それに群がって甘い汁を吸おうとして破滅していく姿は、その後のバブル崩壊を予感させる。 自分にとってはつい最近の時代に感じるが、本書を読むとまだ携帯電話もインターネットも普及してなかった事実に気付いて、ちょっと不思議な気分になった。 | ||||
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「このミス第1位」という帯に迷うことなく読んだ。 確かに読んでいてページをめくる手が止まらなかった。 作品の構成が、あちこち飛ばずに、展開が引き続き連続していくからか。 読んでいて確かにおもしろいが、作品自体の奥行きや訴えるものが薄い。 主人公の人柄やこれまでの人生。何をかけて生きているのかが見えてこない。 なぜ、命をかけてまで行方不明の教え子を捜すのか。 自分が学園を追われた理由を追及したいのか、不正を正したいのか? いずれにしても命をかけるだけの理由にはすこしあいまいな感じ。 別れた妻との関係もはっきりしない。 最終的に、結果が上手くいった。ということなんだろうか。 その割には安易に死人が出過ぎる。 ミステリーの一番中心の骨格が細いので、後から後からいろいろ 付け足したって感じかな。 おもしろいと感じたのは事実だけど、同時に誰かの作品に似てるかな? と感じたのも事実。 そして、この著者の作品をもう1冊読もうかなと思ったのも事実。 | ||||
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『行きずりの街』は去年、16年ぶりに?急に売れて、シミタツを固定ファンから一般の人に知らしめたことになった。それだけで星4つ。 シミタツをはじめて知り、『このミス』期待でこの本から入った人は本書をミステリーじゃないと言って貶める。しかしそれはあまり正当ではない。91年頃の『このミス』は、ミステリーと言っても本格派からハードボイルド、冒険小説まで非常に広く網をかけて投票されていた。私は1位で良い作品だと思います。「なんで?」と言う人は当時のほかの作品をいろいろ読んでみて再評価したらどうでしょう。 最近のミステリーはプロットの巧妙さだけでうまい下手が言われる嫌いがあるように思うけど、シミタツはミステリーではないし、本人も認めるようにプロット作りはうまくない。本書も皆さんが指摘しているようにあまりに都合のよい展開やややステロタイプ的な人物造形があるのは否めない。だからこういうところが気になる人にはダメですね。私は、最近のミステリーはプロットを複雑にするだけに力を注いでいるように思えて、あまり評価していませんが。 シミタツのすごさはむしろ自然風景、人の情景を描く表現力でしょう。この点についてはほとんどの小説家は適わないのでは? 本書の女性像は確かに男の目線かもしれないけれど、それでも人情の機微が浮き出ているなぁと感心します。 だからこそシミタツは本書だけでなくいろいろな作品を手にとって欲しいと思うのです。 | ||||
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教え子と結婚し,それがスキャンダルと指弾されて名門高校を追われた元教師(現在は塾講師)が,塾の教え子を探す過程で,かつての追放劇の裏面を含む名門高校の暗部を知ることになる…… 「偶然」の要素が強すぎて,ミステリーとしてよくできているとは言い難い(いくら世間が狭いからといって,現代日本の大東京で,かつての敵と偶然再会するなどありうるのだろうか?)。 しかし,ハードボイルド作品として読むなら,教え子を探す過程で事実が一つ一つ淡々と明らかになってくストーリー展開にグイグイと引きつけられ,最後まで一気に読み通すことができた。 | ||||
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テンポ良く,リズミカルで巧みな心理・情景描写。それが志水節と呼ばれる名調子であることを読後に知った。 悪は悪,善は善で,その中間の濁ったキャラクターはいない。失踪した塾の教え子の足跡を辿りつつ,巨悪に独り立ち向かう主人公。燻っていた純愛の復活もあり,不撓不屈の熱き魂全開で読める,ハードボイルド・アクション・アドベンチャー・ラブストーリーだ。 絶体絶命の主人公が「殺るなら殺れ,俺は何度でも立ち上がる」ってな感じの矢吹丈的な口上を呟く場面に胸が躍った。 | ||||
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前々から書店で見かけて気になっていたのですが、何故か購入する気になりませんでした。 ところが、その後書店に行く度に気になるため購入して見ました。 結果は、正解でした。 女生徒との恋愛スキャンダルによって辞職せざるを得なくなった元高校教師が主人公 です。 ところが、十数年振りにある事情で、辞職せざるを得なかった高校と関わる事になり、命懸けでその事件を解決します。 その過程で、この主人公が辞職せざるを得なくなった背景に今回の事件と関係のある陰謀があったことが判明します。 主人公は失われた十数年を取り戻せるのでしょうか? 著者の名前すら知らなかったのですが、場面場面の描写なども優れており一気に読み終えてしまいました。 | ||||
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誰がなんと言おうと本作は「ハードボイルド小説」です。それは主人公が様々な困難や苦難、暴力、女性、裏切り、騙しなどの様々な障害と出会います。しかし彼の意思は折れません。唯一教え子を救う、という目的のみを見つめているのです。それを達成まで彼の意思は貫かれています。主人公の人生にもバックグランドが当然あり、それは会話から理解できるように、良いものではありません。それをまったく見せず、男の意思のみで追求していくのです。だから、物語のもう一つの柱である、別れた妻との物語も深まっていくのです。彼女との会話や仕草、波多野の思惑は読んでいて、ずっぽりその世界に引きずりこまれてしまいました。ここまで感情を書き込める作家だとは。敬服します。ラストもよかったです。言うことなしです。 新たな帯で売れ始めていると聞きましたが、良い書物が時を超え再発見されるのは、嬉しい限りです。 | ||||
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この本が売れているという。 しかも、女性読者が4割いて、いわゆるシミタツを知らない若い世代が買っていくという。 私のような20年来のシミタツファンにはうれしいことである。 この本は、シミタツをハードボイルド期と純文学期に分けると、 ハードボイルド期の晩年にあたる時期の作品であり、 この本に与えられた各賞は、この作品にではなく、デビュー以来のシミタツの著作活動に対して与えられたものという受け取り方をしていた。 それは、この作品が各賞に価するほどの水準にあるとは思えず、 推理小説と呼ぶにも、冒険小説と呼ぶにも中途半端であったからである。 正直、レベルが落ちたかなという気になったものである。 この本から志水辰夫の世界に入った人たちへ。 ハードボイルドファンの若い世代は、デビュー作から順番に読んでいくことをお勧めする。 それらは、間違いなく本作品より面白い。そしてよりハードボイルドに魅せられたなら、稲見一良や風間一輝に寄道してみるといいだろう。 また、志水辰夫の文章が気に入った方は、最近の純文学系の作品を読まれることをお勧めする。 文章の格調の高さに圧倒され、小説とはこういうものなのかと思われることだろう。 若い世代には、退屈かもしれない。そう思ったら、40歳を過ぎてから読んでみるといい。 シミタツのすごさがわかるだろう。 ちなみに、この作品は水谷豊主演で、二時間ドラマとして映像化されたことがある。 結構原作に忠実で、原作を貶めるものではなかったと記憶している。 | ||||
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久しぶりに優れたミステリを読んだ。ハードボイルドに恋愛小説の味付けもされていて大変おもしろく一気に読み終わった。こんなにいい作家がいたことを知らないでいた。東京港区の街の描写も具体的でよく描き込まれている。文句なしの星5つ。 | ||||
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読み終わったとき、素晴らしい宝物を掘り当てたと思った。ハードボイルド恋愛小説の秀作と言ってよい。 主人公は意思の強いハードなタフガイだが、元々は正義感の強い生徒からも慕われる名門校の将来を嘱望された優秀な教師だった。今は郷里に退いて塾の教師に後半生の希望をかけている。その彼が、一転してある事件に巻き込まれる。事件を追って東京に出てきた彼は、生死を賭けて事件の謎に挑む。事件の展開、主人公の行動に息を飲ませるような迫力とスリルがある。 これは、ハードボイルド小説だが、同時に、恋愛小説でもある。かつて激しく愛し合って結婚し、外的事情からやむを得ず別れなければならなかった夫婦の再びの愛が、濃密に描かれていて、心に沁みる。ハッピーエンドにもほっとする。 しかし、この小説が、レビュウアーたちに評判がよくないのはどうしてだろうか。決してそう低く評価されるような作品ではない。筋に無理があったり、偶然が重なったりするというが、それは世界のどんな名作にも見られることだ、筋に多少とも無理のない小説など先ずない。登場人物の夫々の個性が見事に描き分けられ最後までぶれがなく、各人の個性の絡み合いによって、自然に物事が進行して行く。心情、情景描写も確かである。これから読まれる方は、先入見なしに読んでいただきたいと思う。 事実は小説よりも奇なりという。どんな不思議な人生もあり得るのである。これは、再会したかつての妻への愛に心惹かれつつも、教師である自分を慕う葛藤から東京へ家出した教え子の女生徒を救うべく大冒険を余儀なくされた勇敢な一人の男の物語である。 | ||||
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