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1Q84



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【この小説が収録されている参考書籍】
1Q84 BOOK 1
1Q84 BOOK 2
1Q84 BOOK 3

1Q84の評価: 3.66/5点 レビュー 986件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.66pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全986件 321~340 17/50ページ
No.666:
(5pt)

認知的世界の物語的現実

これは現実の大地に足をつけたファンタジーであり、ファンタジーの世界の現実である。
1Q84年は、どこか遠い星のできごとではなく、「あったかもしれない」可能性の世界であり、わたしたちが生きている“いま”の時代と根っこでつながっている場所なのだ。
G・オーウェルは未来の可能性について書き、村上春樹は現在の蓋然性を描いたと言える。それは小説でなければできないことである。

著者は1984年とよく似た、しかし「どこか違う」1Q84年を設定することで、読者に、単なる想像の世界ではない「浮遊感のある現実」を提示した。
2つの月は、主人公の二人が“出会っていたかもしれない可能性”を示しているが(天吾が2つの月に気付いたことが2人の出会いにつながる)、同時に“異なる現実”を読者に認識させるための小道具でもあり、2人の主人公をのぞく1Q84年の登場人物にとっては大きな意味をもたない(もしかすると私たちが見ている月も2つあるのかもしれない)。

物語は、主人公の青豆が首都高の渋滞に巻き込まれる場面からはじまる。この書き出しは秀逸だと思う。
これまでの村上作品にあった、並行世界という舞台装置の作為的なぎこちなさが取り払われ、読者は主人公とともに、文字通り“知らない間に”1Q84の物語世界に引き込まれていく。一方もうひとりの主人公、天吾は知り合いの編集者からある企てを持ちかけられる…

本作品でもっとも議論を呼ぶと思われるのは、宗教に関する描写であろう。
著者は、あのオウム真理教事件に際して被害者と信者にインタビューを重ね、2冊を刊行している。わかることはわかって反論するところは反論した上で、神秘的(極端に主観性が強い)な領域に関しては、あくまでわからないという不可知論的立場をたもっているように見える。
本文中では「さきがけ」のリーダーの言葉を借りて、小説の構造と自身の疑問を明らかにしているが(※ただし答えは提示されない)、人間の認知能力(主観)が、現実世界とどのようにつながっているか(またはいないか)についての問題提起としてとらえることも可能だろう。
宗教に対する見解も(あくまでフィクションということを前提とした上で)、人間自身の内部(主観)と外部(社会)の問題として整理する視点で見れば、比較的公平な書き方に近いのではないか。

この小説は読者によっては自身の内面を写し出す鏡のような役割を果たすもので、読者がもうひとつの現実について思いをめぐらせるとすれば、著者のねらいは成功していると言えるだろう。
結論は読み手にゆだねられているが、諸説ある中で自分が気に入っているのは次のようなものだ。

 いまここに君がいることに、どんな意味があるんだろう
 君と現実の世界で出会って、いまの時代を生きている
 もしかしたら、なかったかもしれない現実について考えることで、
 僕たちは、そのかけがえのなさ(と同時に救いのなさ)を知るのだ
1Q84 BOOK 1Amazon書評・レビュー:1Q84 BOOK 1より
4103534222
No.665:
(5pt)

癒しの過程としてとらえるなら

3度の再読後の感想。

「作家は自身が一冊の本なんだ。一作だけ翻訳しても彼の身体の一部を切りとったにすぎない」''ある欧州の作家/翻訳家の言葉。
「作家の全作品が長い道筋として感知される」と書いたのは、ミラン・クンデラ。これは別の本のレビューからの引用ですが、村上春樹の1Q84、全3巻についてもそのまま言えることのように思います。

心のある部分を再生できないまま、それを抱えながら小説家として歩んできた自身の癒しのメカニズムが、これからの作品の中で、どのように変化を遂げていくのか・・・期待を込めて。(特にファンというわけではありませんが、一応初期の作品から読んでいます。それゆえに才能の使い方が残念に思う)
1Q84 BOOK 3Amazon書評・レビュー:1Q84 BOOK 3より
4103534257
No.664:
(3pt)

「続編」があるのかな?

20年以上前「羊をめぐる冒険」の出版を待ちきれずに雑誌「群像」
を読み、その面白さに引き込まれました。
また 訳本、特に Raymond Carverは、原書で読むようになりました。
それから、だんだんと村上作品に疎遠になって行きましたが、短編や、
音楽 特にJAZZに関するエッセイは、とても面白く、今も読み返します。

この話題作、3冊の長編を 仕事-決算という毎度の心理的な重圧
の「反作用」もあってか、遅ればせながら手にとって
通勤の道すがらに読み終えました。「”やれやれ”学生時代 
試験前に文庫本を手に取る習慣がまだ抜けない。」

さて、本作ですが百家争鳴のコメントも判るような気がします。
物語を進める脇役、また猥雑さも平板に思える。
純粋さも「ノルウェイの森」を思わせるサナトリウムで培養される
病的で違和感を感じる。

文章は 「内田百閧」が、逆に印象に残るぐらいで、
無論 長編の物語を牽引していくには、そこに
拘泥できないのでしょうが、でも 比喩がうまい
とも特に思えない。

でも、結末?の青豆と天吾の戻った世界の「エッソの虎が逆向き?」
「牛河の口から出たリトル・ピープルは?」等 気懸かりと言えば
気がかり。続編が出たら、読みたい、ということは、やはり
面白かった、ということでしょう。


1Q84 BOOK 3Amazon書評・レビュー:1Q84 BOOK 3より
4103534257
No.663:
(4pt)

通りすがりの一読者として

長い物語の始まりです。


(私は、熱烈な村上春樹ファンでなく、通りすがりの、一読者の感想です)

自分自身が読んだのは、BOOK3まで出版されている時期です。すぐに、続きを読もうと思わなければ、ワクワク感や次の展開が楽しみなどの余韻が残りました。(実際、BOOK2を読み始めるまで、2〜3週間あきました)

ただBOOK3まで、立て続けに読む環境の中では、読者によっては、感想も変わり、また性的表現も含まれますので、嫌悪を感じる方もいるかもしれません。 (これは、村上春樹作品に馴れ親しんでいる方とは、感想が変わると思います)

基準点を3点とし、今回は4点としました。
1Q84 BOOK 1Amazon書評・レビュー:1Q84 BOOK 1より
4103534222
No.662:
(3pt)

通りすがりの一読者として

長い物語の2巻目です。


(私は、熱烈な村上春樹ファンでなく、通りすがりの、一読者の感想です)

私はBOOK1には、基準点を3点とし、4点の評価をしました。続きが楽しみで、このBOOK2を読み始めましたが、中盤以降は、著者特有の表現を窮屈に感じ、楽しんでいない自分がいました。
(村上春樹作品に馴れ親しんでいる方とは感想が変わると思います)

ただBOOK3まで読んだ感想としては、BOOK3の中で疑問や不思議に思ったことは、BOOK2の中に隠れていて『あの時、ああいう事だったんだ』というようなセリフや描写がある気がしました。
また、中盤以降が物語の転機となります。


基準点を3点とし、中盤以降の窮屈さ、しかし上記に述べてるセリフや描写の、感想で評価を3点としました。

1Q84 BOOK 2Amazon書評・レビュー:1Q84 BOOK 2より
4103534230
No.661:
(1pt)

この作者は勉強が足りないな。

こんな本じゃ、一般の人は二ページぐらいしか読まないだろうな。
つまらないと言われても仕方ない。

売れたのは1Q84が「IQ84」に見えるからだろうな。
話の構成やら読ませるための構造になってねぇよ。

こんなの素人のオナニー漫画である同人誌と大差なし

小説は買ってから読むからつまらなくても売れる
漫画は面白くなければ売れない。

話題性で売れたんだからラッキーな作家だな。
1Q84 BOOK 1Amazon書評・レビュー:1Q84 BOOK 1より
4103534222
No.660:
(5pt)

大変なことになってます。

ようやく読み終えましたが、1Q84はどんどん先を読みたくなってしまって、ナカナカ大変でした。
ムラカミ作品には珍しい終わり方でしたが、現実と空想とサスペンスとお伽噺とエロス(笑)。
また良い作品に出会えたと思います。次は3年後ぐらいですかね...。楽しみに待ってます。
1Q84 BOOK 3Amazon書評・レビュー:1Q84 BOOK 3より
4103534257
No.659:
(4pt)

純愛

1Q84の完結。
素晴らしい文章力が、読ませます。
でも、あの問題は??ふかえりは??
謎。

やっぱり、恋愛小説、純愛。
癒される、BOOK3です。
1Q84 BOOK 3Amazon書評・レビュー:1Q84 BOOK 3より
4103534257
No.658:
(5pt)

面白いか面白くないかという判断

これだけのベストセラーだから、
普段村上春樹を読まない、
あるいは読書の習慣もあまりない人が手にとっていてもおかしくない。
それにしてもレビューを読んで、
これは「面白いのか」「面白くないのか」
のどちらかの判断を下している人が多いなあと。
読書ってその本がそれだけ売れるに値するほど面白いのか否かについて判断する作業への準備なのかなと。
皮肉っぽく書いてしまいましたが、
結局これは面白かったのかそれとも面白くなかったのか判断なんてつかないけれど、
とにかく読んでしまったという読書体験なんて山ほどあります。
その本を読んでどう感じたか、
というのはこんなレビューを書いておいて逆説的ですが実はどうでもいいことだと思う。
読んでるその最中、その過程が読書であり、
それから人生のどこかでその本のことが不意に思い出されるのが附随する唯一のおまけみたいなものかと。
読んでみようかどうしようか迷っている方は、
期待はずれだったらどうしよう?
面白くなかったら損するかな?
なんて考えている時間がもったいない。
お金がもったいないならまずは図書館で借りてもいいから、
読んでみるのが大切なのかなと思います。
偉そうにすみません・・・。
全然この小説そのものの評価になってませんが、
わたしはとにもかくにも迷っているならまずは迷わず読む本であることは確かだと思っています。



1Q84 BOOK 1Amazon書評・レビュー:1Q84 BOOK 1より
4103534222
No.657:
(5pt)

面白かったけどかなり物足りない。まだ続くのかな

文学作品と言うよりは並行世界SFものとしてBOOK1、BOOK2は読んできた。このBOOK3も面白かったけど、だんだんとSFっぽさは薄れ、天吾と青豆とのラブストーリーに...

それはそれで面白かったし、この終わらせかたも悪くはないんだけど、ちょっと物足りない終わらせ方というか、勿体無いなって感じ。謎は謎のまま、っていう終わり方も、まぁ分かるんだけど、残された謎が気になってしょうがない。実はまだ完結してないってことはないよね...

ふかえりの行方、リトル・ピープルやパラレルワールドの謎なんて、まだまだ話は続けられそうだし、というか、続けてもらわないと困る。自分の中で決着がつかないような読後感。これを狙ってるとしたら、村上春樹はやっぱりスゴイ作家だけどなぁ。でも、違うのかな。もともとこの展開、エンディングを考えていたとしたら、尻すぼみと言われてもしょうがないかも。そんなはずはないと思うけど、やっぱり、物足りないかも。

1Q84 BOOK 3Amazon書評・レビュー:1Q84 BOOK 3より
4103534257
No.656:
(1pt)

愚作でありましょう。

村上春樹のほとんどの小説に共通して云えることがあります。巨編ということです。小説は基本的には、長編よりかは中編、中編よりかは短編の方が、好ましいものですが、それは、長々しいものは、確実に冗長になり、最後まで読み通すのが困難、というよりも苦痛になるからであります。長編小説を読み、苦痛になるというのは、あるいは読者とその小説との相性の問題もあるのかもしれませんが、しかし、大抵の場合には、書き手の力量に問題があるように思われます。巧みに物語を構築し、洗練された文体で創造された長編小説は実は読めるし、もっと読みたくなるものであります。つまりは、巨編でも面白く読めるものもあるのであります。たとへば三島由紀夫の豊饒の海、四部作、その一作一作が誠に素晴らしく、洗練された豪奢な小説となっておりますので、巨編ですが、読書が甘美なものに感じられることでしょう。幾何学的精神によって、論理的に構築された構想に、磐石の重みを感じさせながら、毒性が強く、悪の魔力を帯びた物語、そして宝石箱の中の燦然たる輝きに似た絢爛豪華な文体。読ませる魅力があります。それこそ、三島由紀夫の腕力なのであります。少しく脱線しましたが、ともかく長編でも、あるいは巨編でも、読める小説は読めるのです。村上春樹の小説は読めません。ほとんどの作品が巨編過ぎるので、了読不可能なんです。大した腕力もないくせに巨編を書けば読むに耐えないものに成り果てる事ぐらい自覚してほしいものです。最早、高い価格で売り捌く為の商業目的のような小説としか思えません。なんて狡猾で、傲慢な作家なんでしょう。そういえば、彼は、カフカに魅了され、かなりの影響を受けたらしいのですが、カフカを本当に読んでるのか、いささか疑問です。よしんば読んでいても吸収しきれてないのでしょう。安部公房とは対極的ですね。天賦の才という言葉の通り、生まれつき才能がある者は確かにいて、あとはその上でその能力の原石を磨くか磨かないかで、その道のプロになれるか否かが決定されるのでありましょう。無論、プロになっても、生きているうちに、成功をおさめられるかどうかは運次第でありましょう。もし、村上春樹が成功者であるならば、それは、とにかく才能以上に運があったということですね。まぁ、運も才能のうちという言葉もありますが。しかし、安部公房や三島由紀夫は、運と才能とを兼ね備えた真のプロフェッショナルであったことは間違いないでしょう。
1Q84 BOOK 1Amazon書評・レビュー:1Q84 BOOK 1より
4103534222
No.655:
(5pt)

宗教について

なにか宗教団体の無差別テロとか、メディアが教えてくれない事実や犯罪なんかを彷彿とさせる。被害者には分かるパラレルワールドへの囲い込み感覚にインスパイアされた物語で、社会問題を見つめているのかもしれない。世の中は比喩に満ちていて。

いろいろな人に癒しがおとずれる日が来ますように、青豆と彼が再会したように、大切なものを思い出すように。
1Q84 BOOK 1Amazon書評・レビュー:1Q84 BOOK 1より
4103534222
No.654:
(1pt)

「やれやれ」な作品。春樹ファンでもがっかり。

「ノルウエーの森」「アンダーグランド」「約束された場所で」が、好きなものです。
まったく、中身のない、メッセージも、心に残ることもない、最悪の作品でした。
せっかく、オウムや新興宗教の研究をしたのに、こんな作品にしかならなくて残念です。
全然、読書が進まなかった。時間が、かかった。
なんとか無理やり3まで読みこんだ。最後になにか、すごいことがおこるのかと。
村上作品が、こんな状態であるはずがないという、期待感のためか。
結局、何も残らなかった。お金も無駄だけど、時間はもっと無駄だった。
つまらない小説は、誰が書いたものでも、途中で捨てなさい、とう教訓をしみじみとかみしめた。

こんな駄作をさんざん宣伝して、はじめて村上を読む人たちを、がっかりさせてしまった罪は重い。
もうけ主義の出版社は、反省しなさい。
それにのっかってしまった、村上さんも反省すべきか。(笑)
それに乗っかった消費者も悪いのか。(笑)
読まないほうがいいですよ、この作品は。
やれやれ・・・

1Q84 BOOK 1Amazon書評・レビュー:1Q84 BOOK 1より
4103534222
No.653:
(5pt)

BOOK1同様、非常に面白く優れた作品

これまでBOOK1とBOOK2を読んだが、どちらも物語に引き込まれて非常に面白かった。

表現の豊かさ、洗練された技巧的な文章、モダンな洒落た会話、意表を突く物語の展開はBOOK1と同じくすばらしいと思った。

登場人物にはBOOK1を読んでいるときよりも感情移入させられた。天吾と青豆の幸福を願わざるをえなかった。BOOK2の時点での青豆の結果には非常に残念だ、と思わせてくれる。

BOOK2では光と影、天使と悪魔といった古典的な(「古典的」に否定的なニュアンスは意図していない)図式で物語は展開される。私としては「悪」をもう少し悪らしく描いて欲しかった。この物語(BOOK2)の「悪」は外見が可愛らしいし、善の衣を纏うこと(偽善性)もあまりなく、知性(狡猾さ)も力も不充分に感じた。「悪」には単純な感情的な反応は見せないでもらいたい。

まだ解決されていない問題や謎は多く、物語は始まったばかりという印象だ。最初発売はBOOK2までだったので、覚えていないが、もしこのときBOOK3の出版が公にされていなかったとしたら、読者は満足しなかっただろう。

天吾の子どものころに受けた心の傷や過去へのわだかまりが或る程度解決されたことはよかったと思う。ただ、それぞれの読者が抱える傷や過去の問題を解決する一般的なヒントにはなりにくいかもしれない。他のレビューにも書かれているが、この物語から何か人生の指針のようなものを得るのは難しいだろう。私はこの作品から優れた文学的表現やストーリーの巧みさを楽しんだ。この作品にも(どこに書かれていたか忘れてしまったが)『空気さなぎ』という小説が読者を最後まで惹きつけながら作品を終えるだけでも十分すごいことではないかというようなことを確か天吾に語らせていたが、意外とそれが村上の小説に望むことへの本音なのかもしれない。
1Q84 BOOK 2Amazon書評・レビュー:1Q84 BOOK 2より
4103534230
No.652:
(3pt)

もう一度読みたくなるか?

良い作品の判断基準が、読み終えた後に、また読みたいと思うかどうかである。

残念ながら、ノルウェーの森のように再読したい、と少しも思えなかった。

結論から言えば、会話と話の流れが一方的過ぎるのである。

会話のやり取りで、釈然としないのは、発言した後のセリフが全てお見通しのような返しで収まっている点だ。

謎めいたセリフやら、難しいくだりを発言した後に、みんな物分かりがよいもんだから、このセリフが重要なのかどうかが全くわからなかった。

春樹氏は、人と会話するのが嫌いなのではなかろうか?

2つの月、リトルピープルの世界観が良かっただけに、残念である。
1Q84 BOOK 3Amazon書評・レビュー:1Q84 BOOK 3より
4103534257
No.651:
(2pt)

アイテムに頼りすぎかな。

文章は面白かった。
文学的なことは、私にはよくわからない。
ただ、この本に救いや共感を求めると、何か違うと思いました。
実体験として同じような子供時代を送った私からすると…
いろいろ出てくるアイテムに頼りすぎだでした。自分を受け入れてくれる他者がひとりでもいれば…というのは共感できました。ただ、何かの比喩表現なのかもしれないけど、不可思議な出来事や人に物事を進展させていて、悪い言い方をすれば、流されがちなオタク的なご都合主義を感じました…。
もっともっと、こういう経験をした者は、自分から湧き上がってくる力で這い上がらないと、うまく生きていけない。
音楽を効果に使っていたりするので、この話は、音楽のように流しながら、ファンタジックな読み物として楽しむべきものか…。なら良いか。
1Q84 BOOK 3Amazon書評・レビュー:1Q84 BOOK 3より
4103534257
No.650:
(3pt)

こういうラブストーリもいいね。

村上春樹の小説がはじめて面白いと感じた。
10年前と比べ、自分の世界が拡がったことを気づかせてくれた。

本書は作中の言葉をかりると「多義的で暗示的」である。
読み手ひとりひとりに多様な解釈をさせ、各自が自分に向けられた暗黙のメッセージを受信する。

ストーリーが進むにつれ幻想的な世界に引き込まれる。
実際に月が二つあるのではないかと、何度か夜空を見上げたりもした。

こういうラブストーリもいいね。
1Q84 BOOK 1Amazon書評・レビュー:1Q84 BOOK 1より
4103534222
No.649:
(5pt)

何が善なるものであれ、何が悪なるものであれ、これからは私が原理であり、私が方向なのだ

Book 1,2,3とも発売当初に読んでしまっていたのだが、今般ゆっくりと再読。
Book3の初読時については、結末が知りたい一心で先へ先へページをめくり、
だいぶ読み飛ばしてしまっていた。時を置いて再読することによって
(「牛河」の視点を導入し物語の「動き」を補っている部分はあるにせよ)
改めてこの作品が「青豆」と「天吾」のロマン=小説であることが印象付けられる。

このBook3においては、あれだけ暴れていたリトル・ピープルが、
その「声を聴くもの」の消滅により、一転その活動を鈍らせる。
代わりに前面に出てくるのは、主人公二人の深い深い場所での結びつきである。
メインキャラクター二人がほとんど物理的空間を移動しないという
異常なシチュエーションの中、濃密な人と人との関係性が描かれていく。

異世界を舞台にした作品ではある。パラレルワールドものとしては
中途半端なSFにとどまっているのは間違いない。
しかし「この世界」であれ、「あの世界」であれ、
血の通う私たちがそこで生きていかなければならない、
という事実に変わりは無い。
しかし本書で作者がもう一歩その歩みを進めているのは、
「ここにいることは私自身の主体的な意思でもあるのだ。(p476)」
とその運命にも似た何かを自らの手で選び取る覚悟である。
「何が善なるものであれ、何が悪なるものであれ、
これからは私が原理であり、私が方向なのだ(p531)」
この強いメッセージから、作者がこれからどこへ向かおうとしているかは
判らない。しかしこれからも否応無く惹きつけられるのは間違いない。

1Q84 BOOK 3Amazon書評・レビュー:1Q84 BOOK 3より
4103534257
No.648:
(5pt)

非常に面白い優れた作品 (ただ、宗教への無理解は残念)

今のところBOOK1だけを読んだが、とても面白い小説だと思った。

たとえば、すっきりしない、落ち着かない気持ちを「すっきりしない、落ち着かない気持ち」と表現することは平凡なことであり、このような表現は人を楽しませることができず、飽きをもたらすし、美しくない。このすっきりしない、落ち着かない気持ちを作家たちはできるかぎり技巧的で美しく新鮮に表現しようとする。また、作品の中で同じ語彙を繰り返さずに、洒脱な会話を展開させようとしたりする。当たり前のことかもしれないが、村上春樹はそのような文学的技術に卓越していると思う。たとえば、彼はすっきりしない、落ち着かない気持ちを「厚い雲の切れ端を何かと間違えて呑み込んでしまった人のように、すっきりしない、落ち着かない気持ち」と表現する。このような優れた新鮮な技巧的表現が約550ページに渡ってほぼ間断なく展開されることに驚かされる。

ストーリーもエンターテイメント性に富み、先が予想できず、この先どのように展開して行くのかと人を惹き付けるものになっていると思う。登場人物も個性的かつ魅力的に生き生きと描かれている。

この本が他の村上作品と共通している点をいくつか挙げてみたい。
・繊細な心の人間には特に負担となるような人間関係や社会的しがらみからできるかぎり離れた平穏でひっそりとした「楽な」生活が村上のおそらく一つの理想だと思われることをうかがわせる。しかし、物語の中ではそのような「理想的」生活は大きく乱されて行く。
・性と暴力への強い関心。
・現実世界には存在しない不可思議な容易に理解を許さない謎の存在の登場。
・人生の不可解さの強調とその中での生き方の模索。
・人と違う特質を持つ人間は人間社会、特に子どもの社会ではいじめられ、孤立を招く要素となるという主張。

これに対して、今回の作品(BOOK1)に特徴的だと思われる点をいくつか挙げてみる。
・宗教への関心ないし反感。
・子どもの頃に受ける深い傷とその後の人生へもたらす大きなないし決定的な影響への並みならぬ関心。
・他人を平気で傷つけるような俗悪な人間への嫌悪。そのような人間の存在への問題意識。(このことは他の作品にも見られるかもしれない。)

ここでは村上における宗教に関連することを書いてみたい。

他でも言われているようだが、私見でも村上の宗教理解は浅い。この作品では宗教が批判的に書かれているが、取り上げられるのはキリスト教でもかなり異端的な分派とカルト的な新興宗教であり、また、歴史を持つ既成宗教に関しても語られるのはその本質ではなく(おそらく村上は本質を理解していない)、歴史上誤った形で現れてしまった派生的な負の側面にすぎない。

村上は「神」に関心がないとどこかで書いていたのを読んだことがあるが、その「神」への無理解こそが、村上の作品の深みに限界を与えてしまっていると思われる。この無理解は彼が卓越した想像力と表現力を持っているにも関わらず、ドストエフスキーには及ばない決定的な理由だと思う。容易な理解を許さない大きな力を持った(ただし有限の)存在を登場させても、この世界の謎を解き明かすことはできないと思われる。そのような存在は人工的な側面が強く、単なる「文学的な遊び」的な存在で人々に新たな発見的「理解」をもたらすことはなく、作品に深みを与えることはできないだろう。そもそも村上に世界の謎を明らかにする意図はないかもしれないけれども。世界について本質的なことを知りたければ、「神」に関わらざるを得ないと思われる。少なくとも歴史の深い既成宗教の多くは一致してそう考えていると思われる。(仏教でも「空」ないし「無」は「神」に当たると思われる。)

「神」不在で生きることによる無自覚的な不安と欲求不満が、その大きなはけ口であり、一時的(かつ虚しい)解消法である性と暴力への関心に村上を向かわせていると思われる。

私としては村上が、日本という特定の地域の現代という一時代の単なる優勢な思潮にすぎない唯物論と無神論に流されず、きちんとした宗教を真剣に学んだ後の作品を読んでみたい。
1Q84 BOOK 1Amazon書評・レビュー:1Q84 BOOK 1より
4103534222
No.647:
(3pt)

最初に冷や汗箇所あり

BOOK1後半から引き継いだオカルト的な緊張感をBOOK2で見事に始めの方で牛河と天吾の電話で受け継いでいる。
読んでいて冷や汗ものの感覚だ。
牛河の描写はとても身なり外見ともにこの上なくセンスが無く悪くな感じがして想像するだけで面白い。
醜悪な外見とは反対に温厚なところが見受けられて、この正反対な内と外とのキャラクターにはとても興味を引かれる。

タマルの心情や過去の風景が殺伐としていて何かにすがるように生きている幼馴じみなどが読んでいて興味深かった。

これらの登場人物で面白くスラスラと読めてしまうが
青豆の暗殺をした後での読みどころである短かい逃亡シーンで稚拙さが出てしまっている。
逃亡に電車やタクシーを使おうとするところなど会社帰りのOLではあるまいし、
ましてや行き先を告げてしまうなどかなりの失態だ。
暗殺前の持ち物検査も子供を相手にしているようで緊張感もスピードダウンしてしまい逃亡で読むページも遅くなってしまう。

もうちょっと一流のサスペンスなら用意してある架空ナンバーの車で逃げるなどのサバイバル要素や偶然の重なり合いで
逃げ切る逃亡劇を用意して欲しかった。
せっかく強く長い腕を持っている組織が相手なのに。
作者はあまりこのシーンは重要と考えてはいないのか力を抜いているような気がする。
それか恋愛小説主流で慣れていないのかとても残念だ。

暗殺を終えてから面白さがスピードダウンしてしまうがこれからの牛河の登場が期待で何とか読み終えた。

1Q84 BOOK 2Amazon書評・レビュー:1Q84 BOOK 2より
4103534230

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