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黒猫館の殺人
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黒猫館の殺人の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.44pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全107件 41~60 3/6ページ
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むかし出たばかりのノベルスで旧版(92年4月刊)を読み、今回は「新装改訂版」ということで再読。メインのトリック(裏表紙にある惹句「世界が揺らぐような真実」かどうかはともかく)はもとより、登場人物やストーリー展開の概略は旧版のままのようで、作者の「新装改訂版あとがき」によれば、実際、要は読みやすくした程度の改訂だとのこと。 という次第で、読むにつれ、22年前の読後の記憶が徐々によみがえってきた一方、最後までどうしてもインパクトは弱いままだった。このあたり、作者の責任ではないとは思うものの、何を狙って新装改訂版にしたのか、いまひとつ不分明で、☆はやはり三つどまりとなる。 | ||||
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面白いですよ。 ミステリを読みなれた方なら、 この作品中に たぶんいくつかの伏線を見つけ、 やすやすと犯人やその動機を看破できるだろうとは 思います。 また、いわゆる『水車館』や『時計館』のような 重量級の作品ではないのですが。 それでも面白いな。 現在と過去の構成や、事件の複数のヤマ場や この事件に横たわっている歴史。 館ファンなら「はい、キタ〜!」展開。 たまりませんよ。 ミステリは読んで面白くなくちゃ。 | ||||
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綾辻氏の館シリーズとしては犯人当て(読めばすぐこの人が実は・・で犯人なのだろうなと分かってしまう・・・)よりは全編に書き込まれた違和感のある記述をネタにして最後で犯人当て以上の○の○○当て趣向が炸裂するちょっと変わった一編。密室殺人のトリックなんかはもう今時このトリックかよっていう投げやり過ぎるものなんですが、殺人事件以外の仕込みネタはけっこう効果を上げていると思う。館シリーズの中ではけっこう好きな作品である。 | ||||
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記憶喪失となった老人の正体、それは彼の手記を見ていれば分かること。 密室殺人の謎解きも、本文中に書かれたヒントを読み取って行けば分かること。 本当の肝はそこではなかった。トリックに対する謎解きではなく、黒猫館そのものの謎解きこそが、 今回読者に与えられた使命でした。 本文中、老人の手記に違和感を覚えながらも、でもそこまで考えが及ばなかった。 でも綾辻作品のもっとも尊敬すべきところは「あああああああ! 言われてみればそうでした!」 と清々しいほど鮮やかに納得させてくれるところ。今回もそれが顕著に語られていました。 「殺人事件の謎が解けたくらいでいい気になってんじゃねぇよ。問題はそこじゃねぇよ、綾辻作品はそんなに軽くねぇよ」 と、自分自身に言い聞かせて今後も綾辻作品に挑戦したいと思います。 いやぁ、ほんと。期待を裏切らない人だなぁ。 | ||||
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素行錯誤を繰り返しながら、作者が到達した館シリーズの頂点がこの作品だと思う。徹底的に張り巡らされた伏線、天地がひっくり返るほど大きなトリックを使いながらもフーダニットの形にまとまっている所など、全てを集約した感がある。何よりも、読者がイメージしていた風景が全て覆されるラストシーンは圧巻。キャッチコピーは「6つめの館への御招待」・・まさしく裏切られることはない。 | ||||
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評価は分かれているようですが、私は「館」シリーズの中で一番好きな作品です。 前作、「時計館」「水車館」は途中でトリックと犯人に気付いてしまったので、ミステリー本来の「後半の楽しみ」が 半減してしまいました。(これは読者側である私の問題ですが・・・) 「黒猫館」も途中で、「真相の一つ」には気づいてしまったのですが「残り20%の真相」には全く気付きませんでした。 読んだ後に「やられた!」と心地よい感覚になったものです。 同様に「人形館」も結構好きな作品です。心理の盲点を突くようなところが良いと思いました。 | ||||
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十角館から読んでいるが、一番ダメな作品だと思う。 ○ 話の芯が希薄だと感じる。提示される謎のメインは、黒猫館は何処か、老人は本当に手記の主か、レナを殺したのは誰か、密室トリックは何か、であるのだが、それらの関連性が今ひとつ弱い。 ○ 老人の正体は、冒頭の登場人物紹介の欄で既にわかるレベル。もう少し工夫が欲しい。いくらなんでも違うだろうと思っていたら、そうだったので、ある意味意外だった。 ○ 老人に関してであるが「老人は手記を書いた主なのか、手記はフィクションなのかノンフィクションなのか」という疑問から始まっているのに、最終的には「老人は誰か」にすり替わってしまい、ストレートな謎解き爽快感が薄れてしまっている。 ○ 密室トリックは、基本的には大した事ないのだが「その場所で、その状況だと無理」という前提がある。しかしそのこと自体に直接触れていないので、わかりにくい。 つまり作者に騙されている時点で「あの方法は、どうして使えないの?」という謎を読者が自らの力で思いついて、初めて、タネがわかる一要素になる仕組みになっている。 要するに、読者に明確に謎を提示すればタネがばれるし、そうしなければ謎自体に気づきにくいというジレンマに陥っており、私としてはその時点で失敗だと感じる。 ○ 黒猫館がどこにあるかという謎であるが、この部分はアイデア倒れというか、最初にこのアイデアがあったので、あとで無理無理ストーリーにしたという感じだ。黒猫館が何処かだけでは一冊かけないので、仕方なく色々付け足したツギハギ感が否めない。 作者側が黒猫館が何処にあるかの謎を書きたいが為に、手記形式にしたようなものだし、極端に言えば根本的には殺人が"黒猫館"で起きる必然性がない。 「黒猫館だから、こういう事件が起こった」というのではなく、「こういう事件が起こり、それを手記形式にする為には、(一定条件の元で)黒猫館でなくてはならなかった」となっているわけである。 これでは本末転倒に近いのではないか。 ○ 伏線の中には、確信に直接つながるにも拘らず、ある程度の予備知識がなくてはわからないものが複数ある。 その事について少し知っている読者でも、謎解き前に真相にたどり着きたければ、この本以外に調べなくてはならず、ほとんど知らない読者は、全く気づかない代物だ。また一般の日本人として、それを知っていて当然かと言えば、私は疑問に思う。 そういうものを複数伏線として使うのはアンフェアだと感じる。 ○ これまでの館シリーズを通じて探偵役の姿勢には若干の疑問を感じる。犯人を推理し、それが当たっていた場合でも、基本的に放置する態度をとってきたからだ。 館シリーズの被害者の中には、殺されても仕方ないかも、と思わせる人物もいるが、どう考えても単なる巻き添えで殺された人も多い。 その人や遺族の無念を考えると、どうなのよと、思ってしまう。まぁ、色々と理屈は並べたてているけどね。 探偵役の家族が巻き添えで殺された時も同じ事を言えるのか、是非しりたいところである。 ○ あとどうしても個人的に納得がいかないのだが、伏線として、あの人が「〜で〜を〜る」というのがある。私は普通だけれども、そっちは使わないんだよなぁ……。 | ||||
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物語の構成は悪くないし、舘の設定も良いですが… 複雑な人間模様で中盤まではなかなか面白いです。 が、オチが駄目ですね。なんか投げやりな感じです…。ミステリーとしてはトリックや動機が薄い。小説としては浅く淡白なまとめ。 良く練られているし、綾辻さんらしい作品ですがつまらない…そう思います。 わたしは館シリーズの中では一番評価が低いですね。この方ならもっと面白くできるはずですよ。 | ||||
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綾辻作品・館シリーズを読み始めたきっかけの一冊でしたが、続いて『十角館』『人形館』『時計館』『水車館』『迷路館』と読んだあとになると…うーんって感じ。つまんなくはないんだけどね、読後感もあまり良くないし…。やっぱり犯人は何らかの形で裁かれて欲しいしね。 | ||||
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評価が分かれる作品のようですが、時間的、空間的に奥行きがあり楽しめました。とくに、空間的(距離的)には、どうせやるならこれぐらいのトリックを、どーんとやってくれという感じです。 一方で、細かすぎる伏線が気になる方もいるようですが、私は謎解きに、ふんふんと素直に納得し、思わず胸に手を当ててしまいました。 ミステリーの極大と極小を、あわせて味わえる作品です。 | ||||
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評価が分かれる作品のようですが、時間的、空間的に奥行きがあり楽しめました。とくに、空間的(距離的)には、どうせやるならこれぐらいのトリックを、どーんとやってくれという感じです。 一方で、細かすぎる伏線が気になる方もいるようですが、私は謎解きに、ふんふんと素直に納得し、思わず胸に手を当ててしまいました。 ミステリーの極大と極小を、あわせて味わえる作品です。 | ||||
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館シリーズの第六作は平成四年発刊。四作目の「人形館の殺人」と並んで異色作だ。 記憶喪失に陥った男の手元にあった手記の内容と、リアルタイムの出来事が交互に 展開される。手記に書かれている衝撃の殺人は事実なのか?黒猫館はどこに?男は 本当に鮎田冬馬なのか?読み進めながら、深まっていく謎。注意深い読者は手記に 流れている"違和感"を察知するはずだ。そこに推理が加われば作者の"たくらみ"を 見抜けるかも知れない。「黒猫」とくればポーだが、他にも著名な小説のオマージュが 加わっている。その辺りにもトリックのヒントが隠されているかもしれないし・・・果たして。 探偵作家にもそれぞれ作風があるが、綾辻氏の場合はいかに読者を騙すかに力点を 置いているように感じられる。別の言いかたをすれば、騙しのために筋立てを用意して いる。その筋立てと騙しネタが噛み合ったときは名作となるが、ハズしてしまうと何とも ピンと来ない読後感になる恐れもある。その意味でこれまでのシリーズ作品に比べると 賛否両論ありそうだ。探偵小説通の読者なら楽しめる要素は詰まっているとは思うが。 | ||||
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館シリーズの第六作は平成四年発刊。四作目の「人形館の殺人」と並んで異色作だ。 記憶喪失に陥った男の手元にあった手記の内容と、リアルタイムの出来事が交互に 展開される。手記に書かれている衝撃の殺人は事実なのか?黒猫館はどこに?男は 本当に鮎田冬馬なのか?読み進めながら、深まっていく謎。注意深い読者は手記に 流れている"違和感"を察知するはずだ。そこに推理が加われば作者の"たくらみ"を 見抜けるかも知れない。「黒猫」とくればポーだが、他にも著名な小説のオマージュが 加わっている。その辺りにもトリックのヒントが隠されているかもしれないし・・・果たして。 探偵作家にもそれぞれ作風があるが、綾辻氏の場合はいかに読者を騙すかに力点を 置いているように感じられる。別の言いかたをすれば、騙しのために筋立てを用意して いる。その筋立てと騙しネタが噛み合ったときは名作となるが、ハズしてしまうと何とも ピンと来ない読後感になる恐れもある。その意味でこれまでのシリーズ作品に比べると 賛否両論ありそうだ。探偵小説通の読者なら楽しめる要素は詰まっているとは思うが。 | ||||
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推理作家・鹿谷門実のもとに、事故に巻き込まれ記憶を失った老人から 「自分が何者なのかを調べてほしい」――という奇妙な依頼が舞い込む。 手がかりとなるのは、老人が書いたと思われる「手記」のみ。 その「手記」には、建築家・中村青司が建てたという〈黒猫館〉で管理人を つとめる鮎田冬馬(老人だと思われる)が、館の持ち主の息子とその友人 たちを館に迎えた際に遭遇した奇怪な殺人事件の経緯が綴られていた。 鹿谷は、〈黒猫館〉の元の持ち主である天才的生物学者・天羽辰也について 調査をした後、真相を探るため、編集者の江南と共に北海道に向かうのだが……。 作中作(手記)を手がかりに過去の事件を読み 解く――という額縁小説の体裁が採られた本作。 本作では、老人(鮎田冬馬)の正体と〈館〉の秘密、そして、黒猫館で起きた 密室殺人の真相――という以上三点が、究明されるべき謎になっています。 その中で、〈館〉の秘密に関するトリックは、××の本歌取りなのですが、 日本でも本作に先駆けて○○が、さらにほぼ同時期に●●がという風に、 いくつか類例があります(ちなみに◎◎も重要なモチーフになっています)。 一方、老人の正体と密室殺人の真相に関しては、さほど意外性はありませ んが、どちらもフェアに伏線が張られている点は高く評価されるべきでしょう。 とくに、密室殺人のハウダニットに関しては、陳腐な物理トリックが用いられては いるものの、それを導き出すためには、まず〈館〉の秘密を究明する必要があり、 その上で、唯一の犯行手段を特定するという考え抜かれた手順となっています。 | ||||
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推理作家・鹿谷門実のもとに、事故に巻き込まれ記憶を失った老人から 「自分が何者なのかを調べてほしい」――という奇妙な依頼が舞い込む。 手がかりとなるのは、老人が書いたと思われる「手記」のみ。 その「手記」には、建築家・中村青司が建てたという〈黒猫館〉で管理人を つとめる鮎田冬馬(老人だと思われる)が、館の持ち主の息子とその友人 たちを館に迎えた際に遭遇した奇怪な殺人事件の経緯が綴られていた。 鹿谷は、〈黒猫館〉の元の持ち主である天才的生物学者・天羽辰也について 調査をした後、真相を探るため、編集者の江南と共に北海道に向かうのだが……。 作中作(手記)を手がかりに過去の事件を読み 解く――という額縁小説の体裁が採られた本作。 本作では、老人(鮎田冬馬)の正体と〈館〉の秘密、そして、黒猫館で起きた 密室殺人の真相――という以上三点が、究明されるべき謎になっています。 その中で、〈館〉の秘密に関するトリックは、××の本歌取りなのですが、 日本でも本作に先駆けて○○が、さらにほぼ同時期に●●がという風に、 いくつか類例があります(ちなみに◎◎も重要なモチーフになっています)。 一方、老人の正体と密室殺人の真相に関しては、さほど意外性はありませ んが、どちらもフェアに伏線が張られている点は高く評価されるべきでしょう。 とくに、密室殺人のハウダニットに関しては、陳腐な物理トリックが用いられては いるものの、それを導き出すためには、まず〈館〉の秘密を究明する必要があり、 その上で、唯一の犯行手段を特定するという考え抜かれた手順となっています。 | ||||
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『黒猫館』と呼ばれる屋敷の管理人が 火事で記憶喪失になっていた。 火事の時に、なぜか大事そうに日記を持っていたそうだ。 その日記に書かれていることは小説と信じたい内容であった。 ある作家にそれを調べてほしいというお願いをもらった。 調べていって、ようやく北海道にあることがわかったが、 日記のなぞが多すぎてなかなか真相がわからない。 屋敷の中へ入ると、管理人が記憶を取り戻し始める。 そして、意外な真相とは?? | ||||
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『黒猫館』と呼ばれる屋敷の管理人が 火事で記憶喪失になっていた。 火事の時に、なぜか大事そうに日記を持っていたそうだ。 その日記に書かれていることは小説と信じたい内容であった。 ある作家にそれを調べてほしいというお願いをもらった。 調べていって、ようやく北海道にあることがわかったが、 日記のなぞが多すぎてなかなか真相がわからない。 屋敷の中へ入ると、管理人が記憶を取り戻し始める。 そして、意外な真相とは?? | ||||
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綾辻って推理作家は本当に不思議な存在で,なんの脈絡もなくいきなり出てきた突然変異型だと個人的はそういう感想を持つ。完成度とか質 はなく,寧ろハチャメチャなのに奇跡みたいなデビュー作があり,その後次々と刊行した作品も多かれ少なかれ必ず開拓の要素を有している。 王道をゆく伝統的な匂いがありながらどうしようもなくデジタルで先鋭的な作風だろう。それが暴走しながらもいちよの集大成をみせたのが 館シリーズの前作『時計館の殺人』だろうが,あれを読んだ時身震いするほど感動したにもかかわらず同時に「ここまでやるか?」的な 嫌悪感があったのも正直事実だ。あの瞬間に何か完成して何か終わったと思う。 ただそこで自らに鞭打つことをやめず貪欲さを失わないところが感心。そしてこの一作なのです。アイデアは昔からあったと著者本人は 語っているが,これはアイデアというよりシステムって響きの方がちかい。限られたシステムのなかでアイデアを展開させることは 努力次第で誰にでもできるが,システムを考案・改良しろって言われても大抵できない。同時期の島田荘司『眩暈』や,我孫子武丸の 『殺戮にいたる病』なんかが出てきた流れも合わせてここが一種ミステリが変質した瞬間でありターニングポイントだと感じる。 さて御託はそのぐらいで肝心な本作の内容はといいますと,黒猫館なる屋敷でおきた殺人事件の顛末がしるされた手記がある。同時に 記憶を失った男がいた。彼はどうも書き手らしい。調査をする。その過程で読者は何か不自然で違和感があると感じながらも だんだんと綾辻の術中に嵌り支配されていく。そうしたらね最後ね思い込んでいた風景が崩壊して不思議な光景に出逢うの。。 そのカタルシスが最高。 | ||||
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綾辻って推理作家は本当に不思議な存在で,なんの脈絡もなくいきなり出てきた突然変異型だと個人的はそういう感想を持つ。完成度とか質 はなく,寧ろハチャメチャなのに奇跡みたいなデビュー作があり,その後次々と刊行した作品も多かれ少なかれ必ず開拓の要素を有している。 王道をゆく伝統的な匂いがありながらどうしようもなくデジタルで先鋭的な作風だろう。それが暴走しながらもいちよの集大成をみせたのが 館シリーズの前作『時計館の殺人』だろうが,あれを読んだ時身震いするほど感動したにもかかわらず同時に「ここまでやるか?」的な 嫌悪感があったのも正直事実だ。あの瞬間に何か完成して何か終わったと思う。 ただそこで自らに鞭打つことをやめず貪欲さを失わないところが感心。そしてこの一作なのです。アイデアは昔からあったと著者本人は 語っているが,これはアイデアというよりシステムって響きの方がちかい。限られたシステムのなかでアイデアを展開させることは 努力次第で誰にでもできるが,システムを考案・改良しろって言われても大抵できない。同時期の島田荘司『眩暈』や,我孫子武丸の 『殺戮にいたる病』なんかが出てきた流れも合わせてここが一種ミステリが変質した瞬間でありターニングポイントだと感じる。 さて御託はそのぐらいで肝心な本作の内容はといいますと,黒猫館なる屋敷でおきた殺人事件の顛末がしるされた手記がある。同時に 記憶を失った男がいた。彼はどうも書き手らしい。調査をする。その過程で読者は何か不自然で違和感があると感じながらも だんだんと綾辻の術中に嵌り支配されていく。そうしたらね最後ね思い込んでいた風景が崩壊して不思議な光景に出逢うの。。 そのカタルシスが最高。 | ||||
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アヤツジの「アリス」ミステリー。どういう風に「アリス」なのかはネタバレになるので詳述は避けるが、ヒントは「黒猫」。 本書はアヤツジらしくなく、トリックらしいトリックはない。あるのは、ただ館の謎だけ。 | ||||
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