ラインの虜囚



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初公開日(参考)2005年07月
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長編小説

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ラインの虜囚 (ミステリーランド)

2005年07月07日 ラインの虜囚 (ミステリーランド)

一八三〇年、冬、パリからライン河へ謎と冒険の旅がはじまる。旅の仲間は四人、カナダから来た少女コリンヌ、酔いどれ剣士モントラシェ、カリブの海賊王ラフィット、若き自称天才作家アレク。奇怪な塔に幽閉された仮面の男は死んだはずのナポレオンなのか?謎と冒険の旅がいまはじまった。 (「BOOK」データベースより)




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ラインの虜囚の総合評価:8.46/10点レビュー 13件。Bランク


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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(8pt)

教科書では学ばない西洋史の面白さが堪能できる

2003年から16年に掛けて講談社が企画した少年少女たちのための小説シリーズ<ミステリーランド>。
本書は田中芳樹氏がその企画のために書き下ろした1作であるが、まさに少年少女が胸躍らせる一級の娯楽冒険小説となっている。

カナダから単身フランスに渡ってきた少女コリンヌ。彼女は祖父と逢うが、祖父は自分の許を去ってカナダへ移住し、伯爵位を捨てて先住民と結婚した息子を許せず、コリンヌを孫娘と認めようとしない。代わりに出した条件はライン川の東岸にあるという『双角獣の塔』に幽閉している人物が処刑されたと云われているナポレオン皇帝か否かを確かめて50日以内に戻って来たら孫娘と認め、5000万フランの遺産も与えようという物。
タイトルの「ラインの虜囚」とはつまりこの双角獣の塔に幽閉された人物を指しており、決して某SNSに依存している人々を指しているわけではない。

そんな彼女に作家のアレクサンドル・デュマ、元海賊のジャン・ラフェット、そして身元不詳の剣士モントラシェが同行する。

デュマが同行し、更に一人の少女に彼を含めた3人のお供。そのうち2人は剣と銃の達人とくれば、これは『三銃士』以外何ものでもない。本書ではデュマはまだ駆け出しの作家だが、本書には明確に書かれていないものの、彼が経験したコリンヌとの冒険をもとに『三銃士』を著した、というのが裏設定ではないだろうか。

更に18世紀に流布していた『鉄仮面』伝説にコリンヌ達の時代にドイツで話題となっていた「カスパール・ハウザー事件」など後のデュマの作品のモチーフや当時の謎めいた逸話も盛り込まれ、まさに学校では教えてくれない世界史の、面白いエピソードに溢れている。

とにかくどんどん物語は進んでいく。この流れるような冒険の展開はヴェルヌの一連の冒険小説を彷彿とさせる。
田中氏特有の19世紀当時のフランスを筆頭にしたヨーロッパ各国の情勢、はたまた海を渡ったアメリカとカナダの状況などがほどなく平易な文章で織り込まれており、物語を読みながらそれらの知識が得られる贅沢な作りになっている。
特徴的なのは通常このような蘊蓄を盛り込む際、田中氏は自身の見解を皮肉交じりに挿入するのだが、本書では読者対象が少年少女であるためか、そのような文章は鳴りを潜め、むしろ教科書に載っていない歴史の面白さを教える教師のような語り口であるのが実に気持ちいい。

さらにパリに戻ってからコリンヌが知る真相は意外な物だ。いささか少年少女には解りにくい真相ではあるが、ちょっと聡明な子供であれば逆に大人たちの権謀詐術なども理解できる、いわばちょっとした大人入門的な役割を本書は果たしていると云えよう。

加えてやはり特筆すべきは魅力ある登場人物たちが全て実在の人物であることだろう。

作家のアレクサンドル・デュマはもはや上述している通り、説明するまでもない著名な作家だが、ジャン・ラフィットは海賊でありながらフランスの二月革命、ウィーンのメッテルニヒ宰相の追放、ポーランドの独立運動に尽力し、さらにパトロンとしてマルクスの『共産党宣言』の刊行にも助力した人物である。

またモントラシェことエティエンヌ・ジェラール准将は後にコナン・ドイルが著す勇将ジェラールその人であり、剣の達人として鳴らした人物である。
このジェラールはドイルによる創作上の人物らしい。すっかり実在の人物だと思っていた。

逆にこの中で私は主人公のコリンヌこそが唯一創作上の人物だと思ったが彼女もまた後にカナダでペンを武器にしてアメリカの奴隷解放に努めた実在の人物だった。

そんな偉人たちの偉業もまた簡略的ではあるが知識として得られる最高の冒険歴史活劇物となっている。

大人の視点から読むとコリンヌを取り巻くラフィット、モントラシェの2人の無双ぶり、またミスマッチと思われた作家デュマもその巨体を生かしたアクションであれよあれよと敵と互角に立ち向かうことで少しも主人公たちが窮地に陥らないところに物足りなさを感じるものの、本書が収められた叢書<ミステリーランド>のコンセプトである、「かつて子どもだったあなたと少年少女のために」に実に相応しい読み物であった。子供の頃に嬉々として冒険の世界に浸った読書の愉悦に浸ることが出来た。
こんな物語が書けるならば田中芳樹氏も安泰だ。未完結のシリーズ作品の今後が非常に愉しみになる、実に爽快な読み物だった。


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No.12:
(5pt)

Kindle版は4冊目。

2005年のハードカバー版は鶴田賢二の表紙絵で正面を向いた4人が厚紙ケースの丸い穴からのぞいている。
ノベルズ版の表紙絵は4人を横からで、文庫版は正面を向いた4人。
らいとすたっふ版は絵がないけれどもコンプリート目指して購入。
あとがきや解説は判型が変わってもあったが、Kindle版はいつもとおりなし。
文豪と虚実混ざった人物構成はヴィクトリア朝怪奇冒険譚の前駆的構成だと思う。
kikubonの浅井晴美さん朗読も買っていて、銀英伝15巻、中華物と合わせて入院中に聴いていた。
ラインの虜囚 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:ラインの虜囚 (講談社ノベルス)より
4061828142
No.11:
(5pt)

懐かしいです

小学生の頃、わくわくしながらどんどんページをめくっていったのを思い出しました。
今でも十分楽しめました。
ラインの虜囚 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:ラインの虜囚 (講談社ノベルス)より
4061828142
No.10:
(4pt)

届きました

背表紙にかなりの色褪せはありましたが、本自体はきれいでした。
ラインの虜囚 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:ラインの虜囚 (講談社ノベルス)より
4061828142
No.9:
(3pt)

大人の夢物語

エピローグで語られる恋情は、大人からすれば恋ではない。
彼女の感情は既に結びついた家族への想いで、いい年をした男3人が若い彼女に向ける感情の鏡映しだ。

だからこそ3人の“オジサン”は、彼女が
「わたしも女として注意したほうがいいみたいだ」
と言ったときに顔を見合わせて笑ってしまうのだ。

残念ながら、これから正午を迎える彼女には伝えきれない。
欠けるからこそ満ちる幸福があることなど、鮮やかに咲きゆく花は知らなくていい。

そんな想いが詰まったこの物語は、信じて欲しい大人の願望であり、信じて良いはずの少年へ向けたメッセージでもある。
未来は明るいと、僅かでも己の蔭りを知った俺たち「大人」は、そんなことを知らない真昼の君らに信じて欲しい。
明日は必ず今日を越えてゆくのだと、今日より明日が良い日になるのだと、俺たちは君に信じてもらえる“大人”でありたいのだ。

だからこの小説はジュブナイルではない。
“かつて子供だった大人”を救うための物語なのだろうと、そう思う。
ラインの虜囚 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:ラインの虜囚 (講談社ノベルス)より
4061828142
No.8:
(5pt)

珍しい西欧ジュブナイルの良作です

作者の田中芳樹氏、挿絵の漫画家鶴田謙二氏で誤解されてる方もいるようですが、
そもそもこの作品は、子供自身が選ぶ子供のための良書の賞「うつのみやこども賞」に選ばれた、
少年少女向けの児童書・ジュブナイルです。

こういったジャンルが好きでない、一般向けの田中氏の歴史ものやサスペンス、アクションが好きな読者向けではないですね。
児童向けでも成人ファンの多い「精霊の守人」シリーズ、「十二国記」シリーズ、「大草原の小さな家」シリーズなどが好きな人たちにはおススメかと。

講談社にはすでに、「青い鳥文庫」という児童書のシリーズがあるので、そちらで文庫化すれば、
誤解されずに済んだのですが。

児童書としては、素晴らしい作品ですよ。19世紀序盤のフランスを舞台に、実在非実在の人物が入り乱れて、ヒロインを守り剣劇と冒険を繰り広げます。
日本の作家があまり手を出さない時代なのも、面白いですね。コナン・ドイルの作ったあまり知られてない作品の主人公も登場させ活躍してたりします。

私、田中氏の作品は好きでないのですが、これは文句抜きで五つ星。
彼が洗礼を受けてきたであろう児童書の分野で、もっと良作を書いていくことを期待したいです。
ラインの虜囚 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:ラインの虜囚 (講談社ノベルス)より
4061828142



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