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黒パン俘虜記
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黒パン俘虜記の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.20pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全30件 21~30 2/2ページ
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胡桃沢氏が直木賞受賞を意識して書いた初めての本格的娯楽小説。 それまでは性豪小説を多産していた氏が満を持して取り組んだ作品。自身の体験を織り込んだ作品なので、今読んでも胸に迫るものがある。 直木賞受賞当時、かなりの高齢で、それまでの経歴から週刊誌には胡桃沢氏を子馬鹿にするような記事も散見されたが、この小説を読むとそんな評価が全く見当違いの不当なものであるのがわかる。 大陸で終戦を迎えた氏は、支那側に逃げた部隊が早々に帰国する中、満洲側に突出していた二個中隊に所属していたために、それからの二年半を蒙古共和国の収容所で強制労働に従事させられるのである。 一万六千人の兵士が二千人づつに分けられ、それぞれの収容所で強制労働させられる。厳しい栄養状況ときつい労働条件も目を見張るものがあるが、革命を起こして将校を引きずり下ろし、収容所を締める赤穂の小政というヤクザものや、ノルマを達成できないと裸にむいて木に縛り付けて一夜を明かさせる『暁に祈る』と呼ばれるリンチを行う吉村隊長などが俘虜生活にさらに緊張感を与える。 胡桃沢氏は東映でシナリオを書いてきた経験もあるほどの映画通なので、映画を題材にした講談や二科展入選画家と組んだ紙芝居講談で為政者にうまく取り入り窮地を乗り切ってゆくのだが、古い映画や後楽園球場で行われた田中絹代ほかの『暁に祈る』のイベントなどの挿話も当時を知るよい資料である。 戦後生まれで戦争を知らない作家が資料をもとに書く戦争文学も悪くはないが、実体験として戦争を知っている作家の書く戦争文学はまた格別である。 『異国の丘』という歌が私は好きなのだが、これはまさに胡桃沢氏が実体験をもとに書いた『異国の丘』と無事に日本に帰るまでの物語である。 | ||||
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戦争だからという風には私には思えなかった。 現代にもそのまんま言えるじゃないかと感じる。 とても軽妙な小説とは私には思えない。 中には軽妙な場面もあるけれど、 そういった面も含めて様々な人間の本性を見せてくれるので、 むしろ背筋が寒くなるというか、 悲しくなるというか、 姿勢を正したくなるというか。 ここに描かれている事を、 戦争だからとして終わらせてはいけないと思いました。 | ||||
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著者の実体験を元に、シベリア抑留の実態を淡々と書いた直木賞受賞作品。 飢え、寒さ、本能、暴力と、映像にしたら耐えられないほど過酷であろう描写が多く含まれるが、目を背けずに一気に読みきることができる。読後感も暗くない。 ベテラン作家になってから書かれた作品であるせいか、娯楽的な部分もあるので、抑留の厳しさをより知りたい人には、他のシベリア関連のドキュメンタリー作品と合わせて読むことをお勧めする。 いずれにせよ、惰性で生きる現代の日本人として、持てる想像力をフルに使って活字で読むべき一冊。 | ||||
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著者の実体験を元に、シベリア抑留の実態を淡々と書いた直木賞受賞作品。 飢え、寒さ、本能、暴力と、映像にしたら耐えられないほど過酷であろう描写が多く含まれるが、目を背けずに一気に読みきることができる。読後感も暗くない。 ベテラン作家になってから書かれた作品であるせいか、娯楽的な部分もあるので、抑留の厳しさをより知りたい人には、他のシベリア関連のドキュメンタリー作品と合わせて読むことをお勧めする。 いずれにせよ、惰性で生きる現代の日本人として、持てる想像力をフルに使って活字で読むべき一冊。 | ||||
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筆者は,終戦後,モンゴルの収容所に抑留され,「暁に祈る」(ノルマが達成できない抑留者を,極寒の中,裸で外に縛り,多数を死亡させた)で有名な吉村隊にも配属されながら,何とか生還した。 筆者の場合,学生時代に見た映画の内容を講談調に説明するという特技を持っていたため,比較的優遇されて過ごすことも可能だったようだ。まさに,芸は身を助く,である。 また,シベリア抑留といえば,同胞に「スターリン元帥万歳」を強いた「民主連盟」が有名だが,本書を読む限りは,モンゴルの収容所では「民主化」の嵐はなかったようだ。 重いテーマではあるが,筆者の筆力ゆえに軽く読める一冊であった。 | ||||
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筆者は,終戦後,モンゴルの収容所に抑留され,「暁に祈る」(ノルマが達成できない抑留者を,極寒の中,裸で外に縛り,多数を死亡させた)で有名な吉村隊にも配属されながら,何とか生還した。 筆者の場合,学生時代に見た映画の内容を講談調に説明するという特技を持っていたため,比較的優遇されて過ごすことも可能だったようだ。まさに,芸は身を助く,である。 また,シベリア抑留といえば,同胞に「スターリン元帥万歳」を強いた「民主連盟」が有名だが,本書を読む限りは,モンゴルの収容所では「民主化」の嵐はなかったようだ。 重いテーマではあるが,筆者の筆力ゆえに軽く読める一冊であった。 | ||||
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私の祖父もこんな地獄を体験したのかと思うとゾッとします。政治としての戦争でなく、人としての戦争を教えてくれる本。 | ||||
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私の祖父もこんな地獄を体験したのかと思うとゾッとします。 政治としての戦争でなく、人としての戦争を教えてくれる本。 | ||||
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俘虜となった兵士たちの、敗戦の後にやってきた新たな地獄の日々。容赦のない暴政の前に、人々の命は紙くずのように費えていく。 つきはなしたかのような幕切れは、際限なく膨らんでしまった人間の心の「底なしの闇」を見せつけられるかのようで胸が痛んだ。戦争の理不尽さが読者の骨の髄まで突き刺す。 | ||||
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俘虜となった兵士たちの、敗戦の後にやってきた新たな地獄の日々。容赦のない暴政の前に、人々の命は紙くずのように費えていく。 つきはなしたかのような幕切れは、際限なく膨らんでしまった人間の心の「底なしの闇」を見せつけられるかのようで胸が痛んだ。戦争の理不尽さが読者の骨の髄まで突き刺す。 | ||||
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