■スポンサードリンク
OUT
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
【この小説が収録されている参考書籍】
OUTの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.10pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全41件 21~40 2/3ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
深夜の弁当工場で働く4人の女がバラバラ殺人を犯すという話。 雅子は元銀行員で、家族を見捨てた夫と、高校を退学して口を利かなくなった息子をもち、 弥生は才色賢母だが、賭博と女遊びで貯金を使い果たした夫に暴力を振るわれ、 ヨシエは寝たきりの姑の介護と反抗期の娘の板挟みに合い、 邦子は車やブランド品で多額の借金を抱え、内縁の夫に夜逃げされる。 そんな不幸の象徴とも思えるような4人の女達の人生が描かれており、 上巻では、そういった下層社会に生きる人間の醜さや寂しさなどに焦点が当てられている。 ストーリーも全体として場当たり的な展開が多く、先が読めてしまう感が否めないが、 逆にそういった低俗さが登場人物達の人間味を際立たせている。 上巻では、この小説の魅力はまだ発揮されていないので、 下巻への布石と考えて読むことが賢明かもしれない。 黒い幻とは何なのか。 そこがこの小説の主眼であるともいえる。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
次々に展開されるストーリーに引き込まれて一気に読めます。 3人称の叙述がそれぞれの登場人物の視点から交互に展開されるのは、数人の手記の形をとる「グロテスク」に繋がるものがあります。 人物の造形、描写、プロットの構成、全てが素晴らしく、物語の世界に読者を引き込んで放しません。話が進むにつれて次第に主人公の心の奥底の世界が深く展開され心理小説の様相を呈してきます。あくまでも心の深部にフォーカスしていく進行は素晴らしいです。ただそのぶんラストの話の展開のリアリティーが弱くなっているのが残念でした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
次々に展開されるストーリーに引き込まれて一気に読めます。 3人称の叙述がそれぞれの登場人物の視点から交互に展開されるのは、数人の手記の形をとる「グロテスク」に繋がるものがあります。 人物の造形、描写、プロットの構成、全てが素晴らしく、物語の世界に読者を引き込んで放しません。話が進むにつれて次第に主人公の心の奥底の世界が深く展開され心理小説の様相を呈してきます。あくまでも心の深部にフォーカスしていく進行は素晴らしいです。ただそのぶんラストの話の展開のリアリティーが弱くなっているのが残念でした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
弁当工場で働く主婦4人。一人がカッとなって夫殺す。他の3人が死体バラバラにして捨てる。見つかる。さあどうするという内容。 あらすじでは結構興味をそそられる。 賞とっているし、このミスでも1位だし期待が膨らむ。 初めての桐野夏生。 とりあえず、緻密な情景描写。文章力は文句のつけようがない。が、自分には演出過多の冗漫な文章にも感じた。あんま重要でない描写は極力省いた方が好き。その辺は好き嫌いの問題なのでこの際不問。 序盤は過酷な労働現場のシーンばかりでダルイ。 死体が解体されてからの展開はスリリング。 しばらくはその緊張感が続き、先が結構気になる。 でも、クライマックスが、なんでそんな展開になったのかと首をひねった。 ☆3.5ぐらい。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
この著者の作品「リアルワールド」は4人の女子高生が殺人事件をきっかけに、 殺人犯に加担し、それぞれの本性が表れていく・・・ この「OUT]もまるでこのプロトタイプと同じ。 4人の主婦が殺人事件をきっかけに加担し、それぞれの本性が表れていく・・・ おもしろい話ではあるけど、リアルワールドの単なる主婦版。 主婦の漠然とした不安や苦悩が何かの拍子に崩れていく様は、 やや極端な記述とはいえ、現代日本に生きる主婦の心の悩みをえぐった、 すばらしい作品ではあるとは思う。 前半はたるいが後半になってどんどんおもしろくなっていく。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
この著者の作品「リアルワールド」は4人の女子高生が殺人事件をきっかけに、 殺人犯に加担し、それぞれの本性が表れていく・・・ この「OUT]もまるでこのプロトタイプと同じ。 4人の主婦が殺人事件をきっかけに加担し、それぞれの本性が表れていく・・・ おもしろい話ではあるけど、リアルワールドの単なる主婦版。 主婦の漠然とした不安や苦悩が何かの拍子に崩れていく様は、 やや極端な記述とはいえ、現代日本に生きる主婦の心の悩みをえぐった、 すばらしい作品ではあるとは思う。 前半はたるいが後半になってどんどんおもしろくなっていく。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
弁当工場で夜勤のパートをする女性4人が、その内の1人の主婦の夫の バラバラ遺体遺棄事件に関ったことで、それぞれの人生はさらなる地獄へ とおちていきます。殺された山本の夫は高級クラブへ通っていたのだが、その 経営者の佐竹は容疑かかけられ拘留されたことで、クラブは経営破綻して しまい、仕返しをすることになります。遺体遺棄に関った邦子はサラ金地獄 から抜けようをして十文字に買収されたり、佐竹に追われることになり、 自ら墓穴を掘ってしまい、事態はどんどん悪化していきます。 十文字と雅子と佐竹は妙な因縁があり、最後は雅子と佐竹の一騎打ちになりますが、 事件の真相は謎のままなのでしょうか。全体的にヤクザなストーリーでした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
それにしても、彼女の筆致とテーマの硬質さよ。雅子を始めとする主人公達の息の詰まるような閉塞感と孤独感とはここでも共通。それは生い立ちや家庭環境、容姿や能力、学歴や社会的地位などなど、様々ではあるものの、その差異を「階級差」あるいは「差別」と称してもよいかもしれません。個人が絶対に越えられない壁に束縛されていること。 閉塞した空間にガスが圧縮されたかのように一気に濃度が高まり爆発する。しかし爆発してもそれは解放されたことなのか。解放とは何からの自由なのか。自らを解放するために、肉体を「解体」する作業に従事したというのは洒落なのでしょうか。肉体が肉体としての関係性を「解体」させられたように、彼女たちは人間的「関係性」さえも無意識のうちに「解体」してしまいますが、自らの精神は全く解放されないという悲劇。 ここでも永遠の束縛と解放の永久運動があるのかと思いきや、作者は全く別な回答を用意していました。そう、何者からも自由であるかのように振舞っていた佐竹という存在。いや彼こそが一番不自由な、過去の自分という存在に束縛されて生きていたという矛盾。隠されたもう一つの自分自身、一番 OUTな奴。目覚まされたふたつのOUTな魂が出会った世界は凄絶さを極めます。考えようによっては「佐竹」という解答があるだけに、まだ救いがあるのがこの小説の逆説的な特徴と言えましょう。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
それにしても、彼女の筆致とテーマの硬質さよ。雅子を始めとする主人公達の息の詰まるような閉塞感と孤独感とはここでも共通。それは生い立ちや家庭環境、容姿や能力、学歴や社会的地位などなど、様々ではあるものの、その差異を「階級差」あるいは「差別」と称してもよいかもしれません。個人が絶対に越えられない壁に束縛されていること。 閉塞した空間にガスが圧縮されたかのように一気に濃度が高まり爆発する。しかし爆発してもそれは解放されたことなのか。解放とは何からの自由なのか。自らを解放するために、肉体を「解体」する作業に従事したというのは洒落なのでしょうか。肉体が肉体としての関係性を「解体」させられたように、彼女たちは人間的「関係性」さえも無意識のうちに「解体」してしまいますが、自らの精神は全く解放されないという悲劇。 ここでも永遠の束縛と解放の永久運動があるのかと思いきや、作者は全く別な回答を用意していました。そう、何者からも自由であるかのように振舞っていた佐竹という存在。いや彼こそが一番不自由な、過去の自分という存在に束縛されて生きていたという矛盾。隠されたもう一つの自分自身、一番 OUTな奴。目覚まされたふたつのOUTな魂が出会った世界は凄絶さを極めます。考えようによっては「佐竹」という解答があるだけに、まだ救いがあるのがこの小説の逆説的な特徴と言えましょう。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
上巻を読んでいる時は、弥生の事件にかかわった人達の間の信頼性の薄さや刑事の執拗な捜査から、 いつか絶対バレるだろう、それだけのリスクを犯して雅子が弥生に協力する理由を、 読者がどれだけ納得出来るように描けるかがポイントだと思った。 ところが下巻に進むと、それまでのリアルな描写が減り、展開がドラマチックになって行く。 作者の筆致により引き込まれるように読み進められるものの、さすがに事件の当事者弥生までもが 蚊帳の外に出された時は、主役が雅子だとはわかっていても、そんな〜と思ってしまった。 二人の間に流れるような運命的な描写は理解出来たが「死なないで」は個人的にはNG。 単に好みの問題だが、そういう二人だからこそ惹かれ、 一緒になれない事も運命とわかりきっている雅子にこのセリフはちょっと安っぽい感じがした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
上巻を読んでいる時は、弥生の事件にかかわった人達の間の信頼性の薄さや刑事の執拗な捜査から、 いつか絶対バレるだろう、それだけのリスクを犯して雅子が弥生に協力する理由を、 読者がどれだけ納得出来るように描けるかがポイントだと思った。 ところが下巻に進むと、それまでのリアルな描写が減り、展開がドラマチックになって行く。 作者の筆致により引き込まれるように読み進められるものの、さすがに事件の当事者弥生までもが 蚊帳の外に出された時は、主役が雅子だとはわかっていても、そんな〜と思ってしまった。 二人の間に流れるような運命的な描写は理解出来たが「死なないで」は個人的にはNG。 単に好みの問題だが、そういう二人だからこそ惹かれ、 一緒になれない事も運命とわかりきっている雅子にこのセリフはちょっと安っぽい感じがした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
どんな善良な人間でも、人を一人殺してしまったらどうこの場を逃げ切ろうかと考える。すぐさま警察に連絡して罪を認める人は少ないだろう。その人生が幸せに満ちているのならなおさらだ。そのような効果を最大限活用させたのがこの小説。抜け出せない地獄の日々を抜け出すには誰かが背中を押すしかなかった。そしてその連鎖はついに4人の女性を中心にブラックホールの如く周辺の人物を引きずり込んでいく。桐野夏生作品の中では「柔らかな頬」に次ぐ良作。しかし、桐野作品に特徴的な後半場面での展開のつまらなさも目に付いた。内容を重視せず、登場人物の心情に重点をおいて読むことをお薦めします。そうすると、最後の師匠の言葉は重みが出ます。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
何気ない日常にぽっかりと開いた地獄への裂け目。そこへずりずりと引きずり込まれていく主婦たちの物語です。読者もいつしか、地獄の最果てを見たくて、物語に引きずり込まれていきます。が、私にとってはそれ以上でも以下でもない物語でした。ラストの印象が、取って付けたような「強引的カタルシス」に感じたからかも知れません。文章は読みやすかったです。登場人物の視点を次々と切り替えながら描写される地の文に、読者を飽きさせない工夫を感じました。しかし、余計な心理描写や風景描写が多いようにも感じました。ぶっちゃけ、会話文だけを読みつないでいってもストーリーは把握できますので。良くも悪くも、テレビドラマ的作品です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
何気ない日常にぽっかりと開いた地獄への裂け目。そこへずりずりと引きずり込まれていく主婦たちの物語です。読者もいつしか、地獄の最果てを見たくて、物語に引きずり込まれていきます。 が、私にとってはそれ以上でも以下でもない物語でした。ラストの印象が、取って付けたような「強引的カタルシス」に感じたからかも知れません。 文章は読みやすかったです。登場人物の視点を次々と切り替えながら描写される地の文に、読者を飽きさせない工夫を感じました。 しかし、余計な心理描写や風景描写が多いようにも感じました。ぶっちゃけ、会話文だけを読みつないでいってもストーリーは把握できますので。良くも悪くも、テレビドラマ的作品です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
話題になったのを思い出し今更読んでみたが、期待が大きかった分がっかり。ドラマも見たこと無いが、きっとドラマ通りでしょう。ありがちな偶然が重なるパターンでオチも途中からわかる。最後は早く終わりたくてとばして読んだ。ただ同じ日本人なので内面の描き方が共感できるところはあったが、やはり海外物好きには物足りない。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
話題になったのを思い出し今更読んでみたが、期待が大きかった分がっかり。ドラマも見たこと無いが、きっとドラマ通りでしょう。ありがちな偶然が重なるパターンでオチも途中からわかる。最後は早く終わりたくてとばして読んだ。 ただ同じ日本人なので内面の描き方が共感できるところはあったが、やはり海外物好きには物足りない。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
よく言われるように,桐野夏生は文章が素晴らしいと思う。力強く,明瞭で,重みがある。人物造型もしっかりしているしストーリーもそれなりに引き込まれる。なのに桐野夏生を読むたびにいつも感じる一抹の物足りなさ。この人の作品には知性が足りないのではないだろうか。本作「OUT」においても,ラストシーンの物足りなさなどはまさに知性の欠如を如実に物語っていると思う。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
よく言われるように,桐野夏生は文章が素晴らしいと思う。 力強く,明瞭で,重みがある。 人物造型もしっかりしているしストーリーもそれなりに 引き込まれる。 なのに桐野夏生を読むたびにいつも感じる一抹の物足りなさ。 この人の作品には知性が足りないのではないだろうか。 本作「OUT」においても,ラストシーンの物足りなさなどは まさに知性の欠如を如実に物語っていると思う。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
下巻の方がサクサク読めたが、 終盤にかけて、 特に、邦子や、弥生の取って付けたようなシーンなどは、 乱雑になってきた気がした。 核心となる、主人公ふたりの対峙も、 クライマックスを迎えてくるにつれて引きが弱くなってきたような。 惹きこまれて読める作品だっただけに、 読み終えて、作者に置いてけぼりにされた感を受けたのは少し残念。 それから、下巻に入り、それぞれがクローズアップされると共に、 先の読めるベタな展開になってしまったのも。 とは言え、よく書けていたと思います。 受賞するほどのものだとは私には思えなかったけれど。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
まわりの環境の急激な変化に影響されて、それまで思いもよらなかったことをしてしまうというのは案外よくあることだと思う。そしてその状況に流されることはある意味快感を伴い、特に現状になんらかの不満をかかえている場合はまるで自分が変われたように感じるのではないだろうか。 この本ではそういう人たちの行動とその結果行き着いた先が書かれているわけだが、殺人に限らず、現実から逃避するためにとる行動がどのような結果をもたらしうるかということを考えさせられる作品である。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!