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破線のマリス
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破線のマリスの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.62pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全47件 21~40 2/3ページ
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主人公・遠藤瑶子は首都テレビの看板ニュース番組「ナイン・トゥ・テン」の映像編集者。 映像を切り貼りし、視聴者に先入観を与えるような、虚実曖昧だけど刺激的なニュースを作っている。 郵政省の官民癒着の内部告発とされる持込みのテープを、編集して番組で流した所から始まる、 一人の郵政官僚の転落と、同時に遠藤自身にも降りかかる災厄。 絶望的なラストに凹まされます。 結末を知ってて読んでも、ボタンが掛け違うようにずれていくストーリーに背筋が寒くなる感じ。 映像ひとつで世論を動かしたり、人を破滅させたりが簡単に出来ると思うと、すごく怖いし、 マスメディアの言う事を鵜呑みにして、踊らされるのは本当にバカみたいだし格好悪いなって思う。 でも世論ってそういうものなんだよなー。 メディアに流されずにいろんな情報を吟味して、きちんと自分で考えることの出来る大人が増えるといいなという思いを込めて、たくさんの人に読んでほしい作品です。 | ||||
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中盤から読むのを止めることができなくなり一気に読んだ、というか読まされた。この話しの主題は、テレビとかメディアに対する批判であり視聴者への警告ということになるのだろう。確かに読後のニュース番組に対する見方はちょっと変わった。私は、主人公の心理描写に驚いた。現実と幻想が入り混じった感覚というのは、それを文字にするのは難しいし、普通しようと思わない。それを見事にやっている作者の感覚の鋭さはすごい。それだけの感受性を持っているがゆえに自らの命を絶つということになったのだろうと想像する。自分が温めてきた毒をサスペンスの衣を着せて吐き出した感じさえする。 | ||||
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10歳の子供が夜遅くまで母を追っかけてビデオを回す・・・ ちょっと難しい気がしないでもありません。 ですが、その部分は置くとして、内容はさすがにテレビ業界で生きる人って感じ。 登場人物たちの心理描写も入念で読みごたえは抜群です。 | ||||
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不快感が伴う作品です。何がそうさせるのかわかりませんが。 マスコミの過熱に伴う被害は今やみなが知っています。 その「種あかし」でしょうか。 作り出された映像に「事実」を見てしまう、見ようとしてしまうことの恐ろしさ。 クライアントである私達視聴者はきっとだまされたがっているのでしょう。 ラストにもう少し救いがあってもよいのではないかと思ってしまいました。 最初に読んだのは、かなり前で「この展開には無理があるのでは?」 と思った箇所も、今こうして読み返してみると「あり」に思えるのがぞっとします。 野沢氏は先を先を見てらしたのでしょうか。 早すぎる死を改めて惜しまずにはいれません | ||||
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私はこの本を読み終わっての感想は正義は勝つだと思います。誰が正義で誰が悪なのか?究極の正義と悪を探す推理小説でした。どちらが正しくて、どちらが間違っているのか? 今のテレビの在り方、マスコミの在り方を示す意味ではとても興味深い作品でした。野沢氏の作品はどこかノンフィクションぽいですよね。それでいて、この破線のマリスは半ノンフィションではないのでしょうか?とてーも細かい描写でテレビ業界について書かれています。 マリスとは悪意。色んな悪意が見えてきました。 | ||||
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TV業界の「やらせ」問題にも通じる「作為的な映像」をプロットの主に置いた作品。 主人公と被疑者の間の互いに迫り来る感情。 う〜ん、内容よりも・・・ 主人公女性の生活感の方にしか、 感情移入できなかったかな^^; 乱歩賞作品と言う割には・・・。。。 | ||||
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今頃読みました。初版は1997ですから、もう10年前になります。でも、今読んでも一気に物語世界に引き込まれます。さすがは江戸川乱歩賞です。 タイトルにもなっている破線とはTVの走査線、マリスとは報道の送り手側の意図的な悪意のことだそうです。その通り、これはテレビ局のニュース映像の編集者を巡る、捏造と紙一重の情報処理が主題となっています。登場する人々の追い立てられるような生き方が、非常に辛いですね。 思いもかけないエンディングも鮮やかですが、現在の「あるある問題」を先取りしたようなメッセージ色の強さもまた、特徴といえるでしょう。こういった硬派路線も、たまにはいいものです。 | ||||
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テレビの報道番組制作を舞台に、編集マンである主人公が報道のあり方と現実の犯罪との間で格闘し、混乱・破綻していくミステリである。タイトルの意味が分かりにくいのが損をしているように思えるが、かえってミステリアスな感じを醸し出しているとも言える。 作品中では、テレビの編集技術やジャーナリストとしても取材・報道のあり方などが披瀝される。門外漢にとっては興味深いところだ。主人公が、先輩編集者でもあるかつての夫から「真の報道には5W1H以外に"FOR WHOM"と"FOR WHAT"が必要だ」と教え込まれ、その二つの神髄を自分の息子の言葉として「『想像力』と『勇気』だよね」と言わせるあたりは著者のテレビというメディアに対する「思い」が詰まっているのを感じた。 報道マンの逆手を取った隠し撮りテープを用いたプロットは非常に効果的だ。最後に明らかにされる監視者の正体には主人公同様、読者も驚かされるだろう。しかし所轄官庁と放送局という大きな枠組みを持ち込んだ割には灰色な部分の謎解きが完了せず、錯乱と情緒的な終わり方には不満が残る。 | ||||
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テレビの脚本家である著者の作品であり、テレビの内情の描写は真実味を感じさせられる。一人の人間の意志による映像編集により一人の人間の生活が破壊される危うさ、報道の自由と個人のプライバシーの関係、について考えさせられた。現在の情報社会において情報を鵜呑みにしがちな現代人に対する警鐘を鳴らしているようにも感じられる。 ただ本作品をミステリーとして考えると、ミステリーの大前提である事件の謎が結局解決しないまま終わってしまう点など若干の不備は見られる。 | ||||
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緊張感があるのは最初だけ。主人公をはじめ、登場人物のほとんどに感情移入できずに終わってしまい、消化不良の感じが否めない。とくに途中に出てくる刑事の描き方が致命的。一瞬でしらけてしまった。ミステリーはチョイ役一つでもしっかり書き込み、緊張感を持続させるのが大事だと改めて感じた。主人公が暴走するに至った理由も?子供が小学4年生という設定も無理がある。本作をベストミステリーと言って憚(はばか)らない、最後の解説が一番のミステリーかも。 | ||||
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悪くはない。テレビの世界の実情を内部から告発した作品として見ればわかる。でも、新聞だけじゃなくてテレビのニュースの報道が嘘だらけ(っていうか真実じゃない)というのは、普通に見ていればわかる。事件の検証なども明らかに自分達の都合のいい情報しか流して、(検証の以降があり、その曖昧な結論に向けての情報を流し込み、改竄している)、意図的にでっちあげの真実を作りあげているのだと思う。山本弘さんが「アンビリバボー」の舞台裏の様子をぶっちゃけちゃったのを見るとそういうのがよくわかる。 肝心の内容だが、前半はいい。中盤は普通のサイコサスペンスじみてきて少しテンションは下がる。ラストのほうはひどいっていうか、ちょっとありえないでしょうって感じ。しかし作品全体に色々な示唆を含んでいるのは事実なので、一読してみてもいいかも。 | ||||
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「深紅」の映画化で野沢尚さんを知り、何となくで購入しましたが、3時間で読み切ってしまいました。読みながら、映像が浮かんでくるさすが脚本家という作品でした。 | ||||
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映像は視聴者にきっかけを与えるだけ。見てどう判断するのかは視聴者しだい。だがそれは作り手側の詭弁にすぎない。一人の男が容疑者扱いされる。その中では容疑者と断定していなくても、見ている側にはそうとしか思われないように作られた映像・・・。映像が一人の人間を破滅させるさまはぞっとするほど恐ろしい。だが瑤子を支えてくれるはずの映像は、今度は彼女自身に牙をむく。追い詰める側から追い詰められる側へ。そして行き着く先は・・・?最初から最後まで続く緊迫感は、読み手を作品の中へと引きずり込む。一気読みだった。 | ||||
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しばらく海外に在住していたため、野沢尚氏の死はつい最近まで知らなかった。本作は、サスペンス、ミステリーとしてはプロットに荒さ、都合の良さが時折見られるが、この『映像喚起力』とでも言うべき筆力には脱帽する。本当に惜しい人をなくしたとの思いを強くした。 | ||||
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報道に潜む「作られら真実」を語ることの危うさを、制作者の側にある作者がリアリティのある描写で描いた作品。制作現場のピリピリした緊張感まで伝わってくるようです。一つの映像に込められた偏見が世論を動かした結果、イメージや感覚で動く世論の暴力によって、被害に遭った人の生活は簡単に壊されてしまう。そんな放送被害の怖さが伝わってきます。マスコミに携わる人にとって、そして日々テレビを観ている我々にとっても警世の書でしょう。ただ、日常的に起こりうる暴力といったテーマであるのに、登場人物の精神が「壊れていく」点に違和感があります。ちょっと共感しづらいです。また、制作者側の方が主人公なので、その世界にいない自分としては、ちょっと感覚が分からないところがあります(マスコミの方は共感できるかもしれませんが)。また、最後の落ちの部分も、ちょっと無理があるかな、と思えるものです。ミステリーとしての納得感はイマイチかも。 | ||||
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報道ニュース番組がどのように作られて行くのか興味深く読ませ、内幕を知っている作家ならではの筆力で、読者も現場にいて時間との闘いに参加しているような気分にさせてくれる。ただ、読後の爽快感は感じられない。ひとつには、主人公の女性に共感しにくいからであろう。彼女が家族より仕事をとるに至った状況をあまりに簡単な描写ですませている点、また、彼女と息子との関係性など納得できないものがある。官僚・麻生など、興味深い人物も登場するが、「フー&ホワイダニット」のミステリーの主人公にも人間としての魅力を感じたい読者としては、辛口の採点とならざるをえない。 | ||||
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卓越した文章力と物語の構成力に秀でた作品である。ストーリーもテンポよく進行し、食い入るように読む事ができた。製作側にいた作者とっては、報道というものがいかなるものか。だれのための、何の報道なのか。これを『想像力』と『勇気』という言葉に置き換えて、主人公は訴えかける。情報が煩雑を極める現代にあって、あらゆるメディアで得られる情報は、見る(聴く)側の我々にしてみれば、それが真実かどうか確かめるすべはない。が、決して鵜呑みにしてはならず、情報そのものの真価を決めるのは我々なのだと警鐘を鳴らしている。この作品は、江戸川乱歩賞を受賞している。 | ||||
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なんと評すれば良いのだろうか?テレビが物事を伝える時に、客観的真実というものはない。客観的事実である素材を、編集する者の主観でによって「真実」を作り上げるという実態。ある時、「内部告発」として渡された映像をいつも通りに編集して放送する。そして、その放送による被害を訴える官僚。そして、その映像は偽者のようだ。「誰が、何の為に?」。という感じでいきなりストーリーにぐいぐいと引っ張り込まれる。テレビを知り尽くした脚本家らしく、テレビの実態を知った上でのものであるし、メディア論の文章としても意味がある。私は、続編(?)の『砦なき者』を先に読んだのだが、メッセージ性ではこちらの方を上と見た。が、ミステリとして見た場合、今一歩の評価をせざるを得ない。途中から暴走していく主人公に感情移入しにくいし、謎解きもイマイチ。なんと言うか、伏線が上手くまとめ切れていない感じ。面白いことは面白いのだが・・・。正直、評価に困る作品。 | ||||
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第43回江戸川乱歩賞受賞作。実は先に映画を見てしまった。そこそこの出来だったのだがいくつか納得できないところがあっておそらくそれを原作は解決してくれるだろうと。あたり。監督官庁にけんかを売れるような骨のあるテレビ局はないよね。だから被害者には一介の市井の人を当てるとより報道による人権の侵害を効果的に描けるのではと思ったのだけど。考えてみたらそれじゃこの作品が成立しないや。テレビの裏側 報道の裏側 そして監督官庁との力関係。(だってテレビが免許事業で郵政の許認可が必要だってことも知らない人結構いるもんね)こうしたことってやっぱりこの作品の加害者と被害者の組み合わせじゃないとでてこない。放送法や免許の更新についてもやさしくかつ流れをそこなわないように説明してくれていてそれもマル。5W1H FOR WHOM FOR WHAT の くだりなんかはそのままぼくらの日常のどんな事柄の分析にも使えそうだし。今はやりの『負け犬の遠吠え』を思わせるような主人公の描写もいい。留守電のランプに孤独からの救いを求めるところなんかね。被害者と加害者がめまぐるしく(はちょっとオーバーかな)入れ替わってそこではじめて知る感覚に愕然とするあたりもいいし。何よりテンポのある文体だから読みやすい。さりげなくはじめの方の局内の情景描写なんかもさすがに内情を知っている人だなあと。純粋なミステリーとしてはどうかな というところもあるけれど。メディア論って避けて通れないし、だったら最高の入門書のひとつとしてこいつをお勧めしたいな。 | ||||
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乱歩賞だけは作家にとらわれずに読もうと思って読んだのだがなかなか面白かった。本職が脚本家というのもあってか文章を作るのは巧いと思う。だがミステリとしてはやや薄かった。福井晴敏の「川の深さは」をハナ差で交わし乱歩賞をとったという話だが、それなりではあると思う。前にも書いているがミステリとしての巧さはそれほどでもない。その分はまだ新人の域を出ていない時代だからだ。伏線はある程度はひかれているが大体はつかめてしまうしそれほどの驚きもなかった。それでも星4つにした理由はある。 主人公の遠藤瑤子はテレビマンのひとり。ニュース番組の中の「事件検証」というコーナーで直前に独自で仕上げたモンタージュを視聴者に披露する。その無茶苦茶が事件と微妙につながっていく。淡々と読み進め読み終えたときの読後感はあまりいいものじゃない。正確な犯人が捕まらないままにストーリーは終わっているし、何より主人公が主人公だし。ある意味ではリアリティを求めているのだと思う。 事実から真実へ。どうしても真実が知りたい。今ある事実から真実を手に入れる為には。そう言った主人公の悩み。しかしそれでねつ造でもされてしまっては当事者はたまらない。真実ならばいいが、真実じゃないとしたら。言論や映像の自由とは言えかけ離れている。そう言う節から間接的に作家は訴えている。作家にというよりはストーリーに、登場人物に説得力があったように思う。そう言う意味では斬新な小説だと思ったし、某局の視聴率買収などでテレビ界が騒然としている今の時代に、違った形ではあるが読むことを薦める。たまにはこういうのを頭に叩き入れておくのもいいと思った。 福井晴敏の「川の深さは」と乱歩賞をかけて熱戦を繰り広げただけはある小説だと思う。面白い。 | ||||
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