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犬神家の一族



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犬神家の一族の評価: 4.44/5点 レビュー 87件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.44pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全87件 41~60 3/5ページ
No.47:
(5pt)

けれん味溢れるホラーミステリーで一分のスキもない濃厚な力作

池の中から2本足が突き出ている珍妙な殺人映像がすぐに浮かぶ、横溝正史の代表作。数十年ぶりに再読したが、全く色あせることのない傑作を堪能した。全編にわたってけれん味溢れるホラーミステリーで、いくら何でも、と言う凄い設定だけど、ここまで徹底した力業には舌を巻かざるを得ない。横溝正史得意の、顔を隠して復員した男を生かしたトリックが冴え渡っている。偶然も重なった複雑なトリックは読者が推理するにはハードルが高いが、破綻なく書き切ったのは素晴らしい。そして本格ミステリファン垂涎の「見立て殺人」の要素もあり、飽きさせない。一分のスキもない濃厚な力作と評価。
 親族同士がいがみ合い、血で血を洗うおどろおどろしい設定だけど、「獄門島」などと同様、実際に読んでみると意外に怖さは感じられず、緻密に書かれた本格ミステリー的パズル要素の方が印象に残った。飄々としてユーモラスな金田一耕助の存在が大きく、やはり彼あってこその横溝作品だと再認識。
犬神家の一族 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:犬神家の一族 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
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No.46:
(5pt)

「それだのに、内地に帰ってみると・・」

「犬神家の家名に対しても、私は捕虜になることを恥じたのです。それだのに、内地に帰ってみると・・」。
太平洋戦争直後の傷病兵や復員などの社会問題を道具立てとする鮮やかな発想にうなる。
こんなにも時代性と純情をはらんだ動機があるとは。
犬神家の一族 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:犬神家の一族 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
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No.45:
(3pt)

スケキヨ…

映画やドラマ版が好きで入った原作でしたが、個人的な感想はみんな可哀想の一言に尽きます。ヒロインの珠代が映画よりお転婆で利発的な所が描かれ、猿蔵との絆が良かったです。推理小説はあまり読まないのですが、軽妙でくどくなくてセリフもどことなくひょうきんでページを軽く進められる勢いでした。ただ、終盤でやっと出て来る美青年の深み、あの珠代が彼に惚れた所をもう少し描けたのではないかと思うぐらいあっさりしてたのが個人的に惜しく感じました。
犬神家の一族 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:犬神家の一族 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
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No.44:
(3pt)

コスパ良し

古本なので、それなりてすが、価格が安い上、店舗を探す必要がないので、コストパフォーマンスが高く満足です。
犬神家の一族 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:犬神家の一族 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
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No.43:
(4pt)

想い出深い物語を初めて読みました!

市川崑監督により、2度も映画化された「有名な物語」の原作を
初めて読みました!
原作が先か?映画が先か?どちらにしても、ミステリーですから、
物語の骨子と犯人が分かってしまっているのは致命的です。

ボクの場合は映画が先で(それも何度も何度も観ました)、それ
でつい原作をよむことが後回しになってしまいました。
映画と原作の違いはもちろんあります。どちらがどうということ
は別にして、この本・・・やっぱりさすが横溝正史です。今読む
と物語の背景になった終戦直後の日本の風俗や空気がよく伝わっ
てきて、それだけにこの血なまぐさい事件に不思議な説得力があ
るのがよく分かりました。

まだこの物語に出会ったことがない方・・・できれば「本」を先
に読むことをお薦めします。
本を読むことが面倒な方は、是非、市川崑作品を鑑賞して下さい。
犬神家の一族 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:犬神家の一族 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
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No.42:
(5pt)

スポーツマン金田一

颯爽とした明智小五郎と比べると金田一耕助というと体力では圧倒的に劣るという印象があります。
明智は様々な怪人を相手に常に超人的活躍をしていましたから、仕方がないでしょう。
ところが金田一が全く運動が苦手というのは間違いなのです。
この作品は金田一って意外とスポーツマンなのだということを教えてくれます。
溺れそうになるヒロインを救出するために手漕ぎボートを駆る有名なシーンがあります。
金田一の他にもあちらこちらから多くのボートが救援に殺到しますが、金田一のボートが一番に現場に駆けつけます。
遭難を発見したことが早かったことを差し引いたとしても、後発のボート群に追いつかれることなく一番乗りしたのですから、金田一のボートの腕前が標準以上だったということだと思います。
金田一はボートを漕ぐのが得意なのです。
もう一つはドラマ化や映画化の際にはカットされてしまうので、有名ではないのですが、スキーです。
いつものスタイルで颯爽とスキーの腕前を披露します。
東北育ちということでスキーには絶対の自信があるような発言もしています。

「獄門島」のような華麗なトリックは使われてないかもしれませんが、小さなトリックや錯誤の積み重ねが気持ちよい作品です。
「名探偵みんなを集めてさてといい」の場面もあります。
無駄がなく、「犬神家」の物語として重厚濃密なストーリーが語られます。
知名度では一番の作品ですが、知名度だけではなく完成度も高い作品だと思います。
犬神家の一族 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:犬神家の一族 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
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No.41:
(5pt)

横溝作品傑作

この作品、原作では獄門島と同じくらい好きです。
(ネタばれになっちゃいます)
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映像化するときは時間の都合で佐兵衛と野々宮夫妻の関わりを深く取り扱えないのが残念
孫どうし憎しみ合わせる必然性にもっと踏み込める気がします
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長男とその母への愛情<生涯でただ一人愛した人 をどう表現するか
原作ではどう描かれているのか。時間をかけて読み解きたい(まだ出来てないです)
犬神家の一族 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:犬神家の一族 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
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No.40:
(5pt)

犬神家の愛憎劇

八つ墓村とともに、横溝作品の中では映像化回数が多い作品。なので、ストーリーも犯人もご存知の方は多いだろう。
佐武のものとすげ替えられた菊人形の生首、湖からニョキと突き出した佐清の両足と、ビジュアル的には最高!トリックは古典の部類に入るので、単純にストーリーと雰囲気を楽しむ作品だと思います。ただ、さすが横溝正史、伏線の張り方といい、話の進め方といいとても丁寧です。
物語に終始影を落とすのは、犬神家の創始者犬神家佐兵衛。彼の性格造形がまさに事件の鍵を握っている。最初はとても冷酷な人間として描かれているが、物語の終盤に暴かれる秘密によって、実は人一倍愛情が強く、報われぬ愛情故にある人物の幸せを願い、遺言状を書いたことがわかってくる。そして、佐兵衛のもう一つの遺志が、一族を互いに憎しみ合わせることにあったのだから、愛情の裏返しというものは恐ろしい。この辺りは、エラリィ・クィーンの「Yの悲劇」から影響を受けたと思われる。
最後に、映像化作品について触れたい。なぜ、佐智殺しのあのトリックを描かないのか?あのトリックの解明は、金田一が犯人を特定するための重要なポイントになるのだが、映像化作品ではスルーされている。今後、映像化するときは、ぜひ取り入れてほしい。
犬神家の一族 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:犬神家の一族 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
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No.39:
(5pt)

名作

私はこの作品が、横溝作品で華やかさも展開も一番面白く、No.1だと思うのですが。
それは高校時代も40年以上経った今も同じ印象。
評価の高い獄門島より断然、私は犬神家。
謎解きに関しては、犯人は最初からほぼ分かっているので。
昔の映画の珠代役の島田陽子さん可憐だったなぁ〜。
なぜ三女は美女が演る?
犬神家の一族 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:犬神家の一族 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
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No.38:
(5pt)

「地縁・血縁のドロぬま」「終戦直後のドサくさ」を楽しむ・・・

角川春樹が仕掛けた、「横溝正史シリーズ」の第一弾! 市川昆監督映画では、この作品のみが、ドラマ版より良く出来ている(世間の評価とは違うが・・・)横溝正史は推理作家としても一流だが、私はやはり、「地縁・血縁のドロぬま」「終戦直後のドサくさ」として、彼の作品を読みたい。なぜなら、そこには、「日本の情緒」や「日本人の情念」が見え隠れするからだ・・・この作品では、やはり、青沼母子、とくに、「青沼静馬(あおぬましずま)」の存在であろう・・・世間では、「佐清(すけきよ)」とされているが、実は・・・平成今どき日本人が忘れてしまった、日本の情緒、日本人の情念を、横溝正史の原作、映画、ドラマで、存分に楽しもう・・・若者にも十分味わえるはずだ!日本人のDNAを持っているのだから・・・
犬神家の一族 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:犬神家の一族 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304059
No.37:
(3pt)

もはや古典としての価値のほうが上かなと思った

もう、若い人には読んでもらえないでしょう。
今読んでいる人って、kindleで購入できるようになったから、昔を懐かしんで買っている人ばかりじゃないでしょうか。
そんな人達のレビューを読んでも、今の若い人は買う気にはならんでしょう。

さて、お話はと言うと「自分の息子かどうか分からない仮面の男」や「都合の良い占い好き、かつ、女好きの医者」などなど、やっぱり今の読者にはもう受け入れてもらえないだろうなという描写が多いです。私はこの作品を高校時代に読みました。横溝氏の作品の殆どをその次代に読んだとおもいます。携帯もなくて、科学捜査の知識も無い高校生の時に読めたから幸せでした。

そんな時代を懐かしみたいときに読んでみてはどうでしょう。私は、当時の下宿や友人や好きな人との、この作品を介したやりとりや雰囲気を思い出して嬉しくなりました。もう、でもさすがに前を向いて生きようと思います。
犬神家の一族 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:犬神家の一族 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304059
No.36:
(4pt)

久々に読み返しました。おどろおどろしさは八墓村におとるが楽しめる作品。

青春時代(30年前位)に横溝正史の作品はすべて読み切ったのですが、懐かしくてKindle版でも読み返しています。八墓村は青春グラフィティとしても楽しめるものでした。犬神家も記憶が薄れていたことが幸いし、楽しく最後まで読めました。その中では、私個人のランクでは4.3くらいかなというものでした。一番楽しめたのは、八墓村>犬神家の一族>悪霊島かな。。。引き続き、いくつか読み返したいと思っています。

あいかわらず金田一は事件が終わってからの活躍なのが、ちょっといらつくかもしれませんが。。。。楽しいですよ。
犬神家の一族 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:犬神家の一族 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304059
No.35:
(4pt)

もうテレビでおなじみですが

戦後の復員ならではの話です。推理小説ですが、話の設定が面白いです。横溝シリーズではかなり人が殺されてしまうので、犯人が次第に絞られてきてしまいます。それでも複雑に絡み合う物語に、何とも言えない読後感があります。
犬神家の一族 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:犬神家の一族 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304059
No.34:
(4pt)

女怪と二人一役とEVA初号機

どうしても本作というと『新世紀エヴァンゲリオン』の「第九話 瞬間、心、かさねて EPISODE:9 Both of you, Dance Like You Want to Win!」で主人公の碇シンジと惣流・アスカ・ラングレーによる初戦の失敗、逆さまで機能停止に追い込まれた“あのジーン”が思い浮かぶ。初号機なんて青沼静馬の惨殺死体が逆さで湖に遺棄されたポーズそのままだから、特にね。
本作は佐清と静馬の“二人一役”が一番目を引く。ラバーマスクで入れ替わって“犬神佐清”を演じて周囲を混乱させ、金田一耕助に“女怪”と評された母親の松子すら欺いた。

嬉々として入れ替わったわけではないが、佐清は母親を庇うために“二人一役”を続けねばならなかった。事後共犯により遺体が見立て殺人だと誤認させた殺害後の工作は当の松子が一番驚いたことだった。自身の犯行だと気づかれぬよう何かしらの工作を行うのが通常の殺人犯だが、松子はそんな保身は欠片も考えていなかった。目に見えない“何か”が彼女を突き動かしていたのだから! しかし、佐清とて母親の殺人には愕然となった。穏便に静馬と入れ替わろうとした矢先の惨劇だった。破綻して親子で殺しあう関係ではなかったから、母親を愛していたから静馬の思惑が何であれ佐清は死体の処理を行わねばならなかったのだ。

原作とは異なっていても私にとっての『犬神家の一族』と呼びたい映像作品は高峰三枝子・あおい輝彦・島田陽子、彼らが犬神松子・犬神佐清・野々宮珠世だった1976年版の映画である。作中で松子の犯行に関して重要な証言をした琴の師匠の宮川香琴は原作では青沼菊乃だが、菊乃は既に他界して香琴は無関係の単なる琴の師匠とする1976年版の設定の方が良いと思う。
犬神家の一族 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:犬神家の一族 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304059
No.33:
(5pt)

とても気に入った

この本は本屋さんに探してもなかったのです。横溝正史会心の本です。お勧めします。
犬神家の一族 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:犬神家の一族 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304059
No.32:
(5pt)

時代を超えた納得感のあるサスペンス

殺害方法を家宝に象徴的に絡めた様式美、有名すぎる湖から伸びる足などの視覚的なインパクト、それでいて清々しくに大団円に持っていく著者の筆力は驚嘆です。
戦争からの復員、腹違いの兄弟、親戚同士の結婚…、今の時代ではこんなにも複雑な遺産問題は起こりえないだろうけど、昔の日本ならあったかも、という妙な納得感があります。
そういった点で、遺産相続系のサスペンスとして究極の作品なのではないでしょうか。
出版当時(1950年頃)の読者はどう感じたのか興味深いです。
犬神家の一族 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:犬神家の一族 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304059
No.31:
(5pt)

佐清

初めて横溝正史の作品を読んだが、
なかなかドロドロとした内容だったが、
最後は心に残るような綺麗な終わり方だったので大満足、

それにしても佐清は色々とネタにされているようだが
そういう方々にはぜひ一度きちんとこの作品を読んで欲しいものだ。
犬神家の一族 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:犬神家の一族 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304059
No.30:
(5pt)

横溝正史の最高傑作

何度も読み返している本の一つだが、夏になると読みたくなる。日本の製糸業は戦後急速に凋落していったので、たぶん、この事件もその時点ではまだ食いつなげるものの、数年後には倒産したであろう会社と思われる。そうした中、やはり親族の財産への執着というものが頂点を極めたといえなくもない。最後に、今後も佐清と珠世でこの企業を切り盛りしていくような感じで終わっているが、これだけのスキャンダルと業界状況をかんがみると、企業経営は難局を迎えると思われるのは皮肉な見方だろうか。あと、この遺言状であるが、やはりやや不自然な設定ともいえよう。先代の愛した珠世の幸福を考えるなら、普通に珠世と佐清の結婚が望まれるはずである。遺言状は佐清の顔の崩壊を知る前に作成されたものであるから、血で血を洗う争いを誘発できない可能性も高い。もっとも残り2人の男兄弟は一切の財産分与を受けられないことになっているのでこの点、長男殺害のインセンティブは起ころう。佐清の顔の崩落なかりせばまた違った展開となっていたと思われ興味深い。あと、最後のシーンで、琴師匠(菊乃)の正体が3女姉妹にもわかっていたのかやや不明であるがおそらくわかっていたのであろう。その点、最後の種明かしの場でもう少し菊乃と三姉妹の間の心の描写があってもよさそうだ。さておき、この難解な小説をきっちりと読みこなせば、人間の憎悪と恐ろしさ、そして、その背景にある凋落、など入り混じり一種の爽快感すら感じるのである。
犬神家の一族 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:犬神家の一族 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304059
No.29:
(5pt)

日本ミステリの名作

何度も映像化されており、湖から突き出る二本の足が有名な作品であります。
日本の旧家を舞台にした悲劇を描いたものですが、戦後の昭和中期を舞台としたミステリ作品としては傑作と言える作品だと思います。
映像作品を入門として、是非読んで欲しい作品です。
犬神家の一族 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:犬神家の一族 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304059
No.28:
(5pt)

犬神佐兵衛の謎を解く

「犬神家の一族」は都筑道夫のいうところの「モダーンディティクティブストーリー」の格好のサンプルといっていいでしょう。 「モダーンディティクティブストーリー」を私なりに解釈すると、従来の本格物に必須と考えられた大掛かりなトリックがなくても本格は成立する。むしろ、ポーにもどって推理の面白さに徹するべきということ。推理の面白さに徹すれば本格が批判される人間が描けていないという問題も馬鹿げてくる。人間観察抜きに推理はあり得ないから・・・ 「犬神家の一族」は島田荘司氏が使うような大掛かりなトリックがなくても立派にパズラーが成立すること証明しています。昭和20年代の発表の「犬神家の一族」のほうが、現役の島田荘司氏の作品群よりはるかに今日的と考えるのはわたしだけでしょうか? 映画などでは犬神佐兵衛という人物は冷酷非情のように描かれていますが、原作を読むと印象が異なります。犬神製糸の城下町の人々に恩人として慕われ、大成功した人物でありながら「自分は野々宮の旦那に拾われるまでは乞食同然であった」とあっけらかんとした雰囲気を漂わせる。 しかしながら、なぜか?身内に愛情を向けず、生涯正妻を持たず三人の娘も母親がちがう。さらに死後は一族が憎しみあうような遺言状を残す。なぜ、なぜ?? 「犬神家の一族」のすばらしい点は「犬神佐兵衛」という人間性を解くことで事件そのものが解かれていくところでしょう。ミステリには大掛かりなトリックが必要と思い込んでいる人こそ読んでいただきたい。細かいトリックが手際よく使われていてとくに映画などでは割愛せれてしまう佐竹殺しのトリック??と解明のヒントの巧みさは脅威的ですらあります。 偶然を巧みに折り込み事件を複雑化している点はこの作品の長所であります。が、いささか偶然が重なりすぎてはいないか?不満はあります。しかし、構成のうまさが気にならない仕上がりにしている点は横溝の小説作りの巧みさでありましょう。 映画やTVで見たよという方、ぜひ原作を読んでください。原作のほうがはるかに推理物の醍醐味が味わえます。
犬神家の一族 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:犬神家の一族 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
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