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幽霊男
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【この小説が収録されている参考書籍】
幽霊男の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.73pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全14件 1~14 1/1ページ
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「幽霊男」は昭和29年1月から10月まで雑誌「講談倶楽部」に連載された横溝正史の長篇推理小説。名探偵・金田一耕助シリーズの一つであるが、いわゆる岡山ものとは異なり、江戸川乱歩的なエログロ猟奇サスペンスを楽しめる通俗ミステリとなっている。 神田神保町の裏通りにある「共栄美術倶楽部」は、画家や素人ヌード写真家にモデルを紹介する仲介業者。いかがわしいサービスも提供するとあって、一流とはいえないヌードモデルたちがたむろしており、猟奇クラブという怪しげな団体のたまり場にもなっていた。ある日の夕方、そこに「佐川幽霊男」を名乗る不気味な男が現れる。 幽霊男とは本名の由良男をもじったもので、倶楽部の上得意客である加納三作の紹介で来たという。長髪にベレー帽、黒眼鏡、襟巻などで容貌は判然としなかったが、口の中に三本だけ生えた歯が薄気味悪いものを感じさせていた。広田支配人も加納の紹介では無下にもできず、小林恵子という不人気のモデルを紹介した。 翌日、幽霊男のアトリエに連れ込まれた恵子は、麻酔薬をかがされ行方不明となる。なかなか戻らない彼女を心配した倶楽部の関係者が警察と共に行方を追ったところ、聚楽ホテルの一室で惨殺死体となって発見されてしまう。倶楽部の常連で新聞記者をしている建部健三は、恵子の事件をスクープして一躍その名を上げるが、事件はそれで終わらなかった。同じ倶楽部の所属モデル都築貞子も幽霊男の毒牙にかかり、無惨に命を落としたのである。 警察は吸血癖のある狂人画家・津村一彦が事件に関わっているものとして捜査を続けていただが、一向に進展せぬまま一ヶ月が経過した。幽霊男の出現により二回も例会を棒にふった共栄美術倶楽部は、伊豆のS温泉にある高級旅館「百花園」を買いきり、多数のヌードモデルと会員を集め盛大な撮影会を行うという。さらなる犠牲を防ぐため、金田一耕助が密かに調査を開始するが……。 本作の登場人物はそれほど多くないので、自然と犯人の候補は絞られ、目星をつけることができる人は多いかもしれない。しかしながら、動機やトリックを含めて真相を見抜くとなると、なかなか難しいのではないだろうか。 結末を知ってから読み返すと、きちんと伏線が張られているのに気付かされるあたりはさすが横溝正史という他ない。また、数々の犯罪者を見てきた金田一をして、ここまで残忍で卑劣極まりない奴は見たことがないと思わせた犯人の往生際の悪さは、その意外性とともに強く印象に残っている。 この作品での金田一耕助は精彩を欠いており、あまり事件解決に寄与していないのだが、ファンとしては意外な一面を見ることができ面白かった。初登場シーンからして、いつものセルの着物にヨレヨレの袴スタイルではなく、ホテルボーイの制服姿。犯人に出し抜かれバリバリと歯をかみならしながら激昂したり、がっかりしている耕助の手をとって等々力警部が部屋に連れ戻したりと、微笑ましい描写も多かった。 <登場人物> 佐川由良男 … 幽霊男を名乗る不気味な男。自称画家。 広田圭三 … ヌードモデル仲介業の共栄美術倶楽部を経営。 加納三作 … 大病院の外科医長。倶楽部の上得意客。 建部健三 … 新東京日報社の社会部記者。倶楽部の常連。 菊池陽介 … 仕事も妻も失った道楽男。倶楽部の常連。 小林恵子 … 倶楽部所属モデル。幽霊男が最初に指名し殺害。 宮川美津子 … 倶楽部所属モデル。建部健三に惚れている。 都築貞子 … 倶楽部所属モデル。伊豆の百花園で殺される。 西村鮎子 … 倶楽部所属モデル。一番の売れっ子。 武智マリ … 倶楽部所属モデル。何かを知っており殺される。 小林浩吉 … 小林恵子の弟。姉の仇を討とうと奔走。 津村一彦 … 失踪した画家。蜘蛛の収集が趣味。吸血癖あり。 津村恭子 … 一彦の妻。 河野十吉 … 幽霊男に西村鮎子の蝋人形製作を頼まれた名人。 河野篠 … 十吉の妻。幽霊男の依頼を不安に思い警察に相談。 三橋絹子 … 婦人服飾店ミモザの経営者。斜陽族のひとり。 進藤警部補 … 荻窪署の捜査主任。 海野警部補 … 早稲田署の捜査主任。 安井警部補 … 伊豆S署の捜査主任。 木村刑事 … 伊豆S署の刑事。 新井刑事 … 警視庁捜査一課所属の刑事。等々力警部の腹心。 等々力警部 … 警視庁捜査一課所属の警部。金田一耕助の相棒。 金田一耕助 … 雀の巣の頭にくたびれた着物袴。ご存知名探偵。 | ||||
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少し古臭い(昭和は遠くなりにけりですかね…)ですが、楽しめました。 | ||||
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角川文庫の横溝正史シリーズに魅了され手にした10冊目.本作品も期待を裏切らない面白さでした. どういうトリックなのかは分からなくても,読んでいる途中で犯人像は分かってしまいました.おそらく横溝正史本人も,読者に見破られることを分かって書いていたと思います.本作品の魅力は,推理小説の謎解きにあるのではありません.連続猟奇殺人事件というものが,いかなる人間のいかなる欲望によって引き起こされるのか,そこが主眼だと思いました.この犯人像は,現代の筆舌に尽くし難いような殺人事件にも通じるように思えました. 減点ポイントは,最後の方になってから登場する女性キャラクターです.正直,設定に無理があると感じます.なにが無理なのか述べてしまうとネタばらしになってしまうので,ここでは詳細は書けませんが.もっと最初の段階で何らかの形でチョットでも良いから登場させておくか,最後までこのキャラクター無しで話を進めてしまうか,どちらかが良いように感じました. とは言え,本作はシリーズ中のこれまでの作品と毛色が違うように感じられ,楽しめました. | ||||
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面白い | ||||
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good | ||||
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もう設定からして通俗的な、エログロナンセンス。横溝正史が一般読者サービスを念頭に置いて書いたと思しきエンタメ作品で、次々に派手な殺人が起きて、飽きさせない。お馴染み金田一耕助も等々力警部と共に登場して、ファンを楽しませてくれるが、途中までは犯人にしてやられるマヌケぶりが際立ち、右往左往した挙句の解決であまり名推理とは感じられなかった。 それでも意外な真犯人とか、蝋人形を使ったトリックとか、ミステリ的仕掛けはしっかりしていて、本格推理ではないが、十分楽しめる。横溝正史としては比較的軽めだが、ミステリとしても通俗読み物としても十分通用するエンタメ作品と思う。 | ||||
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密室トリックの亜種に「人間消失」があります。本作は「人間消失」には違いないのですが、トリック小説として読むよりは「幽霊座」の追善興行で幽霊が出るというミステリー(怪異)を味わう方が正解でしょう。消失というよりは失踪といった方が正解ですし。 この小説も長年の夢かなって電子書籍で読むことが出来ましたが、金田一の友達が出てくるというのは珍しい話です。興行も夏向きに舞台に水槽が仕掛けられ、そこに幽霊が飛び込むとあって十分に夏向きです。 「人間消失」は「鴉」の方のテーマでもあります。「湖泥」「首」に並ぶ磯川警部シリーズの傑作のひとつです。 「トランプ台上の首」は隅田川の水上生活者たちの風俗にちょっと触れているあたりに、トリックだけでなく、往時のリアルを感じられて興味深いです。 夏向きでお得感のある短編集です。 | ||||
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昔、単行本で読んだのを思い出し、再度読んでみたくなりました。 何軒か本屋を回りましたが、横溝正史作品は置いてありませんでした。 ネットの本屋を見ても、この「幽霊座」は在庫なしでした。 そんな中、ようやくこちらに出会えてうれしかったです。 場末の古びた劇場、「鯉つかみ」の演目を利用したトリック、 役者同士の複雑な感情…などお芝居好きの人は楽しめると思います。 | ||||
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展開が早くて面白い。 最後まで犯人が誰だか迷ってしまう やはり金田一耕助は、面白い。 | ||||
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金田一耕助が、戦前に訪れた歌舞伎公園で、親友の役者が疾走! そして「、17年後に新たな事件が。 なぜか、紙媒体では絶版扱いの表題作。 しかし、これが面白い! スケールも大きく、映像化したら、歌舞伎のシーンも含め、さぞ面白作品になるはずと確信。 (制作費がかかるでしょうが) ということで、電子書籍で読める幸せをかみしめて、是非オススメです | ||||
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表紙も期待通りのものでした。また、本の状態も綺麗でした。とても満足しています。有難うございました。 | ||||
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江戸川乱歩風の怪人譚。 その名も幽霊男が、大東京を恐怖に陥れる…という話で、 通俗的な面白さでなかなか読ませるが、 この手の読み物の常でラストは少々拍子抜け。 意外な怪人の正体も明かされるのだが、 ちょっと取って付けたような印象がなくもない。 それにつけても、金第一耕助の防御率の悪さといったら(笑)。 | ||||
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猟奇色と残虐味にあふれた作品。 プロットにひねりがあり、犯人も意外。良く練り込まれた一冊と思う。 ただ、映像化しにくかったり、猟奇の部分もやりすぎの感があり、あまり評価されていないのだろう。 見直すべき作品と思う。 | ||||
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この物語の舞台は零落寸前の歌舞伎座「稲妻座」 皮肉にも17年前に失踪したものの子供達が同じ演目を 行おうとしたとき、悲劇はまた起こります。 トリックは巧妙でさも犯人でない人が犯人だったというのが 最後になって発覚します。 でも今回は最後に犯人が超致命的なエラーを起こしたために 犯行は金田一耕助の手により露見されてしまうのです。 表題作のほかに入っている作品も トリックがどれも巧妙で、最後まで読むものを 惑わし続けると思います。 特に「トランプ台上の首」は ラスト2ページ位まで騙される事うけあいです。 | ||||
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